ゴジラ×メカゴジラ

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テンプレート:Otheruseslist テンプレート:Infobox Filmゴジラ×メカゴジラ』(ゴジラたいメカゴジラ)は、2002年(平成14年)12月14日に公開された日本映画で、「ゴジラシリーズ」の第26作である。GMGと略される。併映は『とっとこハム太郎 ハムハムハムージャ!幻のプリンセス』。キャッチコピーは「砕け散るまで戦え!」「起動・共鳴・氷砕」。興行収入は19億1000万円、観客動員は170万人。

概要

第3期ゴジラシリーズ(ミレニアムシリーズ)の第4作。ゴジラは前々作と同様の造形に戻される。本作品では主人公家城茜と三式機龍(メカゴジラ)を中心とした物語となっており、ゴジラの描写は災害のような感情移入の余地がない存在として描かれているテンプレート:Sfn

ゴジラ2000 ミレニアム』以降の作品に共通する、第1作以外のゴジラ映画とのストーリー上の関連が一切ないという形は変わらないが、本作はゴジラシリーズ以外の『モスラ』や『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』等、他の東宝怪獣映画作品との関連を持っており[1]、作中に登場するメーサー殺獣光線車のデザインなどにその設定が現れている。

メカゴジラのリニューアルはプロデューサーの富山省吾が2000年頃から構想していた[2][3]。本作でのメカゴジラは、CGによるスピード感溢れるミサイル攻撃や、高機動形態での俊敏なアクションなど、従来のロボット怪獣のイメージを覆す描写がなされたテンプレート:Sfn[2]。また作中では「3式機龍」が正式名称であり、「メカゴジラ」の名は開発者の1人である湯原とその娘が愛称として呼ぶにすぎない。

音楽は大島ミチルの提案により、シリーズ初の海外録音が行われた(演奏はモスクワ・インターナショナル・シンフォニック・オーケストラ)。録音の模様はドキュメントとしてDVDの映像特典に収録されている。また平成のゴジラ映画で初めて、伊福部昭の曲が使用されなかった。

本作は前作と違い、当初から『とっとこハム太郎』との同時上映が決まっており、その影響で上映時間が従来より15分前後短縮されているテンプレート:Sfn。また劇中では湯原沙羅とその友人がハムスターを可愛がるという『とっとこハム太郎』を意識したシーンがある。

本作と次作『ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS』ではタイトルロゴの「ゴジラ」の字体のデザインが変わり、それまで使われていた「角を斜めに切り落とした」スタイルではなくなっている[4]

ストーリー

1999年、館山市からある物がトラックによって運び出された。その数日後、台風と共にゴジラが館山に上陸。対特殊生物自衛隊=通称「特生自衛隊」(JXSDFJapan Counter-Xenomorph Self Defence Force)はゴジラ迎撃を開始するが、全く歯が立たない。

その戦渦、特生自衛隊員・家城茜は操縦するメーサー殺獣光線車を仲間の車両に激突させ、崖下に転落させてしまい、その車両は無残にもゴジラに踏み潰されてしまう。命は何とか助かったものの、茜は仲間を死に追いやったという自責の念を拭い去ることが出来ないまま、責任を問われる形で資料課への転属を命じられる。

一方、日本政府は柘植真智子首相指揮の下、湯原徳光ら日本有数の科学者達を招集して対G兵器の開発に着手、館山沖から引揚げられた初代ゴジラの骨格を基に、4年の月日を経て遂に機龍《メカゴジラ》を完成させた。そして柘植首相は辞職し、科学技術庁長官だった五十嵐隼人が新首相に就任した。

時を同じくして、いまだ心にさまざまな葛藤を残している茜の機龍隊への配属が決定、機龍のオペレーターに任命される。

そして機龍のテスト機動が開始されたとき、ゴジラが東京湾に出現。茜を含む機龍隊は機龍を発進させ、ゴジラに向かう。

ゴジラは横浜・八景島に上陸し、その前に機龍が立ちはだかる。機龍はロケット弾とメーサーで徐々にゴジラを追いつめ「アブソリュート・ゼロ」でとどめを狙う。しかしゴジラが天に向かって咆哮すると、機龍がコントロール不能に陥ってしまう。その隙にゴジラは海中へと姿を消した。しらさぎが機龍を回収し帰還しようとしたところ、突然機龍がまるで意志を持ったかのように動き出し街を破壊し始めた。ゴジラの声が機龍のコンピューターに干渉し、初代ゴジラの意識が目覚めてしまったのだ。目が赤く染まり、「本物のゴジラ」の如く猛威を振るう機龍を止めるには体内のエネルギーが尽きるのを待つしかなかった。

