岐阜駅
岐阜駅(ぎふえき)は、岐阜県岐阜市橋本町一丁目にある、東海旅客鉄道(JR東海)の駅である。
概要
岐阜県の県庁所在地である岐阜市の中心駅であり、運輸省中部運輸局が認定する「中部の駅百選」の第二回選定駅となった。当駅の所属線である東海道本線[1]と、当駅を起点とする高山本線が乗り入れ、分岐駅となっている。現在、日中の東海道本線の普通(各駅停車)は名古屋方面から当駅で折り返し、特別快速・新快速・快速・区間快速が当駅以西の各駅に停車する。
当駅周辺では、高山本線が比較的まっすぐ東進する一方、東海道本線上り側には半径600mのカーブが存在する。当初、東西両京を結ぶ鉄道幹線ルートは岐阜から東も、山側の中山道経由で建設される計画で、岐阜 - 大府は太平洋に面し港のある武豊から建設資材を運ぶための支線として計画された。結局、岐阜 - 東京間は中山道ルートの建設は困難と判断され美濃路・東海道経由で建設されることになった。ただし大府駅における武豊線と東海道本線の関係のように、高山本線が先に開通したわけではない。
東海道本線のうち、当駅を含む名古屋駅 - 米原駅間は東海道新幹線と別線区間となっており、この区間の選択乗車において当駅は東海道新幹線の岐阜羽島駅と対応している。したがって、名古屋以東または米原以西発着の普通乗車券・普通回数乗車券であれば、岐阜羽島駅発着のものであっても当駅を利用でき、逆に当駅発着のものであっても岐阜羽島駅を利用できる。ただし、区間の片端が岐阜駅または岐阜羽島駅、もう片端が名古屋駅・尾頭橋駅・金山駅のいずれか、という乗車券については適用されない(旅客営業規則第157条第1項第30号[2])。
当駅の北東約300mには名古屋鉄道の名鉄岐阜駅がある。またかつては、駅前に名鉄岐阜市内線の岐阜駅前駅があったが、2003年12月1日に休止、2005年4月1日に廃止されている。
駅構造
島式ホーム3面6線を有する高架駅。1・6番線が東海道本線の本線、2・5番線が東海道本線の副本線、3番線が高山本線の副本線、4番線が高山本線の本線である。
構内の大垣駅寄りには、折り返し用の留置線が設けられている。1999年12月4日のダイヤ改正で日中の対名古屋方面の普通列車が大垣駅始発・終着から当駅始発・終着となったが、留置線の長さが短いことや配線構造などの関係で、すべての折り返し列車を引き上げることが困難となった。このため、4・5番線での直接折り返しが多くなった(一部は大垣駅・岐阜貨物ターミナル駅への回送)。その結果、快速系統の列車と普通列車の同一ホームでの乗り換えが一部で不可能になっている。
ホームの高さは東海道本線の1・2・5・6番線は110cmであり、高山本線の3・4番線はそれより低い92cmである。高山本線ではデッキのステップが低い気動車を運用することから、東海道本線より一段低く設計されたためである。なお、3・4番線には東海道本線の一部の列車(電車)も入る。
1992年に東海道本線下り線が高架化され、高架ホームのうち4 - 6番線の使用を開始したが、地上ホームの4番線は上り線高架化まで継続使用されることになり、暫定的に10番線と改称された。また、高山本線は、高架ホーム・地上ホームのどちらにも入線可能な構造になっていたが、高架ホームの使用は、東海道本線下り線と直通する特急・急行列車に限られた。
高架化で名鉄名古屋本線のガードを越えるため3階建て高架に匹敵する位置に駅が造られているが、これは1978年(昭和53年)の岐阜県都市計画審議会で「国鉄3階・名鉄現線2階」案が答申された計画をそのまま施工したためでもある。この「国鉄3階・名鉄現線2階」案には名古屋鉄道側は高架事業に参入せず、旧国鉄側との事業化に向けた都市計画及び工事締結を行い答申案の計画のまま現在の高架化となる。このため、高架2階部にあたるJR改札コンコース前の吹き抜け部にある短いエスカレーターと階段の向こう側(現在は本屋などのテナント部分)に名鉄線の駅とホームが建設される計画があったとも言われている。
駅舎外壁には、透明の板が張られている。
