韓国映画
韓国映画(かんこくえいが)は、韓国国籍を持つ者または韓国の法人によって製作された映画で、ほとんどの場合、韓国人の映画スタッフと俳優で構成され、主に韓国国内の映画館等で公開される映画を指す。
目次
歴史
ニューウェーブ
韓国の映画史において重要な出来事が3つあった。1992年、サムソンが出資した en:Marriage Story が初の政府出資でない映画として制作された。1999年、『シュリ』が公開され、韓国における興業収益の50%以上を獲得して大成功を収めた。3つ目の出来事として2001年の『猟奇的な彼女』が韓国映画史においてもっとも人気を収め、海外でも成功をおさめた。
映画祭
アジアでも有数の規模である釜山国際映画祭は、国内の映画振興にも大きな影響を及ぼしている。そのほか全州国際映画祭、富川国際ファンタスティック映画祭など韓国国内各地で中小規模の映画祭が開かれている。
世界三大映画祭の受賞歴としては
- 第44回ヴェネツィア国際映画祭 (1987年) で シバジのカン・スヨンが女優賞
- 第55回カンヌ国際映画祭(2002年)でイム・グォンテク監督『酔画仙』が監督賞
- 第59回ヴェネツィア国際映画祭(2002年)でイ・チャンドン監督『オアシス』 が銀獅子賞(監督賞)
- 第61回ヴェネツィア国際映画祭(2004年)でキム・ギドク監督『うつせみ』 が銀獅子賞(監督賞)、第54回ベルリン国際映画祭(2004年)で同監督の『サマリア』が銀熊賞(監督賞)
- 第57回カンヌ国際映画祭(2004年)でパク・チャヌク監督『オールド・ボーイ』が審査員特別グランプリ
- 第60回カンヌ国際映画祭 (2007年)で『シークレット・サンシャイン』のチョン・ドヨンが女優賞
- 第62回カンヌ国際映画祭 (2009年)で『渇き』が審査員賞
- 第63回カンヌ国際映画祭 (2010年)で『ポエトリー アグネスの詩』が脚本賞
- 第69回ヴェネツィア国際映画祭(2012年)でキム・ギドク監督『嘆きのピエタ』 が金獅子賞(最高賞)
などがある。
映画賞
以下4賞が代表的な映画賞といわれ、授賞式は主催または後援するテレビ局で生中継される。(カッコ内は授賞式の開催月)
- 百想芸術大賞[1](4月) - 主催:日刊スポーツ、中央エンタテインメント&スポーツ 後援:文化観光部、中央日報社、中央SUNDAY、百想財団
- 大鐘賞[2](7月) - 主催:韓国映画人協会、SBS、中央日報社 主管:SBSプロダクション 後援:文化観光部、映画振興委員会、韓国芸術団体総連合会、韓国映像資料院、韓国映画製作家協会、全国劇場連合会、ロッテシネマ、日刊スポーツ
- 大韓民国映画大賞[3](11月)- 主催:文化放送 後援:文化観光部、映画振興委員会
- 青龍映画賞(12月) - 主催:スポーツ朝鮮 後援:朝鮮日報社、韓国放送公社
政府と映画の関係
映画製作への公的資金援助も行われている。国立の芸術家養成施設である韓国芸術総合学校の映像院や、公的機関である映画振興委員会付属の映画学校である韓国映画アカデミーなどを経てデビューする映画人も映画界を支えている。国内の映画館に、年間一定日数以上の韓国映画上映を義務づけるスクリーンクォータ制度が実施されている。検閲は廃止されたが、映像物等級委員会により行われるレイティングは日本より厳しく、小学生も鑑賞できると判定される映画はファミリー映画など一部の作品に限られる。
スクリーンクォータ制度是非論
韓国の映画会社は中小規模のものが多く、経済的基盤が脆弱である。ハリウッド映画などの大資本の映画作品が韓国国内に流入すると、韓国映画が廃れるという危機感を映画関係者や俳優などは持っている。「映画は文化」の大義のもとスクリーンクォータ制が導入され維持されている。
アメリカ合衆国からかたたびたび廃止、自由化を求められていたこと、韓国政府による韓米FTA締結推進目的から、韓国政府は2006年、年間上映日数の40%を韓国映画とする保護を緩めて、半数に減らすことに決定。この決定を受けてイ・ビョンホン、チャン・ドンゴンをはじめとした韓国の俳優陣は韓国映画の保護を求めて「映画人リレー一人デモ」をしたり、座り込みをするなどをして反対運動をおこなった[4][5]。
韓国映画興行成績ランキング
韓国
(配給会社、公開年度共に韓国公開時のもの。作品名は邦題。) 以下を参考に編集
- 2001年まで公開の作品の観客数:スポーツKHAN(スポーツ京郷) 2009-01-09 22:11:29
(http://sports.khan.co.kr/news/sk_index.html?cat=view&art_id=200901092211293&sec_id=540401&pt=nv )
※2001年まで公開の作品は全国動員数の統計がないため推測値や概算となる
- 2002年から2013年まで公開の作品の観客数:韓国映画振興委員会 歴代ボックスオフィス(公式統計基準)(http://www.kobis.or.kr/kobis/business/stat/offc/findFormerBoxOfficeList.do?loadEnd=0&searchType=search&sMultiMovieYn=&sRepNationCd= )
