セーブ
テンプレート:Otheruseslist セーブ(英:Save)とは、野球で、リードしているチームの救援投手が試合終了までリードを守りきることで付く投手記録[1]。
最多のセーブを記録した投手に最多セーブ投手のタイトルが与えられる。
目次
セーブの成り立ち
元々はアメリカ合衆国において、イリノイ州シカゴの地方紙シカゴ・トリビューン紙のスポーツ担当記者だったジェローム・ホルツマンがテンプレート:Byに提唱したものである。前年のテンプレート:ByにMLBのピッツバーグ・パイレーツのロイ・フェイスがフォークボールを武器に救援専門で当時のMLB新記録となる18勝(1敗)の成績を挙げ、ホルツマンが彼の成績に着目した事がきっかけとなった[2]。フェイスは18勝という素晴らしい成績を残してはいたが、そのうち10勝はリードを守りきれず、先発投手の勝ち星を消してしまったがゆえに得た勝利であった。当時は救援投手の評価基準が防御率と勝敗しかなく、ホルツマンは救援投手を正当に評価する指標が必要であるという想いを強くした。ホルツマンはセーブの概念を複数のメディアに発表し、公式記録とするようにMLB機構にも働きかけ、テンプレート:Byに正式に公式記録となった。MLBでは50年ぶりの新たな公式記録誕生となった。テンプレート:Byから、きちんと条文が整理されてルールブックにも記載されるようになった[2]。
テンプレート:Byよりスポーティング・ニューズ誌が誌上で表彰することとなった。制定当初は「(1)2点リードで登板し、1イニングを完全に投球した場合。(2)同点または勝ち越し点になる打者と対戦し、リードを守り切った場合」と現在より厳しい条件だった。このセーブに救援勝利を加算したものをセーブポイントと呼び、その両リーグ1位を最優秀救援投手として表彰した。1961年の最優秀救援投手は、アメリカンリーグは救援勝利15と19セーブを挙げたルイス・アローヨ(ニューヨーク・ヤンキース)。ナショナルリーグは救援勝利14、セーブ12のスチュー・ミラー(サンフランシスコ・ジャイアンツ)だった。
その後、セーブを稼ぐためにほぼセーブ機会だけに登板するクローザー(抑え投手)という役割を持った投手が現れ、特定の投手にセーブが集中するようになったため、制定当初のセーブの意義と著しく乖離するようになった。そのため、現在ではホールドなどが救援投手の新たな評価基準となっている。
公式記録として初めてセーブが記録された投手はビル・シンガー(ロサンゼルス・ドジャース)である。1969年4月7日のシンシナティ・レッズ戦(シーズン開幕戦)で記録している。シンガーは本来は先発投手であったため、通算セーブ数はこれを含めてたった2つである。
日本プロ野球ではテンプレート:Byにセ・パ両リーグで公式記録として導入された。
セーブの条件
セーブには以下の条件をまず満たす必要がある。
- 勝利投手の権利を持たないこと(セーブよりも勝利が優先)。
- 勝利チームの最後の投手として登板すること。
- 1/3イニング以上の投球回を記録すること。
- 同点・逆転を許さず、リードを守り切り試合を終了させること。
そのうえで、以下の条件を1つ以上満たした場合にその投手にセーブが記録される。
- 登板時のリードが3点以内である場合は、1イニング以上投げること。[3]
- 登板時の状況が迎える打者2人に本塁打を打たれたら同点または逆転される状況であること。この場合は、イニング数(アウトカウント)は関係しない。
- つまり、登板時に無走者であればリードは2点以内、一人いれば3点以内、二人なら4点以内、満塁なら5点以内が条件となる。
- その投手が3イニング以上投げていること。この場合は、リードを保ってさえいれば何点差でもよい。
一旦セーブが記録された場合でも、試合後にその試合が没収試合となり当該チームが敗戦とされた場合、その投手に記録されたセーブは取り消される。
