大山 (鳥取県)

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鍵掛峠から見る大山南壁。ブナなどの天然林が麓に密生する。
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伯耆大野より見た大山(歌川広重画)

大山(だいせん)は、鳥取県にある標高1,729mの火山である。角盤山(かくばんざん)とも呼ばれるほか、鳥取県西部の旧国名伯耆国であったことから伯耆大山(ほうきだいせん)、あるいはその山容から郷土富士として伯耆富士とも呼ばれる。テンプレート:要出典範囲日本百名山日本百景にも選定されている。

概要

大山は中国山地から離れた位置にある独立峰である。最高峰は標高1,729mの剣ヶ峰(けんがみね)で、これは中国地方の最高峰である。石川県白山から島根県三瓶山大分県由布岳九重山に連なる大山火山帯の名前の由来となった火山[1]。山体は東西約40km、南北約35km、総体積120km3を越える。

なお、大山とは一般的に主峰の剣ヶ峰~三鈷峰と外輪山の烏ヶ山野田ヶ山矢筈ヶ山甲ヶ山勝田ヶ山船上山を総称しての名称でもあるが、岡山県側にある擬宝珠山蒜山(上蒜山、中蒜山、下蒜山)・皆ヶ山なども含むことが多く、専門家には同じ山系とされる。現存する大山の最古の記述は『出雲国風土記』の国引き神話で、三瓶山と同様に縄を引っ掛けて島根半島を引き寄せたとある。『出雲国風土記』中には「火神岳」(ほのかみだけ)と記されている。

気候

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形成過程

180万年前から50万年前にかけて噴火形成された成層火山である古期大山カルデラの上に、5万年前から1万年前にかけて成長した巨大な溶岩ドームである新期大山がかぶさって成る。裾野は広大で日本海に達している。新期大山は過去数回にわたり破滅的な大噴火を起こしている。中でも5万年前に起きた噴火は大規模なプリニー式噴火で、大量の火山灰軽石火砕流を噴出した。この時の火山灰は偏西風に乗って遠く福島県まで降り注いでおり、関東地方でも目立つ広域テフラとして大山倉吉軽石(DKP)と呼ばれ、地層の地質年代を特定する指標となっている。2万年前の噴火では弥山、三鈷峰、烏ヶ山の3つの溶岩ドームが形成され、再び大量の火砕流が噴出した。最後の噴火は約1万年前で、有史以後の噴火記録は残されていないが、火山の一生は非常に長く、特に大山の長い活動史から考えると、1万年程度の休止で完全に活動停止したと考えるのは妥当ではない。

生物

大山の亜高山帯にはブナ天然林が広がり、そこより低い場所ではミズナラシデを中心とした植生が広がる。また、イヌワシクマタカヤマネなどの野生動物も多数生息していることから、国指定大山鳥獣保護区(大規模生息地)に指定されている(面積5,156ha、うち特別保護地区2,266ha)。

特色・名所

西の方角(特に鳥取県米子市方面)からみた山容が富士山に似ている一方、北・南壁は溶岩ドームが崩れた荒々しいアルペン的景観を見せる。一帯は大山隠岐国立公園に指定され、8合目以上には国の特別天然記念物ダイセンキャラボクの日本一の群生地、中腹には西日本一のブナの原生林があり、新緑・紅葉の季節には、崩落した岩壁とのコントラストが素晴らしい景観を生み出している。

周辺の広大な裾野にはキャンプ場・スキー場など豊富にあり、隣接の岡山県蒜山高原と伴に四季を通じてリゾート地としての色合いが濃い。

また、大山は中国地方のさまざまな地域から見ることができる。特に高山に登ると見える周辺の伯耆出雲美作備前備中備後では古来からの大山信仰は根強いものがある。

出雲国風土記』によれば古くは「大神岳(おおかみのたけ)」と呼ばれ、奈良時代養老年間に山岳信仰の山として開かれたと言われ、山腹に大神山神社奥宮や大山寺阿弥陀堂がある。明治廃仏毀釈まで大山寺の寺領として大いに栄え、一般人の登山は禁止されていた。

登山コース

  • 登山コースは数種あるが、大山寺や下山キャンプ場から入る夏山登山道が一般的かつ登山者も最多である。ついで元谷~ユートピア避難小屋ルート、また船上山~甲ヶ山・野田ヶ山に至る縦走路も推奨されるが経験者向きである。
  • 公共交通機関でのアプローチはJR米子駅から大山寺行きのバス(1日8往復)のほか大山るーぷバス(臨時)、JR大山口駅から大山寺行きのバス(1日6往復)、自家用車では大山寺付近の駐車場(スキーシーズン以外は無料開放)から徒歩での登山が一般的。
  • 夏山登山道から1,710mピークである実質上の山頂弥山にある山頂小屋付近までは登山可能であるが、そこから三等三角点地点や最高点の剣ヶ峰方面へは、稜線が両サイドとも崩落しており縦走は禁止されている。これは特に2000年に発生した鳥取県西部地震以降、山肌の崩落が激しくなって危険なためである。しかし、毎年無謀な縦走を試みる人が後を絶たず、死傷事故も発生している。

関連画像

関連項目

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脚注

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外部リンク

テンプレート:日本百名山

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  1. ただし、現在はこのような火山帯の区分は使われておらず、大山は西日本火山帯の一部とされている。
  2. 『境港市史 下巻』昭和61年 393頁