絶対零度
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
テンプレート:Otheruseslist 絶対零度(ぜったいれいど、Absolute zero)とは、絶対温度における 0 度で、0 Kと表される。セルシウス度で表せば −273.15 ℃、ファーレンハイト度で表せば −459.7 テンプレート:°Fである。
熱力学では最低温度。統計力学では 0 K未満の負温度が存在する。
概要
温度は、物質の熱振動をもとにして規定されているので、下限が存在する。それは、熱振動(原子の振動)が小さくなり、エネルギーが最低になった状態である。この時に決まる下限温度が絶対零度である。古典力学では、エネルギーが最低の状態とは、原子の振動が完全に止まった状態である。
ただし量子力学では、不確定性原理のため、原子の振動が止まることはなく、エネルギーが最低の状態でも零点振動をしている。
熱力学第三法則によれば、ある温度(0 Kよりも大きい温度)をもった物質を、有限回の操作で絶対零度に移行させることはできない。
絶対零度に近い極低温では、より温度の高い状態では見られない現象がいくつか知られる。それらを扱う分野を低温物理学という。
歴史
ギヨーム・アモントンは温度計の研究の際に、気体の温度と圧力の関係を調べて、空気の温度を下げていくと、ある温度で圧力がゼロになるはずだとの判断を得た。彼はその温度を −240 ℃ と推定した。彼は、圧力がマイナスの値をとれないことから、温度に何らかの下限があるのだと考えた。後にジャック・シャルルとジョセフ・ルイ・ゲイ=リュサックがこれをさらに進めてシャルルの法則を発見し、このときに絶対零度は −273 ℃ であることが示された[1]。
脚注
参考文献
- K.メンデルスゾーン/大島恵一訳、『絶対零度への挑戦』、(1971年)、講談社(ブルーバックス)
関連項目
- 負温度 - 0 K未満の絶対温度。マイナスゼロとも。
- 熱力学温度(絶対温度)
- 統計力学
- 低温物理学
- 物性物理学
- 超伝導
- 超流動
- 4分33秒 - ジョン・ケージによる無音の曲。絶対零度を意識して作曲したともいわれている。