佐々木幹郎
佐々木 幹郎(ささき みきろう、1947年10月20日- )は、日本の詩人。
来歴・人物
奈良県で生まれ大阪府藤井寺市で育つ。美陵町立(現・藤井寺市立)藤井寺小学校、大阪市立阪南中学校、大阪府立大手前高等学校を経て、同志社大学文学部哲学科中退。
1967年、大手前高校卒業。高校時代は美術部と社会科学研究会に所属し、当時から詩作に励んでいた。羽田闘争で死亡した山崎博昭とは同期である。1970年、その死を追悼した第一詩集『死者の鞭』で詩壇にデビュー。大学時代は「同志社詩人」に所属。詩誌「白鯨」(1972年~75年)創刊同人。
1976年、中原中也と小林秀雄の恋人であった長谷川泰子を主演にした映画「眠れ蜜」(監督・岩佐寿弥、撮影・田村正毅、脚本・佐々木幹郎)を独立プロダクション「シネマ・ネサンス」で製作。
1984年、ミシガン州立オークランド大学客員詩人(Poet in residence)。1988年以降、ヒマラヤ山岳部を旅することが多く、日本文学をネパールに紹介する「ヒマラヤ文庫」を日本とネパールの詩人とで創設。チベット、上海など、アジアの都市の比較文化論、アイルランドなどの紀行論も多い。
『新編中原中也全集』(2000年~2004年)の責任編集委員。中原中也研究の第一人者として知られている。
東京藝術大学大学院音楽研究科音楽文芸非常勤講師(2003年~2008年)。近年は詩と音楽のコラボレーションの試みを続け、東京藝術大学出身者による音楽パフォーマンス集団「VOICE SPACE」を創設(2004年~)。西村朗作曲による合唱曲や室内オペラ作品、小室等作曲のフォークソング作品など多数。中原中也賞、サントリー地域文化賞選考委員。
写真の腕前はプロ級。日本において詩だけで自立している数少ない存在。大谷大学教授で元大阪大学総長の鷲田清一は親友。
受賞歴
- 1988年 評論『中原中也』(筑摩書房)で第10回サントリー学芸賞
- 1990年 脚本『OROCHI』(NHKテレビ音楽番組)でプラハ国際テレビ祭特別賞
- 1992年 詩集『蜂蜜採り』(書肆山田)で第22回高見順賞
- 2003年 随筆『アジア海道紀行―海は都市である』(みすず書房)で第54回読売文学賞・随筆紀行賞
- 2012年 詩集『明日』(思潮社)で第20回萩原朔太郎賞
主要著作
詩集
- 1970年 『死者の鞭』(構造社、復刻版国文社1976年)
- 1973年 『水中火災』(国文社)
- 1978年 『百年戦争』(河出書房新社)
- 1979年 『気狂いフルート』(思潮社)
- 1982年 『佐々木幹郎詩集』(思潮社・現代詩文庫)
- 1984年 『音みな光り』(思潮社)
- 1986年 『風の生活』(書肆山田)
- 1988年 『Demented Flute Selected Poems 1967-1986』(Katydid Books,Michigan)
- 1991年 『蜂蜜採り』(書肆山田 高見順賞)
- 1996年 『続・佐々木幹郎詩集』(思潮社・現代詩文庫)
- 2002年 『砂から』(書肆山田)
- 2004年 『悲歌が生まれるまで』(思潮社)
- 2011年 『明日』(思潮社 萩原朔太郎賞)
評論・エッセイ集
- 1977年 『熱と理由』(国文社)
- 1978年 『溶ける破片』(国文社)
- 1986年 『詩人の老いかた』(五柳書院)
- 1988年 『中原中也』(筑摩書房・近代日本詩人選 サントリー学芸賞)
- 1989年 『河内望郷歌』(五柳書院)
- 1990年 『地球観光―深川・ミシガン・ネパール』(五柳書院)
- 1993年 『カトマンズ・デイ・ドリーム』(五柳書院)
- 1993年 『都市の誘惑―東京と大阪』(TBSブリタニカ)
- 2001年 『自転車乗りの夢―現代詩の20世紀』(五柳書院)
- 2001年 『すみとも風土記―銅が来た道』(NTT出版)
- 2002年 『アジア海道紀行―海は都市である』(みすず書房 読売文学賞)
- 2003年 『やわらかく、壊れる―都市の滅び方について』(みすず書房)
