留萌本線
|} 留萌本線(るもいほんせん)は、北海道深川市の深川駅から留萌市の留萌駅を経て、増毛郡増毛町の増毛駅を結ぶ北海道旅客鉄道(JR北海道)の鉄道路線(地方交通線)である。
目次
路線データ
- 管轄(事業種別)・区間(営業キロ)
- 北海道旅客鉄道(第一種鉄道事業者)
- 深川駅 - 増毛駅間 66.8km
- 北海道旅客鉄道(第一種鉄道事業者)
- 軌間:1067mm
- 駅数:20駅(起終点駅含む)
- 留萌本線所属駅に限定した場合、起点の深川駅(函館本線所属[1])が除外され、19駅となる。
- 複線区間:なし(全線単線)
- 電化区間:なし(全線非電化)
- 閉塞方式:
- 深川駅 - 留萌駅間 : 特殊自動閉塞式[軌道回路検知式]
- 留萌駅 - 増毛駅間 : スタフ閉塞式
- 交換可能駅:2(峠下駅、留萌駅。大和田駅、幌糠駅、恵比島駅、秩父別駅は1986年11月、石狩沼田駅は1994年12月撤去)
全区間が旭川支社の管轄である。"本線"を名乗るJR線の中では、66.1kmの筑豊本線に次いで2番目に路線距離が短い。
運行形態・使用車両
定期列車は普通列車のみの運転で、全列車ワンマン運転。一部の列車は留萌で系統が分割されているが、基本的に全線通しで運転される。深川駅 - 留萌駅間は2 - 3時間に1本、留萌駅 - 増毛駅間は5時間以上運行間隔の開く時間帯がある。下りは1本のみ旭川から函館本線経由で増毛駅に直通する列車も設定されている。交換設備が極限まで撤去されており、増発は難しくなっている。
一部の普通列車は途中駅を通過する。中でも深川駅始発の増毛行始発列車の深川駅 - 留萌駅間は石狩沼田駅・峠下駅・大和田駅にのみ停車する。早朝と夜には旭川運転所 - 旭川駅 - 留萌駅・増毛駅間に回送列車が設定されており、深川駅発着の始発や最終列車も旭川駅を経由し、旭川運転所発着で回送される。
車両はキハ54形気動車の限定運用で、ほぼ1両編成(単行)で運転される。かつてはキハ40形気動車やキハ150形気動車(キハ54形気動車の改造による一時的な代走として)も運用していた。
このほか、毎年4月末から5月のゴールデンウィークを中心とする時期にはトロッコ列車「増毛ノロッコ号」が運行されている。
1990年3月10日からは快速「るもい」が1往復運転されていたが、1995年4月1日に廃止された。停車駅は深川駅・秩父別駅・石狩沼田駅・峠下駅・留萠駅であった。また、かつては留萌駅・増毛駅発着や羽幌線直通の急行列車「るもい」「かむい」「ましけ」「はぼろ」も運転されていたが、相次いで廃止された。
SLすずらん号
1998年12月、NHKの連続テレビ小説『すずらん』の撮影が、真岡鐵道から蒸気機関車C12 66を借入れて行なわれた。これを機に、JR北海道においてもC11 171が動態復元され、本路線でもこれを使用した「SLすずらん号」が1999年5月から不定期で運転されていたが、2006年9月10日を最後に運転を終了した。
SLすずらん号は全車指定席の快速列車として運転していた。留萌駅 - 増毛駅間は全車自由席だった。指定席券は800円と、ほかのJRの蒸気機関車牽引列車(SL列車)と同様、通常の快速列車・急行列車の指定席券よりも高く設定されていた。
2005年運転時の停車駅は、深川駅・秩父別駅・石狩沼田駅・恵比島駅・留萌駅・増毛駅であった。上り増毛発深川行き列車は、留萌駅まで運転して一旦打ち切り、その後2時間ほどしてから留萌駅から深川駅まで運転されていた。これは留萌駅を出ると増毛駅までの全駅が棒線駅で交換設備がないため、増毛駅に到着後すぐに列車を折り返さないと次の列車を増毛方面に運転できないからである。
