寿都町
寿都町(すっつちょう)は、北海道後志総合振興局管内にある町。寿都郡に属す。
目次
地理
寿都湾に面した日本海側の町。町は、朱太川をはさんで寿都側と歌棄(うたすつ)側に大きく分けられている。主に山岳地帯と海岸地帯で形成されており、平野部は朱太川沿いと河口付近のみである。山岳地帯の最高峰は寿都幌別岳頂上の892.3m。海岸は岩礁部分が大半であり、砂浜は朱太川河口(浜中海浜)など数カ所しかない。
気候
ケッペンの気候区分では西岸海洋性気候に属する。対馬暖流の影響で北海道の中では比較的温暖な気候である。春から夏にかけては「だし風」と呼ばれる強風が吹く日が多い。これは、噴火湾から寿都湾にかけての黒松内低地帯が徐々に狭まっていることにより、南風や南東風が強まりやすいためである。だし風の吹くときには、太平洋側から低い雲(層雲)が流れ込んでくる時も多く、日本海側の他の町が晴れているときであっても寿都(特に朱太川から西の地域)だけは曇ったり霧雨が降っていることがある。冬は、西高東低の気圧配置による北西季節風の影響で雪の降る日が多く、日照時間はきわめて少ない。年間の最大積雪深の平年値は73cm。強風を利用した風力発電所が朱太川河口、寿都温泉付近、月越山脈のふもとの三カ所に建てられている。なお、寿都測候所で観測された最大風速の記録は49.8m/s(1952年4月15日)。これは北海道の全ての気象台、測候所の中でも最大の記録である。
植生
全面積(9536ha)のうち森林が7439haと78%を占める。そのうち国有林が25%、道有林が38%、民有林(町有林および私有林)が37%。林種別に見ると、天然林が大半であり78%、人工林が12%、その他が10%となっている。樹種はカラマツ、トドマツなどの針葉樹、ブナ、シラカンバなどの広葉樹が見られる。また、強風のため偏形樹が多く見られる。2006年(平成18年)8月の黒松内森林事務所による調査で、北海道一大きなミズナラがあることが分かった(幹周689cm)。また、2007年(平成19年)4月には、国内最北のブナ林が弁慶岬付近にあることが確認された(それまで最北とされていた蘭越町ツバメ沢よりも約1.5km北)。 おそらく、最低標高のブナの群生も発見されている。
隣接している自治体
地名の由来
- アイヌ語の地名「スッツ」に由来する。永田方正『北海道蝦夷語地名解』によると、語源はシュプキペッ(Syupki-pet)で「矢柄に用いる茅のある川」の意であるという。なお同書によれば、アイヌ語の「シュフ」に由来し「葦や荻が多い岩崎」の意とする説もあるとされるが、永田はこれを否定している。
沿革
- 1669年 この頃、和人が集落を形成し、商場所(寿都場所)で交易が盛んに行われる。(寿都町の開基はこの年である)
- 1688年 神威岬から北への婦女子通行禁止令が敷かれ、このため寿都地方に土着する者が増える。
- 1855年 松前藩領を上知、公議御料となる。
- 1859年 津軽藩領となり陣屋が築城される。
- 1869年 寿都郡、歌棄郡、磯谷郡などの後志国17郡が設定される。
- 1872年 寿都郡、歌棄郡、磯谷郡に戸長を置く。
- 1879年(明治12年) 寿都郡役所、歌棄郡役所、磯谷郡役所が設置される。
- 1897年(明治30年) 寿都支庁が置かれ、寿都、歌棄、磯谷、島牧の4郡を管轄する。
- 1900年(明治33年) 1級町村制を施行し、寿都町となる。
- 1902年(明治35年) 磯谷村が2級町村制を施行する。
- 1906年(明治39年) 歌棄村が2級町村制を施行する。
- 1910年(明治43年) 寿都支庁が廃止され、後志支庁の管轄となる。
- 1923年(大正12年) 樽岸村が2級町村制を施行する。
- 1933年(昭和8年)10月1日 政泊村を合併する。
- 1955年(昭和30年)1月15日 寿都町、樽岸村(中の川を除く)、歌棄村、磯谷村の1町3村が合併し、新しい「寿都町」となる。
