スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲
テンプレート:Infobox Film 『スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』( - ていこくのぎゃくしゅう、Star Wars Episode V: The Empire Strikes Back)は、1980年に公開されたアメリカのSF映画。
『スター・ウォーズ・シリーズ』の2番目に発表された作品。1997年には最新CG技術などを使ってシーンの差し替えなどが施された『スター・ウォーズ/帝国の逆襲 特別篇』が公開された。2012年現在発売されているDVDは、さらに変更が加えられている。
目次
ストーリー
遠い昔、はるか彼方の銀河系で…。
ヤヴィンの戦い(エピソード4)から3年。デス・スターを反乱同盟軍に破壊された銀河帝国軍の反撃は激烈を極めた。反乱軍は帝国軍によりヤヴィン秘密基地から撤退を余儀なくされ、氷の惑星ホスにエコー基地を設立したのである。ダース・ベイダーは反乱軍、そしてルーク・スカイウォーカーを捜索するため調査用のプローブ・ドロイドを銀河系の各地に大量に放っていた。
ホスにも一体のプローブ・ドロイドが隕石に擬態して着地した。その時ホスではルークとハン・ソロが原住生物トーントーンに乗ってパトロールを行っていた。ルークは落ちてきた隕石を発見し調査しようとしたが、雪原の怪物ワンパに襲われ気を失ってしまう。一方先にエコー基地に戻ったソロは司令官のライカン将軍に反乱軍を離れ、ジャバ・ザ・ハットに金を返したいと告げた。レイア姫はソロに残るよう説得するが、失敗に終わる。やがてソロはルークがまだ戻っていないことを知り、危険も顧みずルークの救出に向かった。ワンパの棲み家に囚われていたルークはフォースとライトセーバーを使って脱出に成功するが、猛吹雪の中で倒れてしまう。が、そこにフォースと一体化したベン・ケノービ(オビ=ワン・ケノービ)の霊体が現れ、ルークに惑星ダゴバへ行きジェダイ・マスターのヨーダから学ぶよう告げたのである。幸運にもルークはその直後ソロに救出され、翌日にエコー基地に帰還した。
偵察機から不審な物体を発見したとの通報を受け、ソロとチューバッカはそれの調査に向かい、帝国軍の放ったプローブ・ドロイドだと突き止める。報告を受けたライカン将軍は帝国軍に基地の場所が察知されたことを悟り、基地の全軍に撤退命令を出した。ベイダー率いる帝国軍の「死の小艦隊(Death Squadron)」はホス近辺に到着するが、オゼル提督のミスで反乱軍に艦隊到着を気付かれてしまい、エコー基地のシールド展開を許してしまう。ベイダーは失態を犯したオゼルを処刑してピエット艦長を新提督に任命し、ヴィアーズ将軍にAT-ATによる地上攻撃でシールド発生装置を破壊させるよう命じた。同盟軍は貴重な物資を積んだ貨物船が脱出する時間を稼ぐため、歩兵・スピーダー部隊が必死に応戦を試みるが厚い装甲に覆われたAT-ATに歯が立たず、遂にシールド発生装置を破壊されてしまう。ミレニアム・ファルコンを修理していたソロとチューバッカは逃げ遅れたレイアと3POを乗せ基地から脱出。そして生き残ったルークは地上戦が終了した後Xウイングに乗り、R2-D2を伴って、オビ=ワンの言葉に従い惑星ダゴバへ向かう。
ソロ達を乗せたファルコンは執拗な帝国軍の追撃を受け、ハイパードライブの起動を試みるが、修理が不十分であったため失敗。機転を利かせたソロはホスの付近にある小惑星帯に逃げ込み、何とか追っ手を振り切る。ファルコンの修理を行う中で、ソロとレイアは急速に距離を縮めていく。しかし、逃げ込んだ小惑星の穴は巨大な宇宙の怪物スペース・スラッグの巣であることが分かり、ファルコンは飲み込まれる寸前に脱出する。遅々として進まぬ捜索に業を煮やしたベイダーはボバ・フェットを始めとする銀河中の腕利きの賞金稼ぎを呼び寄せ、報酬を与える代わりにファルコン号を見つけ出すよう命じていた。ソロは再び帝国軍に発見されながらもスター・デストロイヤーの索敵範囲外に逃れ、旧友ランド・カルリシアンが執政官を務めるクラウド・シティのある雲の惑星ベスピンに向かう。しかし、ボバの乗るスレーヴ1が不気味にその後に追随していくのだった。
