済州特別自治道
済州特別自治道(チェジュとくべつじちどう)は、大韓民国本土南西部に位置する済州島全体と馬羅島などの付属小島嶼を道としている行政区。道都は済州市。南部には2002サッカーワールドカップの開催地、西帰浦市もある。
道内には、韓国政府支配地域最高峰の漢拏山がそびえたち、一帯は「済州の火山島と溶岩洞窟」としてユネスコの世界遺産に登録されている。韓国国内で鉄道、高速道路、一般国道が通っていない唯一の道でもある。2006年7月1日から済州特別自治道に変更された。
2011年に済州島が新・世界七不思議 自然版(世界7大自然景観)に選ばれたが、その電話投票のために211億ウォンもの電話代を公費から支出し、道庁の職員に2億回も電話投票させていたことが分かり、批判されている(詳しくは新・世界七不思議 自然版#韓国参照)。
目次
歴史
古代には耽羅国として自立した存在であったが、日本書紀に日本に朝貢したとの記述があるなど、倭、百済、新羅に朝貢して間接的な支配を受けた。
938年には高末老が高麗に入朝、服属している。1105年高麗は耽羅国号を廃止し、耽羅郡を設置したが、旧支配層の地方支配は認められた。 1259年に高麗がモンゴル元朝に服属すると、済州島はモンゴルの直轄領となり、大規模な馬牧が設置された。
1271年、珍島でモンゴル・高麗連合軍に敗れた金通精率いる三別抄がそれ以降済州島に移って抗戦を続けた。三別抄は島民を巻き込みながらゲリラ戦を行なったが、1273年4月、金方慶と洪茶丘率いる高麗軍によって三別抄は壊滅した。同年モンゴルは済州島に耽羅総管府を設置した。
1294年には再び高麗に帰属し、済州の名称に戻った。李氏朝鮮初期には済州牧が設置されている。
- 1416年: 済州牧に旌義県、大静県を設置
- 1864年: 旌義県、大静県を郡に昇格、全羅道観察使の管轄下に置く
- 1880年: 再び県に戻す
- 1895年: 二十三府制の施行により済州牧を府に改編し観察使を置く。済州府が済州郡・旌義郡・大静郡を管轄。(3郡)
- 1896年: 済州島全域が全羅南道に属し、済州郡が済州牧に改編。(1牧2郡)
- 1906年: 牧使を廃止。(3郡)
- 1910年: 旌義郡・大静郡の両郡を済州郡に統合。(1郡)
- 1915年: 郡制を廃止、島制に改編。(1島)
- 1946年8月1日: 全羅南道から分離し、済州道制実施。(2郡1邑12面)
- 1955年9月1日: 北済州郡済州邑が済州市に昇格。(1市2郡)
- 1981年7月1日: 南済州郡西帰浦邑・中文面を合併し、西帰浦市に昇格。(2市2郡)
- 2006年7月1日: 済州特別自治道に改編、済州市と西帰浦市の2行政市になる 初代知事金泰煥。(2市)
済州島(済州郡)
- 1914年4月1日 - 郡面併合により、済州郡・旌義郡・大静郡および莞島郡の一部(楸子面)が合併し、済州郡が発足。済州郡に以下の面が成立。(13面)
- 済州面・旧左面・新左面・新右面・旧右面・旌義面・東中面・西中面・右面・大静面・中面・左面・楸子面
- 1915年5月1日 - 島制施行、済州郡が済州島に改編される。(13面)
- 1931年4月1日 - 済州面が済州邑に昇格。(1邑12面)
- 1935年4月1日 (1邑12面)
- 新右面が涯月面に改称。
- 旧右面が翰林面に改称。
- 中面が安徳面に改称。
- 左面が中文面に改称。
- 右面が西帰面に改称。
- 西中面が南元面に改称。
- 東中面が表善面に改称。
- 旌義面が城山面に改称。
- 新左面が朝天面に改称。
- 1946年8月1日 - 済州島が道制施行し、済州道となる。
済州特別自治道の自治体
読みは大韓民国の地方行政区画を参照。
行政機構の再編と住民投票
済州道は2006年7月1日から、より高度の自治権を付与された特別自治道に移行した。離島である済州道の特殊性を勘案し、外交・国防・司法を除いてアメリカの州のような高度な自治権を認めることとしたもので、韓国政府が2005年11月、同道を特別自治道とするための関連法案を閣議決定し、2006年2月に国会で可決された。
これに伴い市・郡といった基礎自治体の再編の検討もなされ、これについて済州では初となる住民投票が行われた。これは現行制度を当面維持する「漸進案」と、基礎自治体の議会廃止・市長の道知事による任命・郡市の統合等を行う「革新案」とを選択するもので、「革新案」が採択された。 なお、この住民投票においては永住権を持つ外国人にも投票権が与えられ、注目された。
この投票結果を受け、特別自治道への移行と同時に、済州市と北済州郡、西帰浦市と南済州郡を統合し、自治権を持たない行政市としての済州市と西帰浦市が発足した。
道知事
- 第3代特別自治道知事:元喜龍(원희룡 ウォン・ヒルン、2014年7月1日~現在)
- 第2代特別自治道知事:禹瑾敏(우근민 ウ・グンミン、2010年7月1日~2014年6月30日)
- 初代特別自治道知事:金泰煥(김태환 キム・テファン、2006年7月1日~2010年6月30日)…済州道時代からは35代
- 出所:道知事室ホームページ
道議会
党派別議席数(2014年7月1日現在) 合計 党派別内訳 セヌリ党 新政治
民主連合無所属 教育議員 合計 41 18 16 2 5 選挙別内訳 地域区 29 14 13 2 ― 比例代表 7 4 3 ― ― 教育議員 5 ― ― ― 5
- 出典:済州道議会ホームページの현역의원(現役議員)。2014年7月1日閲覧
交通
済州特別自治道には鉄道がない。主な交通手段は車で、路線バスもある。道路の総延長は2,799kmで、舗装率は79%である。
