エイリアン (映画)
テンプレート:Infobox Film 『エイリアン』(原題:Alien)は、1979年のアメリカ合衆国の映画。航行中の大型宇宙船という閉鎖空間の中で異星生物(エイリアン)に襲われる乗組員の恐怖と葛藤を描く。エイリアンのデザインは、シュールリアリズムの巨匠デザイナー[1]H.R.ギーガーが担当した。リドリー・スコットやシガニー・ウィーバーの出世作であると共にSFホラーの古典として知られ、続編やスピンオフが製作されている。 リドリー・スコット自身による本作の前日譚となる3D映画『プロメテウス』が2012年6月に世界各国で公開された。
1980年の第52回アカデミー賞では視覚効果賞を受賞。同年第11回星雲賞映画演劇部門賞受賞。
公開時のキャッチコピーは「宇宙では、あなたの悲鳴は誰にも聞こえない」。
目次
ストーリー
宇宙貨物船ノストロモ号は、他恒星系から地球へ帰還を急いでいた。その途中、ノストロモ号を管理するコンピューター「マザー」が未知の異星文明の物と思われる電波信号を傍受したとダラス船長に報告。科学主任のアッシュによると、雇用主である企業は契約書に知的生物と思しき電波を傍受した場合は調査するように書いていた。発信源の小惑星に降り立つが、その途中に船が一部故障した。機関員のブレッドとパーカーは修理に向かい、ダラス、副船長のケイン、航海士のランバートが調査に向かう。そして謎の宇宙船と化石化した宇宙人を発見。宇宙人には腹から何か飛び出したような傷があった。やがて調査を進めるうち巨大な卵のような物体が無数に乱立する空間へ辿り着き、ケインの身に恐ろしいことが起きる。その頃、船に残った航海士のリプリーが電波信号を解析した結果、何らかの警告であることが判明し、リプリーは不安に駆られる。
不安は現実となった。ダラス、ランバートを迎えたノストロモ号のクルーが見たのは蜘蛛に似た生物がケインの顔に張り付いた姿だった。アッシュが調べた結果、ケインは昏睡状態となり、生物は彼に酸素を供給していた。すぐに除去しようと生物を外科装置で傷つけると強酸のような体液が流れ、船体に穴が空いた。危険だと判断し引き剥がすことは断念したが、数日後はがれ落ちて死んだ。リプリーは今すぐ死骸を棄てるべきだと言ったが、アッシュは貴重なサンプルとして死骸を地球に持ち帰るべきだと主張し、ダラスも同意した。リプリーはこんな大事な決定をなぜアッシュだけに任せるのかと詰め寄るが、これは会社の意向だと押し切られ、リプリーは不満を露にする。
船は小惑星を出発。まだ地球までは10か月も旅しなければならない。その後のケインに異常は見られず回復したかに思われたが、乗組員たちとの食事中に突然苦しみ出した彼の胸部を食い破って奇怪な寄生生物が出現、逃走する。ケインは体内にエイリアンの幼体を産み付けられていたのだ。 乗組員たちはエイリアンを捜索する。その間に脱皮し、より大型に変貌していたエイリアンはブレットを殺害し、通気口へ身を潜める。乗組員たちはアッシュのアドバイスに従い、エイリアンを追い詰めてエアロックから宇宙へ放出する事に決定。しかし、エイリアンの能力は彼らの想像を遥かに上回り、単身潜入した船長のダラスは返り討ちとなる。
ダラスを失った一行は団結力を失う。リプリーとパーカーはダラスの立てた作戦を続行しようと主張するが、ランバートは船を棄ててシャトルで脱出することを提案するがシャトルには4人は乗れない。そんな中、リプリーは何もしようとしないアッシュに不満を抱き、直接「マザー」に解決策を問いかけるが、そこで彼女は、企業は秘密裏に「生きているエイリアンの捕獲と回収」を最優先事項としていたこと及びクルーの命が犠牲なってもやむを得ないことを知り激昂する。真相を知ったリプリーをアッシュが襲い殺害しようとするが、駆けつけたとパーカーとランバートがこれを阻止、アッシュは「破壊」された。彼の正体は企業が乗組員たちを監視するために送り込んだアンドロイドだったのだ。一時的にアッシュの回線を修理しアッシュを詰問したリプリーらは恐ろしい真実を告げられる。企業は最初からエイリアンの捕獲と回収を前提にダラス達を雇い、いかなる犠牲も顧みないつもりだったのだ。
企業に忠義を尽くす必要がなくなったリプリー、ランバート、パーカーは本船を爆破し、脱出用シャトルで宇宙圏へ逃れて救助を待つ計画を立て、二手に分かれる。だが三人が脱出の用意をしている間にエイリアンは通気口から這い出ていた。ランバートの悲鳴を聞きつけ、リプリーが駆けつけた時には既に事は終わっていた。
もはや一刻の猶予もならない。深い悲しみと恐怖に襲われながらもリプリーはノストロモ号の自爆装置を起動し、猫のジョーンズをつれて逃げるが、シャトル入口を目前にして通路上にエイリアンに遭遇。大慌てで脱出を中断し、自爆装置の解除操作を行うが間に合わず、カウントダウンは止まらない。決死の覚悟でリプリーはシャトル入り口に戻るが、そこには誰もいない。エイリアンが通路から立ち去っていることを何度も確認し、ジョーンズと共にシャトルへ乗船、ただちに発進させる。直後にノストロモ号は自爆、全ては終わったかに思われたが…。
キャスト
- ダラス
- 演 - トム・スケリット
- ノストロモ号船長。会社の命令には忠実で、そのことが原因でリプリーと口論になることもあった。ケイン・ブレットの死亡後、エイリアンを退治する為に自らダクトに潜入するが、エイリアンに襲われ行方不明となる[脚注 1]。
- ディレクターズ・カット版では自爆直前時にはまだ生きており、地下でブレットと共に繭にされていた。殺してくれとリプリーに懇願し、火炎放射器で焼かれ死亡。中盤で退場して以降、全く登場しないにもかかわらず、トップクレジットを飾っている。なお、スピンオフであるAVPシリーズの『AVP2』には同名の人物が登場する。
- エレン・リプリー
- 演 - シガニー・ウィーバー
- 二等航海士。船長とケインが船外の場合はリプリーが指揮官である。責任感が強く行動力に富む。ノストロモ号の乗組員の中で唯一生き残る。シリーズを通じての主人公だが、今作では序盤はあまり目立った描写がない。航海士としての姿が見られるのは本作のみ。
- ランバート
- 演 - ヴェロニカ・カートライト
- 二等航海士。女性。脱出用シャトルで宇宙圏へ逃れて救助を待つ計画を提案する。アッシュに襲われたリプリーを介抱し、アッシュにとどめを刺した。地球へ脱出するために、脱出用シャトルの発進準備中にエイリアンに遭遇、パーカーと共に殺された。仲間たちが次々命を落とすことに心を痛めており、未公開シーンではリプリーが彼女を励ます場面が追加されている。
- ブレット
- 演 - ハリー・ディーン・スタントン
- 機関員。パーカーの相棒で口調は「そのとおり」。猫のジョーンズを捜している最中にエイリアンの抜け殻を発見する。直後成体となったエイリアンに襲われ死亡。
- ディレクターズ・カット版ではダラスと同様に繭にされていたが、先に襲われ、かつ脳を破壊されたため、もはや誰なのかも分からない状態で原型をとどめていなかった。最後は、ダラスと共に火炎放射器で焼かれた。
- ケイン
- 演 - ジョン・ハート
- 一等航海士、ノストロモ号副長。エッグチェンバーに近づき、中から出たフェイスハガーに寄生され、最後は胸部からのチェストバスター出により死亡。遺体は宇宙葬にされた。
- アッシュ
- 演 - イアン・ホルム
- 科学・医療担当。出発の2日前に別の科学主任と入れ替わった。フェイスハガーの分析を行うが、対応は常に後手に回り幾人もの乗組員を失う結果となる。その正体はウェイランド社の密命を受けたアンドロイドで、エイリアンを持ち帰るという真の目的をリプリーが知ったため、彼女に襲いかかる。直後にランバートとパーカーに取り押さえられ、尚もパーカーを襲ったためにランバートによってとどめを刺された。エイリアンを「完全な有機体」と称え、リプリー達が生き残れないことを予測し同情の不気味な笑みを浮かべ、完全に機能を停止されてパーカーに焼却処分された。
