アイフル
アイフル株式会社(AIFUL CORPORATION)は、日本の消費者金融業者。
目次
概要
貸金業登録番号は近畿財務局長(11)第00218号。社団法人京都府貸金業協会会員番号は第476号。消費者金融連絡会加盟社。MasterCard発行会社。社団法人日本経済団体連合会(経団連)会員。
クレジットカード(信販)のライフ、事業者金融(商工ローン)のビジネクストなどを子会社に持つアイフルグループの中核企業(事業持株会社)でもある[注 1]。
商号(社名)
商号の由来は、英語のAffection(愛情や優しさ)・Improvement(努力や進歩)・Faithfulness(忠実や信頼)・Unity(結束)・Liveliness(活気良い)のイニシャルを繋げたもの。
ちなみに2004年(平成16年)~2005年(平成17年)3月まで、クレジット内の企業名は“eye-ful corporation”と表記されていたが、その後は会社の英語名“aiful corporation”が使用された。
なお、住宅会社トステム住宅研究所の住宅ブランド「アイフルホーム」とは何ら関係は無い。
事業内容
独自のスコアリングシステムによる与信ノウハウを有しており、テレビCMで起用したチワワの効果もあり、増収増益を維持していた。
しかし、強引な営業活動や悪質な取り立てなどの違法行為が社会問題になり(クレサラ問題)、2005年(平成17年)4月16日に「アイフル被害対策全国会議(アイフル被害者の会)」が、被害者や弁護士・司法書士らにより結成された。また、2006年(平成18年)4月14日に財務省近畿財務局長がアイフルに、全店舗の業務停止命令を出した[1]。
これを受けて2006年(平成18年)4月から2ヵ月間のCM自粛を発表し、2002年(平成14年)から放送されてきた「チワワのCM」のシリーズが打ち切られた。
同社の株価も、2006年(平成18年)1月には一時期1万円台まで上昇していたが、業務停止命令により下落し、2007年(平成19年)1月には半分以下の4000円台、2008年(平成20年)1月には1000円台、2009年(平成21年)1月には300円台、2009年(平成21年)3月には100円を切る状況にまでなった。2008年(平成20年)の売上4000億円を最後に顧客数、貸付金、売上共に減少し経営が悪化が表面化していった。さらに、グレーゾーン金利廃止に従い、上限金利を20.0%(当時)に引き下げた為収益が減少し経営が益々悪化した。2010年(平成22年)度決算では3000億円近い大幅赤字になった[2][3]。
2009年(平成21年)9月18日、産業活力再生特別措置法所定の特定認証紛争解決手続(事業再生ADR)を利用しての私的整理による再建を図る方針を表明[4]。9月24日に事業再生ADRの認証団体である事業再生実務家協会に申請し、同日受理され、同12月24日、ADRが成立した[5]。
2014年(平成26年)6月13日、取引金融機関に対し、債務返済の軽減措置の5年間延長を求め、債権者会議で合意した[6][7]。本業が上向き、金融支援継続は決まったものの、依然として経営環境は厳しいと報じられている[6][8]。
取り立てなどに関する問題
消費者金融大手であるアイフルの強引な営業活動や、懲罰的・暴力的な取り立てなどが違法だと社会問題視され、2005年(平成17年)4月16日、「アイフル被害対策全国会議」が被害者や弁護士・司法書士を中心に結成され、同会議が金融庁に意見書を提出。金融庁と財務省近畿財務局も6月頃からこの問題を調査していたが、2006年(平成18年)4月14日、およそ1900あるアイフル全店舗(無人店舗も含む)に対して業務停止命令を出した。業務停止の期間は、5月8日からで、特に違法とされた五稜郭支店(北海道函館市)・西日本管理センター3係(滋賀県草津市)・新居浜支店(愛媛県新居浜市)が6月1日までの25日間、諫早支店(長崎県諫早市)・コンタクトセンター福岡カウンセリングセンター九州(福岡県福岡市)が5月27日までの20日間、残りの全店舗が5月10日までの3日間。
金融庁はこの命令について、「法令に基づき対処した」とコメントしている。アイフルは記者会見で「早期の信頼回復に努めたい」と、CM・新聞・雑誌広告や街頭でのポケットティッシュの配布などを2ヶ月間自粛する意向を示した。