一方、ベイダーはソロやレイア姫を取り逃がしてしまったピエットたちの不手際に失望しながら瞑想に入っていたが、その瞑想をピエットが妨げる。激怒するベイダーに対し、ピエットは恐怖の色もあらわに「皇帝陛下がお呼びです」と告げる。それを聞くとベイダーの怒りは一瞬で消滅し、ピエットに勝るとも劣らぬ恐怖を見せながら、皇帝との直接通信を行う。
その頃ルークはダゴバに不時着するも、ダゴバは泥と沼だらけでとても人の住めるような星ではなかった。そんな折に現れた小柄な老人はR2にイタズラをしたり、ワガママを言うなどしてルークを困らせるが、この老人こそがルークの探している偉大なるジェダイ・マスター、ヨーダであった。ルークを試していたヨーダは、年齢を重ねすぎており、我慢強さがないルークの指導をためらうが、オビ=ワンの説得によりやっと修行を始める。しかしジェダイとしての意識が低いルークはフォースを完全に信じきることが出来ず、訓練は思うようにはかどらなかった。ある日、ルークはヨーダの「武器を持つな」という忠告を聞き入れずに謎の洞窟へ赴き、突如現れたベイダーの幻影と剣を交え、その首を切り落とす。ベイダーのマスクの下から現れた己の顔、即ち己の暗黒面の象徴にルークは戦慄する。
クラウド・シティに到着したソロ達はランドからもてなしを受けた。しかしランドは帝国のクラウド・シティへの不干渉と引き換えに、ベイダーに彼らを売り渡す。ソロ達の危機を予知したルークは、ヨーダとオビ=ワンの制止を振り切ってベスピンへ飛ぶが、それを察知したベイダーはルークの捕獲・護送の手段として彼をカーボンフリーズ(炭素冷凍)にかける事を画策、ソロがその実験台とされてしまう。ベスピンに到着したルークは護送されるレイア達を発見し、その直後にベイダーと対決することになるが、その強大なフォースに翻弄される。冷凍室から下層の回廊、更にクラウド・シティ中核へと場所を移した戦いの末に、ルークはライトセーバーごと右手を斬り落とされてしまう。満身創痍のルークに、彼を暗黒面に誘うベイダーはある衝撃的な事実を告げるが、暗黒面への誘いを拒否したルークは奈落へ身を投げる。
ソロの身柄を引き渡す約束を反故にされたランドは部下に命じて護送中のレイア達を開放し、ソロ奪還を目指すが、ソロはレイア達の目前でボバに持ち去られてしまった。やむなくファルコンで脱出したレイアは、シティ外壁の観測策に引っ掛かって辛うじて命拾いしたルークの声を感じとり、急遽引き返してルークを救出する。帝国軍の追撃を振り切り、同盟軍合流地点にたどり着いた一行だったが、彼らが負った傷はあまりに大きかった。義手を得たルークはレイアと共に、ソロ救出の為ファルコンで先行するランドとチューバッカを見送るのであった。
登場人物・キャスト
- ルーク・スカイウォーカー:マーク・ハミル
- ハン・ソロ:ハリソン・フォード
- レイア・オーガナ:キャリー・フィッシャー
- ダース・ベイダー:デビッド・プラウズ(演)、ジェームズ・アール・ジョーンズ(声)
- オビ=ワン・“ベン”・ケノービ:アレック・ギネス
- ヨーダ:フランク・オズ(操作・声)
- C-3PO:アンソニー・ダニエルズ
- R2-D2:ケニー・ベイカー
- ランド・カルリシアン:ビリー・ディー・ウィリアムズ
- チューバッカ:ピーター・メイヒュー
- 皇帝:クライヴ・レヴィル(劇場公開版の声)、イアン・マクダーミド(DVD版)
- ボバ・フェット:ジェレミー・ブロック(演)、ジェイソン・ウィングリーン(劇場公開版の声)、テムエラ・モリソン(DVD版)
日本語吹き替え
役名 | 日本語版1 | 日本語版2 | 日本語版3 | 日本語版4 |
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ルーク・スカイウォーカー | 奥田瑛二 | 水島裕 | 塩沢兼人 | 島田敏 |
ハン・ソロ | 森本レオ | 村井国夫 | 山寺宏一 | 磯部勉 |
レイア・オーガナ姫 | 森田理恵 | 島本須美 | 小山茉美 | 高島雅羅 |
ダース・ベイダー卿 | 南原宏治 | 鈴木瑞穂 | 石田太郎 | 大平透 |
ベン・ケノービ | 河原崎國太郎 | 滝田裕介 | 宮川洋一 | 納谷悟朗 |
ヨーダ | 永井一郎 | 高木均 | 内田稔 | 辻村真人 |
C-3PO | 高山栄 | 野沢那智 | 富山敬 | 野沢那智 |
ランド・カルリシアン男爵 | 樋浦勉 | 内海賢二 | 田中信夫 | 若本規夫 |
ボバ・フェット | 宮村義人 | 屋良有作 | 広瀬正志 | |
皇帝 | 大木民夫 | 加藤精三 | 千葉耕市(ビデオ) 小林勝彦(DVD) | |
