ゴンゾ
株式会社ゴンゾ(テンプレート:Lang-en-short)は、アニメーションの企画・制作ならびに開発を主な事業内容とする日本の企業。日本動画協会正会員。
会社組織としては1992年に設立された有限会社ゴンゾを汲むものと、2000年に設立された株式会社GDHの流れを汲むものがある。前者は2009年4月に親会社である株式会社GDHと合併し、組織上は解散したが、GDHがゴンゾを吸収合併した後、GDHをゴンゾに社名変更することで、ブランドとしてのゴンゾを維持している。
目次
概要・沿革
- 旧ゴンゾ時代(1992年 - 2009年)
※GDHに吸収合併されるまで
1992年、ガイナックスを退社した村濱章司と前田真宏、山口宏、樋口真嗣によってクリエイターの事務所として発足。同年9月11日、村濱が有限会社ゴンゾを設立。法人としてのゴンゾは村濱個人の企業であり、前田、山口宏、樋口らは役員ではなくフリーとしてゴンゾに出入りしていたという[1]。社名は樋口の発案でイタリア語で「馬鹿」を意味する「gonzo」から変に賢くなることがないようにと付けられたもの。村濱によると樋口の発案なのは同様だが、ハンター・S・トンプソンの呼称「ゴンゾ・ジャーナリスト」から取られたとしている[2]。イタリア語で「馬鹿」を意味するのは後で知ったことである。
1994年末に発売されたCD-ROMを搭載するプレイステーション、セガサターンのいわゆる次世代ゲーム機の登場によりスタジオの方向性をデジタルアニメに見定める。1996年に発売されたセガサターンのゲームソフトウェア『ルナ ザ・シルバースター』のムービーパートが評判となり、それによりビデオゲームのイベントムービーの発注が舞い込むようになった。その上で、ゴンゾが物語性を持って1本の作品として完結する作品を作れることを証明すべく、1998年に放ったOVA『青の6号』でフルデジタルアニメのスタジオとしてその名を一躍知られるようになる。これにより、デジタルアニメーションの先駆者的存在としてのゴンゾのブランドが定着した。
1999年5月、株式会社に組織変更。2000年2月にボストン・コンサルティング・グループ出身で、株式会社ディジメーション代表取締役の石川真一郎を迎えて持株会社「株式会社ゴンゾ・ディジメーション・ホールディング」を設立。ゴンゾとディジメーションを完全子会社とし、経営の基盤を整える。GDHグループを形成し、ゴンゾ(GONZO)は単独の社名としてだけでなく、グループ全体のブランド名にもなった。
2002年4月、ゴンゾとディジメーションを合併し「株式会社ゴンゾ・ディジメーション」に商号変更。2004年7月に「株式会社ゴンゾ」に再び商号変更。併せて「株式会社ゴンゾ・ディジメーション・ホールディング」を「株式会社GDH」へ商号変更した。同年11月、GDHは東京証券取引所・マザーズ市場に上場を果たした。
2000年からテレビアニメの制作にも乗り出し、2005年に放送されたテレビアニメ『BLACK CAT』はマニア向けの作品の印象が強かったゴンゾにとって初の少年漫画誌「週刊少年ジャンプ」連載の漫画を原作とする作品であった。
2006年には初の劇場作品『銀色の髪のアギト』を公開した。ゴンゾは創立当初から世界進出を目標に掲げ、実写映画を手がけることも視野に入れ活動を行っていた。またこの年は創立15周年にあたり、記念作品『マルドゥック・スクランブル』を制作していたが制作中止となった。同じ15周年記念作品である『アフロサムライ』は米国で2010年4月時点で約40万枚のセールスを達成し、続編やゲームソフトウェアも制作された。
- 新ゴンゾ時代(2009年 -)
※GDHに吸収合併された後
2009年4月1日、GDHグループの経営不振による改善の一環として、ゴンゾは持株会社であるGDHに吸収合併され、GDHは「株式会社ゴンゾ」に商号変更した。これにより、1992年に設立された法人としてのゴンゾは消滅した。同年6月3日、会計監査人(ビーエー東京監査法人)が「債務返済資金の確保に困難が生じる可能性があると共に再建計画の達成に不確実性がある」として、2009年3月期決算書類を監査意見不表明とした[3]。6月29日に上場廃止が決定され、7月30日に上場廃止処分となった[4]。相前後してグループの経営難により、デジタル制作部門・グループ企業の整理・売却、制作スタジオの分社独立が行われた。2009年の『シャングリ・ラ』、『アラド戦記 〜スラップアップパーティー〜』、『咲-Saki-』以降、主にビデオゲームのPVや他社作品のグロス請けなどを行い、2010年はテレビアニメやOVAの元請制作作品がなかった。また上記3作の放送終了後、元請制作作品がないという意味では約1年10か月のブランクが生じたが、2011年には久々の新作として、『にゃんぱいあ The Animation』、『ラストエグザイル-銀翼のファム-』、『こぴはん』の3作品が発表された。
