鷲田清一
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テンプレート:Infobox 哲学者 鷲田 清一(わしだ きよかず、1949年9月2日 - )は、日本の哲学者(臨床哲学・倫理学)。大谷大学教授、大阪大学名誉教授。
目次
来歴
生い立ち
1949年、京都府京都市にて生まれた[1]。京都大学大学院に進み、文学研究科の博士課程を単位取得退学した[1]。
大学教員として
関西大学にて教鞭を執り、教授などを務めた[1]。その後、大阪大学に移り、大学院文学研究科の研究科長や文学部の学部長などを歴任した[1]。さらに、大阪大学の副学長、および、その設置者である「国立大学法人大阪大学」の理事を経て、大阪大学の総長に就任した[1]。2011年、大阪大学総長を退任し[1]、名誉教授となる。同年9月に大谷大学に転じ、文学部哲学科の教授を務めている[1]。
活動
専攻は臨床哲学・倫理学。現象学・身体論を専門としており、ファッションを研究している。また、サントリー学芸賞、桑原武夫学芸賞、読売文学賞評論・伝記賞[2]など各賞を受賞している。
大佛次郎賞、サントリー学芸賞(思想・歴史部門)、河合隼雄学芸賞選考委員[3]などを務める。
また、教育出版の高等学校教科書倫理の著者であり、全128ページ中、82ページを現代社会の諸問題に割くという独自色の強い教科書を作っている。
人物
- 交友
- 詩人の佐々木幹郎は親友。三宅一生、コシノヒロコ、山本耀司などのファッションデザイナーとも親交深い。
家族・親族
息子の鷲田めるろはメルロ=ポンティにちなんで名づけられ、金沢21世紀美術館学芸員。
略歴
- 京都教育大学附属高等学校
- 1972年3月 京都大学文学部哲学科卒業
- 1977年3月 同大学院文学研究科哲学専攻博士課程単位取得満期退学
- 1978年4月 関西大学文学部哲学科講師
- 1981年4月 助教授
- 1988年4月 教授
- 1992年4月 大阪大学文学部助教授
- 1996年4月 教授
- 2003年8月 文学研究科長・文学部長
- 2004年4月 理事・副学長
- 2007年8月 第16代大阪大学総長[4]
- 2011年8月 総長を任期満了に伴い退任、名誉教授
- 2011年9月 大谷大学文学部哲学科教授
- 2013年4月 せんだいメディアテーク館長
受賞
栄典
- 2004年紫綬褒章受章
著書
単著
- 『分散する理性 ―現象学の視線』'89.4 勁草書房 「現象学の視線」講談社学術文庫
- 『モードの迷宮』'89.4 中央公論社 のちちくま学芸文庫
- 『ファッションという装置』'89.4 河合文化教育研究所
- 『最後のモード』'89.11 人文書院
- 『夢のもつれ essaisphilosophiques』 '93.2 北宋社 のち角川文庫
- 『人称と行為』'95.2 昭和堂
- 『見られることの権利―〈顔〉論 』'95.6 メタローグ 「顔の現象学」講談社学術文庫
- 『ちぐはぐな身体 ―ファッションって何?』'95.10 筑摩書房、のちちくま文庫、2005年
- 『モードの迷宮』'96.1 筑摩書房・ちくま学芸文庫
- 『だれのための仕事―労働 vs 余暇を超えて』'96.3 岩波書店、のち講談社学術文庫
- 『じぶん-この不思議な存在』'96 講談社現代新書
- 『メルロ=ポンティ ―可逆性』'97.7 講談社(現代思想の冒険者たち) / '03.7 講談社(Select シリーズ版)
- 『ひとはなぜ服を着るのか―文化装置としてのファッション』'97.10 NHK 人間大学テクスト、のちちくま文庫、2012年
- 『普通をだれも教えてくれない』'98.7 潮出版社 のちちくま学芸文庫
- 『悲鳴をあげる身体』'98.11 PHP新書
- 『顔の現象学』'98.11 講談社
- 『ひとはなぜ服を着るのか』'98.11 日本放送出版協会(NHKライブラリー、のちちくま文庫、2012年
- 『「聴く」ことの力―臨床哲学試論 』'99.7 TBSブリタニカ