メジャーリーグベースボールでは、テンプレート:Byからセーブ失敗を表すブロウンセーブ(Blown save;「吹き飛んだセーブ」の意)も記録されている。これはセーブ機会に登板した投手が相手チームに同点に追いつかれる、あるいは逆転を許した場合に記録される。同点あるいは逆転となった失点が自責点か否かは関係ない。その後、チームが逆転勝利したなどによって敗戦投手にならなかったとしても(あるいは勝利投手となっても)ブロウンセーブの記録は取り消されない。
連続セーブ記録の条件
メジャーリーグベースボールでは、セーブ機会での登板のみが連続セーブ記録の対象となり、セーブの付かない場面での登板は連続記録とは無関係である。テンプレート:Byにエリック・ガニエ(ロサンゼルス・ドジャース)が55試合連続セーブのシーズン記録を樹立したが、そのシーズンの登板数は77試合であり、22試合はセーブ機会ではない場面での登板だった。
一方、日本では、すべての登板が連続セーブ記録の対象となり、セーブが付かない場面で登板すると無条件に連続セーブ記録が途切れてしまう。ただし延長12回裏などに登板して引き分けに持ち込んだ場合はこの限りではないテンプレート:要出典。
セーブに関する記録
日本プロ野球
最多セーブ投手
通算記録
順位 | 選手名 | セーブ | 順位 | 選手名 | セーブ |
---|---|---|---|---|---|
1 | 岩瀬仁紀 | 382 | 11 | 豊田清 | 157 |
2 | 高津臣吾 | 286 | 12 | 赤堀元之 | 139 |
3 | 佐々木主浩 | 252 | 13 | 大野豊 | 138 |
4 | 小林雅英 | 228 | 14 | 大塚晶則 | 137 |
5 | 藤川球児 | 220 | 15 | 斉藤明夫 | 133 |
6 | 江夏豊 | 193 | 16 | 鹿取義隆 | 131 |
7 | 馬原孝浩 | 180 | 17 | 山本和行 | 130 |
8 | M.クルーン | 177 | 18 | 林昌勇 | 128 |
9 | 武田久 | 166 | 19 | 牛島和彦 | 126 |
10 | 永川勝浩 | 164 | 20 | E.ギャラード | 120 |
- 記録は2013年シーズン終了時点[4]
シーズン記録
順位 | 選手名 | 所属球団 | セーブ | 記録年 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
1 | 岩瀬仁紀 | 中日ドラゴンズ | 46 | 2005年 | セ・リーグ記録 |
藤川球児 | 阪神タイガース | 2007年 | セ・リーグ記録 | ||
3 | 佐々木主浩 | 横浜ベイスターズ | 45 | 1998年 | |
4 | 岩瀬仁紀 | 中日ドラゴンズ | 43 | 2007年 | |
5 | 岩瀬仁紀 | 中日ドラゴンズ | 42 | 2010年 | |
西村健太朗 | 読売ジャイアンツ | 2013年 | |||
7 | M.クルーン | 読売ジャイアンツ | 41 | 2008年 | |
岩瀬仁紀 | 中日ドラゴンズ | 2009年 | |||
藤川球児 | 阪神タイガース | 2011年 | |||
10 | 岩瀬仁紀 | 中日ドラゴンズ | 40 | 2006年 |
その他記録
- 全球団からセーブ
- 江夏豊(西武ライオンズ) - テンプレート:By5月3日の日本ハムファイターズ戦で達成
- マーク・クルーン(読売ジャイアンツ) - テンプレート:By4月9日の横浜ベイスターズ戦で達成(交流戦含む)
- デニス・サファテ(福岡ソフトバンクホークス) - テンプレート:By5月20日の広島東洋カープ戦で達成(交流戦含む)
- 勝利投手がセーブ
- テンプレート:By7月12日の近鉄バファローズ対日本ハムファイターズ戦(日本生命球場)で、日本ハムの先発投手・高橋直樹は6回二死まで完封ペースで近鉄打線を抑えていた。打者・クラレンス・ジョーンズとの対戦途中に高橋は一旦三塁手の守備に就き、中原勇が登板。中原がジョーンズとの対戦を終えた後に投手として再登板した高橋がそのまま投げきってチームが勝利した。この試合で高橋には勝利とセーブがそれぞれ1ずつ記録された。これはおかしいということになり、翌年以降これと同様のケースでは勝利投手のみを記録するように改められた。
