ヤリイカ

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ヤリイカ(生、100g中)の主な脂肪酸の種類[1][2]
項目 分量(g)
脂肪総量 1
脂肪酸総量 0.49
飽和脂肪酸 0.18
一価不飽和脂肪酸 0.05
多価不飽和脂肪酸 0.26
18:2(n-6)リノール酸 0.002
18:3(n-3)α-リノレン酸 0
20:4(n-6)アラキドン酸 0.009
20:5(n-3)エイコサペンタエン酸(EPA) 0.003
22:6(n-3)ドコサヘキサエン酸(DHA) 0.17

ヤリイカ(槍烏賊、テンプレート:Snamei)は、ツツイカ目ヤリイカ科[3]ヤリイカ属ロリゴ属テンプレート:Snamei属)の一に分類されるイカヨーロッパヤリイカ (英:European squid、学:テンプレート:Snamei) を模式種とする テンプレート:Snamei 16種(異説あり)の中の一種である。

ケンサキイカ (テンプレート:Snamei) は同属異種[4]

呼称

標準和名「ヤリイカ」は、全体的な姿形がの穂に似ていることから、漁師の間でそのように呼ばれたのが始まりとされている。流通名・地方名には、「ササイカ(笹烏賊)」「サヤナガ」「テナシ」「テッポウ」「シャクハチイカ(尺八烏賊)」などがある。

英語でも spear squid (スピアー・スクィッド。「槍イカ」の意)といい、学名記載者の名をとって Bleeker's squid とも呼ばれる。

生物的特徴

形態と生態

が薄いで覆われていることを特徴とする閉眼類(閉眼亜目とも称)に属す。外套[5]40cm程度(オスが約30 - 40cm、メスは約20 - 30cm)で、その胴体は細長く円錐形である。通常は透明性の高い体色をしているが、興奮時には茶褐色の色素を強くする。

北海道から九州までの日本列島沿海、および、朝鮮半島・九州・中国上海周辺の3地域に囲まれた海域、すなわち、黄海全域と東シナ海東部海域に分布する。

早春から産卵期に入り、各地の沿岸に集まってくる。よって、が漁獲期となる。

ヤリイカは、約10年周期で漁獲量(資源量、生物量)が増減することが分かっている[6]。また、北太平洋にあるアリューシャン低気圧の勢力が増すとヤリイカは減少し、低気圧の衰退を受けて増加に転じる。冬の水温が摂氏7度以下になると孵化率が下がり、資源量は減少する。

モデル生物

ヤリイカは生物学では神経生理のモデル生物としても用いられる。非常に太い神経線維無髄の巨大軸索)と、巨大なシナプスを具えているためである。

人間との関係

食文化

日本では刺身寿司だねとして生食に多く使われ、また、一夜干し、直火焼き、煮付け塩辛でも食される。また、内臓と眼球を取り除き、天日などで乾燥させてスルメにも加工される。ヤリイカのスルメは特に「竹葉」「するめ」などの雅名を持ち、また、ケンサキイカとともに最高の等級とされ、「一番するめ」の名で呼ばれている。

人工飼育

イカ、とりわけヤリイカ科のイカは飼育が非常に難しく、ノーベル生理学・医学賞受賞者で動物行動学の権威であったコンラート・ローレンツは、かつて著書の中で「人工飼育が不可能な動物」として唯一イカを挙げていた。1970年代前半までの動物学会では、それが共通の認識であった。しかし、1975年、専門外であった脳科学者松本元電子技術総合研究所において水槽内でのヤリイカの飼育に成功したことにより、定説は覆される。ローレンツはただちに現地に赴き、一週間に及ぶ慎重な検証を重ねた結果、率直にこれを認めた。このとき彼は、開発された飼育技術に対し、「全ての水産生物の未来を変える」とまで評価している[7][8]。前述したモデル生物としての生物学的利用にも、この技術の貢献するところは大きい。

ヤリイカの飼育は円形の水槽に回転する水流を生じさせて行う。アンモニア濃度が高くならないよう、アンモニア分解菌(亜硝酸菌)を濾過フィルター内に生息させることにより、技術的に可能となっている。

釣り

日本において娯楽的なイカ漁として人気を博しているものの一つは、ヤリイカ釣りである。

岸壁から釣るには、海底に産卵に際して成熟した成体が接岸する春が絶好のシーズンである。エギ(疑似餌の一種)で手軽に、または、泳がせ釣りの一種で、アジ生餌で10mくらいの深度を泳がせイカに捕食させ、ヤエンと呼ばれる釣具を降ろして掛ける釣法もあり、「ヤエン釣り」と呼ばれている。

脚注

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参考文献

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関連項目

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外部リンク

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  2. 五訂増補日本食品標準成分表 脂肪酸成分表編
  3. 日本では「ジンドウイカ科」の名で通っていたが、ジンドウイカ自体がの代表的位置から外れた分類で再編成された(テンプレート:Snamei から テンプレート:Snamei に変わった)ため、残るもののうちで日本に馴染みのあるヤリイカが新たな和名を代表するものとなった。「ヤリイカ科」を旧来の「ジンドウイカ科」と記す資料が今も数多くあるのは、既に普及している名称を重視する考えの下に立っているからである。
  4. ただし、テンプレート:Snamei 属を細分化する異説では、ヤリイカは テンプレート:Snamei であり、ケンサキイカは別属の テンプレート:Snamei とされる。
  5. 胴部(俗に頭部とも思われている、足以外の部分)を覆う部位が外套で、外套長はその長さ。
  6. ヤリイカの生態 テンプレート:リンク切れ
  7. テンプレート:Cite web
  8. イカの春秋 テンプレート:リンク切れ