白川 (熊本県)
テンプレート:Infobox 河川 白川(しらかわ)は、熊本県中北部を流れる一級河川。一級水系白川の本流である。水源は環境省により、名水百選に指定されている。
目次
地理
阿蘇山の根子岳(標高1,433m)に発し、阿蘇山カルデラの南部「南郷谷」を西流。立野(南阿蘇村)で、カルデラの北側「阿蘇谷」を流れる支流の黒川と合流する。急流の多い上中流域を抜けると、熊本市市街部を南北に分けて貫流し、有明海に注ぐ。河口部では加藤清正以来の干拓が行われる。
白川水源
熊本県阿蘇郡南阿蘇村の旧白水村にある湧水である。「白川吉見神社」境内から年間を通じて14℃、60t/分トンの水が湧き出ており1985年(昭和60年)名水百選に選定された[1]。
白川の水源の1つであり白川水源付近を流れる河川は、「下の川」で、近辺の白川沿いには他にも多数の湧水があり、南阿蘇村湧水群として平成の名水百選に選定されている[2]。また南阿蘇村は水の郷百選に水の生まれる里として選定されている。[3] 2012年3月17日、南阿蘇鉄道に南阿蘇白川水源駅が開業した。
歴史
加藤清正による河川改修
最初に大規模な河川改修を行ったのは加藤清正であることがわかる。肥後入国後に自ら船に乗り、何度も白川を往復して検分したと伝えられている。流域全体に様々な治水対策が行われ、一部は現在も生かされている。
- 治水工事
- 鹿漬堰(しつけぜき)- 鹿漬堰(しつけぜき)- 黒川との合流地点に設けられた堰。白川の流速を速め、黒川の流速を遅くするために設けられた。
- 石刎(いしばね)- 川岸から中央に向かって突き出した石堤。堤防を保護するために流速を下げることを狙ったもので、流域各所に設けられていた。
- 城下町付近の流路変更 - 諸説あるが、かつての白川は現在の子飼橋~代継橋付近で大きく蛇行し、現在の熊本市役所付近で坪井川が合流、それから現在の坪井川の流路を通り、現在の長六橋付近で現在の流路となっていた。清正は治水及び熊本城の防衛のために新たに河道を開削し、城下町の南端で合流するようにした。熊本城の防衛上の意味というのは、白川を外堀、坪井川を内堀に見立てるというものである。このため、熊本城には水堀が1つしかない。
6・26水害
1953年(昭和28年)6月26日、梅雨前線による集中豪雨で白川が氾濫し熊本市の広い範囲が床上浸水、またその2ヶ月前に阿蘇山が噴火していたことで大量の泥(火山灰)が市街地へ流入した。この白川流域の水害についてを「白川大水害」、または日付から「6・26水害」と呼ぶ。熊本のほか福岡・佐賀などでも大きな被害をもたらしたこれらの水害の詳細は昭和28年西日本水害#白川大水害を参照。
平成24年7月九州北部豪雨による氾濫
流域の自治体
支流・用水路
- 黒川 - 阿蘇山カルデラの北側を流れる支流。
- 堀川 - 大津町瀬田の瀬田堰より取水。
- 小野田井手 - 阿蘇市一の宮町
- 馬場楠井手(鼻ぐり井手) - 菊陽町馬場楠堰より取水。鼻ぐりと呼ばれる火山灰対策技術がある。
- 大井手(一の井手・二の井手・三の井手)- 熊本市中央区渡鹿の渡鹿堰より取水。
立野ダム計画
立野ダムは治水を目的とする穴あきダムで、通常はダム最下部に設けられた3ヶ所の洪水吐から通水するが、流入する水量が増えた場合には放流水量を調整する。1983年(昭和58年)に事業着手したが、2012年(平成24年)の時点でも本体工事は着工していない。
並行する交通
鉄道
- JR九州豊肥本線 - 黒川との合流点に近い立野駅北側にはスイッチバックがある。