- 0球セーブ
- テンプレート:By10月2日の南海ホークス対阪急ブレーブス戦、5 - 3でリードした9回表二死一・三塁で登板した南海の金城基泰は、打者に対して初球を投げる前に、盗塁を試みた一塁走者の福本豊を牽制球でアウトにし、試合を終わらせた。これにより、投球数は0球であるがセーブを記録した。
- テンプレート:By6月4日の南海対日本ハム戦、8 - 7でリードした9回表二死一塁で登板した南海の三浦政基は、打者に対して初球を投げる前に一塁走者の井上晃二を牽制球でアウトにし、0球セーブを記録した。
- 最年長セーブ
- テンプレート:By7月11日の東北楽天ゴールデンイーグルス対千葉ロッテマリーンズ10回戦(コボスタ宮城)で、楽天の斎藤隆は、楽天が 8 - 7 とリードしている9回表1イニングを無失点に抑え、セーブを記録した。このときの斎藤の年齢は44歳4ヶ月で、最年長のセーブ記録である。
メジャーリーグベースボール
最多セーブ投手
通算記録
順位 | 選手名 | セーブ | 順位 | 選手名 | セーブ |
---|---|---|---|---|---|
1 | マリアノ・リベラ | 652 | 10 | ジョー・ネイサン | 341 |
2 | トレバー・ホフマン | 601 | 12 | ジョン・ウェッテランド | 330 |
3 | リー・スミス | 478 | 13 | フランシスコ・コルデロ | 329 |
4 | ジョン・フランコ | 424 | 14 | ロベルト・ヘルナンデス | 326 |
5 | ビリー・ワグナー | 422 | 15 | ホセ・メサ | 321 |
6 | デニス・エカーズリー | 390 | 16 | トッド・ジョーンズ | 319 |
7 | ジェフ・リアドン | 367 | 17 | リック・アギレラ | 318 |
8 | トロイ・パーシバル | 358 | 18 | ロブ・ネン | 314 |
9 | ランディ・マイヤーズ | 347 | 19 | トム・ヘンキ | 311 |
10 | ローリー・フィンガース | 341 | 20 | リッチ・ゴセージ | 310 |
- 記録は2013年シーズン終了時点[6]
シーズン記録
順位 | 選手名 | 所属球団 | セーブ | 記録年 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
1 | フランシスコ・ロドリゲス | ロサンゼルス・エンゼルス | 62 | 2008年 | ア・リーグ記録 |
2 | ボビー・シグペン | シカゴ・ホワイトソックス | 57 | 1990年 | |
3 | ジョン・スモルツ | アトランタ・ブレーブス | 55 | 2002年 | ナ・リーグ記録 |
エリック・ガニエ | ロサンゼルス・ドジャース | 2003年 | ナ・リーグ記録 | ||
5 | ランディ・マイヤーズ | シカゴ・カブス | 53 | 1993年 | |
トレバー・ホフマン | サンディエゴ・パドレス | 1998年 | |||
マリアノ・リベラ | ニューヨーク・ヤンキース | 2004年 | |||
8 | エリック・ガニエ | ロサンゼルス・ドジャース | 52 | 2002年 | |
9 | デニス・エカーズリー | オークランド・アスレチックス | 51 | 1992年 | |
ロッド・ベック | シカゴ・カブス | 1998年 | |||
ジム・ジョンソン | ボルチモア・オリオールズ | 2012年 |
- 記録は2013年シーズン終了時点[7]
その他記録
- 連続セーブ
- エリック・ガニエ(ロサンゼルス・ドジャース) 84(2002年 - 2004年)
- 27点差でセーブ
- 2007年8月22日のボルチモア・オリオールズ対テキサス・レンジャーズ戦(ダブルヘッダー第1試合)で、レンジャーズは30 - 3で勝利した。この試合で7回から試合終了までの3イニングを投げたウェス・リトルトンにセーブが記録された。