- 『2』によれば型式は「ハイパーダインシステムズ 120-A/2」 。アッシュ達、人造人間の分類呼称は映画作品シリーズ内では「アンドロイド」のみだが派生作品のゲームなどでは「シンセティック(synthetics)・合成人間」と呼ばれているケースがある。
- パーカー
- 演 - ヤフェット・コットー
- 機関員。黒人。自分とブレットの給料が少ないことに不満に思っていた。度々故障や損傷をしたノストロモ号をブレットと共に修理したほか、ブレットがエイリアンに殺害された後、エイリアンを倒すために即席の火炎放射器を作成するなど、機械修理だけでなく兵器の取り扱いも得意である。ランバートと共にエイリアンに遭遇。ランバートとエイリアンの距離が近かったため、火炎放射器を使うタイミングを逃し、飛び出したがエイリアンの反撃に遭い殺された。
日本語吹き替え
役名 | 俳優 | フジテレビ | LD | VHS・DVD | テレビ朝日 | DCDVD・BD |
---|---|---|---|---|---|---|
ダラス | トム・スケリット | 前田昌明 | 西沢利明 | 富山敬 | 大塚明夫 | 郷田ほづみ |
リプリー | シガニー・ウィーバー | 野際陽子 | 田島令子 | 幸田直子 | 戸田恵子 | 幸田直子 |
ランバート | ヴェロニカ・カートライト | 鈴木弘子 | 榊原良子 | 安永沙都子 | 鈴木ほのか | |
ブレット | ハリー・ディーン・スタントン | 青野武 | 北村弘一 | 穂積隆信 | 千田光男 | 樋浦勉 |
ケイン | ジョン・ハート | 仲村秀生 | 櫻片達雄 | 納谷六朗 | 牛山茂 | 森田順平 |
アッシュ | イアン・ホルム | 富田耕生 | 田中信夫 | 羽佐間道夫 | 岩崎ひろし | |
パーカー | ヤフェット・コットー | 飯塚昭三 | 渡部猛 | 郷里大輔 | 麦人 | 大川透 |
"マザー" | ヘレン・ホートン | 久保田民絵 | 榊原良子 | 佐々木優子 | 小宮和枝 |
- フジテレビ版 - 初回放送、1980年10月10日『ゴールデン洋画劇場』ノーカット放送
- マザーは「おふくろさん」と訳されている。
- LD(レーザーディスク) - 1981年発売
- マザーは「ママ」と訳されている。
- VHS・DVD - 1983年発売
- テレビ朝日版 - 初回放送、1992年『日曜洋画劇場』正味約102分
- ディレクターズ・カット版DVD・Blu-ray Disc - 2003年発売
※20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパンの「吹替の帝王」シリーズ第7弾として、全5種類の吹き替え版を収録したBlu-ray Discが2014年11月5日に発売予定。劇場公開版(117分)とディレクターズ・カット版(116分)の2種類の本編が収録されており、劇場公開版にはテレビ版2種とLD版、VHS・DVD版の4種類、ディレクターズ・カット版にはDVD・Blu-ray Disc版の吹き替え版が収録されている。また、特典としてテレビ版吹替台本2冊が付属している。
スタッフ
- 製作総指揮 - ロナルド・シャセット
- 製作 - ゴードン・キャロル、デイヴィッド・ガイラー、ウォルター・ヒル
- 監督 - リドリー・スコット
- 原案 - ダン・オバノン、ロナルド・シャセット
- 脚本 - ダン・オバノン
- 撮影 - デレク・ヴァンリント
- 美術 - マイケル・シーモア、(ロジャー・クリスチャン ※ノンクレジット)
- クリーチャーデザイン - H.R.ギーガー
- クリーチャー造形 - H.R.ギーガー、ロジャー・ディッケン
- クリーチャー効果 - カルロ・ランバルディ
- 音楽 - ジェリー・ゴールドスミス
- 提供 - 20世紀フォックス、ブランディワインプロダクションズリミテッド
原案
『エイリアン』の原案はダン・オバノンによって生み出された。南カリフォルニア大学在学中の1974年、ジョン・カーペンターと組んで『ダーク・スター』を製作したオバノンは、より本格的なSFホラーの製作を望んでおりオリジナルの脚本を温めていた。それは『メモリー』という題で、「宇宙船が未知の惑星に降り立ち、謎の生命体を発見する。乗組員がそれに寄生され、やがて体内から怪物が誕生する」という内容であった。当初は38ページに満たない未完成の脚本で、怪物の姿が漠然としていたことから展開に行き詰っていた[2]。
そんな折、オバノンに接触してきたのがロナルド・シャセットである。彼はフィリップ・K・ディックの短編作品『追憶売ります』の映画権を取得していたものの、まだ仕事がなかった。『ダーク・スター』を見てオバノンを同好の士と考えたシャセットはオバノンに会いたいと手紙を書く。南カリフォルニア大学のキャンバスで『メモリー』を読んだシャセットは「『メモリー』を完成させたら自分がロジャー・コーマンの元に持ち込むので、自分の『追憶売ります』を翻案する作業の手助けをして欲しい」と共同作業を提案した[3][脚注 2]。
この頃、『デューン/砂の惑星』を企画中であったアレハンドロ・ホドロフスキーから、オバノンに同作の特殊効果担当の依頼が舞い込む。オバノンは許諾し製作チームに加わった。これにより『メモリー』の脚本は一時的に宙に浮くこととなる。チームには宇宙船のデザインにクリス・フォス、コスチュームデザインとしてジャン・ジロー、さらにサダムIV世役に指名されていたサルバドール・ダリの推薦により、後にH.R.ギーガーが加わっていた。しかし『デューン/砂の惑星』は資金難から製作半ばにして中止となり、オバノンは無一文となってしまう。胃の病を発症していた彼はシャセットの家に転がり込み一週間もふさぎ込んでいたが、未完のままの『メモリー』を完成させるようシャセットに提案され、再び脚本を練り始めた[4][5]。
オバノンは『メモリー』とは別に『グレムリン』という脚本を構想していた。それは「東京から帰るB-17の中にグレムリンが侵入し、乗組員を一人、また一人と殺していく。怪物を倒さない限り乗組員は故郷へ帰れない」という骨子であった。その要素を応用してはどうかというシャセットの助言を受け、オバノンは『メモリー』に適用させた。すなわち舞台を爆撃機から宇宙船へ、グレムリンを異星の怪物に変更したのである[5]。完成したそれは宇宙空間における『テン・リトル・インディアンズ』と呼べる内容となった。この時点で脚本の基本的な流れは完成版と同一であったが、乗組員が発見するのは遺棄船ではなく「ピラミッド」であることや、卵ではなく「胞子ポッド」から出てきた寄生体に襲われる、宇宙船の名前が「スナーク号」であるといった差異がある[6]。題名は『メモリー』から『スタービースト』へと変更された[7]。
『スタービースト』の内容はロジャー・コーマンの目を引いたが、企画が形になる前に、二人の友人であった独立系映画監督のマーク・ハガードが『スタービースト』の脚本を評価し、出資者探しを買って出ることになった。オバノンは視覚的な側面からプレゼンテーションを行うために、『ダーク・スター』で知己であったロン・コッブにイラストを依頼する。コッブはこの時点ではまだ『スタービースト』を『ダーク・スター』のような低予算映画になるだろうと楽観視しており、何枚かのイラストを提供した[5]。商業的な映画に相応しいものとして、オバノンは思案をめぐらせ『エイリアン』というタイトルをひねり出した[8]。
