藤岡琢也
テンプレート:ActorActress 藤岡 琢也(ふじおか たくや、1930年9月4日 - 2006年10月20日)は、日本の俳優、声優。
兵庫県姫路市出身。身長165cm、体重71kg。血液型はO型。兵庫県立姫路西高等学校卒業、関西学院大学文学部中退。
目次
来歴・人物
1930年、姫路市にて会社員の父憲一の第一子として誕生。家族は妹2人を加えて5人家族。比較的裕福な家庭に育ち、成績は優秀だった。広島陸軍幼年学校在籍時に終戦を迎え、その後、兵庫県立姫路西高等学校を卒業。1949年、関西学院大学文学部に入学するが、翌年に病気のため中退。入院中にラジオ作家の堀江史朗の弟と知り合い、退院後、芸能界入りのため堀江を頼って上京した。1957年に劇団「葦」へ入団。当初は「平凡な顔立ち」という理由で、外国ドラマ・アニメなどの声優としての活動をしていた。
1966年、NHKの人気ドラマ『事件記者』に急逝した清村耕次の後任としてレギュラー出演し、俳優として世間に広く知られるようになった。引き続きNHKのドラマ『横堀川』に出演し、主人公を慕い協力する寄席芸人ガマ口役でその演技力を認められ、第4回ギャラクシー賞を受賞した。1967年には『ケンチとすみれ』でテレビ初主演。
映画にも数多く出演し、お調子者の中間管理職、中小企業の社長等を演じた。初の主演映画は1970年の『喜劇 がんばれ日本男児』。映画では、小狡い小悪党の役も巧くこなし、単なる善良な父親だけではない幅広い役柄を演じた。1967年頃から森繁久彌主演の映画『社長シリーズ』にも数本出演し、1970年には明治座において森繁劇団10周年記念公演に出演した。1985年から、森繁主演のテレビドラマシリーズである『おやじのヒゲ』に十数年にわたってレギュラーとして出演した。森繁からはプライベートでも実弟のように大変可愛がられていたという。小林桂樹とも昔からの共演が縁でとても仲が良かったそうで、晩年はツーカーの携帯電話のCMで一緒に共演した。
テレビでは、大阪を舞台とした商人もの、ホームドラマ、NHK大河ドラマ、東芝日曜劇場、2時間ドラマに数多く出演した。ホームドラマでは小太りで黒縁の眼鏡とヒゲが特徴的な風貌を持ち、家に帰ると和服に着替えて一杯飲むという一時代前の典型的な父親のイメージを努めて演じた。演じる役柄によっては関西弁を強調した話し方をすることもあり、藤岡自身のキャラクターとして確立した。このタイプの俳優として1960年代の森繁久彌があげられるが、その後継者の位置を確保することになった。
1984年の橋田壽賀子脚本『大家族』出演をきっかけに、その後多くの橋田作品に出演する。1990年よりスタートした『渡る世間は鬼ばかり』に、五人姉妹の父親である岡倉大吉役で出演。高視聴率番組となったため、その後は続編で十数年に渡って大吉役を演じて晩年の代表作となった。
1969年から2004年までの35年間、サンヨー食品の「サッポロ一番みそラーメン」のCMに出演した。(後任は木梨憲武が務めた)
2006年2月21日、肺炎のために『渡る世間は鬼ばかり』を降板(後任は宇津井健が務めた)。同年10月20日午後3時18分、慢性腎不全のため東京都新宿区の慶應義塾大学病院で死去。テンプレート:没年齢。戒名は「夢藤岡琢也霊位」。
2006年10月24日、増上寺において葬儀がとりおこなわれた。会場には生前本人が好きだったジャズ音楽が流された。『渡る世間は鬼ばかり』の石井ふく子プロデューサー、岡倉家の五人姉妹(長山藍子、泉ピン子、中田喜子、野村真美、藤田朋子)やドラマの共演者が葬儀に参列している。
弟子に藤井つとむらがいた。
エピソード
- 名前は生まれたとき茂と名付けられたらしい。(2006年10月22日、『Theサンデー』より。)
- 桂米朝は小学校の上級生で、遠足の時に案内で手をつないでもらった。
- 大学時代の同級生でもあり、音楽仲間にキダ・タロー(在学中に同じバンドに所属、担当はバイオリン、キダ・タローの担当はアコーディオン)がいる。藤岡が亡くなった事を聞いたキダは「悲しい」とコメントした。
- 大学時代の同級生には高島忠夫がいる。
- 戦時中は、供出で不足した鉄針の代わりに小指の爪を尖らせてレコード盤面に当て、親指を耳に当てて音を聴いたという、熱心な音楽好きをうかがわせるエピソードが残っている。
- 無名時代、「君は役者に向いていない」と言われ、嘉穂劇場で音響の裏方をしていた事がある。