利用状況
留萌本線の近年の輸送密度は以下の通り。国鉄分割民営化直前の1986年は537人であり、当時の3分の1近くまで激減している。
近年沿線の過疎化が進行しているほか、並行して高規格幹線道路である深川留萌自動車道の整備が進んでおり、今後も当路線の利用増が期待できる要素はないが、2014年時点ではJR北海道と沿線自治体との間で廃線に係る公式な議論は一切なされていない。
歴史
天塩地方随一の良港として栄えた留萌港への石炭や木材、海産物等の輸送のため、北海道鉄道敷設法に規定する予定線として建設されたもので、1910年に留萠まで、1921年に増毛まで全通した。また、羽幌線の一部(留萠駅 - 古丹別駅間)も留萠線として開業している。1941年には、留萠鉄道の貨物線を買収し、同時に留萠駅の構内線とした。
開業以来、線名・駅名の表記は「留萠」、地名などは「留萌」だったが、1997年に留萠から留萌に変更している。
- 1910年(明治43年)11月23日:留萠線深川駅 - 留萠駅間(31.1M≒50.1km)が開業。筑紫駅・沼田駅・恵比島駅・峠下駅・幌糠駅・藤山駅・大和田駅・留萠駅が開業。
- 1921年(大正10年)11月5日:留萠駅 - 増毛駅間(10.4M≒16.7km)が延伸開業。礼受駅・舎熊駅・増毛駅が開業。
- 1924年(大正13年)4月25日:沼田駅が石狩沼田駅に改称。
- 1926年(大正15年)7月1日:瀬越仮乗降場が開業。
- 1927年(昭和2年)10月25日:留萠駅 - 大椴駅間が延伸開業(のちに羽幌線に編入)。三泊駅・小平駅・大椴駅・東留萠信号場が開業。
- 羽幌線の列車は留萠駅を発車すると深川方面の東留萠信号場まで1.3km走行し、同信号場でスイッチバックして羽幌方面に北上していた。これを解消するため、留萠駅に羽幌線用の4・5番ホームを新設し、留萠駅 - 三泊間に新線を敷設した。なお、留萠駅 - 東留萠信号場間は留萠本線・羽幌線の二重戸籍区間だったが新線敷設と共に解消された。
- 1928年(昭和3年)10月10日:大椴駅 - 鬼鹿駅間が延伸開業。鬼鹿駅が開業。
- 1931年(昭和6年)
- 8月15日:鬼鹿駅 - 古丹別駅間が延伸開業。力昼駅・古丹別駅が開業。
- 10月10日:留萠駅 - 古丹別間を羽幌線とし、深川駅 - 増毛駅間が留萠本線になる。
- 1941年(昭和16年)
- 1946年(昭和21年)3月14日:礼受 - 舎熊間にて下り列車最後尾の客車が雪害により脱線し河川中に転落。死者17名、負傷者67名。
- 1954年(昭和29年)11月10日:筑紫駅が秩父別駅に改称。
- 1955年(昭和30年)7月20日:北一己駅が開業。
- 1956年(昭和31年)7月1日:北秩父別仮乗降場・真布仮乗降場が開業。
- 1961年(昭和36年)1月15日:小樽駅・札幌駅 - 留萌駅 - 築別駅間で準急「るもい」が運行開始。
- 1962年(昭和37年)5月1日:札幌駅 - 留萠駅 - 幌延駅間で急行「はぼろ」が運行開始。また、「るもい」運行区間を小樽駅 - 留萠駅 - 増毛駅間に変更。
- 1963年(昭和38年)12月1日:東幌糠仮乗降場・桜庭仮乗降場・阿分仮乗降場・信砂仮乗降場・朱文別仮乗降場・箸別仮乗降場が開業。「るもい」の運行区間を旭川駅 - 留萠駅 - 幌延間に変更し、旭川駅 - 羽幌駅間のみを準急とする。札幌駅直通列車の名称が「かむい」に変更。
