サイドスロー
サイドスローとは、野球における投手の投法のひとつ。投手がボールをリリースする際に、ボールを持つ腕がグラウンドの水平面と平行になる投法を指す。サイドハンド、サイドアーム、横手投げ等とも呼ばれる。サイドスローという呼称は和製英語で、英語ではsidearmという。また、サイドスローで投げる投手はsidewinderと呼ばれる。
ただし、サイドスローと呼ばれる投手の中でも、森安敏明・鹿取義隆・宮西尚生のような純然たるサイドスローは比較的少なく、角盈男・館山昌平・藤岡好明のようにスリークォーター気味であったり、工藤幹夫・川尻哲郎・林昌勇のようにアンダースロー気味であることの方が多い。
目次
概要
腕が横から出てくるため左右の角度を付けやすく、利き腕の方向へ横変化するシンカー・スクリューボール・シュート、これらと逆方向へ横変化するカーブやスライダーといった、主に横変化系の変化球を投げる投手が多い。
前者の例として、1992年の日本シリーズにおいて西武のリリーフエースでシンカーを決め球としていた潮崎哲也に抑えられたヤクルトの野村克也監督は中継ぎだった高津臣吾にシンカーの習得を命じ、後に高津は緩急2種類のシンカーを投げるクローザーとなった。
後者の場合、右投げのサイドスローから投げられるカーブやスライダーは右打者から見て外角へ逃げていく球筋に更に同じ方向への横変化が加わるため、「背中からボールが来る」等とも表現され決め球として有効に使える。角盈男や永射保がカーブを決め球として投げていた。
フォークボールを習得するサイドスロー投手は少ないが、これは投球動作の違いから同じ落ちる変化球でもシンカーの方が習得が容易なためとされている。一方で、横から投げる事によりオーバースローのフォークとは違った微妙な横変化が加わる事を利用して、左右に落ちる2種類のフォークを投げ分ける木田優夫のような投手も存在する。
サイドスローのサウスポー投手は貴重な戦力とされ、プロ野球では対左打者用のワンポイントリリーフとして左のサイドスロー投手をベンチ入りさせることが多い。角は抑えで頭角を現し、永射や清川栄治などは「左殺し」のワンポイントリリーフとして活躍した。現役選手では星野智樹や小林正人などが挙げられる。
日本プロ野球において、かつては杉浦忠、小林繁、斎藤雅樹のようなサイドスローでエース級の先発投手は珍しい存在ではなかったが、右サイドスローに対してボールの握りや軌道が見えやすい左打者が増加した事もあり減少傾向にある。今日のメジャーリーグでもサイド気味のスリークォーターの投手は多いが、純然たるサイドスローは先発投手ではほとんど見られないといってよい。
メジャーではカール・ハッペル、デービッド・コーン、ジェレッド・ウィーバー等、日本では長谷川良平、トレイ・ムーアらのようにサイドスローと他の投法を投げ分ける投手もいる。
主なサイドスロー投手
引退選手
米国
- 左投げ
日本
- 大友工
- 堀本律雄
- 高橋善正
- 森安敏明
- 柳田豊
- 杉浦忠
- 小林繁
- 石井茂雄
- 安仁屋宗八
- 鹿取義隆
- 工藤幹夫
- 小川博
- 斎藤雅樹
- 友利結
- 伊藤敦規
- 川尻哲郎
- 酒井勉
- 岡本晃
- 潮崎哲也
- 鈴木平
- 小林誠二
- 池内豊
- 星野順治
- 小山田保裕
- 木塚敦志
- 青木勇人
- 加藤武治
- 林昌樹
- 高津臣吾
- マイケル中村
- 吉川昌宏
- 左投げ
現役選手
アメリカ
- パット・ネシェック
- パット・ベンディット※左右投げのうち左投げのみ
日本
- 左投げ
台湾
韓国
- 左投げ