ジェームズ・キャメロン
テンプレート:ActorActress ジェームズ・フランシス・キャメロン(James Francis Cameron, 1954年8月16日 - )は、カナダ出身の映画監督、脚本家、映画プロデューサー。左利き。身長188cm。
来歴
- 生い立ち
- カナダのオンタリオ州カプスケイシング生まれ。祖先はスコットランド系[1]。父は電気技師、母はアマチュア画家[2]。幼い頃から母に芸術面を応援され、美術には才能を見せていた。15歳の時に、『2001年宇宙の旅』を見て、自作の宇宙船やプラモデルを使い、16ミリカメラなどで実験映画を撮り始める(『2001年宇宙の旅』は映画館で10回も見たという)。カリフォルニア州オレンジ・カウンティに移り、カリフォルニア州立大学フラトン校に入学。当初は海洋生物学と物理学を専攻していたが、トップになるには数学の能力に欠けていることを知り、英文学に変更する。
- 大学中退後
- 2年後、大学を中退し、惚れ込んだ地元のカフェのウェイトレスと結婚、小さな家に移り住む。トラック運転手などをしていたが[3]、1977年に封切られた『スター・ウォーズ』を見て仕事を辞め[4]、再び映画制作に没頭する。そして友人と共に1978年、35ミリの短編SF『Xenogenesis』を制作する。この短編がきっかけとなりロジャー・コーマンのニュー・ワールド・ピクチャーズに入る[3]。
- 監督デビュー
- いくつかの作品を手伝ったのち、『殺人魚フライングキラー』を監督するが、周囲の無理解と低予算に苦しめられ、作品も不本意なかたちで上映されてしまう。しかし、失意のどん底で作り上げた低予算のSFアクション映画『ターミネーター』が世界中で好ヒットを記録。世界の映画ファンにその存在を知られることになる。その後、『ターミネーター』のヒットを受けて制作を依頼された『エイリアン2』が、また大成功を収め、全世界で1億8000万ドルの興行収入をあげる。途中、深海を舞台にしたSF映画『アビス』で不振に悩まされるも、1991年、自身が監督した映画『ターミネーター』の続編『ターミネーター2』が大ヒットして、全世界で5億6000万ドルの興行収入をあげる。
- さらに1997年、アカデミー賞11部門を受賞し、自身もアカデミー監督賞を受賞した『タイタニック』が世界映画史に残る大ヒットを記録。2009年には12年振りの劇場用監督作品となる3D映画『アバター』でその興業収益記録を自ら更新する事になった。全世界の歴代興行収入、そしてアメリカ国内の歴代興行収入は1位が『アバター』、2位が『タイタニック』となり、同じ監督による1位2位という偉業を成し遂げた。
- 2010年にイギリスの『ガーディアン』誌が選ぶ「ハリウッドで最も影響力のある人物」で第1位となる[5]。
- 1990年代前半に、制作会社ライトストーム・エンターテインメントとSFX会社デジタル・ドメインを設立(1998年にスタン・ウィンストンと共にオーナーを辞任。同社は2006年にマイケル・ベイが買収した)。
- 2011年、3Dの新会社キャメロン・ペイス・グループをフュージョン3Dカメラ共同開発者であるビンス・ペイスと共同で設立[6]。
- 私生活
- 高校の同級生だったシャロン・ウィリアムズと1978年に結婚、1984年に離婚。映画プロデューサーのゲイル・アン・ハードと1985年に結婚、1989年に離婚。直後にキャスリン・ビグローと1989年に結婚、1991年に離婚。1993年にターミネーターシリーズの主演女優であるリンダ・ハミルトンとの間に娘が生まれ、1997年に結婚、1999年に離婚。『タイタニック』に出演したスージー・エイミスと2000年6月に結婚。二児をもうけた。
- 資産
- 2010年12月、経済誌『フォーブス』が「エンターテインメント業界で最も稼いだ人物」を発表し、2億1,000万ドル(日本円で約172億2,000万円)を稼ぎ、2位にランクインした[7]。
- 2011年2月、『ヴァニティ・フェア』誌が「最も稼いだ映画関係者トップ40ランキング」を発表し、2億5,700万ドル(日本円で約210億7,400万円)稼ぎ、1位に選ばれた。このランキングはプロデューサーや監督、俳優など映画制作にかかわった人を対象にしたもので、広告収入やCM出演料など映画とは無関係なものは省かれた上で、『ヴァニティ・フェア』誌の独自調査に基づいて制作されている。同誌の「2010年にハリウッドで最も稼いだ人たち」でも1位に選ばれている[8][9]。
特徴
- 概要