代表者
※GDHに吸収合併されるまで(1992年 - 2009年)。
2009年4月以降は、持株会社であるGDHからの吸収合併により、「1992年に設立された」ゴンゾは組織上解散した。 同時にGDHがゴンゾへと社名変更したため、組織上「2000年に設立された」新たなゴンゾ(GDH)が生まれた。
主な作品
テレビアニメ
2000年
2001年
- SAMURAI GIRL リアルバウトハイスクール
- HELLSING
- FF:U 〜ファイナルファンタジー:アンリミテッド〜
- ヴァンドレッド the second stage
2002年
2003年
2004年
2005年
- トランスフォーマー ギャラクシーフォース
- バジリスク 〜甲賀忍法帖〜
- SPEED GRAPHER
- トリニティ・ブラッド
- SoltyRei(AICと共同制作)
- BLACK CAT
- G.I. Joe: Sigma 6
2006年
- ウィッチブレイド
- ガラスの艦隊(サテライトと共同制作)
- N・H・Kにようこそ!
- パンプキン・シザーズ(AICと共同制作)
- RED GARDEN
2007年
- 月面兎兵器ミーナ
- ロミオ×ジュリエット
- 瀬戸の花嫁(AICと共同制作)
- 風のスティグマ
- ぼくらの
- アフロサムライ
- 天元突破グレンラガン(制作元請:ガイナックス、各話制作協力)
- もえたん(制作元請:アクタス、各話制作協力)
- ドラゴノーツ -ザ・レゾナンス-
- BLUE DROP 〜天使達の戯曲〜(制作元請:ビースタック・旭プロダクション、3Dモデリング)
- もやしもん(制作元請:白組・テレコム・アニメーションフィルム、各話制作協力)
- ハヤテのごとく! (制作元請:SynergySP、各話制作協力)
2008年
- 銀魂(制作元請:サンライズ、各話制作協力)
- ロザリオとバンパイア
- ドルアーガの塔 〜the Aegis of URUK〜
- BLASSREITER
- S・A〜スペシャル・エー〜(AICと共同制作)
- ストライクウィッチーズ(2期はAIC Spiritsが制作)
- 鉄のラインバレル
- 絶対可憐チルドレン(制作元請:SynergySP、各話制作協力)
- ロザリオとバンパイア CAPU2
2009年
- ドルアーガの塔 〜the Sword of URUK〜)
- 鉄腕バーディー DECODE:02(制作元請:A-1 Pictures、各話制作協力)
- シャングリ・ラ
- アラド戦記 〜スラップアップパーティー〜(GK Entertainmentと共同制作)
- 咲-Saki-(14話まで制作元請、15話以降制作協力)
- アフロサムライ:レザレクション
2010年
- 聖痕のクェイサー(制作元請:フッズエンタテインメント、各話制作協力)
- GIANT KILLING(制作元請:スタジオディーン、各話制作協力)
- そらのおとしものf(制作元請:AIC ASTA、各話制作協力)
- スーパーロボット大戦OG -ジ・インスペクター-(制作元請:旭プロダクション、各話制作協力)
2011年
- 世界一初恋(制作元請:スタジオディーン、各話制作協力)
- にゃんぱいあ The Animation
- 魔乳秘剣帖(制作元請:フッズエンタテインメント、各話制作協力)
- ラストエグザイル-銀翼のファム-
- 世界一初恋2(制作元請:スタジオディーン、各話制作協力)
2012年
- テルマエ・ロマエ(制作元請:DLE、アニメーション協力)
- 松本零士「オズマ」(LandQ Studiosと共同制作)
- シャイニング・ハーツ 〜幸せのパン〜(制作元請:Production I.G、各話制作協力)
- この中に1人、妹がいる!(制作元請:Studio五組、各話制作協力)
- 輪廻のラグランジェ season2(制作元請:XEBEC、各話制作協力)
- 織田信奈の野望(制作元請:Studio五組×マッドハウス、各話制作協力)
- 絶園のテンペスト(制作元請:ボンズ、各話制作協力)
- アイカツ! -アイドルカツドウ!-(制作元請:サンライズ、各話制作協力)
- PSYCHO-PASS(制作元請:Production I.G、各話制作協力)
2013年
- ちはやふる2(制作元請:マッドハウス、各話制作協力)
