マジカルドロップ
『マジカルドロップ』は、データイーストが制作したアクションパズルゲームである。業務用コンピューターゲーム、家庭用テレビゲーム専用機、携帯電話で提供されるゲームに多数移植されている。1995年にアーケード版が登場、その後シリーズを重ねた。略称はマジドロ。
目次
ルール
基本的なルール
- フィールドが横×縦の格子で構成される(機種によってマス数は異なる)。
- フィールドの一番下には「ピエロ」と呼ばれるキャラクターがおり、パズルピース(本シリーズでは『ドロップ』と呼ばれる。以下ドロップと記述)を「すう」(キャラクターの手元に置く)「はく」(ドロップをフィールド上に再配置する)ことが出来る。プレイヤーはこのピエロを左右に操作する。
- 格子の1マスにつき1個のドロップを置くことができる。ドロップは基本的に4色がある。
- フィールドの上方からドロップが、定期間隔で横の段単位で迫り出してくる(2作目(マジカルドロップ2)以降は、手動で迫り出させることもできる)。
- プレイヤーは迫り出してくるドロップに対し、フィールド下のピエロと同じ縦の列にある対象のドロップを「すう」ことで、そのドロップをピエロに持たせることができる。「すう」ドロップのすぐ上に、同じ色のドロップがある場合はそのドロップもまとめてピエロに持たせることができる(同じ色、種類のドロップならば何個でも可能)。
- ピエロが持っているドロップは、ピエロを左右に操作して、フィールドの各列に「はく」ことでピエロが持っているドロップ全てをフィールド上に戻す。
- ドロップを「はく」動作によって3つ以上の同じ色のドロップが縦の列に連なっている場合は、対象のドロップが消滅し得点となる。消したドロップと同じ色のドロップが周囲に連なっている場合は、それらのドロップもまとめて消すことができる。
- ドロップが消滅すると、その下側に別のドロップがある場合は上の方向にシフトする。このとき、3つ以上の同じ色のドロップが縦の列に連なった場合は上の項目と同じようにそれらのドロップが消える。このとき「連鎖」が発生し、通常より高い得点がもらえる。これを「組み連鎖」という。
- ドロップが消滅している間に別のドロップを消せる状態にしても、連鎖が成立する。これを「後付け連鎖」という。
- ドロップがフィールドの最下段を超えてせり出した、あるいは手動でドロップを置いた場合はゲームオーバーとなる。
対戦時のルール
- 対戦形式の場合、ドロップを消すと得点もしくは発生した連鎖数に比例した量のドロップを相手のフィールドに迫り出させる(シリーズや使用キャラクターにより迫り出させるドロップの数、種類、形式は異なる)。
- ドロップがフィールドの最下段を超えて迫り出した、あるいは手動でドロップを置いた側が負けとなる。
- 画面に設定されているノルマと同じ量のドロップを早く消した場合は、そのプレイヤーの勝ちとなる。
ドロップの種類
シリーズによって登場するドロップの種類は異なるが、ここでは主なものを紹介する。
- ノーマル玉
- 4種類の色のドロップがあり、同じ色を3つ以上そろえると消える。
- スペシャル玉
- 初代作(マジカルドロップ)の場合は、このドロップを3つ以上そろえて消すと、フィールド上にある同じ色のドロップが全て消える。
- 2作目(マジカルドロップ2)以降の場合は、同じ色のノーマル玉と混ぜて消すと、フィールドにある同じ色のドロップが全て消える。
- 氷玉
- 隣り合ったドロップが消えると、フィールド上にある氷玉が全てその色のノーマル玉に変わる。
- 色氷玉
- 隣り合ったドロップが消えると、フィールド上にある他の同種の色氷玉が全てその色のノーマル玉に変わる。
- 泡玉
- そのまま「すう」か、他のドロップを「はく」でぶつけると、消える。
- 虹玉
- ノーマル玉などと混ぜて消すと、その消した色のスペシャル玉としてフィールドにある同じ色のドロップが全て消える。
- 矢印玉
- 矢印の方向のドロップを全て消す。
- しずく玉
- ノーマル玉などと混ぜて消すと、ノーマル玉以外のドロップが全て消える。
- 連鎖玉
- ドロップの表面に数字がある。発生した連鎖数に応じて数字がカウントダウンしていき、ゼロになると周囲4方向のドロップとともに消滅する。消える周囲のドロップは、発生した連鎖に比例する。
