セルシウス度
テンプレート:Infobox セルシウス度(セルシウスど、degree Celsius、記号 ℃)は、温度の単位である。国際単位系では、次のように定義されている[1]。
(引用 始め)
- 以前に用いられた温度目盛の定義に由来して,熱力学温度(記号 T)を表すのに,参照温度 T0 = 273.15 K(氷点)からの差を用いて表す方法が,今も広く使われている.この差はセルシウス温度(記号 t)と呼ばれ,次の量方程式により定義される.
- t = T − T0
- セルシウス温度の単位はセルシウス度であり,記号は℃ で,定義によりケルビンの大きさに等しい.温度の差または間隔はケルビンまたはセルシウス度のどちらによっても表すことができ(第 13 回 CGPM,1967-1968年,決議 3),その数値は同じになる.ただし,セルシウス度で表したセルシウス温度の数値はケルビンで表した熱力学温度の数値に対して次の関係を持つ.
- t/℃ = T/K − 273.15
(引用 終わり)
すなわち、「セルシウス度」はケルビンの大きさに等しい温度間隔を表し、「セルシウス温度」は(ケルビンと273.15 Kだけ異なる)温度の高さを表す。しかし、一般にはこの違いが意識されず、混同されることが多い。
定義
日本の計量法での定義は、「ケルビン(K)で表した熱力学温度の値から273.15を減じたもの」[2]である。計量単位令にあるとおり、単に「度」と表記した場合は、セルシウス度を意味する。
その記号は、「℃」 と定められている[3]。
元々の定義は水の凝固点を0度、沸点を100度とするものであった(詳しくは歴史を参照)。
用法
例えばセルシウス度による温度は、日本語では「15 ℃」(読みは、じゅうご どしー)と表現する。日本の計量法体系では、単位記号の「℃」を付して表記するほか、計量法上は、単に「15度」と表現することが許容される。しかし、「摂氏15度」と表現することは許されていない[4]。
場合によっては、同じく「度」という表現を用いる角度や、ファーレンハイト度(華氏温度)と混同される恐れがある。英語では“fifteen degrees Celsius”と読み、“15 deg C”と略記することがある。アメリカ合衆国では、“fifteen degrees centigrade”と読まれることがある。
セルシウス度は、国際単位系(SI)における取り扱いが、他の単位と異なる点がある。
- その定義は、温度のSI基本単位の一つである、熱力学温度ケルビンの項でなされている[5]。
- 一方で、セルシウス度は、「固有の名称と記号で表される一貫性のある SI 組立単位」であるとされ、つぎのように掲げられている[6]。
- 組立量 :セルシウス温度
- 名称 : セルシウス度(注e)
- 記号 : ℃
- 他の SI 単位による表し方 : K
- SI 基本単位による表し方 : (なし)
- (注e) セルシウス度はケルビンの特別な名称で,セルシウス温度を表すために使用される.セルシウス度とケルビンの単位の大きさは同一である.したがって,温度差や温度間隔を表す数値はどちらの単位で表しても同じである.
- 計量単位の名称のつづりには全て小文字を用いることになっている。しかし、セルシウス度(℃)だけは例外であり、その名称のつづりは degree Celsius である(単位 degree は小文字の d からはじまり、その修飾詞である Celsius は人名に由来するので大文字の C からはじまる)[7]。
- 「量の値の書式」では次のようになっている。 数値は常に単位の前に置き,数値と単位を分割するために空白(space)を用いる.この原則は,セルシウス度(degree Celsius)についても適用され,セルシウス温度 t の値を表現するときには,その単位記号である℃ の前に空白を挿入する[8].
- 例:t = 30.2 ℃
- 不適例:t = 30.2℃
- 不適例:t = 30.2°C
歴史
セルシウス度はスウェーデン人のアンデルス・セルシウスが1742年に考案したものに基づいている。当初は現在とは逆に1気圧下における水の沸点を 0テンプレート:℃、凝固点を 100テンプレート:℃としてその間を100等分し、低温領域に伸ばしていた。これは自然環境下において負数を考慮する必要がなくなるという意味がある。しかしその後、定義は凝固点を0テンプレート:℃、沸点を100テンプレート:℃とする現在の方式に改められた。これは、カール・フォン・リンネかセルシウスの用いていた殆どの温度計の製作者であるDaniel Ekströmの換言によるものかもしれないといわれている。
水の沸点と融点の間に100の目盛があることから、この体系のもともとの名称は“centigrade”(「百分度」の意)であったテンプレート:要出典。しかし1948年の第9回国際度量衡総会にて、名称が正式にセルシウスへと変更になった。これには、セルシウス自身の認知のためとSI接頭辞であるセンチ(centi)との衝突からくる混乱(centigradeがgradeという単位の100分の1と勘違いされる)を避けるという目的があった。ただし、現在でも“centigrade”で通じる。
日本や中国では、過去には摂氏度(せっしど)と呼ばれたことがある。摂氏の語源は、セルシウスの中国音訳「摂尓修斯」(シュアルシゥスー、テンプレート:Zh2)から「摂」+人名に付ける接尾辞「氏」で、「摂氏」「温度」になった。
その後の物理的な計測方法の進歩と熱力学温度の採用により、現在の定義は「ケルビン(K)で表した熱力学温度の値から273.15を減じたもの」となっている。つまり水の三重点を0.01テンプレート:℃とし、水の三重点と絶対零度の温度差の273.16分の1を1テンプレート:℃としている。「273.16分の1」という数字は、セルシウス度における1度の温度差をそのままケルビンの1度の温度差として使用するためのものである。すなわち、セルシウス度とケルビンの目盛の幅(1度の温度差)は等しい。なお、この定義により水の沸点はちょうど100テンプレート:℃から99.974テンプレート:℃に変更された。
セルシウス度は世界的に使用されるようになっている。イギリスやアイルランドの放送メディアにおいても、センチグレードを用いず、セルシウスと呼ぶようになっている。なお、アメリカ合衆国では日常生活の全般を通じて、依然単独でファーレンハイト度(華氏温度)を用いるか、「センチグレード」との表現で併記している。
単位の換算
- セルシウス度からファーレンハイト度への換算
- <math>\textstyle F=\frac{9}{5}C+32</math>
- ファーレンハイト度からセルシウス度への換算
- <math>\textstyle C=\frac{5}{9}(F-32)</math>
- <math>\textstyle C=\frac{(F+40)}{1.8}-40</math>
符号位置
記号 | Unicode | JIS X 0213 | 文字参照 | 名称 |
---|
- ↑ 「国際文書第8版(2006) 国際単位系(SI)日本語版」[[1]] 2.1.1.5 熱力学温度の単位(ケルビン)、pp.24-25
- ↑ 計量単位令 別表第1 第5号 温度 「セルシウス度又は度」の欄
- ↑ 計量単位規則 別表第2 「温度・セルシウス度又は度」の欄
- ↑ 計量単位令 別表第1 第5号 温度 「セルシウス度又は度」の欄 の表現のとおり
- ↑ 「国際文書第8版(2006) 国際単位系(SI)日本語版」[[2]] 2.1.1.5 熱力学温度の単位(ケルビン)、pp.24-25
- ↑ 「国際文書第8版(2006) 国際単位系(SI)日本語版」[[3]]表 3 固有の名称と記号で表される一貫性のある SI 組立単位、pp.29
- ↑ 「国際文書第8版(2006) 国際単位系(SI)日本語版」[[4]] 5.2 単位の名称、p.43
- ↑ 「国際文書第8版(2006) 国際単位系(SI)日本語版」[[5]] 「5.3.3 量の値の書式」、p.45