奄美大島

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ファイル:Mangrove in amami.JPG
住用町地区マングローブ原生林

奄美大島(あまみおおしま)は、九州南方海上にある奄美群島の主要なで、単に大島ともいう。

地理

面積712.39km2であり、本州など4島を除くと佐渡島に次ぎ面積5位の島である[1](大きな方から順番に、択捉島-国後島-沖縄本島-佐渡島-奄美大島)。年間の日照時間が日本一短い。大島海峡沿岸や湯湾岳などは奄美群島国定公園の一部となっている。1901年2月12日降雪が記録されているものの、降雪は殆ど見られず、湯湾岳 (694m) や油井岳 (484m) の山頂付近に、ごく稀に雪が積もっているのが確認されたことがあるくらいである。奄美大島の海岸には、サーフィンに適した波がありサーファー達に人気がある。2010年10月に記録的な豪雨が島を襲い、3名が死亡した(奄美豪雨 (2010年))。

自然

植物相

びわタンカンポンカンメロンガジュマルアダンビロウヘゴソテツなどの樹木やバナナパパイヤマンゴーパイナップルなどが、栽培されている。

奄美市住用町地区に、マングローブ(約71km²)がある。同市山岳部には、ヒカゲヘゴなどが生い茂る金作原(きんさくばる)原生林がある。

特別天然記念物(日本国指定)
天然記念物(日本国指定)

以上の天然記念物は地域を定めず指定されている。

鹿児島県指定天然記念物
ホエールウォッチング

近年ザトウクジラの回復が進んだことで、沖縄諸島に次ぐ、本種を中心としたホエールウォッチングの基地としての可能性が注目され始めている。専用の観光協会やネットワークも結成され、商業的展開と環境保護の両立が模索されている[2]

絶滅危惧種
  • セミクジラ(東シナ海における本種の近代(1901年~)における確認はすべてが本島周辺で発生しており、繁殖海域が未だ不明な本種の生態を解明する手がかりになるのではと注目されている。)
  • ミナミハンドウイルカ(本島の大島海峡で発見された事により、国内では初の確認となった。)

歴史

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文化

奄美大島を含む奄美群島は、沖縄県と同様に琉球文化圏と呼ばれるものを構成する部分もある。奄美方言琉球方言の一部でもあり、基本的語彙や表現など沖縄方言との共通点も多い。一方で奄美群島、とりわけ奄美大島の文化は沖縄県よりも九州以北に近い部分も少なからず、中間的である。独自の文化を基層に、時代により九州以北や沖縄本島以南、また中国大陸東南アジア方面などの影響も受けてきた。島を代表する生産品である黒砂糖大島紬は中国大陸方面から伝えられ、焼酎黒糖焼酎)やチヂン(奄美大島独自の太鼓)、高倉は東南アジア方面から伝えられたとも言われる。

1185年壇ノ浦の戦いで敗れ落ち延びてきた平家たちにより、重要無形民俗文化財諸鈍芝居(諸鈍シバヤ)が伝えられ、幾つかの城砦が築かれたとの伝承も残る。

伝統的民謡

民謡島唄と呼ばれ、歌手を唄者と呼ぶ。沖縄民謡と同じく三線が使われるが、島では三味線と呼ばれることも多い。

宗教

島内には各集落ごとに複数の神社が見られるが、仏教寺院は極少ない。ただし神社のほとんどは、江戸時代薩摩藩政時代)頃に土着の信仰から移行し設立された比較的新しいものである。ほかに島北部を中心にカトリック教会が多く見られ、明治以降に設立されている。人口に対するカトリック信者の割合が、国内でも信者の多いとされる長崎県以上と言われる。現在の多くの墓形式は本土と同じであり、沖縄県亀甲墓は見られない。ただし「城間トフル墓群」に代表されるトフルムヤと呼ばれる亀甲墓の前時代形式の墓所が存在する(南西諸島の墓制の北限と言われる)。これは隆起サンゴ礁が形成するに横穴を掘り、風葬したり厨子甕などに遺骨を入れて保管するものである。隆起した砂丘に十数基の横穴墓があり、400年以上前に構築されて以来そのすべてがほぼ完全な形で残り、うち9基が現役のとして使われている。ノロユタと呼ばれ、巫女と比較される民俗信仰が残存している。