行政
役場
- 町長:片岡春雄(2005年10月に無投票当選。)
- 町議会:定数10(2007年10月の議会議員選挙で12から2削減)
- 町村合併問題:島牧村・黒松内町・寿都町任意合併協議会が2004年(平成16年)2月26日に解散している。
- ゴミ処理:南後志衛生施設組合(島牧村、黒松内町、寿都町)で行っている。
- 組織
- 企画課
- 総務課
- 財政課
- 町民課
- 産業振興課
- 施設課
- 出納課
- 教育委員会
- 議会事務局
- 町立診療所(家庭医療で有名。NHKクローズアップ現代でも取り上げられた)
国の機関
道の機関
- 後志総合振興局寿都社会福祉事務出張所
消防
- 岩内・寿都地方消防組合消防署寿都支署
経済
産業
日本海に面しているため、漁業が盛ん。かつてはニシン漁で栄えた。現在はコウナゴから作る生炊きしらす、寿ガキなどが全国的に有名。農業については、だし風という土地柄からあまり盛んではない。小さな町だが菓子屋が多く、有名なわかさいもは実は寿都が発祥の地である。
- 漁業
- 農業
- 長芋(寿都町字樽岸町浜中で栽培されている)
金融機関
漁協
- 寿都町漁業協同組合
郵便局
- 寿都郵便局(集配局)
- 磯谷郵便局
- 歌棄郵便局
宅配便
公共機関
警察
地域
人口
教育
かつてあった学校
- 中学校
- 湯別、歌棄、磯谷、樽岸
- 小学校
- 湯別、歌棄、美谷、磯谷、樽岸、政泊、横澗
交通
バス
道路
- 一般国道
- 都道府県道
- 道の駅
鉄道
かつて寿都鉄道が黒松内駅-寿都駅間に存在したが、1968年に休止、その後廃止。
通信
市外局番は0136(倶知安MAエリアも0136だが互いに市外局番からかける必要がある。寿都郡黒松内町と島牧郡島牧村へかける場合のみ市外局番なしでかけられる)。
市内局番は60〜69。うち、NTT東日本が使用している番号は62〜67。
名所・旧跡・観光スポット・祭事・催事
名所
旧跡
- 寿都劇場(取り壊された)
- 鰊御殿(宿泊可能)
- 漁場建築佐藤家(北海道指定有形文化財。通常は公開されていないが、催事の際などに見学可能)
- 追分記念碑(江差追分の「忍路高島およびもないがせめて歌棄磯谷まで」の歌棄・磯谷は寿都町内)
- 津軽藩寿都陣屋跡 - 現在寿都町総合文化センターがあり、遺構は残されておらず説明板が当時を偲ばせる。
観光スポット
- ウィズコム(寿都町総合文化センター。館内に文化財展示室あり。)
- 磯谷高地
- 町民スキー場
- 風力発電所
- 寿都風力発電所 - 寿都町字六条町に設置。5基。総発電能力82.5kW(16.5kW×5)。1989年稼働開始。自治体の風力発電所としては全国初。最初の風力発電は今では珍しい二枚羽であった。カントリーサインはこの最初の風力発電所を描いている。立地条件の悪さによる稼働率の低さと施設の老朽化のため2000年に休止、2006年に廃止。
- 寿都温泉ゆべつのゆ風力発電所 - 寿都温泉に隣接して設置。1基。発電能力230kW。1999年稼働開始。現在も運用中。
- 寿の都風力発電所 - 寿都湾沿岸部に設置。3基。総発電能力1800kW(600kW×3)。2003年稼働開始。現在も稼働中。
- 風太風力発電所 - 寿都湾沿岸部(寿の都風力発電所の西側)に設置。5基。総発電能力9950kW(1990kW×5)。2007年稼働開始。現在も稼働中。発電所名は町のマスコットキャラクター「風太」から。
- 風太風力発電所(第二) - 風太風力発電所に2基増設。発電能力2300kW×2。2011年稼働開始。現在も稼働中。
祭事
催事
- 寿カキふるさと祭り(毎年5月中旬から下旬)
- 寿都港おさかな市(せり体験など。毎年6月初旬。)
- 大磯サマーストリートパラダイス(大磯商店街主催。道内歌手によるコンサートなど。毎年7月)
- 弁慶祭り(弁慶行列など。漫画家の本庄敬と小学生らが漁港の堤防に風太くんのイラストを描くという催しもあった。2004年で中止。以降は寿都ふるさと祭りに替わった)
