平方数
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平方数(へいほうすう、テンプレート:En)とは、ある整数の2乗(平方)で表される整数のことである。四角数(しかくすう)とは、多角数の一種で、正方形の形に点を並べたときにそこに並ぶ点の総数に合致する整数のことである。表現が異なるが、実際には2つの概念は一致する。定義より最小の平方数は 02 = 0 であり、平方数は無限にある。
例えば16は、1つの辺に点を4つ並べて正方形を作ったときに該当するので平方数の1つである。
1 | 4 | 9 | 16 | |||
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* | ** ** |
*** *** *** |
**** **** **** **** |
平方数を小さいものから順に列記すると
- 0, 1, 4, 9, 16, 25, 36, 49, 64, 81, 100, 121, 144, 169, 196, 225, 256, 289, 324, 361, 400, 441, 484, 529, 576, 625, 676, 729, 784, 841, 900, 961, …(テンプレート:OEIS)
である。
平方数による表現
- 全ての自然数は、高々4個の平方数の和で表される。(→四平方定理)
- 全ての自然数は、平方数と偶数の平方数と三角数との和で表される。(→多角数定理)
- 全ての自然数は、平方数と2個の三角数との和で表される。(→多角数定理)
- 4k + 1 の形の素数は2個の平方数の和で表される。(→二個の平方数の和)
- 8k + 1, 8k + 3 の形の素数は x2 + 2y2 で表される。(→二個の平方数の和#重みつき平方数の和)
- 12k + 1, 12k +7 の形の素数は x2 + 3y2 で表される。(→二個の平方数の和#重みつき平方数の和)
- 8k + 1, 6k + 2, 8k + 3, 8k + 5, 8k + 6 の形の自然数は高々3個の平方数の和で表される。(→三個の平方数の和)
他のトリビア
- 0, 1以外の平方数は合成数であり、約数を奇数個持つ。
- n + 1 番目の平方数 Sn+1 は n2 であり、1 から 2n − 1 までの n 個の奇数の和に等しい。<math>\sum_{k=1}^n (2k-1) = n^2</math>
- n 番目の平方数 Sn までの和は <math>\sum_{k=1}^n k^2 =\frac{1}{6} n(n+1)(2n+1)</math> であり、n 番目の四角錐数となる。また組み合わせの記号を用いて <math>{}_{n+1} \text{C}_3 +{}_n \text{C}_3</math> とも表現できる。
- 0を除く平方数の逆数の総和は<math>\sum_{k=1}^{\infty} \frac {1}{k^2} = { \frac {\pi^2}{6} }</math>である。(→ゼータ関数、バーゼル問題)
- n2 と (n + 1)2 の間に必ず素数があるかは、証明されていない。だが、素数であるか2個の素数の積である数が存在することは、1975年に陳景潤によって証明されている。
- 平方数は、完全数になりえないことが分かっている。
- フィボナッチ数のうち平方数であるのは 0 と 1 と 144 のみである。
- 平方数は2つの連続した三角数の和として表される。
- 1万、1億、1兆などの数は 104n = (102n)2 と表されるので全て平方数である。
- 十の位が奇数の場合は、一の位は必ず 6 になる。16, 36, 196, 256 など。
- 下2桁が 25 の場合は、百の位は必ず、0, 2, 6 のいずれかになる(5番目の平方数である 25 の場合、百の位は0と見なす)。25, 225, 625, 1225 など。
- 平方数は 1 から階差数列にさらに階差数列(1, 4, 9, 16 であればその差は 3, 5, 7、さらにその差は 2, 2)が重なったものである。
- 3 + 2 × (3 − 1) = 7, (3 + 7) × 3 ÷ 2 = 15, 1 + 15 = 16
- となる。
- 144 と 441、169 と 196 と 961、256 と 625、1024 と 2401 のように、数字を並べ替えただけで、別の平方数になるものが多い。
- 平方数を二進記数法で表現する場合、二番目のビットは必ず0となる。この事は十進記数法にて1から9までの平方数の1桁目に着目すると明らかである。つまり1から順に1、4、9、6、5、6、9、4、1となり、2ビット目は常に0のままである。9以降もこの繰り返ししかない為、全ての平方数に当てはまる。
一般化
ある有理数の平方として表される有理数を平方数ということもある。あるいはさらに一般に、ある体 K の乗法群 K* の部分集合 {x2 | x ∈ K}(直積集合と紛れるおそれのないときにはこれを (K*)2 などと表す)の元を平方数とか平方元などということがある。主に (K*)2 ≠ K* のときに意味を持つ。
参考文献
- Chen, J. R. "On the Distribution of Almost Primes in an Interval." Sci. Sinica 18, 611-627, 1975.