1976年、ハガードは「ブランディワイン・プロダクション」という会社と契約を成立させ、『エイリアン』の脚本は買い取られた。ブランディワインはゴードン・キャロル、デヴィット・ガイラー、そしてウォルター・ヒルの3人によって運営される制作会社であった[9][5]。ヒルは脚本の内容を酷評しながらも一部のシーンに可能性を見出し、他の二人と共に20世紀フォックスの製作主任であったアラン・ラッド・ジュニアにこの脚本を売り込む。スリラーに定評のあるヒルが売り込んだということでラッドは少しだけ興味を示したが、映画化決定の許可は下りなかった。ラッド自身はこの映画が作られる見込みはほぼないと考えていた[10]。
しかし同社の『スターウォーズ』が大ヒットしたことで状況は一変する。SFジャンル物は売れないという定説が覆され、SFブームが到来したのである。そんな時、フォックスの手元に唯一あったSF作品の脚本が『エイリアン』であった。こうして1977年10月31日[11]、エイリアンの製作許可が降りた[10]。
プリプロダクション
ヒルとガイラーが行ったのは脚本の手直しであった[5]。7名いたクルーは全員男性だったが、2名が女性に変更され、全員の名前が変更された。原案にあったシーンはほぼそのままであったが、台詞の口調を抑えたものにするといった変更がなされた。また、アッシュをアンドロイドにしたのも二人のアイディアである。リプリーにあたる役を女性にするよう提案したのはラッドであった[12]。改稿は8回にもおよんだ[13]。
これらの改変にオバノンは終生不満を漏らしていたものの、視覚デザインコンサルタントとして映画に携わることはできた。またシャセットはエグゼクティブプロデューサーに任命された[14]。しかしラッドはオバノンを重要人物とみなさず、一時は映画のセット立ち入る許可すら与えなかった。そのためオバノンは原案者でありながらこっそり現場に忍び込むこともあったという[15]。
しかし肩書きがどうであれ、オバノンにとって一流のスタッフとの仕事がエキサイティングな経験であることは確かであった。1977年7月11日[11]、オバノンはギーガーに電話をかけ、新しい映画製作に携わっていることを伝え、要となる未知の生物のデザインを依頼した[16]。オバノンが1000ドルの小切手と共にギーガーに送った手紙には、まず人間に幼生を産み付ける第1形態、人間の体を突き破って現れる第2形態、そして成長した第3形態へと変化するアイディアが記されており、初期段階からエイリアンのアイディアは固まっていた[17]。
監督は当初ヒルが自ら務める予定であったが、SF映画向きではないことを理由に辞退し、『ロング・ライダーズ』の監督を務めることになった。そこでブランディワインは監督の候補を捜し始める。ピーター・イェーツ、ロバート・アルドリッチ、ジャック・クレイトン、そしてリドリー・スコットの4名が候補に挙がった。イェーツは20世紀フォックスに推されていたが、彼は「格下のB級映画」を撮ることを嫌ったほか、アルドリッチもクレイトンも価値を見出さず監督を拒否した。なお、原案者であるオバノンは監督候補には入っていなかった[12]。
当時スコットは既にCM映像監督として成功を収め、自分のCM制作会社である「リドリー・スコット・アソシエーツ」 (RSA) を設立し活躍していたが、映画監督としては『デュエリスト/決闘者』を撮ったのみだった。同作で共同プロデューサーであったイヴォール・パウエルは熱心なSF愛好家でもあり、その撮影中スコットにSFコミック雑誌『メタル・ユルラン(ヘビーメタル)』を貸して読むよう薦めた。『2001年宇宙の旅』を除けばSFに関心はなかったスコットであったが、その世界観に魅了され特にジャン・ジローの『アルザック』を好んだ[18]。
パウエルから「監督第二作目の作風が今後作る三作分の内容に影響を及ぼす」とアドバイスされたスコットは、次なる作品として『トリスタンとイゾルデ』を題材に選び、パラマウント映画の下で映画化の準備を進めていた[19]。彼の脳裏には『トリスタンとイゾルデ』の中で『ヘビーメタル』の荒涼とした様式美溢れる世界観を実現させようという構想があった。だが、当時公開されたばかりの『スターウォーズ』を初週に観覧し衝撃を受ける。そこにはまさに彼が撮ろうとしていた映像表現が存在していた。スコットは『スターウォーズ』を絶賛しつつも、先を越されたことに強い挫折感を味わった[20]。
一方、カンヌ映画祭で『デュエリスト/決闘者』を観覧し、スコットの才能を評価した人物がいた。フォックス・ヨーロッパの社長サンディ・ライバーソンである。彼はフォックス内で使えそうな企画を探し、監督の定まっていない『エイリアン』の企画を発見、スコットの手元に送って監督してみないかと誘いをかける。『ヘビーメタル』のようなSFのデザインを表現したかったスコットにとってまさに格好の題材であること、さらに機能的で無駄のない粗筋や、地位による待遇の違いに嘆く労働階級の姿が描かれている点なども好印象であった。1978年2月[11]、ライバーソンの仲介でラッドと面接したスコットは正式に監督として契約を結んだ。当初組まれた予算は420万ドルに過ぎなかったが、スコットは自ら絵コンテを描いて会社と交渉し、850万ドルの予算を勝ち取った[21]。またパラマウントに対しては『トリスタンとイゾルデ』の企画から手を引くことを告げた[22]。
撮影
撮影は1978年の7月5日から10月21日のおよそ3か月半に渡って行われた[11]。オバノンの薦めで『悪魔のいけにえ』(1974年)を見たスコットはこの作品を目安としてデザイナーに指示を与えた。また、もっとも感銘を受けたホラーとして『エクソシスト』(1973年)を挙げ、何度も見直し研究を重ねた[18]。ほか、『2001年宇宙の旅』にも影響を受けている。
スタジオはイギリス、ロンドンの郊外にあるシェパートン・スタジオが使用された。ハリウッドに比べ費用が安く済むこと、イギリスには優れた美術スタッフや、製作に必要なプラモデルメーカーがいることなどが理由であった[14]。撮影のためにスタジオ内のA、B、C、D、Hの5つのサウンド・ステージが使用され、ノストロモ号のセットはCに、遺棄船のセットはHに造られた。Hは当時ヨーロッパ最大級のサウンド・ステージであり、60m × 100mもの広さがあった[23]。
スコット側からは、『デュエリスト/決闘者』に引き続きパウエルが共同プロデューサーとして、撮影にデレク・バンリント、プロダクション・デザイナーにマイケル・シーモアなどRSAに縁のある人物が参加した。
そのほか、編集にはテリー・ローリングス、『スターウォーズ』で美術監督を務めたレスリー・ディレイ、セットを製作したロジャー・クリスチャン、衣裳を担当したジョン・モロ、『キングコング』の造形に携わったカルロ・ランバルディ、特殊効果担当として『スペース1999』に参加していたブライアン・ジョンソンとニック・アルダーが加わった。またオバノンはコッブに加えて『デューン』で製作を共にしたフォスとギーガーらデザイナーを企画に呼び集めた。
撮影は徹底した秘密主義の下で行われ、いたるところに「見学者立ち入り禁止」の立て札、張り紙が掲示された[24]。予算圧縮のためフォックス上層部からの圧力に晒され続けたスコットは不機嫌な精神状態が続き、時には八つ当たりでセットを破壊してしまったこともあった[25]。多くのスタッフが製作現場を緊張に満ちて不愉快だったと証言している[26]。後年スコットは「あの時の自分は余裕がなかった。撮影現場に緊張感をもたらした原因の一つは自分の突き放した態度にもあっただろう」と当時を振り返っている[27]。
配役
キャスティングの選考はアメリカで行われ、スコットとキャロルが面接した。通常このようなSF映画にはB級俳優を配するのが普通であったが、スコットは個性的な役者を集めることで一段高い演出を目指した[28]。SF映画に出ることを懐疑的に思った俳優を引き止めるようなことはせず、ウィリアム・ハート、ジョン・ハード、サム・エリオットは出演を見合わせた。シャセットの意向で、多国籍的な雰囲気を出すため配役のうち二人はイギリス人となった[29]。