- 南阿蘇鉄道高森線 - 立野駅近くに架かる第一白川橋梁は、国鉄高千穂線高千穂橋梁が完成するまでは、水面からの高さ日本一を誇った。現在は徐行運転や一時停車のサービスが行われており、車内から美しい自然風景を眺めることができる。
道路
周辺の施設
- 熊本大学
- 藤崎八旛宮
- 白川公園
- 熊本大学医学部附属病院
- 熊本市立龍田中学校
- 熊本全日空ホテルニュースカイ
- 熊本市中部浄化センター
- アクアドームくまもと
- 熊本市西部浄化センター
- 西岸寺 (熊本市)
橋梁
- 南阿蘇鉄道白川第一橋梁
- 空港大橋 - 熊本県道36号熊本益城大津線の橋である。
- 鼻ぐり大橋 - 熊本県道209号曲手原水線の橋である。
- みらい大橋 - 熊本県道138号辛川鹿本線の橋である。
- 弓削橋 - 熊本県道235号益城菊陽線の橋である。
- 弓削大橋 - 国道57号(熊本東バイパス)の橋である。
- 吉原橋 - 熊本県道231号託麻北部線の橋である。
- 九州自動車道白川橋
- 武蔵橋
- 三協橋- 熊本県道232号小池竜田線の橋である。
- 龍田大橋 - 国道3号(熊本北バイパス)の橋である。
- 小碩橋 - この橋から下流と立野ダムが国土交通省管理区間、上流が熊本県管理区間である。
- 竜神橋
- 子飼橋
- 明午橋 - 熊本県道145号瀬田熊本線の橋である。
- 大甲橋 - 熊本県道28号熊本高森線の橋である。熊本市電水前寺線の建設に伴って架橋された、道路と路面電車の併用橋。名前は1924年(大正13年、甲子)に建設されたことに因む。
- 安巳橋(安政橋) - 安政4年(1857)(干支、丁巳)完成。はじめ安政橋(あんせいばし)のち新橋と改め、さらに万延元年(1860)に安政の丁巳の年に完成したことから安巳橋(やすみばし)と改められた。今でも安政橋とも呼ばれる。
- 銀座橋
- 新代継橋
- 代継橋 - 国道266号の橋である。
- 長六橋 - 白川に最初に架けられた橋。1601年(慶長六年)頃、熊本城築城の際に架けられたとされる。1857年(安政4年)に安巳橋(安政橋)が架けられるまでは、熊本府内唯一の橋であり、記録に残るだけでも十数回流失している。現在は国道3号の橋となっている。
- 白川橋 - 熊本県道22号熊本停車場線、通称産業道路の橋である。
- 世安橋
- 新世安橋
- JR豊肥本線第一白川橋梁
- 蓮台寺橋 - 熊本市道新土河原出水線の橋である。
- 薄場橋 - 熊本県道227号並建熊本線の橋である。
- 熊本西大橋 - 熊本県道227号並建熊本線の橋である。
- 八城橋
- 小島橋 - 国道501号の橋である。
流域の観光地
関連項目
参考資料
- 『加藤清正の川づくり・まちづくり』加藤清正土木事業とりまとめ委員会(建設省熊本工事事務所)1995年11月
- 『市史研究くまもと第7号』熊本市史編纂委員会(熊本市)1996年3月 ISSN 0918-0168
- 『加藤清正 築城と治水』坂本喜杏(冨山房インターナショナル)2006年5月
- 『熊本県文化財調査報告・第六○集 熊本県歴史の道調査-薩摩街道-』熊本県文化財保護協会 1983年3月
外部リンク
- 熊本河川国道事務所 白川の概要
- 環境省選定 名水百選 詳細ページ(白川水源)
- 白川わくわくランド(白川流域住民交流センター)
- 南阿蘇村観光協会 名水巡り
- 白川水系河川整備計画 - 国土交通省 -九州地方整備局
- 国土交通省 九州地方整備局 立野ダム工事事務所