一部の店だけに限らず全ての店舗が業務停止命令の対象となったのは、2005年(平成17年)11月25日の事業者金融(商工ローン)最大手のSFCG(旧商工ファンド)以来で、消費者金融大手では初である。
また、2007年(平成19年)1月20日からのCMの放送再開によりアイフル被害対策全国会議が各局やJARO、アイフルに抗議している。
アイフル被害対策全国会議は子会社のライフも損害賠償・CM差し止め訴訟の対象としている。
沿革
- 1967年(昭和42年)4月 - 福田吉孝が個人経営として消費者金融業を創業。
- 1978年(昭和53年)2月 - 株式会社丸高を、京都市左京区に資本金900万円で設立。
- 1982年(昭和57年)5月 - 株式会社丸高が株式会社大朝・株式会社山勝産業・株式会社丸東を吸収合併、資本金が5億円になり、アイフル株式会社に商号を変える。
- 1997年(平成9年)7月30日 - 日本証券業協会に株式を店頭登録。
- 1998年(平成10年)10月1日 - 東京証券取引所市場第二部・大阪証券取引所市場第二部・京都証券取引所に上場。
- 2000年(平成12年)3月1日 - 東京証券取引所市場第一部・大阪証券取引所市場第一部に指定。
- 2003年(平成15年)1月21日 - 日本経済団体連合会(経団連)に加盟。
- 2005年(平成17年)4月16日 - 「アイフル被害対策全国会議」が、被害者の会や弁護士・司法書士を中心に結成される。
- 2005年(平成17年)4月18日 - 同会議代表の弁護士が財務省近畿財務局長へ、アイフルに行政処分をするよう申し立てる。
- 2005年(平成17年)9月16日 - 同会議が新聞・民放各社へ、アイフルの広告の掲載・放送を中止するよう申し立てる。
- 2006年(平成18年)4月14日 - 財務省近畿財務局長から、全店舗の業務停止命令を受ける。2ヶ月間、CMの放送などを自粛。
- 2009年(平成21年)9月17日 - 住友信託銀行、あおぞら銀行らに対し、事業再生ADRを利用した私的整理を打診。債務総額3000億円。
- 2009年(平成21年)9月24日 - 事業再生ADRの利用を事業再生実務家協会に申請、同日受理される。
- 2010年(平成22年)4月2日 - 大阪証券取引所上場廃止(東証1部は存続)。
- 2011年(平成23年)7月1日 - 株式会社シティズと株式会社ライフの子会社2社を吸収合併。
グループ企業
- クレジットカード・信販・ローン
- ライフカード株式会社(アイフル 100%、2010年(平成22年)7月設立、2011年(平成23年)7月ライフから分割承継)
- 不動産担保ローン、事業者ローン
- 債権回収業
- ベンチャーキャピタル
かつてのグループ企業
- 2009年(平成21年)9月30日にネオラインキャピタルに売却された4社。
- 2007年(平成19年)3月にアイフルが吸収合併したインターネット無担保ローン子会社。
- ネットワンクラブ株式会社(アイフル 100%、2005年(平成17年)9月設立)
- idクレジット株式会社(アイフル 100%、2005年(平成17年)9月設立)
- 2011年(平成23年)7月にアイフルが吸収合併した子会社2社。
事業縮小
同社は、2008年(平成20年)以降経営悪化が表面化してきておりグループの縮小、事業縮小をしている。2007年(平成19年)4月までには12社以上をアイフル社の傘下にしていたが、経営悪化を原因に2010年(平成22年)11月現在7社までに縮小している。 過去に同社の傘下だった会社は下記の通り。
- トライト 主に消費者向けのノンローン商品を扱っていた。 2004年(平成16年)4月同社によって設立。2009年(平成21年)に旧・かざかファイナンスグループのネオラインキャピタルに売却された。
- ワイド 主に消費者向けのノンローン商品を扱っていた。 2004年(平成16年)6月同社によって買収。2009年(平成21年)に上記と同じネオラインキャピタルに売却された。
- ティーシーエム 主に消費者向けのノンローン商品を扱っていた。2005年(平成17年)2月同社によって買収。2009年(平成21年)に上記と同じネオラインキャピタルに売却された。