- リプリー
- リプリー役の選考は難航した。キャスティングディレクターのマリー・ゴールドバーグは候補として二人を挙げていた。一人目がメリル・ストリープである。しかし彼女は婚約者のジョン・カザールを亡くしたばかりであり、キャロルは出演依頼をためらった。
- もう一人の候補がシガニー・ウィーバーである。彼女は『アニー・ホール』やイスラエルのドラマ『Madman』に端役で出演した程度で映画ではほぼ無名であった。シェイクスピアを目標にブロードウェイで活動し、マイク・ニコルズやウディ・アレンとの仕事を望んでいた彼女にとって、SF映画への出演は興味をそそられる物ではなかった。彼女は建物を間違え、面接に遅刻するという失敗も犯している[30]。脚本を読んだ彼女の感想は一言「地味な感じ」であり、その素っ気無い態度に「役が欲しくないのか」とスタッフを不思議がらせたほどであった[31]。
- シェパートン・スタジオで行われたスクリーンテストはおおむね満足のいくものであったが、不安だったラッドはフォックス社内から秘書や管理職など5 - 6人ほどの女性を呼び集めて映像を批評させた。彼女たちはジェーン・フォンダやフェイ・ダナウェイの名を挙げてウィーバーの演技を賞賛し、手ごたえを感じたラッドは彼女をリプリー役に抜擢した[32][31]。ギャラは3万ドルであった[32]。
- ダラス
- トム・スケリットはダラス役として読み合わせが行われており、出演もスムーズに決定した[29]。
- ダラスとリプリーは当初の案では恋人同士であったが、怪物がうろついている状況でラブロマンスを展開するなどありえない、と考えたスコットにより削除された[33]。
- ケイン
- ケイン役には当初からジョン・ハートが考えられていたが、ハートが別の映画に出演したため、ジョン・フィンチが抜擢された。しかし、フィンチは糖尿病を患っており、撮影初日に体調を崩し降板した[29]。
- 一方、ハートは撮影先である南アフリカ共和国に入国を拒否され、映画そのものが中止となっていた。これは当局が反アパルトヘイト活動をしていた前述のジョン・ハードとハートを取り違えたのが原因とされている[31]。スコットより説得を受けたハートは予定通りケイン役を演じることになった。
- 後にハートは『スペースボール』に同じ役でカメオ出演し、宇宙のファーストフード店で、食事中に体内に寄生していたエイリアンに腹を食い破られた男という設定でセルフパロディを演じている。この時は「またか」と嘆いている上に、"Himself(本人)"とクレジットされた。
- アッシュ
- イアン・ホルムはシャセットの意向によって加えられたイギリス人の一人となった。ホルムは初めての映画撮影に緊張するウィーバーを気遣い、毎週ケント州にある自分の農場に招待した[34]。
- 首の千切れたアッシュとの会話シーンは当初、「エイリアンとコミュニケーションを試みたことがあるのか」という内容で、エイリアンを一方的に危険視することに疑問を投げかけるものであったが、特殊効果に不満を持ったスコットの意向で撮り直され、台詞もエイリアンの性質を賞賛する内容に変更された[31]。アッシュの体から見えるロボットの部品は、パスタ、ガラス玉、偽のキャビア、濃縮牛乳が使われている。元々広告で食材を扱う経験があったスコットならではの材料であった[35]。
- アッシュが意識が朦朧としているリプリーを窒息死させようと、丸めた雑誌を彼女の口に押し込むシーンでは、彼がアンドロイドであるゆえに性器を持たないことや、レイプの代替行為であることの暗示となっている[35][31]。なお彼が丸めた雑誌は『平凡パンチ』で、表紙の写真は木之内みどりである。宇宙船ノストロモ号が日系企業の所有物だからだということが後に監督によって語られている。
- パーカー
- ヤフェット・コットーは非常に情熱的で、アイディアがあると監督に率直に意見をぶつけた。パーカーがエイリアンに殺されるシーンは彼にとっては特に不服であり、自分の役は最後まで生き残るべきだと監督に抗議するほどだった[36]。一方、役者同士のコミュニケーションでは、コットーはウィーバーに対して感情的に接し精神的な圧迫を加えていた。これは後半でリプリーがエイリアン対策を主導するシーンを際立たせるためで、スコットの指示による[37][38]。
- ランバート
- ヴェロニカ・カートライトは当初リプリー役でオーディションを受けたが、ランバートを演じることになった。
- 冒頭の目覚めのシーンでは女性陣は乳首にテーピングを施しただけであった。このシーンは全裸で撮る予定だったが、カートライトによれば、少なくとも5か国での上映ができなくなることから劇中の形になった[39][31]。
- ランバートに用意されていた死亡シーンは「エイリアンをエアロックに追い込む最中、事故による減圧で死ぬ」といったものであったが、一部が撮影されただけで採用されなかった[40]。またランバートの最期のシーンにおいて、足の間をエイリアンの尾が上がっていくカットで写っているのはランバートではなくブレットであり、身につけている服が違う[31][脚注 3]。これはブレットがエイリアンに殺されるシーンでカットされた部分を流用したため。
- ジョーンズ
- ジョーンズ役の猫は4匹いた。猫を抱き上げるたびにウィーバーは目の充血に悩まされ、一時は降板すら覚悟した。原因は汗として使われたグリセリンと猫の毛が混合したためであった[41]。
- 猫がエイリアンに警戒するシーンでは、板の後ろにジャーマン・シェパード・ドッグを隠しておき、タイミングを見計らって板を取り払い猫に演技をさせている[38]。
- リプリーがジョーンズを探すシーンでは、「あのような危機的状況で猫を探すのか」という意見を覚悟していたスコットであったが、予想に反しそういった批判はほとんどなかったという[38]。
- エイリアンがいる船内を自由に動いている、エイリアンの眼前で放置される、ケージに入れられる際に泣き声を上げるなど、エイリアンに寄生されているのではないかという疑念を抱かせるよう意図的な構成になっているが、結果的には使われない伏線に終わった[38][脚注 4]。
美術
監督に着任したスコットにとって目下最大の懸念事項は、主役であるエイリアンのデザインであった。既にコッブがおこしたデザインが存在していたものの、その内容はと言えば、2本足で立ち、鉤爪のついた4本の腕があり、頭部からは触角と目が突き出るように生えているという奇妙な外見で、スコットを満足させるものではなかった[42][43]。
1978年2月8日、オバノンはスコットにギーガーの画集『ネクロノミコンIV』を見せる。そこに描かれていた機械とも生き物とも似付かぬ存在にスコットは衝撃を受け「このデザインを形にすることができれば映画は成功する」との確信を抱いた[44][45]。スコットはスイスに飛び、ギーガーを招聘。2月14日からギーガーは交渉を開始した。彼は「この映画はエイリアンこそが主演俳優なのだ」と主張しデザイン料として然るべき高額なギャラを要求したため、フォックスとの間で長い話し合いがもたれた。契約が成立したのは3月30日のことであり、この日から製作に加わることとなる[11]。しかし、ギーガーが描く異質な世界に拒否感を示した者もおり、キャロルは当初「ギーガーは異常だ」と評している[17]。
撮影中のギーガーは常に黒ずくめの服を着ていたため、一部のスタッフは彼を「ドラキュラ伯爵」と渾名した[46]。彼の指揮する美術チームは150人にもなる大所帯で、「モンスター部門」と呼ばれた[47][48]。