各機種版による違い
- シリーズによって登場するドロップの種類が異なる。
- 『マジカルドロップF』のみ、各操作キャラクターが有するアイテムを使用することで自身もしくは対戦相手のフィールドに何らかの影響を及ぼすことができる。
- 携帯電話用の『マジカルドロップONCE』は、「すう」「はく」の操作ボタンが同じである。
シリーズ
マジカルドロップは、多数のハードウェアによって様々なバージョンがリリースされたが、ここでは以下のように分類する。また、機種により多少書かれている項目が異なる場合もあるのでご了承ください。
マジカルドロップ
- 1995年にアーケードでリリースされた。
- 当時はドロップを消した時のタイミングが短かったため、後付け連鎖が難しく、偶発的な組み連鎖が大きく勝負を左右した。
- ストーリーモードは「フール」「スター」「デビル」「チャリオット」「ハイプリエステス」「マジシャン」の操作キャラクターがいる。他のキャラクターを対戦で破り、ラスボスの「ワールド」をも破るとエンディング。
- 決められた操作回数以内にドロップを全て消すパズルモードが付いている。
- 家庭用にリリースされた機種によっては、登場キャラクターが差し替えられている。スーパーファミコンでリリースされたものはほぼアーケードに忠実な移植だが、セガサターン、PlayStationでリリースされたものはオリジナルキャラクターが登場している(「登場キャラクター」を参照のこと)。
- アーケードには「マジカルドロップPLUS1!」というマイナーバージョンもリリースされている。
- スーパーファミコン版はサテラビューで体験版の放送が行われた。
- 2002年にPlayStationで「Major Waveシリーズ アーケードヒッツ マジカルドロップ」というタイトルで、ハムスターが発売元、コナミが販売元として定価1,500円で再発売された。
マジカルドロップ2
- 1996年にアーケードでリリースされた。
- ドロップを消した時のタイミングがやや改善され、後付け連鎖が前作に比べやりやすくなっている。
- ドロップの種類が増え、その後のシリーズのルールの土台となっている。
- キャラクターデザインが前作と差し替わっている。「ジャスティス」「ストレングス」「エンプレス」が追加。ストーリーモードはラスボスは「エンプレス」だが、隠しボスとして「ブラックピエロ」がいる。
- 家庭用はネオジオ、ネオジオCD、スーパーファミコン、セガサターンでリリースされている。
- 前作のパズルモードを改良したひらめきモードが付いている。
- ニンテンドウパワーでも書き換えサービスが行われていた(現在は終了している)。
- スーパーファミコンには、文化放送スペシャルバージョンと称された別バージョンもあり、非売品である(「文化放送とのタイアップ」を参照のこと)。
マジカルドロップ3
- 1997年にアーケードでリリースされた。
- ゲームシステムは『マジカルドロップ2』に更に調整が加えられている。プレイヤーが任意でフィールドをせり下げることが可能で、後付け連鎖成立の判定も『2』に比べ易しくなっており、より後付け連鎖のしやすい爽快感の増したゲーム性となっている。
- キャラクターデザインは『マジカルドロップ2』と同じ。タロットカードの「大アルカナ」に出てくるカードと同じ名前のキャラクターが本作で出揃った。「ストレングス」のキャラクターは前作の筋肉質の大男から、タロットカードのデザインに近い、少女とライオンのペアに変更。前作のストレングスは前述の少女の義父という設定で隠しキャラクターとなっている。
- ストーリー形式のすごろくモードが追加。
- 「大アルカナ」をモチーフとした22名(+α)ものキャラクターが総出演しているが、攻撃パターンにはある程度の被りが見られる。攻撃パターンの一致しているキャラクターは少なくないが、各々相手へ送られる攻撃玉の色の比率や、自分フィールド上に出現するスペシャル玉の種類に違いが見られるため、対戦でのキャラクター毎の個性は十分に保たれている。
- 家庭用はネオジオ、セガサターン、PlayStationでリリースされているが、機種やバージョンによって大きく内容が異なる。
- マジカルドロップ3 とれたて増刊号!