- パスキー 主に消費者向けのノンローンを扱っていた。2005年(平成17年)3月同社によって買収。2009年(平成21年)に上記と同じネオラインキャピタルに売却された。
CM
- 1980年代は、あべ静江がメインで出演し、少女と窓際で佇み、少女のズボンのポケットには何も入っていなかったが、あべ静江のポケットからはハートの形をしたアクセサリーを出して「愛のある マネーポケット」とコピーを言う作品などのTVCMが放送されていた。
- 1990年代前半は松本伊代を起用したり(キャッチは「生活じょーず、アイフル」)、関西だけのローカルコマーシャルで同社の自動契約機「お自動さん」とともに知られるようになった(後に全国展開)。
- 1990年代末期は辰田さやからの「アイフル・ユー」
- 2001年から和田聰宏らの「どうする? アイフル!」シリーズ(スキューバーダイビングやバイクのツーリングに誘われ、待ち合わせ時にシュノーケリングの格好や自転車といった貧相な恰好で笑顔で登場し、仲間が唖然とし、男声で「どうする? アイフルー」と驚愕的に歌うBGMが入るもの)。ジングルの作曲は川嶋可能。
- 2002年(平成14年)8月15日からビーコン・コミュニケーションズが制作したチワワのくぅ〜ちゃんを使ったテレビCM(一作目は「ペットショップ編」)が有名となっていく。CMキャラクターは、俳優の清水章吾と本多彩子が父娘の役柄で出演していたが、2003年(平成15年)後半頃に娘が結婚するという作品を以て本多が実質降板したため、清水とくぅ〜ちゃんのみとなる。先代のジングルである「どうする? アイフル」は、女声が語りかけるように歌うソフトなアレンジへ変更され、継続使用された。
- 2007年(平成19年)4月からタレントのうえむらちかを女性店員役に起用したCMが放送されている(BGMはサクソフォーン四重奏)。
チワワなどを使ったテレビCMなどについて、2006年(平成18年)1月18日、「アイフル被害対策全国会議」が社団法人日本広告審査機構(JARO)に中止や適正化を求める苦情申し立てを行った。同会議は「CMでは実質年率が28.835%と表示しているが、これが利息制限法違反の無効な金利であることを示しておらず、視聴者に誤解を与える。また、小さくて可愛らしい愛玩動物であるチワワなどを使って現実と懸け離れたソフトなイメージの宣伝広告を行っている」という理由を示している。
これが直接作用してCM放映が中止されることは無かったが、同年4月に全店を対象とした業務停止命令処分を当局から受け、2006年(平成18年)4月14日から、CMの放送などを自粛。これによりチワワが登場するシリーズのCMは打ち切られた。当初、2ヵ月の自粛と発表されたものの、長期にわたりCMは放送されなかった。2007年(平成19年)1月19日の放送分からCM及び提供クレジットが再開された。
2007年(平成19年)12月20日放送の日本テレビ「くちコミジョニー」に、チワワのCMに出演していたパパ役の清水章吾の娘が、この人の親が誰かを当てるコーナーで出演した。その際には、チワワのCMに関して「大人の事情で流せません」と説明が入った。
- 2012年(平成24年)4月からは、お笑いコンビのバナナマン(設楽統・日村勇紀)とお笑いタレントのいとうあさこの出演によるCMが放送されている。CM内容はバナナマンバージョンといとうバージョンの2作が製作されている。なお2014年(平成26年)にはバナナマンに加え、スギちゃんとたんぽぽ(白鳥久美子・川村エミコ)が出演するバージョンが制作された。
CMソング
- Heartful Dream - 橋本一子
- いつも心は - 橋本一子
- 恋人のように - 辰田さやか
- 恋の技を決めてあなたを振り向かせる。 - ハナエリカ
- 人間なのさ - ガガガSP
- お地蔵サンバ - Satchomo(小林幸子)
脚注
注
出典
関連項目
- ビーコン・コミュニケーションズ - 広告代理店
- ホリプロ - CM制作会社。
- ザ・ゴルフトーナメントin御前崎
- 日本保証 - ロプロ(旧・日栄)時代、同じ京都に本社があった金融業者
- 日本電気 - 通称NEC。社内システムに関与している。