ヴァン・ヘルシング (映画)
テンプレート:Infobox Film 『ヴァン・ヘルシング』 (Van Helsing) は、2004年のアメリカ映画。またそれに合わせ制作されたアニメ。
モンスター・ハンターであるヴァン・ヘルシングの活躍を描くモンスターアクション映画である。本来、ヴァン・ヘルシングとは、ブラム・ストーカーの小説『吸血鬼ドラキュラ』で、ドラキュラと戦う大学教授の名であるが、本作では大胆に設定を変更して「不死身のモンスターハンター」というヒーロー像を作り上げた。演じたヒュー・ジャックマンも30代であり、従来の初老のイメージも払拭している。
ストーリー
1880年代後半、過去の記憶を無くした男ヴァン・ヘルシングは、バチカンのカトリック教会が指揮する闇の組織の不死身のモンスターハンターとして各地の魔物を退治して回っていた。パリでジキル博士とハイド氏を葬ったヴァン・ヘルシングに待っていた次の指令はトランシルバニアを長きに渡り恐怖で統治しているドラキュラ伯爵の手から麓の村を救うこと。その行き先には彼の失った記憶を取り戻す手がかりが残されていた。
トランシルバニアに到着したヴァン・ヘルシングと相棒のカールは、ドラキュラを輩出した一族の末裔であるアナ王女とともに、ドラキュラに挑む。
アナの一族は「ドラキュラを滅ぼせば一族全員が全免償される」という契約をバチカンと結んでいたが、アナが最後の一人となっていた。一方、ドラキュラは科学技術と魔術を融合させて自らの眷属を大量繁殖させようとしていた。ヴァン・ヘルシングはその計画の鍵を握る人造人間フランケンシュタインを発見し彼を保護するが、途中でドラキュラの花嫁や狼男の襲撃に遭い、アナが連れ去られてしまう。
登場人物
※キャスト名は演じた俳優・吹き替え版声優を劇場公開版・テレビ朝日放映版の順で表記。
- ヴァン・ヘルシング(ヒュー・ジャックマン/山路和弘/山寺宏一)
- バチカンのカトリック教会の裏組織に所属する凄腕のモンスターハンター。ある日教会の前で行き倒れになっているところを教会の者に救われ、その時には過去の記憶を一切失っていた。己の記憶を探すことも兼ねて組織のモンスターハンターとして世界各地に巣食う怪物を退治して回る日々を送っている。
- 黒ずくめのロングコート、長髪に鍔の広いテンガロンハットを被った長身でガッチリした体格。40代から50代前半に見える容姿だが、既に400年以上も生きている極めて長寿な、または不死の人間である。ドラキュラとは因縁があるらしく、彼を親愛を込めて「ガブリエル」と呼ぶ。
- 二丁拳銃の使い手。他には鋸の様な機能を持った変形手裏剣、速射型クロスボウ、催眠スプレーなど変わった武器を使う。
- カール(デビッド・ウェナム/高木渉/三ツ矢雄二)
- 組織に勤める修道僧であると同時に、武器製作もこなす科学者。二枚目だが臆病者。ヴァン・ヘルシングが怪物退治に用いる武器の数々は、主に彼が作成している。嫌々ながらヘルシングのパートナーとしてトランシルバニアに向かう。
- 教会に籍を置く身でありながら半俗半僧であるため、女性を抱くことを厭わない。そのため世俗に強く、普段から様々な文献に目を通していることもあり、非常に博識。その反面、敵の襲撃に気の弱さを見せることが多いが、頭脳を駆使しヘルシングをサポートする。存命中の家族などは不明。祖母は魔術師。
- アナ・ヴァレリアス(ケイト・ベッキンセイル/三石琴乃/田中敦子)
- ヴァレリアス家の最後の子孫。上品さを漂わせる端整な容姿、細身ながらキュッと引き締まった美しい肢体を持った女性。その美貌は他の追随を許さず、種族を超えてドラキュラ伯爵も「息をのむほど美しい」と、己の眷属に加えようとしている他、ドラキュラの花嫁達も嫉妬している。