ギーガーは異星人の遺棄船やエイリアンのデザインを受け持つことになったが、徹底した完璧主義者であり、自身の作品に強烈な自負を持っていた彼は製作現場で度々スタッフと衝突し、上層部に対しても自分の要求を曲げなかった。4月5日になってこの対立は決定的となり、フォックスはそれまでのギャラを支払いギーガーを解雇した。契約成立から1週間のことである[49]。これについてギーガー自身は、契約では彼のサインした契約書がなければセットの製作はできなかったが、必要なデザインが既に仕上がっており、サイン済みの契約書が手元にある以上もはや用はなかったのだろう、と推測している。しかしギーガーは自分がすぐに必要とされることを予見して、チューリッヒでデザイン作業を続行した[23]。
その予測は的中し、指揮者のいない現場は早速迷走をはじめ、本来のデザインとは程遠いセットになっていった。結局、彼の必要性を上層部も認めざるを得ず、5月末になってギーガーは現場に復帰している[50][23]。出来損ないのセットは放置されず、現場の美術スタッフのモチベーションを高めるため、そして新しいセット製作の準備が整うまでの時間稼ぎのため、あえて完成まで製作された後でスクラップ処分になった。これはギーガーにとってはまったく理解に苦しむ出来事であったという[51]。
宇宙服のデザインはジャン・ジロー(メビウス)が手がけた。彼は次の仕事のためフランスに帰るまでという条件付であり、参加していた期間は数日程度だった[5]。実際の製作はジョン・モロが担当している[31]。リプリーの衣装に限り、実際にNASAで使われていた古着の軍用フライトスーツを流用している[34][31]。
冒頭におけるタイトルデザインは骨や肉を組み合わせたデザインが考案されていたが使用されなかった[52]。実際に採用された「一文字ずつ完成していくタイトルロゴ」は広告との整合性を考えスコットが依頼したもので、スティーブ・フランクフルトとリチャード・グリーンバーグがデザインしている[38]。
特殊効果
ノストロモ号
ノストロモ号の外観はロン・コッブとクリス・フォスの2名がそれぞれデザイン案を起こした。フォスの描く宇宙船は現実の要素を取り入れた物が多く、豊かな色彩と流線型が特徴だった。フォスはノストロモ号の外観や内装、遺棄船など数多くのデザイン案を描いたが、結局すべて未採用に終わった[53]。フォスはギーガーと共に解雇され復帰することはなかったが、コンセプト・アーティストとしてクレジットには名を連ねている。
一方でコッブは機能性とリアリティを重視し、直線的なデザインを好んだ。ギーガーの生物的なデザインと完全な対称性を示すことも考慮され、彼のデザインが採用された。ノストロモ号の形状は逆さの台形のような形状を経て、最終的に精製設備を備えた巨大工場のようなデザインにまとめられた。尖塔のような外観は子供のころに見た工場の風景をヒントにスコット自らが追加した[53]。
船内のデザインもコッブの手によって行われ、この案を元にロジャー・クリスチャンが造形した。航空機やヘリの廃材、パレットを活用してノストロモ号の内部を作り上げた[54]。この出来はコッブを満足させ、ウィーバーも「ロケ地で撮影しているかのようだった」と賞賛した[15]。
ノストロモ号のセットは意図的に天井のある状態で作られた。これは俳優に圧迫感を与えることでよりリアルな演技を引き出すためである[55]。セットは全てが繋がっており、外に出るには長い通路を歩く必要があった[56]。ノストロモ号の構造は3階層、あるいは5 - 6階層を想定されていたが[57]、予算の制約からセットは1層のみで作られ[15][38]、拡張は断念せざるを得なかった。また船の離着陸のシーンにおいては俳優が自ら椅子を揺らし、カメラも揺らして撮影されている[31]。狭い通路のために照明機材を置けず、セットの間接照明を利用して撮影されたこともあった[56]。
撮影に使用されたミニチュアモデルは全長約5m、重量250kgにもなるもので、ブライアン・ジョンソンが製作した[58]。製作には既製のプラモデル・キットが大量に使用され手間を省いている[59]。精製施設とノストロモ号本体を繋ぐジョイント部分には『スターウォーズ』のR2-D2の脚部の予備が使用されている[15]。
小惑星
小惑星はセットとミニチュアを組み合わせて撮影された。セットでは砂塵として巻き上げたバーミキュライトがスタッフを痛めつけ[38]、スモークを作るために使用されたドライアイスのせいで二酸化炭素が充満した。宇宙服は手足が非常に動かしにくかった上、当時の技術では呼吸しやすい衣装を製作できず、スケリットやカートライトらは呼吸困難に悩まされた。特にハートの消耗は激しく、常に看護師が待機し非常時に備えていた[47]。映像中のヘルメットの曇りはそのためであるが、リアルであると考えた監督の意向で特に対策はとられなかった[38]。
セットは最初に1.5インチ/1フィートの縮尺で雛形となる模型が作られた。これを石膏で型取りし、一定間隔で均等にスライスする。それぞれのパーツを方眼紙の上で24倍の大きさに拡大し、木製の模型を作る。模型同士に網を被せて間を補完し、細かい部分は発泡スチロールで形を整える。最後に石膏を染みこませたジュートの布を掛け、左官ごてで仕上げるという手順で製作された[60][61]。
小惑星および遺棄船のミニチュアはピーター・ボイジーが製作した。ボイジーは優れた腕を見せ、レベルの高いギーガーの要求を過不足なく実現させていった。小惑星のミニチュアは骨やパイプをプラスティシン(塑像用粘土)で埋め合わせ作られている[51][62]。宇宙葬にされるミニチュアのケインの遺体もボイジーが製作した。
宇宙から見た小惑星の外観においても工夫が施された。複数の塗料をタンクに流し、混然とした色合いになったものを撮影し特殊シートに現像する。このシートを白く塗装したボールに投影して立体的な質感が表現された[61]。
遺棄船
ギーガーのデザインした異星人の遺棄船 (Derelict Ship) は、「目立たないし、機能的ではない」とオバノンには不評であった。彼が気に入っていたのはフォスが描いた「青銅のロブスター」と通称されるデザインである。だが、スコットはその異質さ、背景と一体化してゆっくりと姿を見せる点を気に入り採用した[63]。初稿では遺棄船のほかにピラミッドが登場し、エイリアンの卵はそこで見つかることになっていたが、映画の長さが3時間を越えてしまうため圧縮された[6]。
小惑星表面のミニチュアは質感がアップに耐えられるものではなかったため、遺棄船の外観はミニチュアをスコットの古いビデオカメラで撮影し、それをスクリーンに映したものを撮影した[38]。
遺棄船のセット製作にはシーモアの助手として参加したレスリー・ディリーが腕を振るった。生物的な内装を表現するため、セットには食肉処理場へ特注した大量の動物の骨が使用されている。遺棄船入り口のセットは長さ18m、高さ10.5mで、木製の枠と石膏で作られた。内部のセットは高さ12m、長さ21mで、木とファイバーグラスで製作された[64]。
この大規模セットのため、予算は1100万ドルにまで増大した[65]。それでも時間や予算の関係から妥協を余儀なくされることが多く、「通路」のセットの天井は遺棄船外観のセットをそのまま流用して手間を省き[66]、「卵貯蔵室」へと続く「シャフト」のセットは未完成のままで製作が中止となった[67]。また「操縦室」と「卵の貯蔵室」は同じセットを使いまわしており、操縦室から座席とターンテーブルを取り去って造られている[48][64]。貯蔵室においても「妊婦の腹の膨らみ」をイメージした丸みのある部分は再現されず、ギーガーの不興を買った。
エッグを覆う青いレーザーの幕はザ・フーのボーカリスト、ロジャー・ダルトリーが関係している。彼はたまたまシェパートン・スタジオの隣の別荘でツアーに使うレーザーを試していたところであり、それが縁で機材を提供した[68]。現場ではアントン・ファーストがレーザーを使った演出を担当した[31][脚注 5]