駅長・駅員配置駅(直営駅)である。管理駅として、東海道本線の西岐阜駅・穂積駅および高山本線の長森駅 - 鵜沼駅間の各駅を管理している。高架下の駅舎内部にはみどりの窓口や自動改札機、自動券売機などが置かれている。改札口は2か所ある。JR東海のTOICAおよび相互利用可能な各ICカードが利用可能となっている。
なお、ホームとコンコースを結ぶエレベーターは駅係員の操作を必要とする。(エレベーターのコンコース出入り口が改札外にあるため、駅係員が切符の確認、精算を行う)
高架下にはレストランや岐阜の特産品を扱う施設である「アクティブG」、商業施設である「アスティ岐阜」、図書館(市立)や運動施設など生涯学習拠点の「ハートフルスクエアG」がある。
ホーム | 路線 | 方向 | 行先[3] | 備考 |
---|---|---|---|---|
1・2 | テンプレート:Color東海道本線 | 上り | 名古屋・岡崎方面 | 特急「しなの」「しらさぎ」は1番線 |
3 | テンプレート:Color高山本線 | - | 美濃太田・高山方面 | |
テンプレート:Color東海道本線 | 上り | 名古屋・岡崎方面 | 一部の列車 | |
4 | テンプレート:Color高山本線 | - | 美濃太田・高山方面 | 特急「ひだ」はすべてこのホーム |
テンプレート:Color東海道本線 | 下り | 大垣・米原方面 | 一部の列車 | |
上り | 名古屋・岡崎方面 | 始発列車と一部の「ひだ」 | ||
5 | テンプレート:Color東海道本線 | 下り | 大垣・米原・富山・大阪方面 | |
上り | 名古屋・岡崎方面 | 始発列車のみ | ||
6 | テンプレート:Color東海道本線 | 下り | 大垣・米原・富山・大阪方面 |
- 大阪発の特急「ひだ」25号は3番線に到着し、一旦待避線に入った後、4番線で「ひだ」5号と連結する。
- 大阪行きの特急「ひだ」36号と名古屋行きの特急「ひだ」16号の解放は4番線で行う。これ以外の名古屋行きの「ひだ」は2番線から発車となる。
配線図
駅弁
かつて駅弁が販売されていたが、2005年6月に業者が破産し現在は販売されていない(岐阜羽島駅も同じ業者であったが、同駅では別の業者が仕出し弁当を販売している)。以下はかつて販売されていたものである。
- あゆずし
- 井ノ口の里
- 鵜飼ちらし
- かがり火弁当
- 信長
- 美濃路弁当
利用状況
JR東海の駅の中では8番目(2009年度)に乗車人員の多い駅である。また、名鉄交通広告の公式ホームページによると、当駅の2008年度の1日平均乗降客数は59,680人(JR・名鉄合計で95,767人)である。
「岐阜市統計書」によると、当駅の一日平均乗車人員は以下の通り推移している。
年度 | 一日平均 乗車人員 |
---|---|
2003年 | 27,867 |
2004年 | 27,617 |
2005年 | 28,482 |
2006年 | 28,679 |
2007年 | 29,369 |
2008年 | 29,649 |
2009年 | 29,480 |
2010年 | 30,101 |
2011年 | 30,333 |
2012年 | 30,856 |
駅周辺
高架化により現駅舎の北側にあった旧駅舎が最近取り壊されたことや、周辺ビルの老朽化が著しいことから、現在「岐阜駅北口駅前広場整備計画」に基づいて、北口(長良口)では大規模な駅前再開発が行われている。また、岐阜駅北約21ha及び柳ヶ瀬通周辺約9haの地域は、「都市再生緊急整備地域」に指定され現在再開発が進んでいる。
JR岐阜駅バスターミナル、名鉄岐阜駅、名鉄岐阜駅に隣接するバス停(岐阜バスターミナル、名鉄岐阜のりば)までは駅の改札口のある2階部分からペデストリアンデッキで接続され、駅とバス停との一体化を図っている。夜間はデッキの一部が青く光る。
南口(加納口)は高架化に伴って、マンションの建設や道路の拡張、付近公園の整備などが行われた。
高架下
- アスティ岐阜、Active G
- ハートフルスクエアーG
北口
- 名鉄岐阜駅
- 黄金の信長像
- 国道157号
- 岐阜県道54号岐阜停車場線(岐阜駅北交差点より北は金華橋通り)
- オーキッドパーク
- 岐阜シティ・タワー43
- ぎふチャン
- 岐阜スカイウイング37