- 美しいだけの女性ではなく、男勝りの勇気や行動力を持ち、身軽で運動神経も良く、武術に長けている。しかし、その勇気や武術もドラキュラの花嫁たちにはまるで通用せず、子ども扱いされるように翻弄された。
- 出身地であるトランシルバニアのある村をドラキュラの手から守ろうとしており、村をヘルシングが訪れたところでドラキュラの花嫁達に襲撃された。その後一人でドラキュラ征伐に向かおうとしてヘルシングの催眠スプレーで眠らされる。以後はヘルシングと共に行動して心を通わせる。フランケンシュタインを運ぶ途中、ドラキュラの花嫁ヴェローナに殴られ、気を失ったところをドラキュラ伯爵の元へ連れ去られる。そして彼にキスを施され、最愛の妻にされかけたが、ヘルシングに救われた。当初はヘルシングに反目していたが、その身を何度も救われたことで彼の持つ懐の大きさと寡黙な優しさ、そして彼の心の中にある孤独に気付き、1人の女性として愛するようになる。
- ヴェルカン・ヴァレリアス(ウィル・ケンプ/小山力也/藤原啓治)
- アナの兄。アナと共にドラキュラの手下である狼男を捕獲しようとしたところ失敗し、アナを庇って狼男と谷底の川へ転落。死んだと思われていたが、狼男に噛まれたことで狼男と変貌して生き延びていた。途中、アナにドラキュラの弱点を伝えるべく麓の村に現れるが、すんでのところで狼男に変身してしまい、逃れたところをドラキュラに捕らえられ、ある実験に使われる。
- 本作での狼男は変身する際、人間が脱皮するような描写がある。
- 作中、狼男への変身は呪いが原因であるという台詞があるが、噛まれる事により相手も狼男に変貌する事や、それを治療する薬が存在する。
- ドラキュラ伯爵(リチャード・ロクスバーグ/大塚芳忠/土師孝也)
- 太古よりルーマニアのトランシルバニア地方を治める残忍な領主にして始祖の吸血鬼。本作では元々カトリック教会に属するヴァレリアス一族から生まれ出たとされている。1度だけ、ヴラディスラウス・ドラグリアと名乗る。
- 衣装は定番の燕尾服にケープといった姿と異なりラメの入ったシャツにジャケット、長髪、左耳にピアスを付けている。
- 戦闘体型では巨大な翼を持った悪魔の姿に変身する。また不死身であり本来苦手とする十字架等も通用しない。
- 己の眷属であるアリーラ、ヴェローナ、マリーシュカの3人の花嫁と、せむし男のイゴール、狼男、コウモリなどの忠実な下部たちを従えている。過去にヴァン・ヘルシングと因縁があり、彼を「ガブリエル」と呼ぶ。
- また吸血鬼の感染方法も、従来の吸血鬼の血を吸わせる方法と異なり、噛まれる事により感染する。
- ヴィクトール・フランケンシュタイン博士(サミュエル・ウェスト/中村大樹/ ‐[1])
- 優れた医師にして生命科学者。己の研究を進めるためにドラキュラの支援を受けて死体を継ぎ接ぎにした人造人間「フランケンシュタインの怪物」を作り上げた。しかしそれが、予めある目的を持っていたドラキュラの策略の一端と気づいた時、彼に死が訪れる。
- フランケンシュタインの怪物(シュラー・ヘンズリー/屋良有作/銀河万丈)
- ヴィクトール・フランケンシュタイン博士によって生み出された人造人間。生みの親である博士と共に風車小屋の残骸の中で燃え尽きて死亡したと思われていたが、その地下に広がる鍾乳洞のような空間に隠れて生き長らえていた。2メートルを越える継ぎ接ぎだらけの巨体は、充分に人を驚かせるに足るが、決して暴力的ではなく内面は心優しい。己の命を助けてくれたヴァン・ヘルシングたちに感謝し、身を挺(てい)して助けたりする義理堅い性格。また若干のユーモアセンスまで持っているところなど、過去作で描かれてきた、おどろおどろしく知能の低い怪物とはまた一味違った描写をされている。
