ポートサイド地区
ヨコハマポートサイド地区(ヨコハマポートサイドちく、YOKOHAMA PORTSIDE)は、神奈川県横浜市神奈川区における再開発地区の愛称で、同区栄町・大野町・金港町からなる。
目次
概要
当地区は新田間川、帷子川下流・港湾部(東京湾に接する)と首都高横羽線、国道15号に囲まれ、横浜駅きた東口A出口から徒歩5〜15分圏内に位置する(ペデストリアンデッキ「ベイクォーターウォーク」開通後は徒歩2〜12分と更に短縮された)。また、横浜市中央卸売市場本場とも比較的近距離となっており、港湾部の水際線を挟んで対岸にはみなとみらい地区を望める。
一方で川や道路に取り囲まれているので、横浜駅に程近い立地でありながら、ニチレイやトーヨーカネツなどの工場・倉庫が立ち並び、開発から取り残されてきた。しかし、1985年に都市計画道路「栄本町線」の整備計画が決定すると、これを契機として翌1986年には「ヨコハマポートサイド地区第二種市街地再開発事業」の都市計画が決定された。そして1990年頃よりスタートした「アート&デザインの街」をコンセプトとする再開発により、幅員の広い歩道や歩道橋が整備され、オフィスビルや高層マンションなどが林立する地区となった。
地区内の帷子川下流・港湾部沿いには横浜ベイクォーター、シーバス乗り場、横浜そごう第一駐車場、ポートサイド公園、横浜ディスプレイミュージアムなどがあり、主軸導線としてギャラリーロード(詳細は後述)が整備されている。また、ベイクォーターの3階より栄本町線を横断し当地区の各方面へアクセスする歩行者デッキとして「スカイウェイ」が整備されており、さらに同施設付近からはみなとみらい地区と接続する栄本町線の橋梁としてみなとみらい大橋が架かっている。一方、横羽線沿いには大塚商会、神奈川トヨタ myX、ポートサイドビル、神奈川公園などがある(「#地区内の施設」も参照)。
前述の開発コンセプトにもある通り、地区内には奇抜なアート作品・建造物などが多く存在する。
歴史
- 1981年7月 - 「都心臨海部総合整備基本計画」を発表。
- 1985年12月 - 都市内幹線道路「栄本町線」の都市計画が決定する。
- 1986年
- 3月 - 「特定住宅市街地総合整備促進事業」が建設大臣(当時)に承認される。
- 12月 - 「ヨコハマポートサイド地区第二種市街地再開発事業」の都市計画が決定する。
- 1988年7月 - 「第二種市街地再開発事業の事業計画」が決定する(E-1〜3街区/約4.0ha/用途:業務・住宅・商業等)。
- 1989年
- 5月 - C-2街区:IDC横浜国際通信センター(現・ソフトバンクテレコム横浜国際通信センター)竣工。
- 12月 - ヨコハマポートサイド街づくり協定を締結する。「ヨコハマポートサイド街づくり協議会」設立。
- 1990年
- 1991年2月 - 帷子川水際公園(現・ポートサイド公園)の都市計画が決定する。
- 1992年12月 - D-2街区:アルテ横浜竣工。
- 1993年 - E-1街区:横浜クリエーションスクエア竣工。
- 1994年4月 - E-2街区:ヨコハマポートサイド・ロア壱・弐・参番館竣工。
- 1996年
- 3月 - D-1街区:三菱重工ポートサイドビル竣工。E-4街区:神奈川トヨタ myX(マイクス)ビル竣工。
- 9月 - C-4街区にあった横浜シティ・エア・ターミナル(YCAT)が横浜スカイビルに移転する。
- 1997年7月 - 栄本町線(みなとみらい大通り)が暫定開通する。
- 1998年
- 「ヨコハマポートサイドF-1街区第一種市街地再開発事業」開始(約2.0ha/用途:業務・住宅・商業等)。
- 3月 - 歩行者デッキ「スカイウェイA・Cルート」、横浜市営ポートサイド地下駐車場が竣工。宝川埋め立て事業が完了。
- 9月 - F-1街区第一種市街地再開発事業の都市計画が決定する。
- 1999年
- 3月 - D-3街区:ポートサイドサクラビル竣工。
- 11月 - 歩行者デッキ「スカイウェイA・Cルート」の暫定供用を開始。
- 2000年
- 4月 - 歩行者デッキ「スカイウェイBルート」竣工、供用開始。
- 12月 - 歩行者デッキ「栄町グリーンウォーク」竣工、供用開始。
- 2001年11月 - F-1街区:ザ・ヨコハマ・タワーズ タワー・ウエスト竣工。C-1街区:結婚式場「アート・グレイス・ポートサイド・ヴィラ」(暫定施設)開業。
- 2003年
- 3月 - 栄11街区:ポートサイドパーク竣工。
- 11月 - F-1街区:ザ・ヨコハマ・タワーズ タワー・イースト竣工。
