タイル
タイル(tile)は、建設資材の一つで、壁や床の保護、あるいは装飾用に多数張りつける板状のもの。 英語のtileには、瓦の意味もある。また、比喩的に、規則的に分けられた平面状の区画や、繰り返しによって構成される図画の各要素のことなどのこともタイルと呼ぶ。
目次
概要
形状は、隙間無く敷き詰めるため正方形や長方形など四角形が多いが、不規則な形状のものもある。(小石の形など)
色彩も様々であり、一枚一枚に模様があるものや、 色の違うものを多数並べることで大きな絵とする場合もある。
材質は、陶磁器、コンクリート、プラスチックなど各種ある。 陶磁器のものは、建物の外装や、浴室、洗面所などの内装に、コンクリートのものは、歩道の舗装用などに、 プラスチックのものはPタイルと呼ばれ、オフィスなどの床にそれぞれ用いられる。また、漆喰の特性を生かしたタイルも開発されている。
通常、タイルは一枚一枚接着剤・モルタル・金物によって躯体に固定されるが、非常に手間がかかり、施工技術も要求される。そのため、細かいタイルがあらかじめシート状に敷き詰められたものが製造されている。
特殊なものとしては、スペースシャトルなどの宇宙船の外装に使用される耐熱タイルがある。
建築用陶磁器タイル
建築では一般にタイルといえば、陶磁器製のものを指すことが多い。材質は、吸水率の違いにより、陶器質・せっ器質・磁器質タイルに分けられる。タイルメーカーでは、タイルの適した用途に応じ、屋内の水廻りや壁、床用、屋外の壁、床用などに分けている。一般的に、躯体(貼り付け箇所)への防水性に優れ、水がかり部に使用されることが多い。外壁用タイルにおいては、タイル自体の経年劣化はほとんどなく、貼り付け施工時の不具合による剥離、落下事故が起こることがあるが、現在では、モルタルと混ぜられる接着剤の性能や、施工法の向上が行われ、事故は減少傾向にある。仕上げには流行があるが、外装タイル貼の建築物は、他の外壁仕上げに比べイニシャルコストがかかる反面、耐候性に優れ、メンテナンスも比較的容易で、意匠上美しいことから、公共建築物やマンションなどで広く選択されている。
日本におけるタイルメーカーは、量産を得意とする大手から特殊なタイルを作る中小企業まで様々であるが、近年は需要の減少と共にメーカーの撤退が進んでいる。
岐阜県の多治見市・土岐市近隣には、良質な陶磁器の土が採掘されることから、原土や顔料を扱う原料会社、タイルメーカーやタイル販売商社など、多くのタイル産業が集積している。TOTOのタイル部門を担うTOTOマテリアは岐阜県土岐市に本社を置く。日本の建材の中で、産業集積地のある建材は珍しく、歴史と伝統のある地場産業ではあるが、それ故にタイル業界の体質は保守的なところもあり、海外メーカーとの今後の競争には多くの課題を抱えている業界でもある。
タイル目地
目地(めじ、めち)とは、タイルとタイルの隙間を指し、剥離防止や防水を目的として、通常モルタルや白セメントが充填され、色はグレーまたは白になる。目地は性質上カビの発生源になりやすいため、こまめな清掃が不可欠である。
以前は、「外国製の輸入タイルの場合、タイルの大きさに誤差があり、目地が大きめにとられることが多い。日本のタイルは精度が高く、目地を小さくとることができる。」とよく言われたが、タイルの風合いや製法によるところがあるため、輸入タイルという区分で寸法精度について一概に評価するのは危険であり、個々のタイルの性質を理解した上で、目地幅を決定することが望ましい。
その他のタイル
ガラスタイル
ガラス質の表面を持つタイルで透明感がある。下地色が濃くなると透けて見える場合があり施工には注意が必要。
タイルカーペット
カーペットを正角に切断した片材を床に敷き詰めた床仕上げのひとつ。事務室などで使われる。とくにOAフロアにおいては部分的に剥がせる必要があるため、これが一般的である。
コルクタイル
コルクで作られた正角の片板を床に敷き詰めた床仕上げのひとつ。保温性、吸音性、弾力性、触感に優れ、経済的で施工も容易。一般的に磨耗が激しく耐用年数は短い。住宅の居間や診療所の待合室などで使われることが多い。
吹き付けタイル
建築物や構造物に用いられる左官外装仕上げのひとつ。光沢のある塗膜が得られる。合成樹脂を混合したモルタルなどを吹き付けガンで吹き付けた凹凸面を、コテ塗りやローラー塗りで均らし表情を出す。学校、公民館などの公共建築物や集合住宅、戸建て住宅など、幅広く使われる。色彩の種類が多く、表情の選択に幅がある。凹凸があるため汚れが付着しても比較的目立ちにくい。弾性のあるものは下地の微細な亀裂にも追随して浸水を防ぐ。