- 2003年 『パステルナークの白い家』(書肆山田・りぶるどるしおる)
- 2005年 『中原中也 悲しみからはじまる』(みすず書房・理想の教室)
- 2007年 『雨過ぎて雲破れるところ―週末の山小屋生活』(みすず書房)
- 2009年 『人形記―日本人の遠い夢』(淡交社)
- 2010年 『旅に溺れる』(岩波書店)
- 2010年 『田舎の日曜日―ツリーハウスという夢』(みすず書房)
- 2012年 『瓦礫の下から唄が聴こえる─山小屋便り』(みすず書房)
- 2014年 『東北を聴く―民謡の原点を訪ねて』(岩波新書、岩波書店)
共著
編著
- 1997年 『中原中也詩集 山羊の歌』(角川書店・角川文庫クラシックス)
- 1997年 『中原中也詩集 在りし日の歌』(角川書店・角川文庫クラシックス)
- 2000~04年 『新編中原中也全集』全5巻・別巻1(角川書店)
- 2009年 『佐々木節雄歌集 夕まけて』(ながらみ書房)
監修
論集・関連図書
- 1997年 『口承文学Ⅰ』(岩波書店・岩波講座「日本文学史」第16巻)
- 1997年 『生者と死者のほとり―阪神大震災・記憶のための試み』(人文書院)
- 1999年 『詩歌と芸能の身体感覚』(富岡多恵子編。岩波書店・「短歌と日本人」第4巻)
- 2002年 『経験を盗め』(糸井重里編。中央公論新社)
- 2006年 『夢みる身体』(鷲田清一編。岩波書店・「身体をめぐるレッスン」第1巻)
- 2008年 『ラブレターを読む―愛の領分』(大修館書店)
- 2010年 『響き合う異次元―音・図像・身体』(川田順造編。平凡社)
- 2010年 詩と音楽のための「洪水」第6号(特集・佐々木幹郎、音に遊ぶ。洪水企画)
- 2012年 『ことばのポトラック』(大竹昭子編。春風社)
- 2013年 『3・11を心に刻んで 2013』(岩波書店編集部編。岩波書店)
- 2013年 展覧会図録『佐々木幹郎―明日』(前橋文学館編。前橋文学館)
音楽・朗読・楽譜
- 1997年 CD『詩人の声 The Voice of Poets,1997』(「行列」収録。midnight press)
- 2007年 CD『Inspiration VOICE SPACE作品集Ⅰ』(VOICE SPACE作曲「朝顔」「メアリーとダニーの庭」、澤村祐司作曲「ひとこと」収録。VOICE SPACE)
- 2007年 CD『はじまりはじまる』(「まるで六文銭のように」。小室等作曲「はじまりはじまる」「樽をころがせ」「石と死者」「その声は」収録。フォーライフ)
- 2009年 CD『やさしい現代詩 自作詩朗読CD付き』(「行列」収録。三省堂)
- 2009年 CD『おとのば』(「六文銭'09」。小室等作曲「花の渦~倉敷相聞歌」収録。フォーライフ)
- 2009年 CD『ここ』(「Lagniappe」(小室等・こむろゆい)。坂庭省悟作曲「病める果実」収録。coco-luck music)
- 2010年 CD『声のまぼろし VOICE SPACE作品集Ⅱ』(中村裕美作曲「どこへ行くのですか?」「呪文」、澤村祐司作曲「恋」収録。RAGTIME)
- 2010年 楽譜『夏の庭 同声(女声または男声)合唱とピアノのための組曲』(西村朗作曲。全音楽譜出版社)
- 2010年 楽譜『大空の粒子 混声合唱とピアノのための組曲』(西村朗作曲。全音楽譜出版社)
- 2011年 CD『糸魚川ジオパーク音頭』(唄・津軽三味線/二代目高橋竹山。小室等作曲「糸魚川ジオパーク音頭」収録。Office Chikuzan)
- 2011年 楽譜『鳥の国 無伴奏混声合唱組曲』(西村朗作曲。全音楽譜出版社)
- 2012年 CD『ありがとう』(小室等作曲。(財)丸岡町文化振興事業団)
- 2012年 CD『創立40周年クール・ジョワイエ演奏会/男声合唱による西村朗作品集』(「夏の庭」、「旅―悲歌が生まれるまで」、西村朗+佐々木幹郎対談を収録。ジョバンニ・レコード)