- 2002年5月 - 栄本町線(みなとみらい大通り)が全面開通する。
- 2004年春 - F-2街区:アミティ横浜竣工。
- 2005年
- 2006年8月 - A-3街区:横浜ベイクォーター開業。
- 2007年2月 - A-3街区:ナビューレ横浜 タワーレジデンス竣工。
- 2008年
- 3月 - B-1街区:コンカード横浜竣工。
- 4月 - A-2街区:横浜イーストスクエア竣工。
- 5月 - B-2街区:パークタワー横濱ポートサイド竣工。
- 2009年
- 11月 - C-3街区:横浜ポートサイドプレイス タワーレジデンス竣工。
- 12月 - A-3街区:横浜ダイヤビルディング竣工。横浜駅とベイクォーターを結ぶ歩行者デッキ「ベイクォーターウォーク」(横浜駅ポートサイド人道橋)供用開始。
- 2010年3月 - A-3街区:横浜ベイクォーターANNEX開業。B-2街区:横浜プラザビル竣工。
- 2011年4月 - B-1街区:大塚商会横浜ビル竣工。
- 2013年8月 - F-2街区:プレミスト横浜ポートサイド竣工。
地区内の施設
本節では地区内の施設(建築物・公園等)を街区ごとに記述する。街区位置や開発状況等の詳細は「横浜市都市整備局のページ」を参照。
A街区
B街区
- B-1
- コンカード横浜(オフィスビル/低層部:店舗・飲食店)
- 大塚商会横浜ビル(オフィスビル/低層部:店舗)
- B-2
- パークタワー横濱ポートサイド(集合住宅/低層部:店舗)
- 横浜プラザビル(オフィスビル/低層部:ショールーム)
- 金港公園[2]
C街区
- C-1 アート・グレイス・ポートサイド・ヴィラ(結婚式場、※10年定借の暫定施設 [注 1])
- C-2 ソフトバンクテレコム横浜国際通信センター(旧・IDC横浜国際通信センター)[3][4]
- C-3 横浜ポートサイドプレイス タワーレジデンス(集合住宅・オフィス/低層部:店舗・医院)
- C-4 土地利用未定(YCAT跡地)
なお、C-1およびC-2街区は「ヨコハマポートサイド地区地区計画」の対象外となっている[1][9]。
D街区
- D-1 三菱重工ポートサイドビル(社宅)
- D-2 アルテ横浜(集合住宅/低層部:ショールーム店舗)
- 横浜ディスプレイミュージアム(1-2F)
- (アルテ横浜の建物デザインはマイケル・グレイブスによる[10])
- D-3 ポートサイドサクラビル(集合住宅・オフィス/低層部:店舗)
- ウエディングレストラン「THE PORTSIDE MUSEE」(1-3F)
C街区からD-2街区の海沿いにはポートサイド公園がある[2]。
E街区
- E-1
- E-2 ヨコハマポートサイド・ロア(以下の建物が2階レベルの人工地盤で接続[6])
- E-3
- ヨコハマポートサイドビル(オフィスビル)
- ファンテ(集合住宅)
- E-4 神奈川トヨタ myXビル(オフィスビル/低層部:店舗)
- 神奈川トヨタ自動車株式会社本社
F街区
- F-1 ザ・ヨコハマ・タワーズ(集合住宅を中心に以下の建物がある)[11]
- タワー・ウエスト(集合住宅)
- タワー・イースト(集合住宅)
- サウス・コート(店舗棟)
- ポートサイドダイヤビル(業務棟)
- 横浜銀行中央市場支店(1F)
- タワー・ウエストとタワー・イーストは、マンションの頭頂部に見える塔屋に青と緑の特徴的なデザインが施されている。
- F-2
- アミティ横浜(集合住宅)
- プレミスト横浜ポートサイド(集合住宅)
栄街区
- 栄11 ポートサイドパーク(集合住宅)
観光・催事・アート作品
- 公園[2]
- ポートサイド公園
- 金港公園
- 神奈川公園
- ショールーム・ミュージアム
- パナソニックリビングショウルーム横浜(横浜プラザビル1F)
- 横浜ディスプレイミュージアム(アルテ横浜1-2F)
- 宮川香山 眞葛ミュージアム(ヨコハマポートサイドロア参番館1F)
- イベント
- ヨコハマポートサイド アート縁日(毎年開催)[12]
- アート作品
- エットーレ・ソットサス作『THE FAMILY』(E-2街区 広場)
- マイケル・グレイブス作『THE WINDOW』(C-2街区 ソフトバンクテレコム横浜国際通信センター壁面)
- エドガー・ホーネットシュレイガー作『シューベルク・プロジェクト』(E-2街区 ロア壱番館1階ロビー)
- 岡本敦生作『地殻から』(ギャラリーロード)、『dockyard -記憶体積』(ザ・ヨコハマタワーズ)の他、金港公園の石材作品[2]
