ナポリタン
ナポリタンは、ナポリの料理スパゲティナポレターナを模倣し、日本で独自進化したパスタ料理であるテンプレート:要検証。
目次
概要
イタリアの港町ナポリではナポリタンソース(Ragù napoletano)をスパゲティに絡めたものをスパゲティ・ナポレターナ(Spaghetti alla Napoletana)と呼び、フランス、スイス、ドイツにもほぼ同名の料理がある。日本のナポリタンは、これを模倣しつつ入手困難な材料を避けて独自進化した模様だが、内容と発祥については諸説がある。 日本パスタ協会おすすめレシピ[1]によると、スパゲッティにベーコン、タマネギ、ピーマン、トマトを具材にトマトケチャップをからめ、炒めて作る。 このほか、具材としてハム、ウインナーソーセージ等を用いることもある。好みでタバスコや粉チーズをかける。 トマトケチャップを用いるレシピは進駐軍が軍食としていたという記録があり[2]、簡便に作れることから各地で模倣されたものと考えられる。 クックパッド[3]では、トマトケチャップを使用したスパゲティ一般をナポリタンのカテゴリに置き、多様なレシピを紹介している。
発祥に纏わる諸説
横浜税関による平成21年2月26日付けの文書スパゲティの輸入「スパゲティナポリタンは横浜生まれ!により、そのトリビア的な意外性が注目を集めた。 しかし、出典が起源とされるホテルの情報であって宣伝色が疑われること、考案者とされる当人は生涯考案者を公言しなかったこと、より古い年代にも同名同様の料理が存在したと指摘(海軍持ち込み説、三越発祥説、センターグリル説)されるなど、真の発祥については混迷を深めている。
海軍持ち込み説
第一次世界大戦に連合国側で参戦した日本が地中海に艦隊を派遣した際にイタリアに寄港してトマトベースのパスタを知ったという説や、大正時代には日本海軍において既に今のナポリタンと同様な料理が供食されていたとの説がある[4]。
三越発祥説
古川ロッパの日記[5]昭和9年12月22日の記載に、三越の特別食堂でナポリタンを食したことを記しており、現時点では日本最古の記録であることから、三越が発祥という説がある。
センターグリルのケチャップナポリタン
野毛「米国風洋食 センターグリル」は昭和21年の開業時よりナポリタンにケチャップが使用されていた。[6] (横浜ニューグランドの戦後営業再開は昭和27年)
横濱発祥説
ナポリタンの起源について、横浜山下町にあるホテルニューグランド第2代総料理長・入江茂忠が戦後、考案したとする主張がある[7][8]。 しかし、入江料理長は、亡くなるまで「自分が発案した」と公言することがなかった。 家族や周囲も入江が亡くなった数年後に上記文献に記載されるまで、入江がナポリタンの考案者であると考えることはなかったというテンプレート:要出典。
進駐軍のケチャップあえスパゲティ
入江は「進駐軍の兵営食(スパゲティをケチャップであえたもの)を参考に(ケチャップを使わないレシピとして)考案した」とあること、当時フランスにもスパゲティ・ナポリテーヌと呼ばれる料理が存在したこと、師であるサリー・ワイルから習っていたであろうこと、ケチャップを使った和式のいわゆるナポリタンと異なったレシピであることから[9]、入江考案説には疑問が呈されている。しかしその一方で7割方茹でたパスタを冷まし、5時間以上放置した上で湯通しすることで麺のもっちりした食感を出す、といった日本向けの工夫は入江の功績と見做されるものである[10]。
日本独自の路線
国産化と安価材料への代替による普及
昭和30年代になると国産スパゲティーが開発された。そこで販売促進のデモンストレーション用に調理が比較的簡単なメニューとしてナポリタンが選ばれ、さらに学校給食のメニューにも取り入れられるなどしたため、ナポリタンの知名度は急速にアップした[11]。当時トマトピューレは庶民の手には入り難く庶民には肉も高価であったため、代用としてケチャップと安価な赤い色のウインナーや魚肉ソーセージ等を使う調理法が生みだされ、現在の一般的なナポリタンが確立された。このナポリタンのあらかじめ茹置きした麺をフライパンで味付けしながら炒め直しする調理法は簡便なことから、ナポリタンは給食以外にも家庭、喫茶店及び学食などの庶民的定番メニューとして親しまれて、全国的に定着していった。また調理スペースが手狭な列車の食堂車や軽食堂などでは、同様の理由からレトルトの業務用ミートソースが開発されるまでスパゲティーといえばもっぱらナポリタンが供食されていた[12]。