- 無名時代から石原裕次郎、勝新太郎、長門裕之とはプライベートでもたいへん親交が深かったそうで藤岡が一番年上だったが、毎晩のように4人で集まっては遊んでいたという。(藤岡の逝去直後には親友の長門がマスコミ等のインタビューに応じて生前の思い出話を語った)。
- 1966年の『紅白歌合戦』に紅組応援団として参加した
- 晩年はキムタクをもじった「フジタク」という愛称で親しまれた。フジタクは一時期『痛快!明石家電視台』の番組マスコット(着ぐるみ)になった。
- ドラマでは典型的な日本の父親を演じたが、実生活では子供はいなかった。
- 映画では、せこいやくざ役が多く(主人公に倒されたり、引退するなど)やられ役が多かった。
- ドラマでは、名古屋章等と同様に、ベテラン刑事役を演じることが多かった
- 阪急ブレーブス時代からのオリックス・バファローズファンである。エピソードとして、山森雅文の高い守備力を「何度だって見てみたい。奇跡だ」と絶賛した。
- 2003年9月13日、『さんま所のオシャベリの殿堂』(NTV)に出演し、数々のエピソードを披露し、ジャズを歌った。
- 19歳から7年間病気と闘い、大手術を受けて社会復帰が可能となった。
- 初舞台は、アルベール・ユッソン作『俺たちは天使じゃない』の二枚目の海軍士官の役だった。登場シーンで失敗し観客から大笑いされ、舞台上で上京したことを後悔し涙ぐんだ。
- 原節子のファンだった。小さい頃母親につれられてよく映画を見に行った。
- 1958年、川島雄三監督の映画『女であること』(東宝)に端役で出演した時、原節子から皮をむいたミカンを半分貰ったことが忘れられない。
- 1960年代に放送された『ディズニーランドアワー』(NTV)で初代のドナルドダックの声を演じた。
- 一番好きな曲は1930年代のジャズのスタンダードナンバー「君微笑む時 When You Smile」である。
- 晩年は愛犬のタロー(ラブラドールレトリバー)と自宅周辺を散歩するのが健康法であった。
- 終戦後、ジャズに出会いジャズプレーヤーを目指すが、1948年に肺結核を患い断念した。
- 自宅には長年にわたって収集したジャズレコード3000枚があり、ガラスケースに飾られている。
- 1955年、ギャラ500円のころに3000円で買ったジャズレコード『The VIC DICKENSON SHOWCASE』が宝物のひとつである。
- 1965年、妹の親友であった千鶴子と結婚する。夫人の本名は千鶴(ちづる)であったが言いにくいため、藤岡が改名させた。
- 1970年、森繁劇団10周年記念公演に出演した際、森繁からもっと遊びを覚えろと言われ、酒飲みになろうと決意し遊び始めた。
- 晩年の夢はジャズツアーを企画し、日本全国を大型バスでまわることだったという。
出演作品
テレビドラマ
- おいら次郎長(1961年、TBS)
- どらぼや人生(1963年、TBS)
- 虹の設計(1964年、NHK)
- 大河ドラマ(NHK)
- 青春とはなんだ(1965年、NTV)
- 事件記者(1966年、NHK) - 矢島記者 役
- 横堀川(1966年、NHK) - ガマ口 (式屋四郎) 役
- ザ・ガードマン 第80話「罠には罠を」(1966年、大映テレビ室・TBS) - 木村 役
- ケンチとすみれ(1967年、NHK) - ケンチ 役
- クラクラ日記(1968年、TBS)
- 堂島(1968年、KTV)
- 夜の主役(1968年 - 1969年、NTV) - 大野木 役
- ややととさん(1969年、YTV)
- 東芝 日曜劇場「女と味噌汁14」(1969年、TBS)
- ふうふう夫婦(1969年、TBS)
- きんきらきん(1969年、TBS)
- はまぐり大将(1970年、NTV)
- 歌謡曲だよ人生は(1970年、毎日放送、関東地区では東京12チャンネルがネット)
- 愛と死の砂漠(1971年、KTV)
- 太陽にほえろ!(東宝・NTV) - 鮫島勘五郎(鮫やん)役
- 第44話「闇に向かって撃て!」(1973年)
- 第67話「オリの中の刑事」(1973年)
- 第89話「地獄の再会」(1974年)
- 第156話「刑事狂乱」(1975年)
- 第205話「ジョーズ探偵の悲しい事件簿」(1976年)
- 第252話「鮫島結婚相談所」(1977年)
- 第394話「鮫やんの受験戦争」(1980年)
- 第472話「鮫やんの大暴走」(1981年)