機龍の暴走で八景島周辺は全壊。五十嵐首相にも責任を問う声が高まり、機龍隊の存続も危ぶまれていた。湯原は機龍のDNAコンピュータの塩基構造を変えることでゴジラの干渉を回避させるようにした。しかし五十嵐首相は再び暴走するのではないかと恐れ、出動許可を下さないでいた。また湯原の娘・沙羅も、初代ゴジラの骨から作られた機龍が、本来同族でもあるはずのゴジラを倒すことに疑問を感じ始めていた。

東京湾から再びゴジラが出現する。特自の攻撃をものともしないゴジラは品川に上陸し、市街地を火の海へと変えていった。この事態に五十嵐は、ついに機龍出動を決断する。人類の希望を背負って機龍は飛び立った。

ゴジラを倒すべく品川の街に降り立つ機龍。決死の覚悟で戦いを挑む茜。機龍、そして茜の戦いがここに始まった。

登場キャラクター

特生自衛隊

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主な登場人物

家城 茜
本作のヒロイン。特生自衛隊(特自)三尉。第1機龍隊オペレーター。4年前はメーサー隊所属で、館山でのゴジラ攻撃の際に自身のミスで葉山二尉たちをゴジラに殺されてしまい、資料課へ転属となった。そして4年後、第1機龍隊に配属となり、機龍を遠隔操縦するオペレーターに任命され、再びゴジラとの戦いに身を投じる。
身寄りが無くストイックな雰囲気で、滅多に感情を出さないクールビューティーだが、湯原親子と少しずつ心を通わせていき、笑顔も見せるようになる。
湯原 徳光
人工生物学の権威である大学教授。沙羅の良き父親でもあり、大学の学生たちに絶滅寸前の動物たちを救いたいと語っているが、野菜が嫌いな子供っぽい一面と滑稽でやや頼りない第一印象の持ち主である。考え事をする際には頭を掻く癖がある。
ある日突然機龍プロジェクトにスカウトされ、沙羅と一緒に防衛庁敷地内へ転居しプロジェクトに参加する。機龍の完成披露式典では、機龍のDNAコンピュータを使用した伝達システムと操縦方法を解説した。
一目惚れした茜にややぎこちなくアプローチし、司令室でも機龍を操縦する茜を心から応援していた。
富樫
特自二佐。第1機龍隊隊長。茜とは4年前からの同僚で、館山でゴジラの骨格のサルベージ作業に参加している。
表情が硬いものの、部隊内での秩序を重んじ、チームワークを乱す行為を決して許さない生粋の自衛隊員で、4年間も心に傷を抱えた茜を気にかけながら第1機龍隊へスカウトする温かみを秘めたナイスガイでもある。
機龍出動時にはしらさぎ1号機に搭乗して現場指揮を執る。また、ゴジラが品川に上陸しようとした際には独断で首相官邸へ赴き、五十嵐へ機龍の再出動許可を依頼した。
葉山 進
特自三尉。第1機龍隊しらさぎ3号機及び6号機パイロット。富樫からも優秀と評されているが気性が激しく、実兄である葉山二尉を死なせた原因を作ったとして茜を目の敵にし、何かと難癖を付ける。しかし機龍の暴走で危機に陥った際に茜に助けられることとなる。
品川での決戦では、機龍を直接操縦する茜を援護するためにしらさぎ6号機に同乗していた関根を先に脱出させてゴジラへ特攻。茜に借りを返すと同時にゴジラを撃退する突破口を開いた。
一柳
特自幕僚長。有事の際には自ら3式機龍司令室より指示を出す。
やや気が短いのか、八景島での戦闘でゴジラを逃がした際には悔しがる身振りを見せたり、品川での決戦で一時停止した機龍を現地で応急処置するという茜の提案を強く反対した。しかし茜が強行したのを見て、現場のメーサー隊に援護を指示している。
菱沼
文部科学省事務次官。湯原のスカウトに自ら赴き、沙羅と過ごす時間を大事にしたいと主張して協力を拒否した湯原へ、防衛庁敷地内への転居を条件に参加を取り付ける機転を利かせた。
湯原 沙羅
湯原徳光の一人娘。父や学校の友達の前では明るく振る舞っているが、4才の頃に妊娠中の母親と胎児を亡くしてから心に孤独を抱え、眠り草を植えた鉢に話しかけるようになり、「命」に人一倍敏感になった。そのため、暴走した後の機龍にも深い哀しみを持つ。
だが茜との触れ合いでその心情が変化していき、機龍を操縦する茜のことも強く案ずるようになる。
土橋
防衛庁長官。柘植前総理や五十嵐の下で務める。
赤松 伸治
ロボット工学の権威。第1機龍隊の防衛庁技術研究所着任式の際に、茜に鼻の下を伸ばしていた湯原に気づいている。機龍の完成披露式典では、ゴジラの骨格をベースにした機龍のフォルムについて解説した。
菅野 吾郎
低音物理学の権威。機龍の完成披露式典では、アブソリュート・ゼロの性能を自信を持って解説した。
葉山の兄
特自二尉。4年前に館山でのゴジラの骨格のサルベージ作業後にゴジラ攻撃の現場へ出向したが、乗っていた73式小型車をゴジラに踏み潰されて殉職した。
山田 薫
マイクロウェーブの権威。機龍の完成披露式典では、機龍の活動限界時間とエネルギー供給方法を解説した。沙羅にも優しく接する女性である。
関根 健二
特自二尉。第1機龍隊しらさぎ3号機及び6号機パイロット。幾度も茜に食って掛かる葉山をたしなめ、2人の仲や部隊内の和を取り持とうとする好漢。
八景島での戦闘では、しらさぎ3号機を撃墜されて葉山と共に危機に陥った所を茜たちに救われている。後の品川での決戦では、機龍がエネルギー不足で機能停止した際に、しらさぎ6号機から発電所の協力で得たエネルギーを照射した。
柘植 真智子
先代の内閣総理大臣。対G特殊兵器開発法案から来る諸問題についても、「世界を説得するためにどこへでも行く」と公言する毅然とした人物。2003年の退任時に、五十嵐へ首相の座と日本の平和を託した。
松井 秀喜
読売巨人軍。少年野球のチームに特別コーチとして指導している最中に発令された避難警報を聞き、見事なバッティングを披露して少年たちと避難した。
品川でゴジラと機龍が戦っていた際には自宅で1人、バッティング練習をしていた。
出演のきっかけは前作が第14回東京国際映画祭で上映された際に応援メッセージの中で語った「ぜひ来年はゴジラ君と共演したい」[5]という一言であった[6]
五十嵐 隼人
内閣総理大臣。以前は柘植前総理の下で科学技術庁長官を務めていた。2003年に強いリーダーシップを見込まれて総理大臣に就任した。機龍プロジェクトの総責任者であり、機龍の出動決定権も持ち、有事の際には自身も3式機龍司令室の席に着く。
機龍の暴走で被災した八景島周辺を目の当たりにした際には落胆し、総辞職を考えかける素振りも見せたが、再度ゴジラが出現したのを受けて機龍と特自の面々を信じ、機龍の出動許可を出した。