- 監督をした映画の殆どはスケールの大きなアクション中心のエンターテイメント作品であるが、本人も(これから制作する作品含め)自身の映画を「ハイテクニックを駆使したエンターテイメント作品」と語っている[10]。また、自身の作品は「すべてラブ・ストーリーだ」とも語っている。自分の監督する作品に対しては完璧主義として知られ、前述の不本意な作品である『殺人魚フライングキラー』については、本人の前で話題に出すのはNGと言われるほどに嫌っているという説がある[11][12]が、自身のドキュメンタリー番組や評伝の中ではごく詳細に語っている。
- リアリズムの追求
- 特筆すべき彼の特徴として徹底してリアリズムを追求する点が挙げられる。『タイタニック』では、巨大な船のセットを岸壁から見て右になるように作ったが、史実では岸壁から見て左であり、その点を解消するためにセットの文字を全て反転させ、最後に映像を反転させて史実に倣うよう編集した。
- ミリタリーマニア
- SF、潜水などと同様、作品に反映されているキャメロンの趣向の一つに「ミリタリーマニア」がある。この趣向は『ターミネーター』での銃砲店での店主とのやりとりや銃器の改造の仕方、脚本を担当した『ランボー/怒りの脱出』の銃器描写などで見て取れる。また、『エイリアン2』では海兵隊の装備として、トンプソンM1をベースにグレネードランチャーを装備したパルスライフルや、MG42をベースにステディカムと組み合わせたM56A2スマートガンなど、当時実在した銃器をモデルにした架空の銃器を考案、登場させている。
- 脚本家
- 映画作品では基本的に脚本も自ら手掛けており、「後の監督としての苦労を考慮すると創作の幅を狭める事になるため、その部分を押し殺して自由奔放にストーリーに没頭する」と語っている[13]。また画力にも優れており、『ターミネーター』のエンドスケルトン(内骨格)や殺人ロボットHK、『エイリアン2』のエイリアンクイーンやパワーローダーなどのコンセプトデザインを自ら手掛けた他、『タイタニック』に登場する主人公ジャックのスケッチもキャメロンの筆による物である。
- 環境問題
- 環境問題に熱心に取り組んでおり、世界15か国にそれぞれ100万本の木を植えることを企画している[14]。2010年4月、ブラジルのアマゾンに計画中のベロモンテ水力発電ダムの建設反対運動に参加した[15]。2010年6月には米連邦当局からの依頼を受け、4月20日に起きたメキシコ湾原油流出事故を解決するための会議に出席した[16]。
- 画作り
- リアルな奥行きを表現した映像を重視している。そのため、被写界深度が浅く、奥行きがあいまいになりやすいアナモルフィック・レンズは嫌いだと発言している。そのため、ジェームズのスコープ・サイズの映画はほぼスーパー35で撮影されている。そのほか、合成技術としては古く、廃れてしまったリア・プロジェクションやフロント・プロジェクションも多用する。その理由として俳優が演技しやすいこと、フォーカスを合わさないので気付かれにくいこと、カメラも自由に動かせることなどを上げている。
- 3D作品
- 2Dで撮った映画を安易に3Dに変換して上映することには反対の立場を表明している。「『3D映画を作りたい』という監督には『最初から3Dで撮りなさい』とアドバイスしています。それが3D映画にとってベストな方法だし、3D映画は3Dで撮るべきというのが私の基本的姿勢です。ただし、『タイタニック』のような2Dでしか撮ってない映画に関しては、3Dに変換するしか選択肢がなく、その場合は、正しい3Dへの変換技術を使って作るべき」と述べている[17]。
- 探検家
- 3000時間以上の水中滞在記録を持つスキューバダイバーであり、世界各地で難破船探索や深海調査等を行っている。また、2011年にはナショナルジオグラフィック協会所属の探検家に就任している[18]。2012年3月26日には、マリアナ海溝のチャレンジャー海淵に一人乗りの潜水艇「ディープシーチャレンジャー」に搭乗して潜行、世界最深の海に52年ぶり2回目となる有人潜行(単独では初)を果たした[19]。
- その他
- 考古学にも関心を示しており、自身が制作したドキュメンタリー番組『キリストの棺』では新説を唱えているが、その内容は放映前から波紋を呼び、物議を醸している[20]。
- James Cameron.jpg
1986年の写真1。
- Gale Ann Hurd and James Cameron.jpg
1986年。ゲイル・アン・ハードと一緒に『エイリアン2』のポスターを持つ。
- JamesCameronDec09.jpg
2009年 ハリウッドにて。
- James Cameron on USS Hue City (CG-66) 2010-01-27.jpg
2010年。USS ヒュー・シティ艦内で行われたイベントにて。
作品
映画
年 | 作品名 | クレジット | 備考 |
---|---|---|---|
