進研ゼミ

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テンプレート:複数の問題 テンプレート:注意 進研ゼミ(しんけんゼミ)は、ベネッセコーポレーション(以下「ベネッセ」)が行なっている小学生中学生高校生向けの添削式の通信教育講座である。

なお本項では、以下についても取り扱うこととする。

  • CMソングを務めた歌手
  • 福武書店→ベネッセ提供で、進研ゼミのCMを流す番組

講座の種類

過去に開講していた講座

いずれも現在は「こどもちゃれんじ」として独立。

  • 幼児講座 - 1988年に開講。3~6歳児向け。独立後は以下のように細分化された。
    • こどもちゃれんじ ほっぷ(3-4歳児向け)
    • こどもちゃれんじ すてっぷ(4-5歳児向け)
    • こどもちゃれんじ じゃんぷ(5-6歳児向け)
  • おやこ講座 - 1994年に開講。2~3歳児向け。独立後は「こどもちゃれんじ ぽけっと」。

またこれらのほか、大学生および社会人向けの講座として「キャリアUPゼミ(キャリアアップゼミ)」が開講されていた。

概要

かつてベネッセ(当時は福武書店)は1955年より学生向けの通信教育事業を5回も企画したが、いずれも入会者が集まらず失敗していた。ところが1969年に高校生向けに開講した「通信教育セミナ」(現:「進研ゼミ高校講座」)は、進学競争が過熱化し始めた時期と重なり順調に会員数を伸ばし、1972年に中学生向けに「通信教育セミナ・ジュニア」(現:「進研ゼミ中学講座」)、1980年に「進研ゼミ小学講座」、1988年に「進研ゼミ幼児講座」、1994年に「進研ゼミおやこ講座」と対象を広げ、通信教育業界の売上げ1位となったが、その後の少子化とともに会員数は激減した。

その後、幼児・おやこ講座は「こどもちゃれんじ」として独立し、幼児講座は「ほっぷ・すてっぷ・じゃんぷ」、そしておやこ講座は「ぽけっと」となった。

2000年の会員数は420万人だったが、結局ゆとり教育の導入(小中学生の学習内容が3割減)で進研ゼミの存在理由も薄くなり、2003年には会員数も370万人にまで急激に減少。授業の進み具合や進路希望などに合わせて学習教材を細分化するなどしたが、2004年の会員数は400万人程度にとどまっている。

2010年2月9日より中高生会員を対象とした携帯電話事業ベネッセモバイルFREOを開始したが、加入者数は延びず、わずか1年でサービス終了に追い込まれた。

※ 会員数は「進研ゼミ」と「こどもちゃれんじ」 (進研ゼミ「幼児講座」「おやこ講座」時代を含む)の合算。

特徴

郵便・宅配便を利用した通信教育システムである。毎月、自宅宛に教材が郵送されてくる(以前は「ちゃれんじマザー」と呼ばれる専門の配達担当者が宅配していた)ので、その問題を解き、付属している返信用封筒に入れて返送する教材もある(中学講座では、現在、ファックスやパソコンでも、回答が返送できるシステムになっている。また「東大特講√T」と「京大特講√K」の回答返送は、ファックスのみである)。

返送された解答用紙を「赤ペン先生」という同社の添削指導員が採点、間違いに対するアドバイスを赤色ペンで記入して、受講生に返送する。 また「到達度確認テスト」という名称などの教材を解いて送ると、受講生にあった勉強の仕方のアドバイスや進学校を教えてくれるものもある。

テキスト

チャレンジ

小学講座中学講座のテキスト、および高校講座の授業対策用テキストの名称。なお、正式タイトルは学年を冠した表記となっている(例:『小三チャレンジ』)。

なお、対象によって表記が以下のように異なる。

  • 小学講座
    • 『ちゃれんじ』(平仮名表記) - 低学年向け
    • 『チャレンジ』(片仮名表記) - 中学年および高学年向け
  • 中学講座および高校講座
    • 『Challenge』 (英語表記)

ちなみにこの「チャレンジ」という名称は、同じベネッセが出版する辞書(例:『チャレンジ小学国語辞典』、『Challenge中学英和辞典』)のほか、同社提供のラジオ番組のタイトルにも使用されている。

また、かつての幼児・おやこ講座のテキストは『こどもちゃれんじ』といい、のちに進研ゼミから独立した現講座の名称となる。

エンカレッジ

高校講座の大学入試対策用テキストの名称。「~の中に入れる」の意味の接頭語「en」に「大学:college」をつなげたベネッセによる造語で、「勇気づける:encourage」とかけているとのこと。

その他

テキストのほか、ビデオ(DVD)やCD教材などがある。

赤ペン先生(添削指導員)

会員から郵送されてきた添削問題に対し、赤ペン(厳密には赤マジックペン)による直接手書きで指導する。ただし、中学講座における「インターネット返却」ではパソコンで添削を行なっている。学年専任で、かつ小学講座では一年を通じた担任制となっている。

報酬は、添削した答案枚数に応じた出来高制。教員免許など特別な資格は必要ないが、「4年制大学卒程度で応募時の年齢が45歳くらいまで」となっている。この条件を踏まえてか、「結婚退職した元学校教員の専業主婦が、願わくば教育関係の仕事に、それもパートないしは内職程度の作業負荷でカムバックしたい」というパターンの応募人気が、事業開始当初より高かったようである。採用選考は書類審査と筆記試験、そして面接で行なわれる。また選考合格後も、事例などを扱いながら具体的に学ぶ研修が課される。