- 『五界彷徨-夢のもつれ2』'99.11 北宋社
- 『皮膚へ―傷つきやすさについて』'99.11 思潮社
- 『てつがくを着て、まちを歩こう―ファッション考現学』同朋舎/角川書店。2000 のちちくま学芸文庫
- 『ことばの顔』 '00.9 中央公論新社 / '04.4 中公文庫)
- 『働く女性のための哲学クリニック』'01.3 朝日新聞社 「くじけそうな時の臨床哲学クリニック」 ちくま学芸文庫
- 『〈弱さ〉のちから―ホスピタブルな光景』'01.9 講談社
- 『「哲学」と「てつがく」のあいだ 』'01.10 みすず書房
- 『気持ちのいい話?』対談集 思潮社 2001
- 『死なないでいる理由』'02.5 小学館
- 『時代のきしみ―〈わたし〉と国家のあいだ』'02.5 TBSブリタニカ
- 『老いの空白』'03.6 弘文堂
- 『教養としての「死」を考える』'04.4 洋泉社、新書y
- 『想像のレッスン』'05.10 NTT出版
- 『感覚の幽(くら)い風景』'06.7 紀伊国屋書店 / '11.4 のち中公文庫
- 『「待つ」ということ』'06.8 角川選書/角川学芸出版
- 『京都の平熱 ―哲学者の都市案内―』'07.3 講談社/講談社学術文庫
- 『思考のエシックス 反・方法主義論』'07.6 ナカニシヤ出版
- 『噛みきれない想い』'09.7 角川学芸出版 「大事なものは見えにくい」 角川ソフィア文庫
- 『わかりやすいはわかりにくい? 臨床哲学講座』'10.1 ちくま新書
- 『たかが服、されど服――ヨウジヤマモト論』'10.3 集英社
- 『「ぐずぐず」の理由』'11.8 角川選書/角川学芸出版
- 『語りきれないこと 危機と傷みの哲学』'12.2 角川ONEテーマ新書/角川学芸出版
- 『<ひと>の現象学』'13.3 筑摩書房
- 『おとなの背中』'13.9 角川学芸出版
- 『パラレルな知性』'13.10 晶文社
- 『「自由」のすきま』'14.3 角川学芸出版
- 『哲学の使い方』岩波新書、2014
編著
- 『20世紀を震撼させた100冊』野家啓一共編 出窓社 1998
- 『ファッション学のすべて』新書館 1998
- 『所有のエチカ 叢書倫理学のフロンティア 』大庭健共編 ナカニシヤ出版 2000
- 『九鬼周造の世界 』坂部恵,藤田正勝共編著 ミネルヴァ書房 2002
- 『「食」は病んでいるか 揺らぐ生存の条件』 ウェッジ 2003
- 『表象としての身体 叢書・身体と文化』野村雅一共編 大修館書店 2005
- 『身体をめぐるレッスン』岩波書店 2006
- 『哲学の歴史(12)』中央公論新社 2008
共著
- 『まなざしの記憶 だれかの傍らで 』植田正治共著 ティビーエス・ブリタニカ 2000
- 『現代思想の源流』今村仁司,野家啓一,三島憲一共著 講談社 1996
- 『立ち話風哲学問答』 加藤典洋,多田道太郎 朝日新聞社 2000
- 『臨床とことば―心理学と哲学のあわいに探る臨床の知 』河合隼雄共著 阪急コミュニケーションズ 2003 「臨床とことば」朝日文庫
- 『哲学個人授業―<殺し文句>から入る哲学入門』永江朗共著 バジリコ 2008 のちちくま文庫
- 『大人のいない国』内田樹共著 プレジデント社 2008 のち文春文庫
- 『おせっかい教育論』内田樹,釈徹宗,平松邦夫共著 140B 2010
- 『生きるってなんやろか?科学者と哲学者が語る、若者のためのクリティカル「人生」シンキング』石黒浩共著 毎日新聞社 2011
- 『東北の震災と想像力 われわれは何を負わされたの』赤坂憲雄共著 講談社 2012.3
翻訳
- 『ファッションとシュルレアリスム 』リチャード・マーティン Edition Wacoal 1991
- 『衣服の精神分析』 E.ルモワーヌ=ルッチオーニ 柏木治共訳 産業図書 1993
社会的活動
- 大阪創造都市市民会議発起人
脚注
関連項目
外部リンク
- 鷲田 清一 【哲学 倫理学】 | 教員一覧 | 大谷大学 - 鷲田を紹介する大谷大学のページ