七曲署捜査一係

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動先: 案内検索

七曲署捜査一係』(ななまがりしょそうさいちがかり)は日本テレビ系列で放送されたスペシャルドラマ。人気刑事ドラマシリーズ『太陽にほえろ!』の復活版の2時間ドラマスペシャルとして、1997年から1999年に3作品が制作・放送された。太陽にほえろ!七曲署捜査一係とも呼ばれる。

2001年に同様のスタイルで制作・放送された『太陽にほえろ!2001』もこの項に記す。

舞台

東京警視庁(本庁)管内(新宿区)にある七曲警察署(いわゆる所轄署)の刑事課(刑事第一課)捜査第一係(別称・強行犯捜査係)が主な舞台。係長は山岡警部(本来係長の階級は警部補だが、オリジナル時代の石原裕次郎演じる藤堂係長、渡哲也演じる橘係長代理、奈良岡朋子演じる篁係長と同様、警部となっている)。

シリーズ

1997年から2001年の間に、年に1回、「金曜特別ロードショー」の枠で2時間ドラマスペシャルが制作・放映された。

  • 1997年7月18日 - 七曲署捜査一係('97)
  • 1998年10月30日 - 七曲署捜査一係'98
  • 1999年11月26日 - 七曲署捜査一係'99
  • 2001年11月30日 - 太陽にほえろ!2001

日本テレビ系『金曜ロードショー』の枠で放映された。2000年については、舘ひろし主演の単独作品である刑事ドラマ『刑事-けいじ-』が制作された。2001年11月30日の放送は緊急報道番組皇太子妃関連)に切り替えられたため1時間ほどで打ち切りとなり、2002年2月8日に改めて放映された。

『七曲署捜査一係』シリーズは3作品でキャストなどの大まかな設定が共通、『太陽にほえろ!2001』は『七曲署捜査一係』シリーズとは別の設定となっている。ただし、舘ひろし演ずるボスの山岡係長は4作品を通じて登場している。

※以下、便宜上、各作品を97,98,99,01の略号で表す。

スタッフ

『太陽にほえろ!』本放送時のチーフプロデューサーであった岡田が当時、中京テレビの取締役であったため、このシリーズは日本テレビと中京テレビの共同制作となっている。

キャスト

七曲署捜査一係

係長・警部。1997年時は47歳。かつてボスと呼ばれた藤堂俊介の後輩。同期には本庁の捜査二課長がいる(99)。97ではヘリコプターに乗ってのライフル射撃のシーンがあったが、98&99では、ライフル射撃のポジションを香川に譲っている。98では犯人に左腕を撃たれ、負傷している。元祖ボスの藤堂を尊敬しているため、「ボス」と呼ばれることを好まない('01では別設定のためか『ボス』と呼ばれている)。藤堂から譲り受けた指輪を片時も離さない(だが、石原裕次郎演じる刑事が指輪をしていたのは『太陽にほえろ!』ではなく『西部警察』での木暮の方である)。
主任格・警部補。1997年時は44歳。バツイチ。娘がいる。
  • 松井陽平(ダンク) - 浜田学(97,98,99)
巡査長。1997年時は24歳。バスケットボールを得意とするのがニックネームの由来。自ら「ダンクと呼んでください」と宣言。彼のネット上でのハンドルネームでもあるのが時代を反映している。97では新人刑事だった。98では香川とコンビを組む。
警部補。1997年時は38歳。青井とコンビを組むことが多い。健康志向で、タバコは吸わない。
巡査部長。1997年時は28歳。携帯電話で女性と連絡をとりあうシーンが描かれ、時代の流れを象徴していた。菅原とコンビを組むことが多い。
主任格・警部補。55歳。世話を焼いていた非行少年が暴力団の一員であることを密かに悩んでいたが、'97の事件で彼との関係に転機が訪れる。
巡査部長。特殊急襲部隊出身で、犯人を射殺した過去からPTSDで銃が撃てなくなり、引き取り手のない状態だった。そんな彼を、山岡が七曲署へと引っ張ってきた。その後、トラウマも解消される。99では、薫の教育係となる。
内勤員。98年版のみ捜査一係に男性の内勤員が配置されている設定。
巡査。99年版での新人刑事。後先を考えない無鉄砲さが身上だが、それゆえに香川に鉄拳をくらう一幕も。
巡査。新人刑事。25歳。ジーパン刑事に強い憧れを持っており、彼の部屋にはジーパン刑事のポスター(?)が飾られている。
巡査。新人刑事。26歳。松浦に想いを寄せている。
巡査。25歳。
巡査。28歳。
巡査。36歳。
主任格・巡査部長。56歳。絵心があり、いわゆる“似顔絵捜査”を得意とする。巨人(当時)・松井秀喜選手の大ファンで、私物の手帳には彼のブロマイドを入れている。

旧作キャラクター

  • 野崎太郎(長さん) - 下川辰平(97,99)
    警察官を退職後は保護司として活動しており、時折七曲署に出向くこともある。そのため山岡をはじめとする現在の一係メンバーとも顔見知りである。
  • 内田伸子(シンコ) - 高橋惠子(01)
    警察官に復職後は七曲署鑑識係員として登場。

ゲスト

97
98
99
2001

備考

新人刑事

  • 「太陽にほえろ!」のゴリさんこと、石塚刑事を演じた竜雷太が本作の撮影現場を見学し、ダンクこと松井陽平刑事役の浜田学に拳銃の撃ち方などの演技指導をした。その際、竜は「僕もまた『太陽にほえろ!』に出たい」と言っていたという。

劇中の自動車

  • ドラマに登場する覆面車は97では旧作と同じくトヨタ車だったが、98以降は金曜ロードショーの番組スポンサーであったマツダ車に全て入れ替わっている。
  • その97の覆面車にはマークIIクラウンを用意(ただし旧作では濃色のクラウンやマークIIは登場していない)。現代風にワンボックスの覆面車(ハイエース)も登場する。
  • 98以降の覆面車はマツダレンタリースの汎用レンタカー(センティア・グリーン(山岡車)センティア・ブラック:ミレーニア・グリーン車(99山岡車)・パール車(00ジュン専用車)・ブルー車(00山岡車):カペラ新型・旧型:アンフィニMS-8)車に劇用のナンバー(テンプラ)を掲げたもの。白黒パトカーはトヨタ・マークII三菱・ギャランが使われた。前出のレンタカーの手配に「太陽にほえろ!」の大ファンであった悪役商会柿辰丸が携わっている。

野崎と山岡の設定における、旧作との矛盾

  • 97の冒頭に登場の野崎は「10年前(1987年)まで一係の刑事」と紹介されており、旧作PART2の設定が活かされている。
  • 一方、山岡は藤堂の後任という設定になっており、さらに藤堂は山岡のセリフによると「生涯、所轄のいち係長を貫き通した」らしく、ここではPART2の設定は無かったことになっている。

評価

  • 旧作プロデューサーで、本シリーズを企画した岡田晋吉は、後に著書『青春ドラマ夢伝説-あるプロデューサーのテレビ青春日誌』で、「太陽〜」は脚本の小川英、メイン監督の竹林進や主役の裕次郎らなど、関わったスタッフや役者全員で一緒に作り上げたことで初めて成立したものであり、ただ単にその名前だけ持ってきて通用するようなものではなかったことを痛感したと記している。