正方形
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正方形(せいほうけい、英: square)または正四角形は、平面上の幾何学において、4つの辺の長さが全て等しく、4つの角の角度が全て等しい四角形のことであり、正多角形の1種である。正方形は、長方形、菱形、凧形、平行四辺形、台形の特殊な形だと考えることもできる。なお1m²の面積は、一辺1mの正方形の面積と定義される。1cm²、1km²なども同様である。
他の図形との関係
- 正方形と長方形
- 正方形は、全て角の角度が等しい四角形である。したがって正方形は、長方形(4つの角の角度が全て等しい四角形)の特殊な形だと言える。
- 正方形と菱形
- 正方形には2本の対角線が存在するが、その長さは等しく、またこの2本の対角線は直交する。逆に、対角線の長さが等しい菱形(4つの辺の長さが全て等しい四角形)は、正方形となる。したがって正方形は、菱形の特殊な形だと言える。
- 正方形と凧型
- 正方形の4つの辺の長さは全て等しい。よって対頂点(辺を共有しない、向かい合う2つの頂点)に接する辺の長さも等しい。したがって正方形は、凧型(1組の対頂点に接する辺の長さが等しい四角形)の特殊な形だと言える。
- 正方形と平行四辺形・台形
- 正方形の向かい合う辺は、必ず平行である。したがって正方形は、平行四辺形(向かい合う辺が平行な四角形)の特殊な形だと言える。同様に、台形(1組の向かい合う辺が平行な四角形)の特殊な形だとも言える。
性質
正方形は、上記のように長方形、菱形、凧形、平行四辺形、台形の特殊な形なので、これらの図形が持つ性質は全て持っている。また、それとは別に四角形の中では正方形だけが持つ性質もある。以下に正方形の性質の具体例を幾つか列記する。
- 正方形の1辺の長さを2乗すれば、その正方形の面積が算出できる。
- 正方形の対角線の長さにその半分の長さをかけると、その正方形の面積が算出できる。すなわち正方形の面積は、その対角線を長さ(長方形の長い方の辺の長さ)その半分を幅(長方形の短い方の辺の長さ)とする長方形の面積と等しい。
- 正方形Aの内接円と、正方形Bの外接円、それぞれの円の半径が等しい時、正方形Aの面積は、正方形Bの面積の2倍となる。
- 正方形は、全て角の角度が等しい四角形であるため、必ず正方形の内角はどれも直角となる。よって、正方形の向かい合う辺は、必ず平行となる。
- 全ての正方形は、互いに相似である。(相似でない正方形は存在しない。)さらに、辺の長さの等しい正方形同士ならば、それらは合同である。また、対角線の長さの等しい正方形同士も、それらは合同である。
- 正方形には2本の対角線が存在するが、その長さは等しく、またこの2本の対角線は直交する。なお、この2本の対角線の交点は、正方形の重心となっている。
- 正方形は、対角線の交点(重心)を中心点とした点対称な図形である。ところで点対称とは、中心点を軸に180度回転した像と元の像が重なり合う状態を言う。したがって、正方形の重心を中心として180度回転させると元の像と重なり合うのは当然だが、正方形の場合は、さらに重心を中心として90度回転させた場合も元の像と重なり合う。
- 正方形は、対角線、または、向かい合う辺の中点同士を結ぶ線分に対して、線対称な図形である。したがって、これらの線で折り返した場合、重なり合う。なお、これらの線は必ず正方形の重心を通る。また、これらの線は合わせて4本あるので、対称軸が4本あると言うことができる。ちなみに、四角形が持ち得る対称軸は、最大で4本である。なお一般に、正n角形にはn本の対称軸が存在するわけだが、正方形(=正4角形)の場合もそれは当てはまっている。
- 正方形の重心を原点に取り、軸に平行に取った辺の長さが2である正方形の頂点の座標は (x, y) = (1, 1), (1, -1), (-1, 1), (-1, -1) となる。この正方形の内部は -1 < x < 1, -1 < y < 1 として、 (x, y) で示される点の集合として表される。もしくは |x|n + |y|n < 1 の n→∞ の場合の極限である。ただし、この式では辺と頂点は含まない。
- 正方形は正多角形の1種である。正多角形のうち平面を隙間無く敷き詰めることのできる図形は、正三角形、正方形、正六角形の3種のみである。(なお、平面を隙間無く敷き詰めることのできる正多角形以外の図形は、例えば平行四辺形など、他にも存在する。)また正多角形のうち正多面体の面になり得るものは、正三角形、正方形、正五角形、の3種のみである。全ての面が正方形である正多面体は正六面体であり、一般に立方体と呼ばれる。
正方形に関するその他の事項
- 地図の投影法の1種である正距円筒図法は、正方形図法という別名を持つ。これは、正距円筒図法で書かれた地図の経線と緯線が等間隔に直交し、ちょうど正方形のマスができるためである。
- 一般的な折り紙は、正方形の紙である。
- 正六面体(立方体)の面は、正方形である。
- 数の1種である平方数は、正方形数とも呼ばれる。
- 「任意の正方形を、2個以上の全て異なる大きさの正方形に分割できるか」という問題は、ルジンの問題として知られる。元々は解が無いだろうと予想されていたが、後に幾つかの解が発見された。