トリプルスリー
トリプルスリーとはプロ野球において、打者が同一シーズンに「打率3割以上・本塁打30本以上・盗塁30個以上」の成績を記録することを言う。
目次
概要
トリプル3とも表記、もしくはトリプル30(3割=30%)とも呼ばれ、日本では「3割30本30盗塁」とも呼ばれる。この記録が脚光を浴びるようになったのは、1983年に簑田浩二が達成してからである。
野球の攻撃分野において隙の無い好打者であることを証明するものとされ、これを目標とする打者も多い。アメリカメジャーリーグでは、トリプルスリーはあまり注目されることがない。ホームランと盗塁の組み合わせは取り上げられる(30-30、40-40、30-50などという)。また、メジャーリーグには3割40本塁打40盗塁を記録した選手も存在している。
生涯成績では張本勲が「打率3割以上・本塁打300本以上・盗塁300個以上」を日本プロ野球で唯一記録している。張本は1963年に33本塁打、41盗塁を記録したが打率.280でトリプルスリーを逃した。
川上哲治は1950年、長嶋茂雄は1958年(入団初年度)に、いずれも本塁打1本の差でトリプルスリーを逃した。特に長嶋は一塁を踏み忘れて「幻の本塁打」となった1本があったために記録を逃した[1]。また、青田昇は1950年に盗塁1個の差でトリプルスリーを逃している。小鶴誠も1950年に打率.355、51本塁打、28盗塁を記録したが、盗塁が2個足りず逃している。
日本プロ野球での達成者
名前 |
年 |
達成時の所属球団 |
打率 |
本塁打 |
盗塁 |
備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
テンプレート:Display none岩本義行 | 1950年 | 松竹ロビンス | .319 | 39 | 34 | 日本で最初の達成者。 |
テンプレート:Display none別当薫 | 1950年 | 毎日オリオンズ | .335 | 43 | 34 | 打点王も獲得。 |
テンプレート:Display none中西太 | 1953年 | 西鉄ライオンズ | .314 | 36 | 36 | 打点王も獲得。30盗塁はこの年のみ。 |
テンプレート:Display none簑田浩二 | 1983年 | 阪急ブレーブス | .312 | 32 | 35 | 1980年にはNPB史上唯一の30本塁打・30盗塁・30犠打も記録。 |
テンプレート:Display none秋山幸二 | 1989年 | 西武ライオンズ | .301 | 31 | 31 | 30本塁打・30盗塁は1987年、1990年にも記録。 |
テンプレート:Display none野村謙二郎 | 1995年 | 広島東洋カープ | .315 | 32 | 30 | 左打者では初。30本塁打はこの年のみ。 |
テンプレート:Display none金本知憲 | 2000年 | 広島東洋カープ | .315 | 30 | 30 | 左打者。30盗塁はこの年のみ。30号本塁打は最終戦で達成。 |
テンプレート:Display none松井稼頭央 | 2002年 | 西武ライオンズ | .332 | 36 | 33 | 両打ちでは初。 |
- 太字はシーズン最多。
主なデータ
打率傑出度(Relative Batting Average)
リーグ平均打率を.270とし、達成者の打率とリーグ平均打率は小数点第四位を四捨五入して計算(打率÷リーグ平均打率×.270)。投手の打席も含む。
名前 |
年 |
達成時の所属球団 |
打率 |
リーグ平均打率 |
上記の計算による値 |
DH制 |
---|---|---|---|---|---|---|
テンプレート:Display none松井稼頭央 | 2002年 | 西武ライオンズ | .332 | .255 | .352 | 有 |
テンプレート:Display none別当薫 | 1950年 | 毎日オリオンズ | .335 | .260 | .348 | 無 |
テンプレート:Display none中西太 | 1953年 | 西鉄ライオンズ | .314 | .247 | .343 | 無 |
テンプレート:Display none野村謙二郎 | 1995年 | 広島東洋カープ | .315 | .255 | .334 | 無 |
テンプレート:Display none岩本義行 | 1950年 | 松竹ロビンス | .319 | .265 | .3250 | 無 |
テンプレート:Display none金本知憲 | 2000年 | 広島東洋カープ | .315 | .262 | .3246 | 無 |
テンプレート:Display none簑田浩二 | 1983年 | 阪急ブレーブス | .312 | .270 | .312 | 有 |
テンプレート:Display none秋山幸二 | 1989年 | 西武ライオンズ | .301 | .266 | .306 | 有 |
本塁打傑出度
Relative Batting Averageの計算に倣い、リーグ総本塁打数を800本塁打として計算(本塁打数÷リーグ総本塁打数×800)。投手の打席も含む。
名前 |
年 |
達成時の所属球団 |
本塁打 |
リーグ総本塁打数 |
1試合当たりのリーグ総本塁打数 |
上記の計算による値 |
DH制 |
リーグ球団数 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
テンプレート:Display none中西太 | 1953年 | 西鉄ライオンズ | 36 | 386 | 0.92(計420試合) | 75 | 無 | 7 |
テンプレート:Display none別当薫 | 1950年 | 毎日オリオンズ | 43 | 624 | 1.49(計420試合) | 55 | 無 | 7 |
