大アルカナ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
大アルカナ(だいアルカナ、major arcana)とは、タロットの一組78枚のうち、22枚を構成する、寓意画が描かれたカードを指す。
概要
「アルカナ」とは、ラテン語でarcanum=アルカーヌムの複数形であり、「机の引き出し」の意味から、引き出しに「隠されたもの」をさし、さらに転じて「秘密」「神秘」などの意味になった。タロットを神秘的なものと見るようになった19世紀頃から使われ始めた言葉で、ゲーム用具としてのタロットでは、単に「切り札(テンプレート:Lang-en、テンプレート:Lang-fr など)」と呼ばれる。ただし、愚者を切り札に含めるかどうかは地域差があり、フランスでは切り札とは独立したカードとしているが、オーストリアなど中央ヨーロッパでは22番目の切り札としている。
ヘブライ文字との関係
枚数が22枚であることから、神秘主義者らによって、ヘブライ文字22文字や、セフィロト(生命の木)の22本の経路と関連づけて解釈される事が多い。しかしヘブライ文字と22枚のカードのどれとどれを関係付けるかは複数の説がある[1]。
意味解釈
- カードの順番配列にはいくつもの説がある。この表は一例である。
- アーサー・エドワード・ウェイトは、8番と11番を入れ替えた[2]とされるが、最初にこの入れ替えをしたのはウェイトではない。が、ウェイト版タロットが有名になったため、この入れ替えはウェイト式と認識されるようになった。以後、英米ではそれに倣うカードが多く創作されたため、世界のタロットカードには旧来の順番に従うものとウェイト式のものとの二大系列ができた[3]。伝統的なマルセイユ版タロットは前者に属する。
- 「愚者」のカードは番号が与えられず無記のままかもしくは22番であったのを、フランスのパピュスは愚者を21番、世界を22番とした[4]。英国のウェイトが初めて愚者を0番としたとの説があるがこれは誤りで、正しくはアントワーヌ・クール・ド・ジェブランである。現在では愚者のカードはそのタロットによって、0番、21番、22番、無記の4種類のタロットがある(愚者を21番とする場合は世界を22番になる)。また8番と11番の位置の如何にかかわらず、愚者のカードの位置は、冒頭(1番の前)に配されるもの、最後(21番の後)に配されるもの、20番と21番の間に配されるもの、と3種類のデッキがある。[5]。
- この表の「意味」の項の説明はウェイトのタロット図解に基づく[6]。
- この表にあげた西洋占星術との関連の項は、黄金の夜明け団の説である。この説はあくまで一例であり、参考としてあげたまでである。カードと占星術の関係をどうあてはめるかは18世紀のエッティラの説を最初とし、それ以降、現代に至るまで欧米日の神秘家たちによる数多くの説[7]が存在するので、注意が必要である。◎印は「黄金の夜明け団」の独自説、●印はそれ以前から存在した説を踏襲したもの。
注釈
- ↑ セフィロトの経路とカードの関係についてもその組み合わせは多くの説がある。
- ↑ 入れ替えた理由は、占星術との関係からみてカードが12星座の順に並ぶように考慮したためであるが、アレイスター・クロウリーはその件についてよくないことだとして非難している。
- ↑ 誤った表現が散見されるが、8番と11番が入れ替わったものがすべて「黄金の夜明け団」の系統というわけではなく、逆に「黄金の夜明け団」と関係したものでもマルセイユ版と同様の伝統的な順番になっているものもある。小アルカナの数札に付与された絵柄についても然り。これらの特徴は「黄金の夜明け団」の影響ではなく、「ウェイト版」の影響というのが実態に即して適切である。
- ↑ 「愚者」を「審判」と「世界」の間に置く並べ順は、各カードに対応させたヘブライ文字のアルファベット順に合わせたものである。
- ↑ ウェイトは0番(愚者)を始めて20番と21番の間に置いたとの説があるがこれは誤りで、ウェイトは0番(愚者)を大アルカナの最初に置いた。始めて20番と21番の間に置いたのはパピュスである。
- ↑ マルセイユ版などに基づく伝統的な解釈とは大きく食い違っている部分があるので注意が必要である。
- ↑ 大雑把には7系統、細かい違いも数えれば22もの説がある。パピュスの説はカバラ文献の『形成の書』に基づくとの説があるが誤りで、エッティラの説を微修正したものである。また表の例は「黄金の夜明け団」の説であるが、この説の水火風の3元素に対応しているカードに天海冥の3惑星を当てたのはポール・フォスター・ケースである。ほとんどが欧米人であるが日本では辛島宜夫とアレクサンドリア木星王の2大タロット師が有名である。辛島の説はメアリー・ベックウィズ・コーエンの説を独自に修正したもの、木星王はC・C・ザインの説を微修正して採用していた。日本では他にアビーネ藍、エトワール舟黎、弦エニシもそれぞれ独自説だが、ともに辛島の説を微修正したものである。アビーネ藍は二つの説を紹介しておりもう一つはスニイ・イデルスの説を微修正したものである。
- ↑ ポール・フォスター・ケースの修正説では天王星
- ↑ ポール・フォスター・ケースの修正説では海王星
- ↑ ポール・フォスター・ケースの修正説では冥王星
- ↑ ポール・フォスター・ケースの修正説では土星のみ
関連項目
外部リンク
- Tarot Iconography /en
- Tarots history tarocchi University of Pisa research