ロース・ニーダ艦長 | 石井敏郎 | 上田敏也 | 城山知馨夫 | |
ファーマス・ピエット提督 | 横森久 | 筈見純 | 仁内建之 | 嶋俊介 |
カーリスト・ライカン将軍 | 細井重之 | 大宮悌二 | 糸博 | |
マクシミリアン・ヴィアーズ将軍 | 池田勝 | 筈見純 | ||
マッケイ准尉 | 沢木郁也 | |||
ケンダル・オッゼル提督 | 大木民夫 | 伊井篤史 | ||
ウェッジ・アンティリーズ | 千葉繁 | 谷口節 | 津田英三 | |
ナレーター | (なし) | 城達也 | (なし) |
- 制作 コスモプロモーション、演出:福永莞爾、翻訳:平田勝茂、効果:新音響、調整:兼子芳博、プロデューサー:福吉健、解説:淀川長治
- その他の出演:桑原たけし、嶋俊介、千田光男、池水通洋、藤本譲、佐藤正治、梁田清之、子安武人、水野龍司、長島雄一、小杉十郎太、石川悦子、中博史
- 日本語版4:ビデオ・DVD・Blu-ray - 特別篇は従来のビデオ版に追加録音
- 演出 伊達康将、翻訳:平田勝茂、 調整:高久孝雄・飯村康雄(DVD追加部分)、 制作:ムービーテレビジョン(現:ブロードメディア・スタジオ)
- その他の出演:岡部政明、大山高男、小室正幸、星野充昭、森一、西宏子
スタッフ
- 監督:アーヴィン・カーシュナー
- 製作:ゲイリー・カーツ
- 製作総指揮:ジョージ・ルーカス
- 脚本:リー・ブラケット、ローレンス・カスダン
- 撮影:ピーター・サシツキー
- SFX:ILM
- SFXスーパーバイザー:ブライアン・ジョンソン、リチャード・エドランド、デニス・ミューレン
- 音楽:ジョン・ウィリアムズ
製作
プリプロダクション段階で脚本を依頼していたリー・ブラケットが降板(病床で初稿を書き上げ、1978年3月に癌で死去)したため、ルーカス旧知のスピルバーグの紹介でローレンス・カスダンに白羽の矢が立った。前作で美術を担当し第2班を兼任する予定だったジョン・バリーも、やはり撮影開始後間も無く病死している。
撮影は79年3月イギリスのスタジオで始まる予定だったが、準備のためスタッフがイギリス入りした1979年1月24日、使用する予定だったスタンリー・キューブリックの『シャイニング』のスタジオで火災が発生し撮影遅延が確実となったため、海外ロケが先に行われる事になった。ノルウェーのフィンスでのロケは吹雪に遭い交通が遮断され関係者には寒さによる凍傷の危険もある『シャイニング』さながらの撮影となったが、ノルウェーの軍と政府の協力もあって無事に終了した。
前作終了後解散した視覚効果チームは再結集したが、前作で開発した画期的なカメラシステムを「スター・ウォーズの盗作」と見なされた『宇宙空母ギャラクティカ』で投入しルーカスと法廷で争うまでに関係の拗れていたジョン・ダイクストラに代わる視覚効果監督が必要となり、『2001年宇宙の旅』以来『サンダーバード』から『エイリアン』に至るまでイギリスのスタジオで特撮を多数手がけて来たブライアン・ジョンソンが招聘された。前作の視覚効果でファーストキャメラマンだったリチャード・エドランドもSFXスーパーバイザーに昇進し、2名で"special visual effects"とクレジットされている。
ルーク・スカイウォーカー役のマーク・ハミルが撮影前に自動車事故を起こし、顔を怪我してしまったため、容貌が変わってしまった。そのため、一時はハミルではなく別人を使っているのではないかとすら囁かれた。冒頭でルークがワンパに襲われるシーンは、上記の変化に整合性を持たせるために急遽付け加えられたものであり、以後の本作ではハミルの顔にワンパにつけられた(=交通事故の)傷がある。
オビ=ワン・ケノービ役のアレック・ギネスは出演するつもりがなかったが、ギネスが高く評価しているルーカスの「映画に重みをつけるため」というたっての願いで、出演することになった。
ハン・ソロの台詞
本作の名台詞として、ハン・ソロが炭素冷凍される直前のレイアの愛の告白に対する返事として放った「I know.(分かってる)」があるが、脚本では「I love you too.」であった。『スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還』ではソロとレイアが互いに逆の台詞を喋るシーンがある。 [1]。
ダース・ベイダーの台詞