- 第711話「ジョーズ刑事の華麗な復活」(1986年)
- 銀座わが町(1973年、NHK)
- 荒野の用心棒 第34話「山峡の黄金に女豹が走って…」(1973年、NET) - 黒骨の弥市 役
- ありがとう 第4部(1974年、TBS) - 松尾一心 役
- おからの華(1975年、YTV)
- いろはの"い"(1976年 - 1977年、東宝・NTV) - 鬼頭キャップ 役
- 新・座頭市 (CX)
- 第1シリーズ 第29話「終りなき旅路」(1977年) - 坊主医者 役
- 第2シリーズ 第18話「こやし道」(1978年) - ニセ按摩 役
- 桃太郎侍(1977年、NTV) - 雉の与之助 役
- 同心部屋御用帳 江戸の旋風IV 第13話「錆びた十手」(1979年、CX) - 吉兵衛 役
- 熱中時代・刑事編(1979年、NTV)
- 鮎のうた(1979年、NHK)
- 夜明けのタンゴ(1980年、TBS)
- サンキュー先生 (1980年、ANB) - 山崎洋太郎校長 役
- 加山雄三のブラック・ジャック(1981年、ANB) - 倉持警部 役
- 玉ねぎむいたら…(1981年、TBS) - 大国鶴郎 役
- 俺はご先祖さま(1981年 - 1982年、NTV) - 大河内泰三 役
- 土曜ワイド劇場「3DKの通り魔」(1982年、ANB) - 刑事 役
- 事件記者チャボ!(1983年、NTV) - 鬼丸剛 役
- 大家族(1984年、TBS) - 高倉平太 役
- シンデレラの財布(1984年、TBS) - 伊達林三 役
- 気分は名探偵(1984年、NTV) - 津村浩三 役
- 水戸黄門 (TBS / C.A.L)
- 大岡越前(TBS / C.A.L)
- 森繁久彌シリーズ おやじのヒゲ(1985年 - 1996年、TBS) - 寿司屋の富太郎 役
- 誇りの報酬 第10話「さらば、田舎刑事!」(1985年、東宝・NTV)
- 忠臣蔵(1985年、NTV) - 宝井其角 役
- 火曜サスペンス劇場(NTV系)
- 私鉄沿線97分署 第87話「パッと花咲け! ヤッチャン親父」(1986年、ANB・国際放映) - 鬼頭政五郎 役
- 江戸を斬るVII(1987年、TBS・C.A.L) - 一番組吉五郎 役
- 三匹が斬る! 第1話「十萬両!ここが名代の浮世風呂」(1987年、ANB・東映)
- おんなは一生懸命(1987年 - 1988年、TBS) - 神野平吉 役
- 田原坂(1987年、NTV) - 川口雪篷 役
- 徳川家康(1988年、TBS) - 鳥居元忠 役
- 長七郎江戸日記 第2シリーズ SP-3「一心太助とご落胤・男一匹ここにあり」(1988年、NTV) - 一心太助 役
- 翔んでる!平賀源内(1989年、TBS・C.A.L) - 田沼意次 役
- 空と海をこえて(1989年、TBS) - 美山史郎 役
- 奇兵隊(1989年、NTV) - 紅屋木助 役
- 鬼平犯科帳 第1シリーズ 第12話「兇剣」(1989年、CX・松竹) - 高津の玄丹 役
- 大江戸捜査網 平成版第1シリーズ 第1話「隠密同心参上!」(1990年、TX) - 田沼意次 役
- 渡る世間は鬼ばかり(1990年 - 2005年、TBS) - 岡倉大吉 役(後任は宇津井健)
- 白い巨塔(1990年、ANB) - 財前又一 役
- 火曜ミステリー劇場 「豆腐屋直次郎の裏の顔」(1990年、ABC) - 落合幸治 役
- 源氏物語(橋田壽賀子脚本)(1991年、TBS) - 明石入道 役
- おんなは度胸(1992年、NHK連続テレビ小説) - 花村清太郎 役
- 春の一族(1993年、NHK) - 藤堂元太郎 役
- 女系家族(1994年、TX)
- 秋の一族(1994年、NHK) - 諸星清太郎 役
- 雲の上の青い空(1997年、NHKドラマ新銀河)
- 月曜ドラマスペシャル 「浅見光彦シリーズ9・天河伝説殺人事件」(1997年、TBS) - 高崎義則 役
- HOTEL 第5シリーズ 第2話「史上最低のお客様」(1998年、TBS)
- 介護ヘルパー殺人事件簿シリーズ(2001年、CX)
- バブル(2001年、NHK) - 栗原嘉一 役
- 警察医・花井吾朗シリーズ(2002年、TX)
- 金曜エンタテイメント「十津川警部夫人の旅情殺人推理」(2003年 - 2004年、CX) - 西山栄太郎 役