1978 | Xenogenesis | 監督、脚本、製作 | 短編映画 |
1981 | ニューヨーク1997 Escape from New York |
特殊効果撮影監督 | ジョン・カーペンター監督作品 |
1982 | 殺人魚フライングキラー Piranha II: The Spawning |
監督 | 『ピラニア』の続編 |
1984 | ターミネーター The Terminator |
監督、脚本 | |
1985 | ランボー/怒りの脱出 Rambo: First Blood Part II |
脚本 | ジョージ・P・コスマトス監督作品 『ランボー』の続編 |
1986 | エイリアン2 Aliens |
監督、脚本 | 『エイリアン』の続編 ディレクターズカットあり |
1989 | アビス The Abyss |
監督、脚本 | ディレクターズカットあり |
1991 | ハートブルー Point Break |
製作総指揮 | キャスリン・ビグロー監督作品 |
ターミネーター2 Terminator 2: Judgment Day |
監督、脚本、製作 | 『ターミネーター』の続編 ディレクターズカットあり | |
1994 | トゥルーライズ True Lies |
監督、脚本、製作 | |
1995 | ストレンジ・デイズ/1999年12月31日 Strange Days |
脚本、原案、製作 | キャスリン・ビグロー監督作品 |
1997 | タイタニック Titanic |
監督、脚本、製作、編集 | |
2002 | ソラリス Solaris |
製作 | スティーブン・ソダーバーグ監督作品 |
2003 | ジェームズ・キャメロンのタイタニックの秘密 Ghosts of the Abyss |
監督、脚本、出演 | ドキュメンタリー映画 |
海底火山の謎 Volcanoes of the Deep Sea |
製作総指揮 | ドキュメンタリー映画 スティーヴン・ロウ監督作品 | |
ターミネーター3 Terminator 3: Rise of the Machines |
キャラクター創造 | ジョナサン・モストウ監督作品 『ターミネーター2』の続編 | |
2005 | エイリアンズ・オブ・ザ・ディープ Aliens of the Deep |
監督、製作、撮影、出演 | ドキュメンタリー映画 |
2009 | ターミネーター4 Terminator Salvation |
キャラクター創造 | マックG監督作品 『ターミネーター3』の続編 |
アバター Avatar |
監督、脚本、製作、編集 | ディレクターズカットあり | |
2011 | サンクタム Sanctum |
製作 | アリスター・グリアソン監督作品 |
2012 | シルク・ドゥ・ソレイユ3D 彼方からの物語 Cirque du Soleil: Worlds Away |
製作総指揮 | アンドリュー・アダムソン監督作品 |
テレビドラマ
放送年 | 作品名 | クレジット | 備考 |
---|---|---|---|
2000-2002 | ダーク・エンジェル Dark Angel |
企画、脚本、製作総指揮 |
企画中の作品
- 原爆をテーマにした作品
2010年現在、原爆をテーマにした作品について考えている。この作品のために2009年のクリマスマス前に来日し、長崎市の病院に入院する山口彊に面会した。山口は広島と長崎で被爆した「二重被爆者」であり、キャメロンは今しか対談する機会が無いと面会を望んだという。キャメロンは山口のような体験をした人を後世に伝えるべく、山口に原爆をテーマにした映画について語ったとのこと。 後の毎日新聞による取材で、山口は "この映画を作るのは彼らの使命だ" と期待していることを語った[21]。
この映画のタイトルは未定だが、仮題として『Jigoku』というのが発表されている。しかし、この作品について、チャールズ・ペレグリーノによる原作の中に、関係者からの証言が虚偽だったことによる誤りが多数見つかったことや、手記を盗用していたこと、広島への原爆投下を扱った漫画・『はだしのゲン』からの引用があったにもかかわらず、作者の中沢啓治に連絡を入れていなかったことなどが判明し、構想が揺れている状態である[22]。
- 『アバター』の続編
キャメロンは『アバター』公開直後より「ヒットすれば、続編は絶対に作る」、「3作目までのアウトラインは考えている」と語っており[23]、また、同映画の編集技師が「配給会社も続編を制作させようとプレッシャーをかけている」と述べた[24]。2010年10月27日、20世紀フォックスにより製作が正式に決定したことが発表された[25]。監督、脚本、製作は引き続いてキャメロンが務め[26]、第2作目が2014年、第3作目はその1年後の2015年のクリスマスに公開される予定である[27]。2011年1月時点でキャメロンは続編2作分の脚本を執筆中であり[27]、同年内の撮影開始を目指している[26]。