- 2014年公開の作品の観客数:韓国映画振興委員会 2014年 7月 韓国映画産業 決算(http://www.kofic.or.kr/kofic/business/board/selectBoardList.do?boardNumber=2 )
順位 | 作品 | 配給会社 | 公開年度 | 観客動員数 |
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1 | 鳴梁 | CJエンタテインメント | 2014年 | 公開中 |
2 | グエムル-漢江の怪物- | ショーボックス | 2006年 | 13,019,740人 |
3 | 10人の泥棒たち | ショーボックス | 2012年 | 12,983,330人 |
4 | 7番房の奇跡 | ネクストエンタテインメントワールド | 2013年 | 12,811,206人 |
5 | 王になった男 | CJエンタテインメント | 2012年 | 12,319,542人 |
6 | 王の男 | CJエンタテインメント | 2006年 | 12,302,831人 |
7 | ブラザーフッド | ショーボックス | 2004年 | 11,746,135人 |
8 | TSUNAMI -ツナミ- | CJエンタテインメント | 2009年 | 11,453,338人 |
9 | 弁護人 | ネクストエンタテインメントワールド | 2013年 | 11,373,516人 |
10 | シルミド | シネマサービス | 2003年 | 11,081,000人 |
11 | スノーピアサー | CJエンタテインメント | 2013年 | 9,349,991人 |
12 | 観相師 | ショーボックス | 2013年 | 9,134,586人 |
13 | 怪しい彼女 | CJエンタテインメント | 2014年 | 8,656,417人 |
14 | 国家代表!? | ショーボックス | 2009年 | 8,487,894人 |
15 | D-WARS ディー・ウォーズ | ショーボックス | 2007年 | 8,426,973人 |
16 | 過速スキャンダル | ロッテエンタテインメント | 2008年 | 8,245,523人 |
17 | 友へ チング | コリアピクチャーズ | 2001年 | 8,181,377人 |
18 | トンマッコルへようこそ | ショーボックス | 2005年 | 8,008,622人 |
19 | 神弓 KAMIYUMI | ロッテエンタテインメント | 2011年 | 7,470,633人 |
20 | サニー 永遠の仲間たち | CJ E&M Pictures | 2011年 | 7,362,467人 |
21 | 光州5・18 | CJエンタテインメント | 2007年 | 7,307,993人 |
22 | ベルリンファイル | CJエンタテインメント | 2013年 | 7,166,199人 |
23 | 密かに偉大に | ショーボックス | 2013年 | 6,959,083人 |
24 | タチャ イカサマ師 | CJエンタテインメント | 2006年 | 6,847,777人 |
25 | グッド・バッド・ウィアード | CJエンタテインメント | 2008年 | 6,686,912人 |
26 | 私のオオカミ少年 | CJエンタテインメント | 2012年 | 6,654,837人 |
27 | カンナさん大成功です! | ショーボックス | 2006年 | 6,619,498人 |
28 | アジョシ | CJエンタテインメント | 2010年 | 6,282,774人 |
29 | シュリ | サムスンピクチャーズ(提供) | 1999年 | 6,209,893人 |
30 | チョン・ウチ 時空道士 | CJエンタテインメント | 2009年 | 6,136,928人 |
31 | マイ・ボス マイ・ヒーロー2 リターンズ | CJエンタテインメント | 2006年 | 6,105,431人 |
32 | JSA | CJエンタテインメント | 2000年 | 5,830,228人 |
33 | 家門の危機 | ショーボックス | 2005年 | 5,635,266人 |
34 | かくれんぼ | ネクストエンタテインメントワールド | 2013年 | 5,604,104人 |
35 | テロ, ライブ | ロッテエンタテインメント | 2013年 | 5,579,125人 |
36 | 義兄弟 SECRET REUNION | ショーボックス | 2010年 | 5,507,106人 |
37 | 監視者たち | ネクストエンタテインメントワールド | 2013年 | 5,506,770人 | 38 | ワンドゥギ | CJエンタテインメント | 2011年 | 5,310,510人 |