テンプレート:Display none岩本義行 | 1950年 | 松竹ロビンス | 39 | 933 | 1.69(計553試合) | 33.4 | 無 | 8 |
テンプレート:Display none松井稼頭央 | 2002年 | 西武ライオンズ | 36 | 869 | 2.07(計420試合) | 33.1 | 有 | 6 |
テンプレート:Display none野村謙二郎 | 1995年 | 広島東洋カープ | 32 | 790 | 2.02(計391試合) | 32 | 無 | 6 |
テンプレート:Display none金本知憲 | 2000年 | 広島東洋カープ | 30 | 818 | 2.01(計407試合) | 29.3 | 無 | 6 |
テンプレート:Display none簑田浩二 | 1983年 | 阪急ブレーブス | 32 | 882 | 2.26(計390試合) | 29.0 | 有 | 6 |
テンプレート:Display none秋山幸二 | 1989年 | 西武ライオンズ | 31 | 893 | 2.29(計390試合) | 28 | 有 | 6 |
備考
日本プロ野球では1975年からパリーグにおいてDH制を導入している。
30本30盗塁達成者
3割未達の30本塁打30盗塁達成者(メジャーリーグでいう30-30クラブ)は4名で5度記録されている。
名前 |
年 |
達成時の所属球団 |
打率 |
本塁打数 |
盗塁数 |
備考 |
---|---|---|---|---|---|---|
テンプレート:Display none張本勲 | 1963年 | 東映フライヤーズ | .280 | 33 | 41 | |
テンプレート:Display none簑田浩二 | 1980年 | 阪急ブレーブス | .267 | 31 | 39 | 同年に30犠打も達成 |
テンプレート:Display none秋山幸二 | 1987年 | 西武ライオンズ | .262 | 43 | 38 | |
テンプレート:Display none秋山幸二 | 1990年 | 西武ライオンズ | .256 | 35 | 51 | |
テンプレート:Display none井口忠仁 | 2001年 | 福岡ダイエーホークス | .261 | 30 | 44 |
- 太字はリーグ最多。
アメリカメジャーリーグでの達成者
名前 |
年 |
球団 |
打率 |
本塁打 |
盗塁 |
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ケン・ウィリアムズ | 1922年 | セントルイス・ブラウンズ | .332 | 39 | 37 |
ウィリー・メイズ | 1957年 | ニューヨーク・ジャイアンツ | .333 | 35 | 38 |
ハンク・アーロン | 1963年 | ミルウォーキー・ブレーブス | .319 | 44 | 31 |
デール・マーフィー | 1983年 | アトランタ・ブレーブス | .302 | 36 | 30 |
ホセ・カンセコ | 1988年 | オークランド・アスレチックス | .307 | 42 | 40 |
バリー・ボンズ | 1990年 | ピッツバーグ・パイレーツ | .301 | 33 | 52 |
ロン・ガント | 1990年 | アトランタ・ブレーブス | .303 | 32 | 33 |
バリー・ボンズ | 1992年 | ピッツバーグ・パイレーツ | .311 | 34 | 39 |
バリー・ボンズ | 1996年 | サンフランシスコ・ジャイアンツ | .308 | 42 | 40 |
ダンテ・ビシェット | 1996年 | コロラド・ロッキーズ | .313 | 31 | 31 |
エリス・バークス | 1996年 | コロラド・ロッキーズ | .344 | 40 | 32 |
ラリー・ウォーカー | 1997年 | コロラド・ロッキーズ | .366 | 49 | 30 |
ラウル・モンデシー | 1997年 | ロサンゼルス・ドジャース | .310 | 30 | 32 |
アレックス・ロドリゲス | 1998年 | シアトル・マリナーズ | .310 | 42 | 46 |
ジェフ・バグウェル | 1999年 | ヒューストン・アストロズ | .304 | 42 | 31 |
ウラジミール・ゲレーロ | 2001年 | モントリオール・エクスポズ | .307 | 34 | 37 |
ウラジミール・ゲレーロ | 2002年 | モントリオール・エクスポズ | .336 | 39 | 40 |
アルフォンゾ・ソリアーノ | 2002年 | ニューヨーク・ヤンキース | .300 | 39 | 41 |
ボビー・アブレイユ | 2004年 | フィラデルフィア・フィリーズ | .301 | 30 | 40 |
デービッド・ライト | 2007年 | ニューヨーク・メッツ | .325 | 30 | 34 |
ハンリー・ラミレス | 2008年 | フロリダ・マーリンズ | .301 | 33 | 35 |
ジャコビー・エルズベリー | 2011年 | ボストン・レッドソックス | .321 | 32 | 39 |
マット・ケンプ | 2011年 | ロサンゼルス・ドジャース | .324 | 39 | 40 |
ライアン・ブラウン | 2011年 | ミルウォーキー・ブルワーズ | .332 | 33 | 33 |
マイク・トラウト | 2012年 | ロサンゼルス・エンゼルス | .326 | 30 | 49 |
ライアン・ブラウン | 2012年 | ミルウォーキー・ブルワーズ | .319 | 41 | 30 |
- 1人の達成最多回数は、バリー・ボンズの3回。