- 寿都ふるさと祭り(2005年から始まった。盆踊りと花火大会。殻つきウニや焼きホタテなど地元海産物の屋台が出る。毎年8月お盆)
- 新栄町納涼会(毎年8月)
- 全町歩こう会(毎年10月初旬)
- 湯さこい秋祭り(毎年10月上旬)
ケーブルテレビ
もともと、寿都町はテレビ電波が直接届くには障害の多い地区で、昔からテレビ電波だけでなくラジオ放送も届きにくい難視聴地域だったため、近くの山奥に共同アンテナを建てて各戸にテレビを配信して観ていた。今は、隣の町(蘭越町港町)に寿都中継局が設置されたため、個別にアンテナを建てて見られる状況にあるが、寿都町は海岸線のため、特に塩害や強風による風雪害、カラス等による鳥害でアンテナの寿命が極端に短いとあって、現在もテレビ寿都放送による共同受信を行っている。
1977年(昭和52年)から足かけ3年を経て北海道電波監理局(後に北海道電気通信監理局 現在の北海道総合通信局)より個人局として北海道で初めて許可を受ける。
1979年(昭和54年)1月8日より自主放送開始。現在は、小学校の運動会やお祭りなどの放送をしている。 テンプレート:Main
マスコットキャラクター
漫画家の本庄敬によりデザインされた風を受け飛んでいるわんぱく坊主である「風太」というマスコットキャラクターがいる。マンホールのふた、消防車のペイント、街灯、特産品の袋、寿都漁港堤防の壁画、町内一部店舗で買い物をした際にもらえる「風太くんスタンプ」など、寿都町内ではいたるところで見ることが出来る。
イメージソング
作詞中谷純平、作曲原譲二、歌北島三郎による「風のロマン」と「弁慶岬」。1997年(平成9年)7月に日本クラウンからシングル発売されたが、ヒットはしなかった。シングルCD、シングルカセットは役場などで購入できる。日本クラウンの北島三郎大全集にも収録されている。歌詞はこちら[1]。
文化
寿都町が登場する作品
漫画
出身著名人
政界・官界・経済界
- 薄田美朝(第51代警視総監・衆議院議員)
- 松井源内(元衆議院議員・旧寿都汽船株式会社長・旧寿都倉庫株式会社長)
- 佐藤榮右衛門(元衆議院議員)
- 澤田利吉(元衆議院議員・旧北海道日日新聞社長)
- 田原賢一(雄武町長)
- 若狭函寿(わかさいも本舗創業者)
- 田井直治(元田井自動車工業社長)
- 吉田弘(元ザ・ウィンザーホテルズインターナショナル顧問)
学術・文化・芸術
- 小池毅(医師・細菌学者、北里柴三郎の助手も務めた)
- 川村米一(元北海道大学文学部教授)
- 清水哲也(元旭川医科大学学長・同大学名誉教授・体外受精の権威)
- 前野一夫(千葉大学工学部教授、生まれは小樽市)
- 齋藤健一(元弘前大学教授)
- 荒谷七生(詩人・作家・郷土史家)
- 荒谷松葉子(俳人)
- 菅谷明子(ジャーナリスト・経済産業研究所研究員)
- 菊地秀一(画家)
- 橋本勘介 (備前焼作家)
- 兼古隆雄(ギタリスト)
- 本庄敬(漫画家)
芸能・マスコミ
- 南波糸江(タレント・モデル・ウェザーニュースお天気キャスター)
- 小林昌視(歌手:湯別メインストリート)
- 越前谷直樹(歌手:湯別メインストリート)
- 越前谷玲奈(札幌ドームボールガール・元HBCトピッカー)
- 小笠原まさや(お笑い芸人、占い師)
スポーツ
その他
出身ではないが関わりの深い人たち
- 葛西善蔵(作家、弘前市生まれ、幼少の一時期を寿都で過ごす)
- 箕輪登(元郵政大臣・元自民党副幹事長、1946年から1952年まで寿都で医師として過ごす)
- 上戸彩(女優、寿都に父親の実家がある)
- 一十三十一(シンガーソングライター、父親は下村泰山(前出))
- 高橋太郎(コロンビア大学地球科学研究所副所長、寿都の若狭屋老舗が父親の実家)
- 畑金吉(元寿都町長・旧寿都鉄道創立者、福井県生まれ)
関連項目
外部リンク
脚注