クライマックスシーンで、ダース・ベイダーがルーク・スカイウォーカーに言う台詞「No. I am your father.(違う。私がお前の父親だ。)」が出演者・製作スタッフ方面から映画公開前に漏れるのを防ぐため、ルーカスは撮影の時、ダース・ベイダー役に本来とは全く別の台詞を言わせ、完成直前にアフレコで「No. I am your father.」に差し替えるという、前代未聞のネタバレ防止策をとった。
これはダース・ベイダーが覆面をしており、実際の演技と声を別々の役者が担当しているキャラクターだからこそ出来た裏技である。ネタバレ防止策は他の共演者にも徹底しており、自分の登場シーンのみの台本を渡されていたという。そのため、この映画の全体のストーリーを知る人物、本物の台詞を知っていた人物は、ジョージ・ルーカスと監督のアービン・カーシュナーとルーク役のマーク・ハミル、そしてベイダーの声優のジェームズ・アール・ジョーンズのみだった。撮影時のダース・ベイダーの台詞は「Obi-wan killed your father!(父親を殺したのはオビ=ワンだ)」だった。
しかしこのことに、ベイダーの台詞を言わされた俳優、デヴィッド・プラウズ(スーツアクター)は「本当の台詞を知っていたらもっと違う演技をしたのに。」と不満であったとのことである。
ポスター
1980年公開時の世界共通ポスターのイラストは生頼範義が担当した。
受賞
- 第53回アカデミー賞
- 受賞:音響賞、特別業績賞(視覚効果)
- ノミネート:美術賞、作曲賞
特別篇及びDVD版での修正・変更点
- ルークを襲うホスの肉食獣ワンパは、新たに着ぐるみが制作されて全身が登場している。この追加カットにより、ライトセーバーをオフにする音がずれてしまった。なおオリジナル制作時もワンパがエコー基地に侵入するシーンが撮影されたがカットされている(ブルーレイBOXに特典映像として収録)。
- ホスでのAT-ATとスノースピーダーとの戦闘は、公開当初は当時の光学合成技術の限界によりマットラインや色調の不整合、コクピット視点で計器盤の向こうに背景が透けて見えるなどの不備があったが、デジタル合成によりそれらの問題が解消されている。
- ホログラム映像および声のみで皇帝が登場するが、公開当初はリック・ベイカーの妻エレインが演じている映像にチンパンジーの目を合成し、クライヴ・レヴィルが声を当てた物が使われていた。DVD収録時には、CGおよび吹き替えでエピソード6以降に皇帝(パルパティーン)を演じたイアン・マクダーミドに差し替えられ(この時に、彼のセリフもラストシーンの展開などを踏まえた物に変更された)、全体の整合性を図られている。
- クラウド・シティの情景がCGで製作され、ルーカスの当初の構想に近い繁栄した街並みになっている。屋内のシーンにも窓やバルコニーが加えられて閉塞感を解消している。
- ベイダーがクラウド・シティからエグゼキューターに帰艦するカットが加えられ、ストーリーの整合化が図られている。なおエグゼキューターの着艦デッキは『ジェダイの帰還』におけるデス・スターのドッキングベイのボツ映像を使用しており、双方が共通という設定になっている。
- ルークの落下シーンに特別篇では悲鳴が加えられた。しかしDVD版では元に戻された。
- 劇場公開時のヨーダの吹き替えは偶然ではあるが、新三部作でのヨーダと同じ永井一郎であった。後に特別篇のDVD収録時に辻村真人へと統一されているが、限定発売された劇場初公開版DVDで当時の永井の吹き替えを聴くことができる。
エピソード
- ルークがワンパの雪洞でフォースを使ってライトセイバーを取るシーンは、ライトセイバーを投げる映像を逆再生して使われた。
- ハン・ソロたちが逃亡する際に小惑星帯を抜ける場面があるが、スタッフのお遊びでその岩石に混じってジャガイモやスニーカーが飛んでいる[2]。
- ダース・ベイダーを演じたプラウズは剣劇が苦手で、前作の撮影中にライトセーバーのプロップを何本も折ってしまったため、今作からは剣劇シーンのみボブ・アンダーソンが演じることになった。
脚注
外部リンク
テンプレート:スター・ウォーズ・シリーズ テンプレート:ジョージ・ルーカス テンプレート:星雲賞メディア部門
- ↑ フィッシャーは『スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還』の撮影終了後の1985年ごろに薬物中毒を克服したと自伝で記している。
- ↑ 特別編のパンフレットより。