ニューエイジ

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テンプレート:独自研究 ニューエイジ(New Age)とは、字義どおりには「新しい時代」であるが、新しい世界、新しい思想を含意する。この表現の背景には、ヨハネの黙示録に見られ、一部のキリスト教徒が採用している千年思想がある。すなわち、神と悪魔の戦いが千年続き、最後に神が勝利して、ニューエイジ=新しい世界がやってくるというものである。基本的には、伝統的な教えの中から、古くて役に立たない教えを廃し、真の意味での教えを明らかにしようという運動である。

ただし、現在「ニューエイジ」(ニューエイジ・ムーブメントニューエイジ運動)と言うときには、アメリカ合衆国、とりわけ西海岸を発信源として、1970年代後半から80年代にかけて盛り上がり、その後商業化・ファッション化されることによって一般社会に浸透、現在に至るまで継続している、霊性復興運動およびその生産物全般、商業活動全般を指す場合が多い。以下ではこれについて述べる。

概要

ニューエイジ運動は、60年代のカウンターカルチャーをその直接の起源とする。物質的な思考のみでなく、超自然的・精神的な思想をもって既存の文明や科学、政治体制などに批判を加え、それらから解放された、真に自由で人間的な生き方を模索しようとする運動である。

その中には、以下のような共通項をもつ、新旧の多様で雑多な要素が、互いに力動的に関わり合いながら共存している。

  • 反近代、反既存科学、脱西欧文明(道教チベット仏教などの東洋思想やアメリカ・インディアンの思想、あるいは“異教”的文化への親和性)
  • ポジティブ・シンキング(個人に内在する力と可能性の強調)
  • 五感や身体性・主観的体験の重視
  • 論理的思考に対する直観的理解(「気づき」)の優位
  • 快の感覚や欲望の肯定
  • 旧来の社会道徳の否定と極端な自由主義の思想
  • 汎神論的・宇宙神的存在あるいは「大いなる意志」への信仰と、万象に対するその介在を根拠とする「偶然性」の否定
  • 自然への回帰(しばしば人間以外の生物との精神的な交感を含む)
  • 女性性の尊重

などが挙げられる。

具体的な構成要素としては、チャネリングリーディング瞑想法、前世療法催眠療法等の心理療法ヨーガや呼吸法・さまざまな整体術等の身体技法、ホーリスティック医療、心霊治療アロマテラピーパワーストーン輪廻転生信仰、さまざまな波動系グッズなどを挙げることができる。これらのうちのいくつかの物は一般に「オカルト」と呼ばれる領域に属する。書店では主に精神世界の書棚の中に置かれている。

その裾野部分では、ニューエイジは現代の行き過ぎた消費文明や経済的効率主義に対して警鐘を鳴らし、これを中和しようとするようなオールタナティヴな社会思潮として機能する可能性を期待されている。しかしその一方で、しばしば、その信奉者の理性的・論理的・科学的な思考力を鈍化させて批判力を鈍らせ、また極端な場合には、破壊的カルトやオカルト商法といった反社会的な形をとって立ち現れる。そのようなわけで、ニューエイジの功罪について、明快な評価を下すことは容易ではない。

ニューエイジ的な価値観を信奉する人のことをニューエイジャーという。

水瓶座の時代

テンプレート:Seealso 「ニューエイジ」という呼称は、具体的には「水瓶座の時代」(みずがめ座の時代、age of aquarius)を意味する。この呼称は西洋占星術に由来し、地球歳差運動によって黄道上を移動し続けている春分点が、ちょうど20世紀の後半に、黄道十二星座うお座からみずがめ座に入る、との主張による[1]。この主張では、春分点がうお座にあった時代は、ほぼキリスト生誕から現在までの約2000年間と重なる。さらに、キリスト教には、イエスによって象徴させる慣わしがある。このことから、「ニューエイジ」という言葉には、今こそ既存の西洋文明・キリスト教の支配する時代が終息し、自由で解放された「新時代」(=水瓶座の時代)の幕が開いた、という意味が込められている。

なお、ミュージカルヘアー」の1曲目は「アクエリアス(水瓶座)」である。曲の中には「This is the dawning of the age of Aquarius」というフレーズも登場する。

思想と手法

この思想の内容として主要なことはone ness(ワンネス)といわれる。つまり、この宇宙は唯ひとつであるというものである。ニューエイジの本質は破壊的なものではなく、新しい人類のライフスタイルの提案と、今の社会システムが完全ではないという問いかけ、また新たなライフスタイルはいつでも実現可能であるという積極的な働きかけにあるというのがチャネラーによる見解である。しかし一方で、一見もっともらしいと思われる内容とひと目で分かる形式的・論理的破綻がニューエイジと呼ばれる運動の顕著な特徴であるという批判もある。テンプレート:誰