スペースジョッキー
冒頭に登場する化石化した異星人「スペースジョッキー」はロンドンのシェパートン・スタジオで撮影した。全長8メートルあるこの異星人は、映画の冒頭でいきなり得体の知れない恐怖感を煽る重要な役割を果たしたが、その後のプロットに直接的には関係がないうえに製作費がかかりすぎることから、20世紀フォックス側はスコット監督に登場シーンをカットするべきだと進言したが、スコットは断固拒否し、最終的には製作が決定した。スコットのほか、ギーガーを異常だと評したキャロルもこの時には彼の腕を認めるようになっており、賛成に廻っている[69]。製作には50万ドルが費やされた。
スペースジョッキーは石膏で造った原型を透明ポリエステルで型取りし、表面はラテックスで仕上げられている。望遠鏡や砲台のような部分は発泡スチロールと発砲プラスチックで造られた[48]。また、ギーガーがすべての塗装を直接エアブラシで手掛けるほどこだわっていた。この場面ではプロップを大きく見せるために、宇宙服姿のノストロモ乗員は子供が演じている。因みに演じた子供の内2人はスコット監督の実の子供(ジェイク・スコットとルーク・スコット)で、それぞれがダラス(ジェイク)とケイン(ルーク)を演じている。ランバートはカメラマンの子供が演じた[70][38]。
エッグ
エッグは当初オーソドックスな鶏卵の形でデザインされ、卵を保持する台座はスイスの卵パックの形状をそのまま流用していた[71][72]。次に改められたデザインは完成稿に近かったが、卵の開口部は女性器を模しており、陰核や陰唇にいたるまで作りこまれていた。その露骨な形状にスタッフからは笑いが起こったほどであった。結局開口部はキリスト教的な十字型に変更され、花のように開く仕組みとなった。エッグは当初6個のみ製作される予定だったが、ギーガーの反対もあり最終的には130個が製作された。チェストバスターが収まる「主役」のエッグは石膏の原型を元に、開口部はラテックス、本体は透明ポリエステルで作られた。開口部は油圧で動作し、内部には新鮮な羊の内臓が、チェストバスターが飛び出すシーンには長さ12mの豚の腸が使用されている[73]。背景となるその他のエッグは石膏もしくはポリエステルで製作されている[74]。
一部のシーンはカメラを置く関係から、エッグを逆さまにして撮影された。ケインにフェイスハガーが襲い掛かるシーンの直前で、水滴が上へ登るのはこのため。エッグチェンバーの中で蠢くフェイスハガーのシルエットは、ゴム手袋をはめたスコット監督自身の手のシルエットである[75][31]。
フェイスハガー
最初の構想では卵から尾をバネのように使って飛び出す機能を持っており、ギーガーは「邪悪なビックリ箱」と名づけていた。当初のサイズは人間の上半身ほどもあったが、何度かの改稿を経て人の頭を覆う程度の大きさに落ち着いた[76]。美術スタッフのロジャー・ディッケン (Roger Dicken) は気難しい性格でギーガーのデザインを受け入れず、「不快なほどに発育不全」と評した[77]。この評価に激怒したギーガーはフェイスハガーの造形を自ら買って出作業に取り掛かったが、上からエイリアン本体の製作に取り掛かるよう命じられたためフェイスハガーとチェストバスターの造形はディッケンの担当となった[78]。
フェイスハガーの作業にはシャセットも携わった。彼はギーガーのデザインを元に立体化作業を開始したが、本体と指の繋がり方に悩み行き詰まった。助けを求められたコッブは短時間でフェイスハガーの仮想の骨格を書き上げ、造形作業を助けた[31]。着色の段階になり「人間の肌の色をした異星生物は斬新ではないか」と考えたシャセットの提案により、そのままの色で完成となった[31]。劇中のフェイスハガーの観察シーンではプラスチックで作った外殻に新鮮なカキやハマグリを敷き詰めて生々しさを表現している[31]。
チェストバスター
デザインにあたり、リドリー・スコットはギーガーにフランシス・ベーコンが描いた『キリスト磔刑図のための3つの習作』を参考にするよう要請したが、これを受けて上がってきたデザインは「退化した丸裸の七面鳥」と形容されるものであった[79][80]。このデザイン案は没となり、以降は『ネクロノミコンIV』のデザインを基本とした造形が行われた[81]。
ケインの胸からチェストバスターが飛び出すシーンでは、「このシーンをリアルに撮れなければ映画の存在意義がない」とするスコットの意向で、細心の注意が払われた[82]。3台のカメラを用意し、あらかじめどのカメラでカットを繋いでいくかを綿密に設定した。また俳優達には何が起こるか意図的に詳細を伝えておらず、彼らから本物の驚きを引き出そうとした[83][31]。特にランバート役のカートライトは驚きの余り足がおぼつかなくなり、足元に溜まった血糊で足を滑らせて転倒している。因みに本編で使用されたチェストバスターが飛び出してきた際にランバートが悲鳴を上げるシーンは、カートライトが驚いて転倒する直前のものである。また、ケインの血がランバートにかかったのは全くの偶然だった。最初のテイクではシャツが破れず中断されたが、次のテイクでは成功。そのため一連のシーンはワンテイクだけで成功している[31]。
チェストバスターは胸を突き破るシーン、クルーを見回すシーン、走り去るシーン用の3種類が製作された。尾はフェイスハガーのものが流用されたが、ギーガーはこれを「恐竜のようだ」とあまり好まなかった[82][84]。操演はディッケンとアルダーの二人が担当した[85]。
エイリアン
時間が押し迫っていたため、デザインはほぼ『ネクロノミコンIV』のそれを踏襲しており、何度かデザインが起こされたものの、皮膚の細かいディティールや背中の突起が寝ていることを除けばほぼ変化はない。なお、昆虫のような楕円形の目だけはスコットの提言を受け削除された[86]。
スーツの仕様に関してはいくつか案が出された。大道芸人や空手家の起用や[87]、一つのスーツの中に子供と大人が入り別々に腕を動かすというアイディアは問題が多過ぎ実現しなかった。全自動のロボットにするという案は俳優が負傷する恐れがあり却下された[88][86]。
スコットがエイリアンのスーツに入る人間として望んだのは、レニ・リーフェンシュタールが撮影したヌバ族の写真のような、長身の人間であった[88]。だが実際の候補者探しは難航した。そんな折、キャスティングディレクターはたまたまパブで酒を飲んでいた長身のアフリカ人(出自についてはナイジェリア人[89]、ケニヤのマサイ族[86]、ツチ[90]など諸説ある)、ボラジ・バデジョ (Bolaji Badejo) に目をつけ、出演を依頼した。彼はグラフィック・デザインを学んでいた大学生で、太極拳とパントマイムの知識があった。劇中のエイリアンのゆったりした歩行は彼の技術が反映されている[91][87]。また、スタントシーンではエディ・パウエル (Eddie Powell) とロイ・スキャメル (Roy Scammell) がエイリアンを演じた[89][31]。黒人の代役を白人が務めるということで、スタントシーンの撮影をバデジョは楽しそうに観覧していたという[92]。
スーツの製作はギーガー自身が担当した。ボイジーは多忙を極めていたため、助っ人としてエディ・バトラーが加わり、のちにパティ・ロジャーズ、シャーリィ・デニーの二人が作業を補佐した。スーツは構想段階では半透明で、骨格や消化器官が透けて見える予定であった[78][88]。時間の許す限りギリギリまで試行錯誤が繰り返されたが、スーツや鋳型の耐久性に問題があり、すぐに破損してしまう問題があった。金属製の鋳型を用いれば解決する問題であったが、それを製作している余裕がなかったため半透明の構想を断念し、ラテックスを用いることに決まった。スーツはボラジ・バデジョの体から石膏型をとったほか、スタントマンの体型にあわせた複製も製造された[93]。
