皇室典範
テンプレート:Infobox 皇室典範(こうしつてんぱん、昭和22年1月16日法律第3号)は、日本国憲法第2条及び第5条に基づき、皇位継承及び摂政に関する事項を中心に規律した皇室に関する法律である。
「皇室典範」は1889年(明治22年)2月11日に、大日本帝国憲法と同時に裁定(勅定)され、1947年(昭和22年)に、日本国憲法第100条及び第2条、第5条に基づき、日本国憲法施行前に、憲法に附属する法律の制定手続によって、枢密院の諮詢及び帝国議会の協賛を経て、現在の「皇室典範」(昭和22年1月16日法律第3号)が制定された。
経緯
「昭和22年法律第3号」の公布番号を持つ現在の「皇室典範」は「法律」として1947年1月16日に制定され、他の法律と同様にその改正は国会が行い、皇室の制度そのものに国民が国会を通じて関与することとなった。これは、制定当時、日本を占領していたGHQの強い意向によるものである。 この皇室典範は日本国憲法施行の日(1947年5月3日)に施行された。これと同時に明治22年裁定の「皇室典範」並びに明治40年及び大正7年の「皇室典範増補」は廃止された(昭和22年5月1日「皇室典範」)。また、皇室令の法形式も廃止されている(昭和22年皇室令第12号)。
本法は1949年(昭和24年)に一度改正が行われたが、これは総理府設置法の制定等に伴う関係法令の整理等に関する法律のためで、法令にある「総理庁」、「宮内府」の字句をそれぞれ「総理府」、「宮内庁」と改める内容である。これにより、本法にある「宮内府」の字句は、「宮内庁」と改められることとなった。
構成
以下の通りに構成されている。 テンプレート:Sister
第一章 皇位継承
旧皇室典範と同様にまず最初に皇位継承について規定されている。旧皇室典範では「第一章 皇位継承」にあたる。
- 皇位継承について
- 現皇室典範 第一条:皇位は皇統に属する男系の男子がこれを継承する。
- 旧皇室典範 第一條:大日本國皇位ハ宗ノ皇統ニシテ男系ノ男子之ヲ繼承ス
現在の皇族において、若い男性皇族がおられず、敬宮愛子内親王誕生後、皇室典範の改正が議論されるようになったが、平成18年(2006年)9月に、悠仁親王が誕生し、「典範改正」の議論は沈静化している。皇族男子の誕生は41年ぶりであった。
- 継承順位について
第二章 皇族
皇族について規定されている。旧皇室典範では「第七章 皇族」にあたる。
- 皇族の範囲について
- 現皇室典範 第五条:皇后、太皇太后、皇太后、親王、親王妃、内親王、王、王妃及び女王を皇族とする。
- 旧皇室典範 第三十條:皇族ト稱フルハ太皇太后 皇太后 皇后 皇太子 皇太子妃 皇太孫 皇太孫妃 親王 親王妃 內親王 王 王妃 女王ヲ謂フ
- 皇族の規定について
- 現皇室典範 第九条:天皇及び皇族は、養子をすることができない。
- 旧皇室典範 第四十二條:皇族ハ養子ヲ爲スコトヲ得ス
- 婚姻について
- 現皇室典範 第十条:立后(皇后を決めること=天皇の結婚)及び皇族男子の婚姻は、皇室会議の議を経ることを要する。
- 旧皇室典範 第三十九條:皇族ノ婚嫁ハ同族又ハ勅旨ニ由リ特ニ認許セラレタル華族ニ限ル
- 旧皇室典範 第四十條 皇族ノ婚嫁ハ勅許ニ由ル
第三章 摂政
摂政について規定されている。旧皇室典範では「第五章 攝政」にあたる。
第四章 成年、敬称、即位の礼、大喪の礼、皇統譜及び陵墓
- 成人について
旧皇室典範では「第三章 成年立后立太子」にあたる。
- 敬称について
旧皇室典範では「第四章 敬稱」にあたる。
- 現皇室典範 第二十三条:天皇、皇后、太皇太后及び皇太后の敬称は陛下とする。前項の皇族以外の皇族の敬称は殿下とする。
- 旧皇室典範 第十七條:天皇太皇太后皇太后皇后ノ敬稱ハ陛下トス
- 旧皇室典範 第十八條:皇太子皇太子妃皇太孫皇太孫妃親王親王妃內親王王王妃女王ノ敬稱ハ殿下トス
- 旧皇室典範 第十條:天皇崩スルトキハ皇嗣卽チ踐祚シ宗ノ神ヲ承ク
- 旧皇室典範 第十一條:卽位ノ禮及大嘗祭ハ京都ニ於テ之ヲ行フ
- 旧皇室典範 第十二條:踐祚ノ後元號ヲ建テ一世ノ間ニ再ヒ改メサルコト明治元年ノ定制ニ從フ
第五章 皇室会議
皇室会議について規定されている。旧皇室典範では「第十一章 皇族會議」にあたる。
- 構成について
- 現皇室典範 第二十八条:皇室会議は、議員十人(皇族二人、衆議院及び参議院の議長及び副議長、内閣総理大臣、宮内庁の長並びに最高裁判所の長たる裁判官及びその他の裁判官一人)でこれを組織する。
- 旧皇室典範 第五十五條:皇族會議ハ成年以上ノ皇族男子ヲ以テ組織シ内大臣 樞密院議長 宮内大臣 司法大臣 大審院長ヲ以テ參列セシム
- 議長について