ドアステッカー
ドアステッカーは、主に鉄道車両の客用ドアの窓ガラスに貼付されている、乗客に対して、手や腕などを開閉するドアにはさまれたり、戸袋に吸い込まれたりしないようにするための注意書きのシールのことである。広告媒体としても利用されている。
概要
形状
各鉄道事業者によって異なるが、直径15cm程度の円形(かつて関東地方の鉄道事業者に多かった、現在は京急の一部・新京成電鉄等に残る)、あるいは1辺が10cm程度の四角形(主に中部・関西地方の鉄道事業者に多い)がある。
近年は首都圏の鉄道事業者においても、四角形もしくは長方形のタイプが増加傾向にあり(下記、各社の動向も参照のこと)、中部・関西地方においては首都圏に比べサイズが小型な傾向がある。
デザイン
「ドアにご注意」、「開くドアにご注意」、「扉にご注意」、「指にご注意」、「ドアーにご注意」などといった文字や、指が怪我をするイラストや動物等のキャラクターが描かれたものが多い。京王電鉄では沿線にサンリオピューロランドがある関係で、サンリオのキャラクターが1997年から2013年まで使用されていた。東京急行電鉄では1978年から子供の戸袋への引き込まれ事故を防止するためにガラス面の下部3分の1程を隠すステッカーを貼っていた[1]が現在は取りやめている。
また、関西地方では、以前は「指づめご注意」(関西弁で、ドアや引出しなどに指をはさまれることを「指を詰める」という)と記載されていたが、関東の人が見た場合に特殊な用語を連想するためか、1993年頃から関東式の「ドア(扉)にご注意」に変更されている[2]。
広告利用
ドアステッカー内の一部を広告スペースとして利用される場合も多い。近年では規格統一の観点から、注意喚起ステッカーと別で広告ステッカー(縦16.5cm・横20cm[3])が掲載される事が増えている。
現在では日本の殆どの鉄道事業者の車両に貼付されている。だが、その多くは窓ガラスの車体側に貼付されるため、長年貼付されているものについては退色・変色が進んでおり、何が表示されているかわかりづらいものもある。
各社の動向
1997年に京王帝都電鉄(現:京王電鉄)、2000年に東京都交通局(都営地下鉄)、2002年に小田急電鉄[4]、2003年に京阪電気鉄道、2004年に高松琴平電気鉄道、東葉高速鉄道、2007年に東京地下鉄、2008年に首都圏新都市鉄道(つくばエクスプレス)、2009年に京成電鉄・北総鉄道、西武鉄道、2010年に多摩都市モノレール、2011年に横浜高速鉄道、2013年に京王電鉄の各社でドアステッカーのデザイン、2002年と2011年に東京急行電鉄、2007年に東武鉄道、2011年に西武鉄道で表示の変更がされた他、2010年と2012年に西武鉄道、2011年に京浜急行電鉄でドアステッカーの若干の仕様変更[5]がされた。京浜急行電鉄では旧型車両のみ丸型、新型車両[6]では広告ステッカーのみ貼られている。路線が最初に開業されてから一度もドアステッカーのデザイン・表示・形が変更されていない事業者は、埼玉高速鉄道のみとされる。その他、JR東日本(首都圏)および東京臨海高速鉄道[7]、東京急行電鉄では、外面が注意書き・内面(客室側)が広告面となっている。
また、JR西日本では、2007年から従来のドアステッカーに加えて、ドア窓下部の戸袋よりに「さわるな」のピクトグラムのステッカーを、ドア内側の戸袋よりに「開くドアにご注意」のステッカーを上下に2箇所(下部のものは子供向けに全てひらがな表記)貼付して[8]駅到着時にドアに手を触れないよう呼びかけており、ドア開閉時に戸袋への手の引き込みの注意を強化している。同様の事例として、2008年10月から泉北高速鉄道ではドアの化粧板部分に男の子・女の子のキャラクターが戸袋に手を引きこまれて泣いているイラストを使用したステッカーが[9]、2009年からは北大阪急行電鉄・山陽電気鉄道、2010年からは大阪モノレール[10]、2011年からは大阪市交通局[11]でも戸袋への手の引き込みを注意するステッカーが貼付されている。
なお、阪急電鉄では2003年頃にドアステッカーを廃止しており、以後阪急のドアステッカーは広告枠となっていたが、近年ドア内側の戸袋よりに戸袋への手の引き込みを注意するステッカーが貼付されている。