複雑なエイリアンのギミックを実現させるため、頭部の製作はカルロ・ランバルディが担当した。作業はシェパートン・スタジオではなくロサンゼルスにあるランバルディの仕事場で行われた。フード内に見える人間の頭蓋骨は本物であり、ギーガーが自ら埋め込んだ[94]。これにファイバーグラスを巻き、アルミニウムで内部の支えをつくった。顔の筋肉はケーブルで、特徴的な2重顎はエアシリンダーでそれぞれ動作する。歯茎と顎をつなぐ腱はコンドームが使われている[95]。別個に製作されたにも拘わらず、ランバルディの手による頭部はギーガーの要求を充分に満たす出来栄えであり、イギリス側で作られた予備の頭部との差は歴然であったという[96]。頭は機械が仕込まれたものが一つ、仕込まれていないものが二つ、完全自動式兼遠隔操作可能なもの、半自動式、プラスティック製のスタント用の計6種が製造された[96]。
脚本上の問題点として、オバノンは「なぜクルーがエイリアンを殺さないのか」という疑問点を指摘していた。そこでコッブは「エイリアンの血が強酸性である」という設定を考案し、容易に殺せない理由を付加した[97][31]。フェイスハガーの酸によって船体が溶けるシーンはクロロフォルム、アセトン、酢酸を混ぜた液体を使い、銀色に塗った発泡スチロールを溶かして撮影された[97]。
ポストプロダクション
ポストプロダクションに突入した時点ですら、スコットは満足せず、ノストロモ号のミニチュアモデルの撮影をやり直した[15][98]。10月から11月にかけて撮り直しや追加シーンの撮影が17日間行われた[11][22]。撮影終盤にはスタッフは1日17時間、週に6 - 7日間働き通しであったという[98]。
またオバノンはクレジットの表記について、ガイラーとヒルの名を入れるべきかどうかについて全米脚本家組合(WGA)を巻き込み仲裁調停を引き起こした。WGAはオバノンの主張を支持したものの、周囲のスタッフはガイラーとヒルの名前を入れるべきだと説得した。最終的にオバノンはこれを受け入れ、二人の名は脚本家としてクレジットされることになった[99]。
音楽
リドリー・スコットは楽曲に組曲『惑星』、それも冨田勲が編曲したシンセサイザー版の起用を望んでいたが、ラッドの勧めでジェリー・ゴールドスミスに依頼することになった[25][100]。
最初にゴールドスミスが作った曲は瑞々しいものだったが、それゆえに没になった。次に作られた曲は静的で不気味なものであり、スタッフを満足させた。作曲に要した時間はわずか10分に過ぎなかった[25]。
目覚めのシーンではゴールドスミスの過去の作品である『フロイド/隠された欲望』の曲が流用されている。また、クレジット画面ではハワード・ハンソンの『交響曲第2番 ロマンティック』が使用されている[25][101]。これを不満としたゴールドスミスはフォックスに説明を求めたが、結局覆ることはなかった[25]。
なお冨田勲の『惑星』は撮影現場で使用されている。テンションの高い演技が必要とされるウィーバーのため、スコットは現場にスピーカーを配置し、『惑星』の中の一曲「火星」を流して聞かせた。一方、音を後で全て付け直さなければならなかったため、音声係の負担は増大した[102][38]。
エンディング
スコットは最後のナルキッソス号でのシーンのため、4日のスケジュール延長を会社に要求した。会社は難色を示したものの、スコットは今までの定石を引っくり返すと会社を説得した[31]。スコットの目論見通り「解決したと見せかけてさらにもう一幕がある」という手法は成功し、以降のホラー映画に新しい定番をもたらした[102]。
本人の意向により、ウィーバーは次に何が起こるのか知らされずに撮影が進められた[103][31]。全裸のリプリーを目の当たりにしたエイリアンが己との違いに気づき、彼女に見入るといったシーンも予定されていたもののアイディアだけで終わった[102][31][脚注 6]。下着姿で宇宙服を身につけるシーンにその名残が残っている[102]。
エンディングシーンは当初3種類あり、「エイリアンの存在にリプリーは気付かず一緒に地球に帰還する」、「エイリアンとともに宇宙の藻屑となる」そして採用案である「エイリアンを倒し無事地球に帰還する[脚注 7] 」のそれぞれが用意されていた。アメリカでは第1案の結末で劇場公開された映画館もあるテンプレート:要出典。
エイリアン・フェミニズム
ホラーSFである「エイリアン」には、恋愛要素が薄いにもかかわらず、妊娠・出産のメタファーを中心に「濃厚なセクシュアリティが漂っている」[105]。
内田樹はこの生殖のメタファーを「体内の蛇」[106]のモチーフをもちいて考察している。それによると本作における「宇宙船のクルーがエイリアンの幼体からその子孫を体内にうえつけられ、それが体を破って外に出てくる」という流れは、ヨーロッパ全域で流布している「体内の蛇」と呼ばれる民間説話をなぞったものであり、この説話をフェミニズムに結びつけたことにオリジナリティがあるという。
本作でのエイリアンは男性社会のメタファーであり、男性器のような頭部を持ち、口から精液のような粘着性の液体をしたたらせている[107]。エイリアンは女性を妊娠させようとする男性の性欲の象徴であり、主人公のエレン・リプリーはそれに対抗するフェミニズム志向の女性の役割を果たしている(リプリーを襲ったアッシュにとどめを刺すのも女性のランバートである)。リプリーはそれまでのSF映画のヒロインと違い強い女であり、男性クルーと対等で船長代行を務め会社の陰謀を探る。リプリーの姿は1970年代後半に製作された女性の自立や台頭を描いた映画『結婚しない女』『クレイマー、クレイマー』などとともに語られることがあり[107]、また、本作はそれまでのSF映画にはなかった新しい(アクションの担い手としての)役割を女性に与えた先駆的な映画としても語られる[108]。
映画公開当時、男性に依存しない勇敢な女性が自力で(男性性の象徴である)エイリアンを退治するというこの映画を、女性たちはフェミニズムの勝利の物語として賞賛したのだ、と評価されることが多い[109]。しかし内田樹は、本作は女性からだけでなく保守的な(反フェミニスト的な)男性からも支持されていることを指摘し、「戦闘的フェミニストの勝利」という劇的な結末を演出するために結末以前の部分では「ヒロインがエイリアンから徹底的に陵辱される」という描写で埋め尽くされていると述べている[110]。映画のクライマックスで下着姿のリプリーに襲いかかろうとするエイリアンは男社会に虐げられてきた女性の縮図である[107]。
リプリーにあたる役を男性から女性に変更した際、性別を意識した台詞の改変はほとんど行われなかった。ウィーバー自身はリプリーがフェミニズムに関連付けて語られることには慎重であり、「いいキャラクターはいいキャラクター、性別なんて関係ない」と述べている[111]。
設定
- 小惑星
- 銀河系の外縁、ゼータ第2星団 (Zeta II Reticuli) にある星を巡る小惑星。謎の遺棄船が存在していた。大気組成は窒素、メタン、高濃度の炭酸ガスが主成分。気温は零下。劇中では単に小惑星と呼ばれ、LV-426の名称で呼ばれるのは『2』から。
- ディレクターズ・カットの追加シーンでは約1,200km[脚注 8]。自転周期は約2時間。重力0.86Gとされている。
- なお「ζ2 Reticuli 」は実在しており、レチクル座内で最も地球に近い(39光年)星である。
- スペースジョッキー