- セガサターンで発売。のちWindowsに移植。アーケード用と大きくゲームの内容が異なっており、各キャラクターのエンディングも全く違う。おちゃらけ感の強いアーケードに対し、こちらの世界観はかなりシリアスになっている。
- マジカルドロップ3 よくばり特大号!
- PlayStationで発売。コンビニ限定販売で、「とれたて増大号」の内容にゲームで使用された絵やボイスなどを鑑賞するモードが追加されている。(2009年12月9日に今作が、PlayStation Storeのゲームアーカイブスでダウンロード販売をスタートしている。)
- マジカルドロップ3+ワンダホー!
- PlayStationで発売。「よくばり特大号」に「マジカルドロップPLUS1!」を追加したもの。
マジカルドロップF・大冒険もラクじゃない!
- 1999年にPlayStationでリリースされた。
- キャラクターデザインが大幅に差し替えられた。
- 各キャラクターは対戦時にアイテムを使用することができ、様々な効果を引き起こすことができる。その反面、ドロップの種類がやや簡素化された。
- アイテムを使用すると、フィールドに表示されるキャラクターが一定時間「変身」する。
- 「ジャスティス」「ラバーズ」を主人公としたRPG形式のストーリーをプレイできる。各キャラとのやり取りの中でマジカルドロップの対戦が行われる。ゲーム中で使用できるアイテムは、このRPG形式のストーリーをプレイしないと集めることができない。
- ストレングスがらみの設定が再度変更。前々作のストレングスに相当するキャラクターを「ストレングス」、前作のストレングスに相当するキャラクターを「ストレンコ」とした。
- タロットカード由来で無いキャラクターとして「バーンズ」が登場する。
- 2001年にPlayStationで「Major Wave1500シリーズ マジカルドロップF・大冒険もラクじゃない!」というタイトルで、ハムスターが発売元、コナミが販売元として定価1,500円で再発売された。
マジカルドロップ5
- 2011年のE3にてPC版マジカルドロップ5が発表され、2012年にSteamで配信された。開発はGolgoth Studio、販売はIgnition Entertainment。
- エンプレス、マジシャン、デビル、ジャスティス、スター、ワールド、チャリオット、デス、フール、フォーチュンの10人に加え、データイーストの未発売作品『ゴーストロップ』のキャラクターも収録されている。等身はデフォルメされており、2~3のイラストに近い表現となっている。
- PS3とPS4でも2013年に発売予定、オンライン対戦もサポートするとのこと。
その他作品
- 携帯型ゲーム機
- マジカルドロップ ポケット:ネオジオポケットでリリースされた。システム的にマジカルドロップ3を踏襲している。
- マジカルドロップ for ワンダースワン:ワンダースワンでリリースされた。なお、画面は白黒である。
- マジカルドロップ(海外版):海外のみ、ゲームボーイカラーでリリースされている。
- マジカルドロップゆるっと:ニンテンドーDSiウェアでリリース。ゆるゆるフレンズのキャラクターに置き換えたもので、「ゆるゆるゆるっと」というタロット占いモードもある。
- 携帯電話のゲーム
- マジカルドロップ:ハドソンが製作している。iアプリのみリリース。
- マジカルドロップONCE:サクセスが製作している。iアプリ、Vアプリ、EZアプリ (Java)でそれぞれリリース。
- マジカルドロップDX:版権がジー・モードに移行して、初めての独自タイトルのリリースとなる。iアプリ、Vアプリ、EZアプリ (Java)、EZアプリ (BREW)、CLUB AIR-EDGE用アプリでそれぞれリリース。
- マジカルドロップ:ジー・モードが製作している。内容は『マジカルドロップDX』を簡単にしたもので、iアプリ、Vアプリ、EZアプリ (Java)でそれぞれリリース。
- マジカルドロップモンスターファーム5:『マジカルドロップDX』のキャラクターをテクモのゲーム「モンスターファーム5 サーカスキャラバン」のそれに置き換えたもの。モンスターファーム5の発売に伴うプロモーション作品。iアプリでリリース。
なお、2006年8月3日より、ガンホー・オンライン・エンターテイメントのHPの1つである「オンライン遊園地ガンホーゲームズ」にて、ガンホーID取得者限定ではあるが、Flashゲームとして提供されている。
エトセトラ
登場キャラクター