39 | 花嫁はギャングスター | コリアピクチャーズ | 2001年 | 5,260,451人 |
40 | 殺人の追憶 | CJエンタテインメント | 2003年 | 5,255,376人 |
41 | ザ・タワー 超高層ビル大火災 | CJ E&M 映画部門 | 2012年 | 5,181,014人 |
42 | マラソン | ショーボックス | 2005年 | 5,148,022人 |
43 | 大変な結婚 | シネマサービス | 2002年 | 5,089,966人 |
44 | チェイサー | ショーボックス | 2008年 | 5,071,619人 |
45 | 同い年の家庭教師 | CJエンタテインメント | 2003年 | 4,937,573人 |
46 | 風と共に去りぬ!?~THE GRAND HEIST | ネクストエンタテインメントワールド | 2012年 | 4,909,937人 |
47 | 猟奇的な彼女 | シネマサービス | 2001年 | 4,882,495人 |
48 | 朝鮮名探偵:トリカブトの秘密 | ショーボックス | 2011年 | 4,786,259人 |
49 | 群盗 | ショーボックス | 2014年 | 公開中 |
50 | 悪いやつら | ショーボックス | 2012年 | 4,719,872人 |
51 | 新しき世界 | ネクストエンタテインメントワールド | 2013年 | 4,682,418人 |
52 | トガニ 幼き瞳の告発 | CJエンタテインメント | 2011年 | 4,662,822人 |
53 | 僕の妻のすべて | ネクストエンタテインメントワールド | 2012年 | 4,598,583人 |
54 | ヨンガシ 変種増殖 | CJエンタテインメント | 2012年 | 4,515,833人 |
55 | 風林高 | シネマサービス | 2001年 | |
56 | 公共の敵1-1 | シネマサービス | 2008年 | 4,300,670人 |
57 | おばあちゃんの家 | CJエンタテインメント | 2002年 | 4,193,826人 |
58 | サスペクト 哀しき容疑者 | ショーボックス | 2013年 | 4,131,500人 |
59 | 建築学概論 | ロッテエンタテインメント | 2012年 | 4,110,645人 |
60 | タイフーン/TYPHOON | CJエンタテインメント | 2005年 | 4,094,395人 |
61 | 7級公務員 | ロッテエンタテインメント | 2009年 | 4,088,799人 |
62 | セックス イズ ゼロ | ショーボックス | 2002年 | 4,082,797人 |
63 | ダンシング・クイーン | CJエンタテインメント | 2012年 | 4,057,546人 |
64 | 私たちの生涯最高の瞬間 | サイダスFNH | 2008年 | 4,044,582人 |
日本
(配給会社、公開年度共に日本公開時のもの)
作品 | 配給会社 | 公開年度 | 興行収入 | 観客動員数 |
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私の頭の中の消しゴム | GAGA USEN | 2005年 | 30億円 | |
四月の雪 | UIP | 2005年 | 27.5億円 | 270万人 |
僕の彼女を紹介します | ワーナー | 2004年 | 20億円 | 137万人 |
シュリ | アミューズ | 2000年 | 18億円 | 130万人 |
ブラザーフッド | UIP | 2004年 | 15億円 | |
JSA | アミューズ | 2001年 | 11.6億円 | |
ボイス | ウォルト・ディズニー・スタジオ | 2003年 | 10億円 | |
誰にでも秘密がある | 東芝エンタテインメント | 2004年 | 9億円 | |
スキャンダル | シネカノン、松竹 | 2004年 | 9億円 | |
甘い人生 | 角川映画 | 2005年 | 6.5億円 | |
シルミド | 東映 | 2004年 | 6億円 | 50万人 |
脚注
- ↑ テンプレート:Ko icon公式サイト。映画、テレビの2部門がある。テレビはドラマ、教養番組、芸能番組(娯楽番組)が対象。授賞式はSBS系列で中継放送される。第37回(2001年)までは演劇部門もあった。第1回は1965年。第39回(2003年)までは韓国日報社が主催していた。テンプレート:Ko icon第39回公式サイト参照。
- ↑ テンプレート:Ko icon公式サイト。第1回は1962年。
- ↑ テンプレート:Ko icon公式サイト。第1回(2002年)はMBC映画賞として開催。
- ↑ 2006年7月2日 Innolife.netイ・ビョンホン、「スクリーンクォーター問題は、映画界だけの問題ではありません。」
- ↑ 2006年2月9日JANJAN映画俳優チャン・ドンゴンが国会で1人デモ