バブル期のパスタ料理多様化
飲食店におけるスパゲティはミートソースかナポリタンの2種類しかないことがほとんどだった[13]が、80〜90年代の「イタメシブーム」によって多種多様な本格的パスタが紹介され、日本でも様々な本格的パスタが食べられるようになるに伴い、ナポリタンの人気は陰りを見せ、個人経営の喫茶店の減少とも相まってナポリタンを供食する飲食店は以前より減っていた。 一方で、洋食メニューや弁当の付け合わせなどにもケチャップ味のスパゲティは定番として定着した。
人気再燃
近年、懐かしさや目新しさを求め、単体料理としてのナポリタン人気が再燃している[14]。
コンビニエンスストアの弁当やレトルト・冷凍食品として販売されるなどの展開もみられるようになった。
地域バリエーション
- 新潟県では、焼きそばにトマトソースをかけたものを「イタリアン」と称している地域がある。
- 静岡県富士市には麺をトマトソースベースのダブルスープにつけて食べるつけナポリタンというご当地料理がある。
- 名古屋には卵と合わせたイタリアンスパゲッティと呼ばれる派生料理がある[15]。
- 近畿地方ではナポリタンをイタリアンと呼ぶこともあるが、何をナポリタンと呼ぶかはレストランによりまちまちである。また袋入りのレトルト食品として両方の商品名で売られているが、両者はほとんど同じものである[16]。
- 東洋水産から「やきそば弁当 ナポリタン味」が2012年1月北海道限定で発売された。
諸外国事情
イタリア・ナポリ
パスタにナポリタンソースを絡めた「スパゲティ・ナポレターナ」(Spaghetti Napoletana)と呼ばれる料理があるテンプレート:要出典。バジルとチーズをかけることが多いが、米国生まれのトマトケチャップを味付けの主役に使用することはまずない。
西欧諸国・アメリカ
イタリアのスパゲティ・ナポレターナ(Spaghetti Napoletana)と同様の同名(綴り多様性あり)料理があるテンプレート:要出典。
中国
中国では、ナポリタンというとミートソースが出ることがあるテンプレート:要出典。
パスタ以外
カクテル
ホワイトキュラソー、オレンジキュラソー、ホワイトラムを使用したカクテル「ナポリタン」が存在する[17]。
このほか、見た目も色も材料も異なる複数のカクテルが「ナポリタン」と呼ばれている。 [18] [19] [20]
アイスクリーム
チョコ、バニラ、ストロベリーの3種を並べたアイスクリームをナポリタンアイスクリームと呼ぶ(Neapolitan ice cream)。 300px
脚注
- ↑ 日本パスタ協会
- ↑ 横浜税関 スパゲティの輸入「スパゲティナポリタンは横浜生まれ!」
- ↑ クックパッド
- ↑ 上野『ナポリタン』、pp.24-25
- ↑ 古川ロッパ 昭和日記 戦前篇
- ↑ 雑誌『横浜ウォーカー』2013年6月号
- ↑ 横浜税関 スパゲティの輸入「スパゲティナポリタンは横浜生まれ!」
- ↑ 上野『ナポリタン』、pp.29-30
- ↑ All About 洋食の元祖は横浜にあり
- ↑ 菊地武顕『あのメニューが生まれた店』平凡社・83頁
- ↑ 上野『ナポリタン』、pp.53-54,131
- ↑ 上野『ナポリタン』、p.103
- ↑ 21世紀研究会・編『食の世界地図』108P 文藝春秋
- ↑ テンプレート:Cite news
- ↑ 上野『ナポリタン』、p.68
- ↑ 上野『ナポリタン』、pp.55-56
- ↑ 上野『ナポリタン』、pp.106-109
- ↑ http://www.instructables.com/id/Neapolitan-Cocktail/
- ↑ http://www.foodnetwork.com/recipes/the-neapolitan-recipe/index.html
- ↑ http://www.sheknows.com/recipes/neapolitan-cocktail
参考文献
- 上野玲『ナポリタン! I'm crazy in Naporitan spaghetti!』扶桑社 2004年11月 ISBN 4594048323、文庫 小学館 ISBN 4094187022