上記の他、F-1街区のザ・ヨコハマタワーズには6人の作家による10個のパブリック・アートが設置されている。アート作品の詳細については当地区の街づくり協議会公式サイト内にある「Public Artのページ」を参照。
ギャラリーロード
帷子川下流・港湾部沿いの市道高島台第306号線他は「ギャラリーロード」と呼ばれており、タイル敷きの歩道が整備されモニュメントやアート作品などが設置されている。また脇に所々設置してある様々な形の岩(岡本敦生による作品)は、解体された旧・横浜船渠ドック[注 2]から掘り起こされたものである[10]。
ギャラリーロードの途中から中央卸売場方面へ接続していた市場大橋(市場関係者が利用)は、2011年の東日本大震災の際に損傷したため通行禁止となり2013年より撤去工事を開始している[13]。元々、臨港大橋(臨港幹線道路のみなとみらい橋やコットン大橋)の完成後には市場大橋を撤去する計画となっていたが、ようやく実施されるに至った。橋の完全撤去後についてはギャラリーロードのスペースを十分確保できることから、当地区の開発当初からの計画(地区計画における整備方針[1])通り、歩行者優先のコミュニティ道路としてギャラリーロードの再整備を行う方針である[7]。
- Shijyo-Ohashi in Yokohama Port-Side district 01.jpg
ギャラリーロードにある市場大橋入り口(2014年5月)
- Shijyo-Ohashi in Yokohama Port-Side district 02.jpg
JR貨物線上部の撤去が完了している(2014年5月)
交通
鉄道
バス
地区内にあるバス停
141系統は土休日のみワンコインバスとして運行。
航路
- シーバス横浜駅東口乗船場
道路
周辺地域からの景観
- Yokohama Port-Side district 7.jpg
みなとみらい地区・高島水際線公園よりテンプレート:Smaller
- Yokohama Port-Side district 1.jpg
中央卸売市場方面よりテンプレート:Smaller
- Yokohama Port-Side district 4 (The direction of Cotton Harbor district).jpg
コットンハーバー地区(山内埠頭・星野町)方面よりテンプレート:Smaller
- Yokohama Port-Side district (night) 5.jpg
ポートサイド地区の夜景、みなとみらい橋よりテンプレート:Smaller
脚注
注釈
- ↑ 2001年11月の開業だが、10年以上経過した2014年5月時点でも営業が継続されており、契約期限が延長されている。
- ↑ みなとみらい地区の辺りにはかつて旧横浜船渠のドックが複数あり、ランドマークタワーのドックヤードガーデン(第2号ドック)など復元保存されているものもあるが、中には解体されたドックもあった。ギャラリーロードを含む当地区の岡本敦生による石材作品群は、ランドマークタワー(みなとみらい中央地区)の建設時に解体されたドックの廃材を使用している。
出典
関連項目
外部リンク
- ヨコハマポートサイド(街づくり協議会公式サイト)
- ヨコハマポートサイド地区(横浜市都市整備局)
- 当地区の地区計画(横浜市都市整備局)
- 横浜ディスプレイミュージアム
- 宮川香山 眞葛ミュージアム
- シーバス
- ↑ 1.0 1.1 1.2 ヨコハマポートサイド地区地区計画(横浜市都市整備局)
- ↑ 2.0 2.1 2.2 2.3 ヨコハマポートサイド地区内の公園(街づくり協議会公式サイト)
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ テンプレート:Cite web
- ↑ 6.0 6.1 6.2 YOKOHAMA PORTSIDE:STRUCTURE(建造物)(街づくり協議会公式サイト)
- ↑ 7.0 7.1 テンプレート:PDF(ヨコハマポートサイド地区地区計画等に関する都市計画公聴会 平成23年 (2011年) 8月21日)
- ↑ 旧YCAT建物は取り壊さないのですか(横浜市市民局:「市民の声」 2011年10月)
- ↑ C街区(その1)(Road to Nabeaure 2005年10月13日)
- ↑ 10.0 10.1 YOKOHAMA PORTSIDE:Public Art(街づくり協議会公式サイト)
- ↑ ヨコハマポートサイドF-1街区第一種市街地再開発事業(新日鉄興和不動産)
- ↑ テンプレート:Facebook
- ↑ 横浜市 中央卸売市場本場の市場大橋撤去へ(建通新聞 2012年9月24日)