添削指導が主に自宅で行なえる手軽さもあり、採用選考の競争倍率は高い。

ちなみに「赤ペン先生」は、ベネッセの登録商標である。

努力賞制度

課題を提出するともらえるポイント(小学講座はシールの枚数)に応じて賞品をもらえるシステム。かつては「提出シールプレゼント制度」と呼ばれ、課題の得点によって1993年度まで金・銀・青のシールとなっていたが、現在は小学講座5~6年と中学講座と高校講座はシールではなくポイント制に、小学講座1~4年は色分けがされていない金のみの「がんばりシール」となっている。

学年や教科、提出課題の種別によって、もらえるポイント(またはシールの枚数)や賞品の内容が異なる。また、特別キャンペーン等の実施期間中は、条件を満たせばもらえるポイント(またはシールの枚数)が増える(2倍など)こともある。

ダイレクトメール

ベネッセはダイレクトメールのために年間255億円(日本企業では最高額)を費やすが、この大半が進研ゼミの入会案内である。

同じ学年でも、男子用・女子用で別々に、また47都道府県別の受験情報など、何十種類もの内容のダイレクトメールを用意。このダイレクトメール戦略が「5人に1人が進研ゼミ受講生」というほどの驚異的な会員数の増大につながっている。

その反面、資料請求をしていないにも拘らず高い頻度にてダイレクトメール送付する戦略には、プライバシー森林保護などの観点より、批判的に受け止める保護者や生徒も少なくない。時にはすでに亡くなった子供のところにまで送りつけられてくる例もある。

なお、かつてはダイレクトメール送付のために住民基本台帳から個人情報を閲覧していたが、2005年10月をもって閲覧を中止した。しかし、住民基本台帳の閲覧を中止したのみで、既に得た個人情報に依存しているところから、やはり批判的に見られている。

漫画

ファイル:ダイレクトメールに同封されてある漫画の一例.jpg
ダイレクトメールに同封されてある漫画の一例(約1年7ヶ月分)

ダイレクトメールの特徴としては、開封率を高めるために、進研ゼミの素晴らしさがテーマのマンガを同封していることである。この手法を教育系事業のダイレクトメールに利用したのは進研ゼミである。学習内容と同じく漫画も各学年別に男子向けと女子向けが用意されている。

マンガの内容は、「スランプ中の主人公が進研ゼミを始めたら勉強だけでなくもうまくいき、部活でも大活躍」など比較的煽った内容が目立っているほか、ライバルである学習塾に対抗する形で「進研ゼミは学習塾と違い時間に拘束されない」[1] を謳い文句とした比較広告もあるなど、進研ゼミ特有の特徴が明記されている。また作中ではグラフを利用した比較も多用される。

ストーリーは社内の広報担当者が担当するが、あくまで漫画を使った広告であるため展開は毎回同パターンである。しかし作画はプロやデビュー前の漫画家に依頼しており絵柄は作家ごとに異なっている。また漫画以外のイラストもイラストレーターに依頼している。

漫画は商品ではなく広告であるため公式サイトでは無償公開されているが、近年では登場人物のフィギュア化をメーカーが検討するなど、漫画として人気が出ることもある[2]

その他

高校講座を受講し、かつ大学進学を果たした人に対しては、現在高校講座を受講している後輩に際してのサポート役ともいうべき「ゼミレポーター制度」を設けている。ゼミレポーターには「ゼミレポNETWORK」という会報が配られる。

かつては、ゼミレポーターを卒業した人向けの組織もあり、「進研インター」という会報が配られた。進研インターの内容は一部ゼミレポNETWORKでも紹介された。

CMソングを担当した歌手・グループ

小学講座

中学・高校講座

中学講座

高校講座

その他

これらのほか、同じベネッセ(当時福武書店)が出版していた英和・和英辞典『プロシード』のCMソングとして、ハウンド・ドッグの「15の好奇心」が使われていた。

主なスポンサー番組

福武書店→ベネッセ提供で、進研ゼミのCMを流す番組は以下のとおり。

テレビ番組

日本テレビ
TBSテレビ
テレビ朝日
テレビ東京

下記2番組は一社提供

フジテレビ

ラジオ番組

TBSラジオ
  • チャレンジ号の冒険 - ラジオドラマ。三田寛子が声優として参加した。
  • 小学生チャレンジ放送局
文化放送
  • チャレンジ名作ライブラリー
  • 真里子とひかるのチャレンジ学園 - 吉田真里子西田ひかるがパーソナリティを務めた。
    • 真里子とひかるのチャレンジ学園夢計画
    • 真里子とひかるのチャレンジ学園放送局
    • 真里子とひかるのチャレンジ学園まりかるクラブ
  • プリンセスプリンセスのチャレンジロード
  • ピンクサファイアのチャレンジ・ポップランド
ニッポン放送
FM局
  • 爆裂スーパーファンタジー (1992年10月 - 1998年6月)
    • 嘉門達夫がメインパーソナリティを務めた。なお既述のとおり、嘉門はゼミのCMソングも務めている。
    • ただし、福武書店→ベネッセ提供は東京名古屋大阪の各地域限定で、いずれも1996年3月まで。また、当時はタイトルコール時に「進研ゼミプレゼンツ!」と入っていた。

出典

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関連項目

外部リンク

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  1. 学習塾通学を理由に部活を退部(除籍)させられるといった表現もあった
  2. ネットで盛り上がった「ゼミママ」フィギュア化、急転直下で作者からお断り – SNN(Social News Network)