王立協会

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現在の王立協会の建物

王立協会(おうりつきょうかい、Royal Society)は、現存する最も古い科学学会1660年に設立。王立学会(おうりつがっかい)とも。

概要

この会は任意団体ではあるが、イギリスの事実上の学士院(アカデミー)としてイギリスにおける科学者の団体の頂点にあたる。また、科学審議会(Science Council)の一翼をになうことによって、イギリスの科学の運営および行政にも大いに影響をもっている。1782年創立の王立アイルランドアカデミーと密接な関係があり、1783年創立のエジンバラ王立協会とは関係が薄い。

モットーは"Nullius in verba"(ラテン語で「言葉によらず」)。これは古代ローマの詩人であるホラティウスからの引用で、原文は"Nullius addictus judicare in verba magistri"(「権威者の伝聞に基づいて(法廷で)証言しない」)。つまり、聖書教会古典などの権威に頼らず証拠(実験観測)を持って事実を確定していくという近代自然科学の客観性を強調するものである。

英語表記の Royal は、国王の許可を得て設立されたことを示すもので、元々は会への不当な干渉を防ぐためのものであった。国王が直接の資金援助を行った、あるいは設立に関与したわけではない。このため、日本の科学史家、板倉聖宣王認協会と呼んでいるが、この呼称は普及していない。同様に名称に Royal を付ける許可をもらい、会への干渉を防ごうとした団体には、王立園芸協会(Royal Horticultural Society)などもある(なお、王立園芸協会の設立に当たっては、当時の王立協会会長ジョセフ・バンクスも関係している)。

王立協会は最初期から開かれた組織であった。協会は、世界中を連結し、得られた科学的知識を共有することを目指した。これはオープンコンテントの概念ともほぼ一致する。協会は秘密を排除し、会員間のコミュニケーションを促進させた。また、言語による他国人とのコミュニケーション不足がなくなるようにも努力した。

著名な会員

17世紀以降の著名な科学者の多くは、創立メンバーまたは会員になっている。王立協会のフェローにはFRS(Fellow of the Royal Society)という称号が付く。

最初期の主要な会員には、ロバート・ボイル、J・イーブリン、ロバート・フックウィリアム・ペティジョン・ウォリスジョン・ウィルキンズ、トーマス・ウィリス、クリストファー・レンなどがいる。近代科学の祖であるアイザック・ニュートンは、光学に関する研究の業績が認められ、後に協会理事長になった。

ロバート・ボイルは、1662年に協会で実験係になった。トーマス・ベイズは、協会で最初に自分の研究結果を公表した。ジョージ・グラハムは、世界で最初のクロノグラフやストップウォッチを発明するなど、時計の技術を向上させた。

沿革

歴代会長

初期の王立協会の会長には、学者の他、政治家軍人など、様々な職業の人物が選ばれてきた[1]。近年では、ノーベル賞フィールズ賞の受賞者など、その時代を代表する学者が就任する場合が多い。一般に、爵位を持つ。 王立協会の会長にはPRS(The president of the Royal Society)という称号が付く。

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初代: ウィリアム・ブラウンカー。
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12代: アイザック・ニュートンは、24年のあいだ会長職を務めた。
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24代: オーガスタス・フレデリックは、ヴィクトリア女王の叔父に当たる。
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38代: レイリー卿ジョン・ウィリアム・ストラットは、1904年にノーベル物理学賞を受賞している。
氏名 着任年 退任年 称号等
1 ウィリアム・ブラウンカー 1662 1677 ブラウンカー子爵
2 ジョセフ・ウィリアムソン 1677 1680
3 クリストファー・レン 1680 1682
4 ジョン・ホスキンス 1682 1683
5 シリル・ワイチ 1683 1684
6 サミュエル・ピープス 1684 1686
7 ジョン・ヴォーン 1686 1689 カーベリー伯爵
8 トマス・ハーバート 1689 1690 ペンブルック伯爵
9 ロバート・サウスウェル 1690 1695
10 チャールズ・モンタギュー 1695 1698 ハリファックス伯爵
11 ジョン・サマーズ 1698 1703 サマーズ男爵
12 アイザック・ニュートン 1703 1727
13 ハンス・スローン 1727 1741
14 マーティン・フォークス 1741 1752
15 ジョージ・パーカー 1752 1764 マクルスフィールド伯爵
16 ジェームズ・ダグラス 1764 1768 モートン伯爵
17 ジェームズ・バーロウ 1768 1768
18 ジェームズ・ウェスト 1768 1772
19 ジョン・プリングル 1772 1778
20 ジョゼフ・バンクス 1778 1820
21 ウイリアム・ウォラストン 1820 1820
22 ハンフリー・デービー 1820 1827
23 デイヴィス・ギルバート 1827 1830
24 オーガスタス・フレデリック 1830 1838 サセックス公爵
25 スペンサー・コンプトン 1838 1848 ノーサンプトン侯爵
26 ウィリアム・パーソンズ 1848 1854 ロス伯爵
27 ジョン・ロッテスリー 1854 1858 ロッテスリー男爵
28 ベンジャミン・コリンズ・ブロディ 1858 1861
29 エドワード・サビーン 1861 1871
30 ジョージ・ビドル・エアリー 1871 1873
31 ジョセフ・ダルトン・フッカー 1873 1878
32 ウィリアム・スポティスウッド 1878 1883
33 トマス・ヘンリー・ハクスリー 1883 1885
34 ジョージ・ガブリエル・ストークス 1885 1890
35 ウィリアム・トムソン 1890 1895 ラーグスのケルヴィン男爵
36 ジョゼフ・リスター 1895 1900 ライム・リージスのリスター男爵
37 ウィリアム・ハギンズ 1900 1905
38 ジョン・ウィリアム・ストラット 1905 1908 レイリー男爵
39 アーチボルド・ゲイキー 1908 1913
40 ウィリアム・クルックス 1913 1915
41 ジョセフ・ジョン・トムソン 1915 1920
42 チャールズ・シェリントン 1920 1925
43 アーネスト・ラザフォード 1925 1930 ネルソンのラザフォード男爵
44 フレデリック・ホプキンズ 1930 1935
45 ヘンリー・ブラッグ 1935 1940
46 ヘンリー・ハレット・デール 1940 1945
47 ロバート・ロビンソン 1945 1950
48 エドガー・エイドリアン 1950 1955 ケンブリッジのエイドリアン男爵
49 シリル・ヒンシュルウッド 1955 1960
50 ハワード・フローリー 1960 1965 アデレードとマーストンのフローリー男爵
51 パトリック・ブラケット 1965 1970 ブラケット男爵
52 アラン・ロイド・ホジキン 1970 1975
53 アレクサンダー・トッド 1975 1980 トランピントンのトッド男爵
54 アンドリュー・ハクスリー 1980 1985
55 ジョージ・ポーター 1985 1990 ラドナムのポーター男爵
56 マイケル・アティヤ 1990 1995
57 アーロン・クルーグ 1995 2000
58 ロバート・メイ 2000 2005 オックスフォードのメイ男爵
59 マーティン・リース 2005 2010
60 ポール・ナース 2010

脚注

  1. http://royalsociety.org/about-us/governance/president/

参考文献

  • Gleick, James, Isaac Newton, Vintage Books, ISBN 1-4000-3295-4
  • Spratt,Thomas, History of Royal Society, Kessinger Publishing; (February 1, 2003), ISBN 0766128679

関連項目

外部リンク