基本的に登場キャラクターは、タロットカードの「大アルカナ」に出てくるカードと同じ名前のキャラクターとなっている。ただし、シリーズによってキャラデザインが大きく異なっており、また『マジカルドロップF』のようにキャラクター設定さえも変わっている場合もある。
また、初代作『マジカルドロップ』のうち、セガサターン、PlayStationでリリースされたものはオリジナルキャラクターとなっている。
登場するキャラクターについては、マジカルドロップの登場キャラクター一覧を参照。
文化放送とのタイアップ
- 『マジカルドロップ2』のスーパーファミコン版には、文化放送ラジオの「吉田照美のやる気MANMAN!」と「斉藤一美のとんカツワイド」の番組のプレゼント品として作られた、独自のバージョンが存在する。
- 操作キャラクターとして「JOQRチーム(吉田照美/小俣雅子/斉藤一美)」が選択可能である。
- 少数が製作されたのみで非売品のため、市場では極めて高値で取引されている。
マネーアイドルエクスチェンジャーとの関連
1997年に、『マネーアイドルエクスチェンジャー』というゲームがフェイス社より、アーケードでリリースされた(のちにPlayStation、ゲームボーイなどへも移植)。
この作品は、フィールド上方から迫り出すコイン(1円玉などの日本の通貨)を取ってぶつけて、両替(例えば1円玉を5枚以上つなげると5円玉になる)を繰り返すことで、大きな連鎖を狙っていくという、マジカルドロップのようなアクションパズル要素と、富士通パソコンシステムズの落ち物パズル『もうぢや』のルールを組み合わせた内容のパズルゲームとなっている。
データイースト社は、このゲームに関して、マジカルドロップの著作権侵害で開発元のフェイスを相手に訴訟を起こしたが、フェイス社はその後まもなく倒産した。
モンスターファームとのコラボレーション
2005年10月に、テクモとジー・モードはテクモのゲームソフト『モンスターファーム』の共同プロジェクトを発表、その第一弾としてジー・モードが版権を持つマジカルドロップとのタイアップ作品のリリースを発表した。同年12月より、『マジカルドロップモンスターファーム5』という名前で携帯電話用のゲームソフト配信が開始されている。
『マジカルドロップモンスターファーム5』自体は、マジカルドロップDXのキャラクターを『モンスターファーム5』に登場するキャラクターに差し替えたゲームである。
年表
- 1976年 - データイースト設立。
- 1995年6月 - アーケードで「マジカルドロップ」登場、のちにマイナーバージョンの「マジカルドロップPLUS1!」が登場。
- 1995年10月 - スーパーファミコンで「マジカルドロップ」発売、のちにセガサターン、PlayStationにも移植(PlayStationでの発売は翌年)。
- 1996年3月 - アーケードとして「マジカルドロップ2」登場。
- 1996年4月 - ネオジオで「マジカルドロップ2」発売、のちにネオジオCD、スーパーファミコン、セガサターンにも移植。
- 1997年2月 - アーケードで「マジカルドロップ3」登場。
- 1997年4月 - ネオジオで「マジカルドロップ3」発売、のちにタイトル及び内容を一部変えてセガサターン、PlayStation、Windowsにも移植。
- 1999年6月 - ネオジオポケットで「マジカルドロップ ポケット」発売。
- 1999年10月 - ワンダースワンで「マジカルドロップ for ワンダースワン」発売。
- 1999年10月 - PlayStationで「マジカルドロップF・大冒険もラクじゃない!」発売。
- 1999年11月 - データイースト、和議申請を行う(翌年7月認可)。
- 2002年1月 - ハドソンによりiアプリ向けのサービスとして「マジカルドロップ」の配信開始。
- 2003年5月 - サクセス、Vアプリ向けのサービスとして「マジカルドロップONCE」の配信開始、のちEZアプリ (Java)、iアプリ向けにも配信(iアプリ向けの配信は翌年)。
- 2003年6月 - データイースト、破産宣告を受ける。
- 2004年 - ジー・モードがデータイーストのゲームライセンスを取得する。
- 2004年10月12日 - ジー・モードによりiアプリ向けのサービスとして「マジカルドロップDX」の配信開始。
- 2005年2月10日 - ジー・モードによりiアプリ向けのサービスとして「マジカルドロップ」の配信開始。
- 2009年7月29日 - ジー・モードによりニンテンドーDSiウェアとして「マジカルドロップゆるっと」の配信開始。