伝統的船舶

奄美の伝統的な船舶には板付き舟(イタツケ)と呼ばれる構造船がある。後にサバニと板付き舟の折衷形であるアイノコが考案された。

行政

鹿児島県に属し、以下の市町村からなる。

奄美市以外の町村は全て大島郡に属する。

都市圏

金本良嗣・徳岡一幸によって提案された都市圏。細かい定義等は都市雇用圏に則する。一般的な都市圏の定義については都市圏を参照のこと。

自治体
('80)
1980年 1990年 1995年 2000年 自治体
(現在)
住用村 - - - 名瀬都市圏
59676人
奄美市
笠利町 - - -
名瀬市 名瀬都市圏
49021人
名瀬都市圏
54524人
名瀬都市圏
52324人
龍郷町 - 龍郷町
大和村 - 大和村
宇検村 - - - - 宇検村
瀬戸内町 - - - - 瀬戸内町
※10%通勤圏に入っていない自治体は、各統計年の欄で灰色かつ「-」で示す。

産業

ファイル:Amamifikki50nen-1000yen.jpg
奄美群島復帰50周年記念硬貨(ルリカケス)

農業サトウキビサツマイモの生産が主である。二期作が行われている。漁業マグロ真珠クルマエビタイの養殖が行われている。

奄美群島(大島税務署の管轄区域)でしか認められていない黒糖焼酎の製造が行われている。伝統工芸の大島紬は和服用の生地として極めて評価が高いが、和服を着る習慣の衰退のほか、島内業者による韓国での生産指導・奨励もあって、韓国産や中国産の輸入紬に押され気味であり、一時期は業界で300億円以上もあった売り上げが、いまでは1/30以下まで落ち込んでいる。

観光業 田中一村美術館の他、中部の山岳地帯にある金作原原生林のトレッキング、南部の奄美市住用町のマングローブ林、同じく南部の瀬戸内町の珊瑚礁などが有名である。瀬戸内町内の大島海峡ではシーカヤックも盛んであり、毎年夏には奄美シーカヤックマラソンin加計呂麻が開催されている。

大島に本店を置く金融機関として、奄美大島信用金庫奄美信用組合の二つがある。

交通

空路

奄美空港 - 奄美市
ファイル:It enters the Naze port of the night "Ryukyu express" Kagoshima,JAPAN.jpg
未明の名瀬港に入港する「琉球エキスプレス」(マルエーフェリー)
ファイル:Boarding scenery of "Ferry Kikai" Naze Port Kagoshima,JAPAN.jpg
「フェリーきかい」(奄美海運)乗船風景(名瀬港)
ファイル:Ferry Kakeroma.jpg
南部の古仁屋港と加計呂麻島を結ぶ「フェリーかけろま」

航路

名瀬港(名瀬新港・旧港) - 奄美市
古仁屋港 - 瀬戸内町
  • 奄美海運(マルエーフェリー系列)
    • 鹿児島港(本港) - 喜界島(湾港) - 奄美大島(名瀬新港) - 奄美大島(古仁屋港) - 徳之島(平土野港) - 沖永良部島(知名港)
  • 瀬戸内町 - 「フェリーかけろま」
  • 瀬戸内町 - 「せとなみ」
    • 古仁屋港 - 請島(請阿室・池地) - 与路島

バス路線

一般路線バス

道路

一般国道
主要地方道
道の駅

人物

出身者
在住者
在住者
関連人物

脚注

  1. 国立天文台(編) 平成19年 理科年表 p.565 ISBN 4621077635
  2. Oki K., 2014. Amami whale and dolphin association. retrieved on 28-05-2014

関連項目

外部リンク

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