- 小惑星で発見された正体不明の異星人。身長約4.9m、体重約272kg[112]。象のような鼻をもち、伸びた先端は胸骨と一体化するかのように埋没している。操縦席らしきものに着座したまま化石化していた。腹部から何かが飛び出したような形跡がある。彼らの宇宙船には大量のエイリアンの卵が積載されていた。エイリアンの創造主ではないかと考えられているが詳細は不明[112]。
- 『プロメテウス』にも同型の異星人が登場しており、象のような鼻はマスクであり中身は人間と同様の顔があると設定された。
- ノストロモ号
- ウェイラン・ユタニ社が所有する商業牽引船。本体部分と巨大な4つの塔のような燃料精製所で構成される。2000万トンの鉱石を積載し地球に帰還する途中、小惑星からの信号を受信し調査に向かう。作品の舞台となるのは本体部分で、精製施設の内部は登場していない。メインフレームコンピューターは「MU/TH/R(6000) 182モデル」であり、「マザー」と通称される[112]。エイリアンの脅威から逃れるためリプリーらの判断で自爆させられた。『2』によれば自爆による損害は4,200万ドルにおよぶ(鉱石の価値を除く)。
- ノストロモ号の規模は本体が全長240m、精製施設が全長3.2km、全幅2.4kmとの想定で撮られた[113]。本作以降に定められた設定では全長334m、全幅215メートル、全高98メートル。ロッキード・マーティン社製CM-88Bバイソン「M級ジャガーノート」宇宙貨物船を2116年に改装した船とされている[114][脚注 9][脚注 10]。スペック自体はデザイン草案の段階からコッブが練り上げデザイン画に書き込んでいる[115]。
- デザインはコッブおよびスコット。名称は「スナーク号」「リヴァイアサン号」など変遷したが、スコットによってノストロモ号と命名された。これはイギリスの小説家ジョゼフ・コンラッドの小説『ノストローモ』(Nostromo)(1908年執筆)に由来する[116][脚注 11]。
- 自爆装置は核融合炉の冷却剤濃度を減少させ臨界をもたらして爆破させる仕組み[114]。時限自爆装置が稼動するとコンピュータ「マザー」が「この船はTマイナスX分以内に破壊される」と自爆までの時間を読み上げるが、これは間違いである。「T」は通常、ロケットの打ち上げに代表されるようなイベントの時刻を表し、それ以前の時刻を「TマイナスX分(秒)」で表すので、「TマイナスX分以内に破壊される」では意味を成さない。『2』では「X分以内に」となっている。
- ナルキッソス号
- ノストロモ号の脱出艇。右舷下部に搭載されている。デザインはコッブ。名称はコンラッドの作品『ナーシサス号の黒人』(The Nigger of the 'Narcissus')(1975年執筆)に由来[116]。普段はダラスが一人で音楽を聴く個人スペースとして使用されている。
- ナルキッソス号は発進後に前進ではなくブレーキをかけることでノストロモ号から離脱した。遠ざかるノストロモ号がシャトルの前方窓から見えるのはこのため。
- 設定ではロッキード・マーティン社製スターキャブ級シャトルクラフト。左舷下部には第2脱出艇の「サルマキス」も搭載されているが劇中では未登場[114][脚注 12]
- ウェイラン・ユタニ社[117]
- シリーズを通して暗躍するが、劇中ではその正体は一切不明。リプリーらを利用してエイリアンを生きたまま捕獲し、軍事利用しようと目論む。作中では会社とのみ呼ばれる。
脚注
出典
参考資料
ノベライズ
ムック
映像作品
- テンプレート:Cite video (Blu-ray版)
- テンプレート:Cite video (Blu-ray版)
ドキュメンタリーブック
論文
外部リンク
テンプレート:エイリアン&プレデター テンプレート:リドリー・スコット監督作品
テンプレート:星雲賞メディア部門テンプレート:Link GA- ↑ ギーガーの公式ページタイトルより。テンプレート:Cite web
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- ↑ 31.00 31.01 31.02 31.03 31.04 31.05 31.06 31.07 31.08 31.09 31.10 31.11 31.12 31.13 31.14 31.15 31.16 31.17 31.18 31.19 31.20 31.21 Blu-ray Disc版『エイリアン』の特典「音声解説(完全版)」より。
- ↑ 32.0 32.1 ネイサン(2012)、pp.122-125
- ↑ ネイサン(2012)、p.135
- ↑ 34.0 34.1 ネイサン(2012)、p.127
- ↑ 35.0 35.1 ネイサン(2012)、p.75
- ↑ ネイサン(2012)、p.71
- ↑ ネイサン(2012)、p.131
- ↑ 38.00 38.01 38.02 38.03 38.04 38.05 38.06 38.07 38.08 38.09 38.10 Blu-ray Disc版『エイリアン』の特典「音声解説 リドリー・スコット監督」より。
- ↑ ネイサン(2012)、p.45
- ↑ ネイサン(2012)、p.68
- ↑ ネイサン(2012)、p.70
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- ↑ 88.0 88.1 88.2 ギーガー(2004)、p.58
- ↑ 89.0 89.1 サモン(2001)、p.130
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ ネイサン(2012)、pp.111-115
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- ↑ 96.0 96.1 ギーガー(2004)、p.68
- ↑ 97.0 97.1 ネイサン(2012)、p.104
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- ↑ サモン(2001)、p.131
- ↑ サモン(2001)、p.132
- ↑ 102.0 102.1 102.2 102.3 ネイサン(2012)、p.139
- ↑ ネイサン(2012)、p.138
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- ↑ ハロルド・シェクター『体内の蛇 フォークロアと大衆芸術』(吉岡千恵子共訳 リブロポート 1992年)
- ↑ 107.0 107.1 107.2 映画秘宝EX(2012)、p.71
- ↑ "か弱い存在と位置づけられていた女性が,(中略)アクションの担い手へと立場を変えたのである" テンプレート:Harvtxt
- ↑ テンプレート:Harvtxt
- ↑ 難波江和英・内田樹 『現代思想のパフォーマンス』 光文社、2004年、137-142頁。ISBN 978-4334032777。 内田樹『女は何を欲望するか?』角川書店、2008年 ISBN 978-4-044-710090-9、『映画の構造分析』晶文社、2003年 ISBN 978-4794965752 も参照
- ↑ ネイサン(2012)、p.136
- ↑ 112.0 112.1 112.2 Blu-ray Disc版『エイリアンvsプレデター2』の特典「ウェイランド・ユタニ社データベース」より。
- ↑ スキャンロン(2012)、p.10
- ↑ 114.0 114.1 114.2 ネイサン(2012)、p.55
- ↑ スキャンロン(2012)、p.24
- ↑ 116.0 116.1 サモン(2001)、p.134
- ↑ ウェイランドとなったのは『2』から。
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