正多面体
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
正多面体(せいためんたい、regular polyhedron)、またはプラトンの立体(プラトンのりったい、Platonic solid)とは、すべての面が同一の正多角形で構成されてあり、かつすべての頂点において接する面の数が等しい凸多面体のこと。正多面体には正四面体、正六面体、正八面体、正十二面体、正二十面体の五種類がある。
三次元空間の中に一つの頂点を取り、その周りに取ることが可能な正多角形に関する制限から、正多面体が先に示した五種類のみであることが証明できる。このことは、オイラーの多面体公式からも証明できる。しかし、条件を緩めることによって、正多面体の拡張を考えることができる(参照:星型正多面体、ねじれ正多面体、正平面充填形)。正多面体の構成面を正 p 角形、頂点に集まる面の数を q として {p, q} のように表すことができる。これをシュレーフリ記号という。シュレーフリ記号は半正多面体(別名:アルキメデスの立体)にも拡張することができる。
一覧
正多面体の表面積、体積は一辺を a とすれば、概略下記となる。
名前と図 | 構成面 | 辺 | 頂点 | シュレーフリ記号 | 表面積とその概数 | 体積とその概数 |
---|---|---|---|---|---|---|
正四面体 ファイル:120px-Tetrahedron-slowturn.gif |
正三角形 | 6 | 4 | {3,3} | <math>\sqrt{3}a^2</math> <math>\simeq 1.732a^2</math> |
<math>{\sqrt{2}\over12}a^3</math> <math>\simeq 0.118a^3</math> |
正六面体 ファイル:120px-Hexahedron-slowturn.gif |
正方形 | 12 | 8 | {4,3} | <math>6a^2\,</math> | <math>a^3\,</math> |
正八面体 ファイル:120px-Octahedron-slowturn.gif |
正三角形 | 12 | 6 | {3,4} | <math>2\sqrt{3}a^2</math> <math>\simeq 3.464a^2</math> |
<math>{\sqrt{2}\over3}a^3</math> <math>\simeq 0.471a^3</math> |
正十二面体 ファイル:120px-Dodecahedron-slowturn.gif |
正五角形 | 30 | 20 | {5,3} | <math>3\sqrt{25+10\sqrt5}a^2</math> <math>\simeq 20.65a^2</math> |
<math>{15+7\sqrt5\over4}a^3</math> <math>\simeq 7.663a^3</math> |
正二十面体 ファイル:120px-Icosahedron-slowturn.gif |
正三角形 | 30 | 12 | {3,5} | <math>5\sqrt3a^2</math> <math>\simeq 8.660a^2</math> |
<math>{5\over12}(3+\sqrt5)a^3</math> <math>\simeq 2.182a^3</math> |
双対
正多面体は、適切に頂点を選ぶことで別の正多面体を作ることができる。 代表的なものは各面の中心を結ぶという操作で、
- 正二十面体 ↔ 正十二面体
- 正六面体 ↔ 正八面体
- 正四面体 ↔ 正四面体
の様に作ることが出来る。これらの関係を双対という。このうち正四面体は正四面体自身になる(自己双対)。
ほかには、
- 正六面体の1つおきの頂点 → 正四面体
- 正十二面体の適当な頂点 → 正四面体、正六面体
- 正四面体の各辺の中点 → 正八面体
- 正八面体の各辺を黄金分割して結ぶ → 正二十面体
などがある。
星型正多面体というものもある。