- 大岐阜ビル(二階にJTB岐阜支店、サークルKサンクス岐阜駅前店)
- 繊維問屋街
- 十六銀行本店
- イクト(新岐阜百貨店跡地に建設)
- 岐阜市文化産業交流センター「じゅうろくプラザ」(ぱ・る・るプラザ岐阜跡地)
- コンフォートホテル岐阜
- 金公園
- 柳ヶ瀬
- 高島屋岐阜店
- FMわっち
南口
バス乗り場
北口
歴史
- 1887年(明治20年)1月21日 - 官設鉄道(のちの国鉄・JR)が大垣駅から延伸した際の終着である加納駅(かのうえき。現在名鉄名古屋本線にある同名の駅とは別)として開業。一般駅。当時は現在よりも北側の、現・名鉄岐阜駅付近にあった。
- 1887年(明治20年)4月25日 - 官設鉄道が当駅から木曽川駅まで延伸(武豊駅までの既存線と直結)。途中駅となる。
- 1888年(明治21年)12月15日 - 岐阜駅に改称。
- 1889年(明治22年)6月 - 西に移転。
- 1895年(明治28年)4月1日 - 線路名称制定。東海道線(1909年に東海道本線へ改称)の所属となる。
- 1913年(大正2年)7月22日 - 現在地に移転。旧愛知駅(1909年廃止)の駅舎を移築し、1945年に空襲で焼失するまで使用。
- 1920年(大正9年)11月1日 - 高山線(1934年に高山本線へ改称)が各務ヶ原駅まで開通。
- 1948年(昭和24年)12月 - 駅舎再建。
- 1959年(昭和34年)4月1日 - 民衆駅として鉄筋コンクリート2階建ての駅舎完成。
- 1986年(昭和61年)11月1日 - 高架化工事に伴い貨物の取扱を廃止、岐阜貨物ターミナル駅へ移管。
- 1987年(昭和62年)4月1日 - 国鉄分割民営化により、東海旅客鉄道の駅になる。
- 1992年(平成4年)11月29日 - 東海道線下り線・高山線(一部)高架化。
- 1996年(平成8年)2月26日 - 東海道線上り線・高山線全面高架化。
- 1997年(平成9年)3月2日 - 高架駅完成。
- 2006年(平成18年)11月25日 - TOICA導入。
- 2007年(平成19年)2月5日 - 北口側1階の窓にステンドグラス設置。
- 2009年(平成21年)9月26日 - 北口駅前広場に、金箔製の織田信長像を設置。
- 2011年(平成23年)4月1日 - プラットホームにある全ての売店が閉店。
周辺の駅設置運動
1980年から1990年代、JR岐阜駅 - JR木曽川駅間に、地元(岐南町、笠松町)を中心に岐阜南駅の設置の運動が盛んであった。しかし、推定で2,000 - 3,000人と乗客数の見込みが少なく、費用の負担でJRや県と折り合いがつかず、運動は衰退した。ちなみに、両町には名鉄名古屋本線も通過し、岐南駅、笠松駅がある。かつて東海道本線が建設される際、笠松町の中心付近を通し、駅を設置する計画があったものの、当時の笠松では木曽川を利用した舟運等が盛んで、鉄道により利用者減少の恐れや保守的な考えも影響し反対をした(鉄道忌避運動)。このため、東海道線は笠松の中心を外れ、駅も設置されなかったという。今なお東南隣の木曽川駅(愛知県一宮市)までは7.7km離れており、この周辺のほかの各駅間よりも距離が開いている。
隣の駅
- 東海旅客鉄道
- 東海道本線
- テンプレート:Colorホームライナー
- テンプレート:Color特別快速・テンプレート:Color新快速・テンプレート:Color快速・テンプレート:Color区間快速(以上は当駅から西岐阜寄りの各駅に停車)
- 尾張一宮駅 - 岐阜駅 - 西岐阜駅
- テンプレート:Color普通
- 木曽川駅 - 岐阜駅 - 西岐阜駅
- 高山本線
- 特急「ひだ」停車駅
- テンプレート:Color普通
- 岐阜駅 - 長森駅
脚注
- ↑ 『停車場変遷大事典 国鉄・JR編』JTB 1998年
- ↑ 旅客営業規則
- ↑ 駅構内の案内表記。これらはJR東海公式サイトの各駅の時刻表で参照可能(駅掲示用時刻表のPDFが使われているため。2011年1月現在)。
関連項目
- 日本の鉄道駅一覧
- 東海道線 (名古屋地区)
- 新越谷駅 - 既存の高架線を跨ぐため、高く作られた駅。
- 河堀口駅 - 同上。