- イゴール(ケヴィン・J・オコナー/岩崎ひろし/斎藤志郎)
- せむし男。元はフランケンシュタイン博士の部下だったが金欲しさに裏切り、以来ドラキュラの最も忠実な部下となる。姑息な小悪党。小人のドヴェルグ達を使いドラキュラの実験を実質的に指揮している。
- ドラキュラの花嫁
- ハイド氏(ジキル博士)(シュラー・ヘンズリー、スティブン・フィッシャー(ジキル博士時)/声・ロビー・コルトレーン/郷里大輔/内海賢二)
- パリでヘルシングと最初に対決するモンスター。ロンドンで過去に対決してヘルシングの弾丸を被弾している。原作の小柄な小男から巨漢なモンスターへと変更されている。怪力で粗暴。ヘルシングと激闘の末、バラ窓を破り墜落死する。
- アニメーテッドなどで変身前のジキル博士も登場するが、マッドサイエンテストとして描かれておりジキル博士の時もハイドと性格がさほど変わらず、あくどく描かれている。
- ジネット枢機卿(アラン・アームストロング/村松康雄/清川元夢)
- その他の声の吹き替え(劇場公開版):牛山茂/吉田陽子/宇垣秀成/仲野裕/赤城進/魚建/武藤正史/風間秀郎/桂木黎奈/最上莉奈
- ソフトに収録されているドラキュラの花嫁役の3人の吹き替えは撮り直しで、劇場公開時はワンナイR&Rとのタイアップで小池栄子、根本はるみ、宮迫博之("宮サ子"名義)が担当していた。撮り直しの理由は明らかになっていない。
スタッフ
- 脚本・監督:スティーヴン・ソマーズ
- 視覚効果:インダストリアル・ライト&マジック、WETAデジタル
- クリーチャーデザイン:パトリック・タトポロス
作品解説
アメリカ映画であるが、作品舞台が古き時代の欧州という事もあり、アメリカ人俳優はほとんど出ていない。
日本語吹き替え版のエンディングテーマに氷室京介の楽曲「Wild Romance」を起用している。
公開・反響
欧州伝承の3大怪物であるドラキュラ・フランケンシュタイン・狼男が一堂に会することでも話題になった。
アメリカでは2004年5月3日にプレミア上映されたのち、5月7日に3575館で公開され、週末興行成績で初登場1位になり、トップ10内に5週間いた。興行収入は1億2千万ドルを超え、アメリカでの2004年公開作品中16位。当初はシリーズ化も検討されていた。
日本では同年9月4日に日比谷スカラ座1系列他で全国公開され、全国週末興行成績で初登場1位となった。
関連イベント
アニメ
映画『ヴァン・ヘルシング』のプロローグとなるストーリーが描かれている。
キャスト
()内はオリジナルキャスト/日本語吹き替えキャスト。
- ヴァン・ヘルシング(ヒュー・ジャックマン/山路和弘)
- ジキル(ドワイト・シュルツ/西村知道)
- ハイド(ロビー・コルトレーン/郷里大輔)
- カール(デビッド・ウェナム/田原アルノ)
- 枢機卿(アラン・アームストロング/村松康雄)
- ヴィクトリア女王(トレス・マクニール/藤波京子)
リブート
今後に本作のリブート作品[2]が制作される予定。主演はトム・クルーズ。
脚注
外部リンク
テンプレート:2004年日本週末観客動員数1位の映画- ↑ テレビ朝日版では冒頭の登場シーンがカットされているため登場しない。
- ↑ トム・クルーズ主演で「ヴァン・ヘルシング」がリブート