- 1965年(昭和40年)10月1日:「かむい」の本線直通列車の名称が「ましけ」に変更。
- 1966年(昭和41年)3月5日:準急行列車制度変更に伴い、「かむい」「るもい」が急行列車に変更。
- 1968年(昭和43年)10月1日:「ましけ」の留萠駅 - 増毛駅間を普通列車化。また、下り列車始発駅を手稲駅に変更。
- 1969年(昭和44年)10月1日:瀬越仮乗降場が臨時乗降場に変更。
- 1970年(昭和45年)10月1日:「ましけ」の上り終着駅を手稲駅に変更。
- 1971年(昭和46年)7月1日:「ましけ」の札幌駅→小樽駅間が快速列車化され、下り列車始発駅が手稲駅から札幌駅に変更。
- 1978年(昭和53年)10月2日:留萠駅 - 増毛駅間の貨物営業が廃止。
- 1980年(昭和55年)10月1日:「ましけ」が廃止。
- 1986年(昭和61年)11月1日:「るもい」「はぼろ」が廃止。
- 1987年(昭和62年)4月1日:国鉄分割民営化により、北海道旅客鉄道が継承。北秩父別仮乗降場・真布仮乗降場・東幌糠仮乗降場・桜庭仮乗降場・阿分仮乗降場・信砂仮乗降場・朱文別仮乗降場・箸別仮乗降場・瀬越臨時乗降場が駅に変更。
- 1989年(平成元年)7月23日:瀬越駅 - 礼受駅間に浜中海水浴場駅が臨時駅として開業。
- 1990年(平成2年)
- 3月10日:快速「るもい」が1往復で運転開始。
- 10月1日:幌糠駅 - 藤山駅間の桜庭駅が廃止。
- 1995年(平成7年)
- 4月1日:快速「るもい」が廃止。
- 8月8日:浜中海水浴場駅が廃止。
- 1997年(平成9年)
- 1998年(平成10年)3月:峠下駅 - 留萌駅間が特殊自動閉塞化。
- 1999年(平成11年)4月1日:深川駅 - 留萌駅間の日本貨物鉄道の第二種鉄道事業が廃止。
- 2005年(平成17年)3月22日:箸別駅 - 増毛駅間で、線路脇の斜面で発生した雪崩に列車が乗り上げ脱線する事故が発生、死傷者なし[4]。
- 2006年(平成18年)3月18日:峠下駅 - 幌糠駅間の東幌糠駅が廃止。
- 2007年(平成19年)5月9日:秩父別駅で通学の高校生ら26名が満員状態の列車に乗車できずタクシーで代行輸送された(詳細は「秩父別駅#その他」参照)。
- 2012年(平成24年)3月7日:箸別駅 - 増毛駅間で、線路脇の斜面から崩れ落ちた雪と土砂に列車が乗り上げ脱線する事故が発生、死傷者なし[5]。
- 2013年(平成25年)1月3日:記録的な大雪により全面運休。深川駅 - 留萌駅間は8日に復旧。留萌駅 - 増毛駅間は17日に復旧。雪による運休としては異例の15日間に及ぶ運休となった[6]。
駅一覧
- 通停(全列車普通列車) … ●:全列車が停車、□:上下列車とも一部列車が通過、▽:下りの一部列車のみ通過、△:上りの一部列車のみ通過
- 線路(全線単線) … ◇・∨:列車交換可、|:列車交換不可
- 全駅北海道内に所在
駅名 | 駅間営業キロ | 累計営業キロ | 通停 | 接続路線 | 線路 | 所在地 |
---|---|---|---|---|---|---|
深川駅 | - | 0.0 | ● | 北海道旅客鉄道:函館本線 | ∨ | 深川市 |
北一已駅 | 3.8 | 3.8 | □ | | | ||
秩父別駅 | 5.0 | 8.8 | ▽ | | | 雨竜郡 秩父別町 | |