ニューエイジャーの間で流行った占いのようなものがある。ニューエイジを理解するひとつの例として紹介する。

  • 何をするべきか迷ったとき
手近な本(または雑誌)を手に持ち、適当なページを開いて見る。
適当なページを開くと、そこに人生のヒントとなることが書かれているという。ニューエイジャーいわく「偶然というものはない」。つまり、適当なページを開くことも偶然ではなく、そこにヒントが書かれているのも必然であるという。またゴータマ・ブッダの教えを引用し、たとえ、すごいヒントにであっても、またそれがヒントにならなくても、どちらにも「こだわるな」という。

またニューエイジでは、しばしば宇宙人もしくはエンティティーという存在について語られる。これらの存在は神ではなく、信仰の対象ではないと説く。一部では熱狂的に信仰する人もいるが、ニューエイジャーにいわせれば、そういう依存する信仰はオールドエイジであるという。

キーワード

ニューエイジの特徴には「一元論」「汎神論」「自己聖化」「自己実現」などがある。

  • すべてでひとつである。
  • 偶然というものはない。
  • 弟子の準備が整ったとき、師匠は現れる。
  • しなければならないことというものはない。
  • 善悪というものはない。
  • 信じる必要はない。
  • 努力はしなくてもよい。
  • 与えたものが返ってくる。
  • すべてのものは聖なるものである。
  • 人には無限の潜在能力が備わっており、自分で自分の現実を作る。
  • どんな現象も、自分がそれに与える以外の意味を持たない。(現実は中立である)
  • アファーメーション(確認する)

エンティティー

存在と訳す。しばしば宇宙人とも呼ばれることがあるが、三次元における肉体を持っているとは限らない。しかし、肉体がないからといって、神や霊魂とはまた別なものであるため、単に存在という呼び方をする。

社会とニューエイジ

何であれラディカルな社会運動はニューエイジと結びつきやすく、アメリカのエコロジー運動やフェミニズムヴェジタリアニズムにも、ニューエイジ的な分派がある。

アメリカでは、数多くのカルト宗教が、ニューエイジの流れの中から生まれてきている。さまざまなオカルト商品と同様、その一部は日本にも移入されている。

ニューエイジ運動の起源の一つは、エサレン研究所によるヒューマン・ポテンシャル運動(人間可能性運動、人間性回復運動)であり、1960年代以降にアメリカで発展したさまざまな心理療法の理論や技法とも関連が深い。西洋的な物質文明を批判して精神の変革を説き、東洋的な瞑想(メディテーション)の技術をその要素として持つニューエイジ運動の中でも、カルト宗教や自己啓発セミナーの領域では、一般にはあまり知られていないさまざまなマインド・コントロール技術が共有されており、これらが悪用された場合には、しばしば社会的な問題を引き起こすことになりやすい。

マインド・ビジネスを中心に、ニューエイジ関連の事物は少なからず日本に移入されているが、「ニューエイジ」という運動の存在そのものが一般にはあまり知られていないため、それと意識されることは少ない。目安として、「スピリチュアル」という形容詞とともに宣伝頒布されている商品は、おおむねニューエイジ由来のものと見ることができる。「癒し」ブームの少なからぬ部分は、ニューエイジ系商品によって支えられているといえよう。

日本ではオウム真理教事件もあり一時期は停滞したが「精神世界」市場の拡大・成熟と平行して、今でも少しずつ、しかし着実に浸透しつつある。

批判

キリスト教の中からニューエイジに対する批判がなされている。「彼が偽りを言うときは,自分にふさわしい話し方をしているのです。なぜなら彼は偽り者であり,また偽りの父であるからです。」(ヨハネ8:44) これを批判した本としてプロテスタントでは、ルーテル教会マリア福音姉妹会の『偽りのメシア運動』、水草修治著『ニューエイジの罠』、尾形守著『ニューエイジムーブメントの危険』、奥山実著『悪霊を追い出せ!』等があり、ローマ・カトリック教会は教皇庁文化評議会著、教皇庁諸宗教対話評議会による『ニューエイジについてのキリスト教的考察』を出している。水草修治はニューエイジと聖書的キリスト教の相違は「人間中心」のニューエイジと「神中心」のキリスト教にあるとし、キリスト教は神の栄光をあらわすことを目的としているのに対し、ニューエイジにおいては人間が自己実現することが究極の目的であると指摘する[2]

脚注

テンプレート:Reflist

参考文献

関連項目

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外部リンク

  • ただし、実際には21世紀においても春分点はうお座のままである(詳細は「春分点#春分点と星座」を参照)。
  • 水草(1995) p.57