海上交通は3千トン級以上のフェリーが済州海峡を通って韓国本土(木浦、釜山、仁川等)に就航している。
1968年に建てられた済州国際空港があり、韓国で4番目の規模で、利用客は仁川国際空港につぐ2番目である。 大韓航空・アシアナ航空のほか、済州航空などの格安航空会社が就航。
放送
放送局は全て道庁がある済州市に拠点が置かれている。嘗てはKBS韓国放送が西帰浦市に日本のNHK地方放送局に相当する「中継局」を設置していたが、合理化により廃止された。
標準ラジオ放送
局名 | 済州 | 西帰浦 | 放送時間(KST=JST) | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
呼出符号 | 周波数 | 空中線電力(W) | 呼出符号 | 周波数 | 空中線電力(W) | ||
KBS済州第1 | HLKS | 963kHz | 10k | 24時間[3] | |||
HLKS-SFM | 99.3MHz | 3k | (中継局) | 95.3MHz | |||
KBS済州第2 | HLQC-SFM | 91.9MHz | 3k | (中継局) | 89.7MHz | 5:00〜翌日3:00 | |
済州MBC | HLAJ | 774kHz | 10k | (中波局無し) | 24時間(休止時間有り) | ||
HLAJ-SFM | 97.9MHz | 1k | (中継局) | 97.1MHz | 1k | ||
FEBC済州 | HLAZ | 1566kHz | 250k/ 100k |
HLAZ-FM | 101.1MHz | 1k | 24時間[4] |
FMラジオ放送
日本のFM放送と同じカテゴリー。中波帯の逼迫もあり全国的傾向として最近新規開局が相次いでいる。
局名 | 済州 | 西帰浦 | 放送時間(KST=JST) | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
呼出符号 | 周波数 | 空中線電力(W) | 呼出符号 | 周波数 | 空中線電力(W) | ||
KBS済州音楽FM | HLKS-FM | 96.3MHz | 3k | (中継局) | 99.9MHz | 3k | 24時間 |
済州MBC FM4U | HLAJ-FM | 90.1MHz | 3k | (中継局) | 102.9MHz | 3k | 24時間(休止時間有り) |
JIBS NewPowerFM | HLQC-FM | 101.5MHz | 3k | (中継局) | 98.5MHz | 1k | 24時間(休止時間有り) |
EBS | (中継局) | 107.3MHz | 3k | (中継局) | 104.9MHz | 3k | 5:00〜翌日2:00 |
済州CBS | HLKO-FM | 93.3MHz | 3k | (中継局) | 90.9MHz | 1k | 5:00〜翌日1:00 |
Arirang Radio | 88.7MHz | (中継局) | 88.1MHz | 6:00〜翌日2:00 |
テレビジョン放送
済州島は韓国でいち早くアナログテレビジョン放送を終えた道である。
リモコンキーID | 局名 | 済州 | 西帰浦 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
呼出符号 | ch | 空中線電力(W) | 呼出符号 | ch | 空中線電力(W) | ||
6-1 | JIBS TV | HLKJ-DTV | K-33 | 1k | (中継局) | K-15 | 500 |
7-1 | KBS済州第2 | HLQC-DTV | K-29 | (中継局) | K-16 | ||
9-1 | KBS済州第1 | HLKS-DTV | K-27 | (中継局) | K-14 | ||
10-1 | EBS | (中継局) | K-35 | (中継局) | K-18 | ||
11-1 | 済州MBC | HLAJ-DTV | K-31 | (中継局) | K-17 |
友好交流
- テンプレート:Flagiconアメリカ合衆国ハワイ州(1986年11月25日提携)
- テンプレート:Flagiconインドネシア共和国バリ州(1989年6月16日提携)
- テンプレート:Flagiconロシア連邦サハリン州(1992年1月17日提携)
- テンプレート:Flagicon中華人民共和国海南省(1995年10月6日提携)
このほか、友好交流地域として台湾の台北市、オーストラリアのタスマニア州、日本の静岡県、中国の大連市および日韓海峡沿岸県市道知事交流会議(日本の山口・福岡・佐賀・長崎4県と韓国の釜山広域市、慶尚南道、全羅南道、済州特別自治道で構成)がある[5]。
関連項目
脚注
外部リンク
テンプレート:Navbox- ↑ 議員定数と内訳については、道議会ホームページの제주특별자치도의회 구성과 조직(済州特別自治道議会構成と組織)を参照した。
- ↑ 特別自治道新設に伴って制定された「済州特別自治道設置及び国際自由都市造成のための特別法」(通称:済州特別自治道設置法)で教育委員会を構成する委員として教育議員が新たに設けられ、2006年5月の全国同時地方選挙から5名が選出されている。2010年地方選挙では他の市道でも教育議員が選出されたが、2014年選挙では済州のみ。
- ↑ 西帰浦AM局は運用停止。
- ↑ このうち、 朝鮮語での放送は4-20時まで、その前後は日本語を含む近隣諸国言語での放送
- ↑ 済州特別自治道ホームページ