軽石

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軽石(かるいし、pumice、パミス)とは、火山砕屑物の一種で、塊状で多孔質のもののうち淡色のもの。浮石(ふせき)あるいは浮岩(ふがん)ともいう。

黒っぽく多孔質のものはスコリアという。

軽石は浮石などの別名が示すとおり、多孔質のため、水に浮く物が多い。海岸近くの火山や海底火山の噴出物として排出された場合、遠くの海岸まで流れ着く事が多い。この為、火山噴火の有った時から暫くの間、石浜海岸に於いて、時折、軽石を採取できる事もある。

火山学上の軽石

主に流紋岩質~安山岩質のマグマ噴火の際に地下深部から上昇し、減圧することによってマグマに溶解していたなどの揮発成分が発泡したため多孔質となったもの。発泡の程度はさまざまで、発泡の悪い(孔の少ない)ものは火山弾火山礫に移化し明確な区別は決められていない。発泡しすぎて粉砕されると火山灰となる。

軽石の色は全体としては白色・灰色・黄色などの淡色で、無色~黒色の鉱物結晶を含むことがある。これはマグマが発泡する前に既に結晶となっていたものである。結晶以外の部分はガラス質で、固まる前に泡が引き伸ばされて周囲のガラスが繊維状になっていることもある。

軽石の噴出のしかた

  • 火口から直接、軽石として噴出される。
  • 火山灰などと一緒に噴煙として吹き上がる。
  • 火山灰や溶岩の破片と一緒に火砕流として流動する。

特殊な成因の軽石

普通の軽石は上記のように融けたマグマから直接できるものであるが、1989年手石海丘噴火の際にそうでないものが報告された。これは白っぽく発泡した軽石の外側に黒っぽい溶岩が貼り付いたもので、黒っぽい溶岩が手石海丘噴火を引き起こしたマグマと判断された。内側の白っぽい部分をよく調べたところ、伊豆半島に広く分布する第三紀凝灰岩が発泡したものであることがわかった。つまり手石海丘噴火を起こしたマグマの通り道にあった古い岩石がマグマによって加熱され、一部が融けて発泡したものと考えられる。「材木状軽石」と呼ばれる浮かない軽石がある。

軽石の用途

身近な用途としては、切り出して小判型に加工したものが、踵の角質化した皮膚をこそげ落とすために使われる。最近では、よりきめの細かい人工的な軽石も造られている。

また、多孔質のため保水性が良いので園芸用土として使われる。代表的なものが栃木県鹿沼市から産出し盆栽等に使われる鹿沼土である。

工業用途としては、軽量コンクリート骨材として用いられる。古代ローマ時代に用いられたローマン・コンクリートも軽石を骨材に用いていた。

関連項目

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参考文献

外部リンク

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