WETAデジタル
テンプレート:Infobox WETAデジタル(ウェタ・デジタル、テンプレート:En)は、ニュージーランドウェリントンに所在するVFXポストプロダクションの会社である。「WETA」は「ウェタ」がもともとの発音にもっとも近い。「テンプレート:En」とはニュージーランドに生息するカマドウマ科の大型昆虫の名前である。
概要
1993年、映画監督のピーター・ジャクソンやリチャード・テイラーらにより、『乙女の祈り』(1994年)のSFXを制作するために設立された。この映画では、たった1台のコンピュータによってVFXが制作された。それ以降、会社組織としての規模はより大きく、より複雑に成長してきた。もともとWETAと呼ばれていた会社が、2000年に特殊メイクやミニチュア製作の工房であるWeta Workshopとデジタル・ポストプロダクションのWeta digitalの2つの組織に分けられたという経緯から、それぞれの参加作品が混同されることが多い。
ジャクソン監督による『指輪物語』の映画化3部作『ロード・オブ・ザ・リング』(2001年)、『ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔』(2002年)、『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』(2003年)における突出したVFXは高く評価され、3作ともアカデミー視覚効果賞を受賞した。また、続く『キング・コング』(2005年)でも同賞を受賞した。さらには、そのクリーチャーの表現技術を買われてジェームズ・キャメロン監督の『アバター』に参加し、異星人ナヴィやパンドラの世界観を見事に表現したことでオスカーを手にした。こうしてアメリカの映画産業から高い評価を示されたことにより、ILMやデジタル・ドメインと肩を並べる、世界有数のVFX工房になった。
『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズがもたらしたVFX界における重要な貢献の1つに、モーションキャプチャやキーフレームアニメーションに最先端のCG技術であるサブサーフェイス・スキャタリングを組み合わせ、「ゴラム」(指輪の力によって容姿が変わってしまったホビット)という極めて人間に近いCGキャラクターを、初めて納得のいくレベルでメジャー映画の中に成立させたことである。その他にも、この映画では群集アニメーションを制作するためにMASSIVEというプログラムを開発し、製品化もされた。
また、Pixologic社のソフトウェア・ZBrushの開発にも協力しているほか、WETAと同じくニュージーランドにあるSkymatter LimitedのMudBoxの開発にも協力している。MudBoxは、2005年度版『キングコング』の制作に活用された。
ニュージーランドの理系大学出身者の間では、就職先希望ランキングで高い人気を得る映像スタジオである。映像スタジオとしては世界最高水準のIT環境を整備しており、35を超える国と地域から集まる約800名のクリエーター(半数はニュージーランド人)が在籍しているが正社員採用はなく、全員がフリーランスの有期契約である。
参加作品
1990年代
2000年代
- 2001年『ロード・オブ・ザ・リング』(アカデミー視覚効果賞受賞)
- 2002年『ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔』(アカデミー視覚効果賞受賞)
- 2003年『ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還』(アカデミー視覚効果賞受賞)
- 2003年『マスター・アンド・コマンダー』
- 2004年『アイ,ロボット』(アカデミー視覚効果賞ノミネート)
- 2004年『ヴァン・ヘルシング』
- 2005年『キング・コング』(アカデミー視覚効果賞受賞)
- 2006年『X-MEN ファイナルディシジョン』
- 2006年『ナイト ミュージアム』
- 2006年『エラゴン』
- 2007年『ファンタスティック・フォー:銀河の危機』
- 2007年『テラビシアにかける橋』
- 2007年『30デイズ・ナイト』
- 2007年『魔法にかけられて』
- 2008年『HALO』
- 2008年『ジャンパー』
- 2008年『ナルニア国物語/第2章:カスピアン王子の角笛』
- 2008年『地球が静止する日』
- 2009年『第9地区』
- 2009年『ラブリーボーン』
- 2009年『アバター』(アカデミー視覚効果賞受賞)
2010年代
- 2010年『特攻野郎Aチーム THE MOVIE』
- 2010年『ナイト&デイ』
- 2010年『ガリバー旅行記』
- 2010年『決闘の大地で』
- 2011年『X-MEN: ファースト・ジェネレーション』
- 2011年『猿の惑星: 創世記』
- 2011年『タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密』
- 2012年『アベンジャーズ』
- 2012年『プロメテウス』
- 2012年『リンカーン/秘密の書』
- 2012年『ホビット 思いがけない冒険』
- 2013年『アイアンマン3』
- 2013年『マン・オブ・スティール』
- 2013年『ウルヴァリン: SAMURAI』
- 2014年『GODZILLA ゴジラ』
- 2014年『猿の惑星: 新世紀』