スタッフ

キャスト

カメオ出演

スーツアクター

その他

  • ゴジラが館山市に上陸した日は、シリーズ第1作(『ゴジラ』)の公開日の11月3日である。
  • 当初はゴジラが東京タワーを破壊する予定だったが、撮影当時の実際の東京タワーには地上波デジタル放送用アンテナ増設工事によるカバーがかかっており、合成が困難だったために実現せず、次作に持ち越された[8]
  • 上半身のみの初代ゴジラの着ぐるみと、25分の1スケールの初代ゴジラの全身骨格が作られている。
  • アンギラスが登場して機龍と闘う案もあったが、没になった[9]
  • 柘植総理は脚本では男性であったが、水野久美の出演が決定したことにより女性総理に変更された[2]
  • 首相官邸や機龍が工場を破壊するシーンは『ゴジラvsキングギドラ』、その他の街を破壊するシーンも『ゴジラvsメカゴジラ』の映像が流用されている。
  • 第1特報は前々作『ゴジラ×メガギラス G消滅作戦』の映像を流用している。ナレーションは立木文彦が担当。
  • 劇中で、関東中を停電させて電力を機龍に供給するシーンがあるが、このシーンは1995年放送のテレビアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』の「ヤシマ作戦」をモデルにしているといわれることがある。しかし、実際はそれより以前の1993年『ゴジラvsメカゴジラ』で考案されていたものの撮影されなかったものであったと、同作の助監督神谷誠が語っている。また、1997年の『ゴジラアイランド』にも既に同様のシーンが登場している。
  • おなじみの手塚監督カメオ出演は、エンドクレジット後のシーン。監督以外にも、多くのゴジラシリーズスタッフがカメオ出演している。
  • 3式機龍の格納庫のセットは『超星神グランセイザー』(2003年)に流用されている[10]

映像ソフト化

  • DVDは2003年7月21日発売。
    • 2005年4月22日発売の「GODZILLA FINAL BOX」に収録されている。

脚注

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参考文献

関連項目

  • オジギソウ - 劇中、主人公と登場人物の接点として重要な要素になる。

外部リンク

テンプレート:ゴジラ

テンプレート:手塚昌明監督作品
  1. パンフレットでは『空の大怪獣ラドン』や『大怪獣バラン』にも触れている
  2. 2.0 2.1 2.2 テンプレート:Cite
  3. テンプレート:Cite web
  4. ただし本編中では従来のロゴも併せて使用されている。
  5. テンプレート:Cite web
  6. テンプレート:Cite web
  7. ゴジラ×メカゴジラ 超全集43p
  8. パンフレットによる。
  9. 『東宝SF特撮シリーズ SPECIAL EDITION ゴジラ×メカゴジラ』
  10. テンプレート:Cite book