北秩父別駅 | 2.4 | 11.2 | □ | | | ||
石狩沼田駅 | 3.2 | 14.4 | ● | | | 雨竜郡 沼田町 | |
真布駅 | 3.4 | 17.8 | □ | | | ||
恵比島駅 | 2.9 | 20.7 | □ | | | ||
峠下駅 | 7.6 | 28.3 | ● | ◇ | 留萌市 | |
幌糠駅 | 6.2 | 34.5 | □ | | | ||
藤山駅 | 5.5 | 40.0 | □ | | | ||
大和田駅 | 4.2 | 44.2 | △ | | | ||
留萌駅 | 5.9 | 50.1 | ● | ◇ | ||
瀬越駅 | 2.1 | 52.2 | △ | | | ||
礼受駅 | 4.0 | 56.2 | ● | | | ||
阿分駅 | 1.3 | 57.5 | △ | | | 増毛郡 増毛町 | |
信砂駅 | 2.7 | 60.2 | △ | | | ||
舎熊駅 | 0.8 | 61.0 | ● | | | ||
朱文別駅 | 1.7 | 62.7 | △ | | | ||
箸別駅 | 1.3 | 64.0 | △ | | | ||
増毛駅 | 2.8 | 66.8 | ● | | |
廃駅・廃信号場
( )内は深川駅からの営業キロ。(臨)は臨時駅。
- 東幌糠駅 : 2006年廃止、峠下駅 - 幌糠駅間 (31.6km)
- 桜庭駅 : 1990年廃止、幌糠駅 - 藤山駅間 (37.2km)
- 東留萠信号場 : 1941年廃止、大和田駅 - 留萌駅間 (48.8km)
- (臨)浜中海水浴場駅 : 1995年廃止、瀬越駅 - 礼受駅間
廃止区間
留萠鉄道が留萌港まで開設した石炭や木材の貨物線だったが、1941年10月1日、買収と同時に留萠駅の構内線に編入された。
- 留萠駅 - 西留萠駅 (1.2km)
- 留萠駅 - 北留萠駅 (1.0km)
- 分岐点 - 仮古丹浜駅 (1.1km)
過去の接続路線
- 深川駅:深名線 - 1995年9月4日廃止
- 石狩沼田駅:札沼線 - 1972年6月19日 石狩沼田駅 - 新十津川駅間廃止
- 恵比島駅:留萠鉄道 - 1969年5月1日休止、1971年4月15日廃止
- 留萠駅(留萌駅):
ロケにおける駅の使用
留萌線の各駅は、さまざまな作品のロケ地として使われている。以下はその事例である。
- 増毛駅 …『駅 STATION』『魚影の群れ』『じゃこ萬と鉄』『網走番外地(さいはての流れ者)』『BOOTLEG FILM』『殺し(KOROSHI)』
- 留萌駅 …『留萌交番日記』『学校II』『歩く、人』
- 恵比島駅 …『すずらん』『てなもんや駅長奮闘記』『氷点』
- 幌糠駅 …『青空に一番近い場所』
なお、ロケでは使用されなかったが、1972年にTBS系列で放送された『ケーキ屋ケンちゃん』では、ケンちゃん一家が北海道旅行した際に、当線の列車と北一己駅が登場していた。
脚注
関連項目
テンプレート:北海道旅客鉄道旭川支社- ↑ 『停車場変遷大事典 国鉄・JR編』JTB 1998年
- ↑ 2.0 2.1 テンプレート:PDFlink - 北海道旅客鉄道、2014年5月9日
- ↑ “<こだま>「留萠駅」から「留萌駅」に”. 北海道新聞 (北海道新聞社). (1997年2月21日)
- ↑ 鉄道事故の概要 運輸安全委員会
- ↑ 鉄道事故の概要 運輸安全委員会
- ↑ テンプレート:Cite web