- 月曜ミステリー劇場「パートタイム裁判官」(2005年、TBS) - 松木辰蔵 役
映画
- 女であること(1958年、東宝) - 端 役
- 猫と鰹節(1961年、東宝) - 刑事B 役
- 座頭市地獄旅(1965年、大映) - 寸八 役
- 悪名無敵(1965年10月27日、大映) - 磯部 役
- 新・兵隊やくざ(1966年1月3日、大映) - 豊後一等兵 役
- 大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン(1966年4月17日、大映) - 佐藤医師(船医) 役
- 丹下左膳 飛燕居合斬り(1966年4月21日、東映) - 与吉 役
- 早射ち犬(1967年)
- クレージー黄金作戦(1967年4月29日、東宝) - 大浜部長 役
- 白昼堂々(1968年10月26日、松竹) - 銀三 役
- フレッシュマン若大将(1969年1月1日、東宝) - 藤原課長 役
- 社長えんま帖(1969年1月15日、東宝) - ポール花岡 役
- 続社長えんま帖(1969年5月17日、東宝) - ポール花岡 役
- ニュージーランドの若大将(1969年7月12日、東宝) - 藤原課長 役
- 喜劇 深夜族(1969年8月27日、松竹)
- ブラボー!若大将(1970年1月1日、東宝) - 西岡 役
- 社長学ABC(1970年1月15日、東宝) - 猿渡平一 役
- 続社長学ABC(1970年2月28日、東宝) - 猿渡平一 役
- 喜劇 がんばれ日本男児(1970年5月23日、東宝) - 荒木俊夫 役
- 喜劇 男売ります(1970年10月3日、東宝) - 岡村邦彦 役
- 喜劇 ソレが男の生きる道(1970年11月22日、東宝) - 鶴屋好太郎 役
- 昭和ひとけた社長対ふたけた社員(1971年5月22日、東宝) - 珍田徳平 役
- 昭和ひとけた社長対ふたけた社員・月月火水木金金(1971年10月30日、東宝) - 珍野徳平 役
- 球形の荒野(1975年、松竹) - 伊東忠介 役
- 新仁義なき戦い 組長最後の日(1976年4月24日、東映) - 米元政夫 役
- やくざの墓場 くちなしの花(1976年10月30日、東映) - 杉政明 役
- 江戸川乱歩の陰獣(1977年、松竹)
- 八甲田山(1977年6月18日、東宝) - 門間少佐 役
- 八つ墓村(1977年10月29日、松竹) - 久野医師 役
- 日本の首領 野望篇(1977年10月29日、東映) - 樽井源吉 役
- 赤穂城断絶(1978年10月28日、東映) - 大野九郎兵衛 役
- 白昼の死角(1979年4月7日、東映) - 偽者の木下雄次郎 役
- 月光仮面(1981年3月14日、日本ヘラルド) - 松田警部 役
- 連合艦隊(1981年8月8日、東宝) - 軍令部第一部長 福留繁少将 役
- 南十字星(1982年5月15日、東宝) - 松本大佐 役
- 小説吉田学校(1983年4月9日) - 広川弘禅 役
- 男はつらいよ 旅と女と寅次郎(1983年8月8日、松竹) - 北村社長 役
- ドン松五郎の生活(1986年3月21日、東宝) - 野山プロデューサー 役
- 死に花(2004年5月8日) - 源田金蔵 役
テレビアニメ
劇場アニメ
- うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー(1984年、東宝) - 夢邪鬼 役
吹き替え
- がんばれ!ベアーズ(テレビ朝日) - ウォルター・マッソー 役
- 三ばか大将(1963年、日本テレビ) - モー 役
- 0011ナポレオン・ソロ - バズ・コンウエイ 役
- ローハイド(1959年 - 1965年、NET) - ジム・ケンツ 役
海外アニメ
CM
その他
- マキシシングル「渡鬼音頭」
- ときめきJAZZ喫茶(NHKラジオ)
- 新潮CD「おはん」(新潮社)
- 宇野千代「おはん」(新潮文庫)の全文を朗読したもの。原作は中年男性の独白で構成されており、かつて声優で活躍していた藤岡の「声の名人芸」が聴ける。
受賞歴
- 1966年、映画「丹下左膳・飛燕居合斬り」で京都市民映画祭の助演男優賞受賞
- 1966年、第4回ギャラクシー賞受賞、「横堀川」(NHK)の演技 に対して
- 1993年、橋田賞受賞
- 1996年、文化庁長官表彰
- 2001年、菊田一夫演劇大賞特別賞受賞、永年の舞台の功績に対して