- Battle Angel
木城ゆきとのSF漫画『銃夢』を原作とした実写映画『Battle Angel』を製作する予定である。当初キャメロンは、『アバター』の続編で多忙となるために他の監督に依頼することも検討したが、原作の世界観を気に入った彼はこの企画は誰にも委ねられないと考え、2011年2月、自ら監督することを宣言した[28]。原作全9巻のうち、第4巻までがストーリーの中心となる予定である[28]。
- 『ミクロの決死圏』のリメイク
キャメロンのライトストーム・エンターテインメントが製作するリメイク版『ミクロの決死圏』には製作総指揮として参加する。当初監督はローランド・エメリッヒに決まった[29]が降板し、その後ポール・グリーングラス、ダーレン・アロノフスキー、ティムール・ベクマンベトフ、ジョナサン・モストウ、ルイ・ルテリエらが候補に挙がったがいずれも諸事情により起用できず、最終的にショーン・レヴィに決定した[30]。同作品では『アバター』の製作総指揮を務めたレータ・カログリディスが脚本をリライトする予定である[30]。
- 『トゥルーライズ』のテレビドラマ
キャメロンが1994年に監督、脚本した映画『トゥルーライズ』のテレビドラマ版をライトストームエンターテイメントと20世紀フォックステレビジョンが共同で制作する予定である。キャメロンが製作総指揮を務め、パイロットの原案はレネ・エシェヴァリアが担当する[31]。
参照
外部リンク
テンプレート:ジェームズ・キャメロン監督作品 テンプレート:アカデミー賞監督賞 1981-2000 テンプレート:アカデミー賞編集賞 1981-2000
テンプレート:Normdatenml:ജെയിംസ് കാമറൂണ്- ↑ テンプレート:Cite news
- ↑ James Cameron Biography (1954-). Film Reference.com.
- ↑ 3.0 3.1 James Cameron Biography by FilmMakers Magazine
- ↑ The Force Is With Them: The Legacy of Star Wars, 2004.
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- ↑ http://www.cinematoday.jp/page/N0029300
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- ↑ http://www.cinematoday.jp/page/N0030090
- ↑ 小峯隆生・ジェームズ・キャメロン 『豪快!映画学 ジェームズ・キャメロンTalks About Film 』 集英社インターナショナル、2001年、11頁
- ↑ 押井守 『勝つために戦え! 〈監督篇〉』 徳間書店、2001年、35頁
- ↑ 小峯隆生・ジェームズ・キャメロン 『豪快!映画学 ジェームズ・キャメロンTalks About Film 』 集英社インターナショナル、2001年、167頁
- ↑ キネマ旬報刊『コンプリート・スクリーンプレイ・ターミネーター2』より
- ↑ ジェームズ・キャメロン監督、自然環境のために環境団体と共に100万本の木を植えることに!シネマトゥデイ 2010年8月16日
- ↑ ジェームズ・キャメロン、ブラジルのダム建設反対運動に参加AFP BB News 2010年4月13日
- ↑ ジェームズ・キャメロン監督が、メキシコ湾原油流出事故の会議に出席映画.com 2010年6月3日
- ↑ ジェームズ・キャメロン監督が『タイタニック』3D化の理由を熱く語った! 2012年3月31日 ムービーコレクション
- ↑ 『アバター』のジェームズ・キャメロン監督が探検家にOricon life 2011年7月7日
- ↑ テンプレート:Cite news
- ↑ 「キリストに妻子」、ジェームズ・キャメロンのドキュメンタリーが波紋AFPBB News 2007年02月27日
- ↑ http://mainichi.jp/tanokore/cinema/003017.html
- ↑ 映画:キャメロン監督の原爆映画 原作誤り、構想揺れる 退役軍人が批判、手記盗用も 毎日新聞 2010年2月27日
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