- 絶対防衛レヴィアタン
- 君のいる町
- 犬とハサミは使いよう
- 夜桜四重奏 〜ハナノウタ〜(制作元請:タツノコプロ、各話制作協力)
- IS 〈インフィニット・ストラトス〉 2(制作元請:エイトビット、各話制作協力)
- キルラキル(制作元請:TRIGGER、各話制作協力)
2014年
- 魔法戦争(制作元請:マッドハウス、各話制作協力)
- Wake Up, Girls!(制作元請:Ordet×タツノコプロ、各話制作協力)
- のうりん(制作元請:SILVER LINK.、各話制作協力)
- 咲-Saki- 全国編(制作元請:Studio五組、各話制作協力)
- ブレイドアンドソウル
- ガイストクラッシャー(制作元請:studioぴえろ、各話制作協力)
Webアニメ
- i-wish you were here-(2001年)
- こぴはん(2011年)
OVA
- おいら宇宙の探鉱夫(1994年、メカニックデザイン協力)
- マクロス ダイナマイト7(制作元請:葦プロダクション、OP/ED製作、1997年)
- 青の6号(1998年)
- メルティランサー The Animation(1999年)
- ゲートキーパーズ21 (2002年)
- 戦闘妖精雪風(2002年)
- カレイドスターOVA レイラ・ハミルトン物語(2005年)
- ピンキーストリート(アニメーションプロデュース、2006年)
- マルドゥック・スクランブル(2006年に制作発表されたが、制作中止)
- 爆裂天使 -インフィニティ-(2007年)
- ストライクウィッチーズ(2007年)
- デッドガールズ(2007年)
- 瀬戸の花嫁 OVA 仁(AICと共同制作)
- 瀬戸の花嫁 OVA 義(AICと共同制作)
劇場アニメ
- 名探偵コナン ベイカー街の亡霊(制作元請:トムス・エンタテインメント、デジタル合成、2002年)
- ゲド戦記(制作元請:スタジオジブリ、作画協力、2006年)
- 銀色の髪のアギト(2006年)
- ブレイブ ストーリー(2006年)
- キディ・グレイド 劇場版(2007年)
- アフロサムライ 劇場版(2007年)
- 崖の上のポニョ(制作元請:スタジオジブリ、作画協力、2008年)
- 借りぐらしのアリエッティ(制作元請:スタジオジブリ、作画協力、2010年)
- 龍 -RYO-(2013年)
- BAYONETTA BLOODYFATE(2013年)
ゲーム
- 超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか(1997、99年、アニメパート)
- レイディアントシルバーガン(1998年、OP)
- エフィカス この想いを君に…(1998年)
- スカイガンナー(2001年)
- 幻想水滸伝III(2002年、OP)
- ANUBIS ZONE OF THE ENDERS (2003年、アニメパート)
- 実況パワフルプロ野球(2006年 - 、12 - 、OP)
- 実況パワフルプロ野球(2006年 - 、12 - 、ED)
- サモンナイト(2008年、リメイク版)
- ファンタシースターZERO(2008年)
- 無限航路(2009年、OP)
- BLAZBLUE(2009年、OP)
- サモンナイトX 〜Tears Crown〜(2009年、OP)
- アルカディアサーガ(2009年、イメージムービー)
- スーパーストリートファイターIV(2010年、Xbox 360版限定特典アニメ)
- BLAZBLUE -CONTINUUM SHIFT-(2010年)
実写映画
- ガメラ 大怪獣空中決戦(1995年、制作:大映(現:角川映画)、協力)
- ガメラ2 レギオン襲来(1996年、制作:大映(現:角川映画)、協力)
- ガメラ3 邪神覚醒(1999年、制作:大映(現:角川映画)、怪獣デザイン、ビュジュアルエフェクト)
- BLACK NIGHT(2006年、VFX)
- 蒼き狼 〜地果て海尽きるまで〜(2006年、VFX)
- 悪夢探偵(2007年、VFX)
- 悪夢探偵2(2007年、VFX)
- ROBO☆ROCK(2007年、制作プロダクション、VFX)
- オリオン座からの招待状(2007年、VFX)
- 犯人に告ぐ(2007年、VFX)
- MAYU ココロの星(2007年、VFX)
- ゲゲゲの鬼太郎 千年呪い歌(2008年、VFX)
- 252 生存者あり(2009年、VFX)
- 鴨川ホルモー(2009年、「オニ」デザイン、VFX)
- 携帯彼氏(2009年、制作プロダクション、VFX、配給)
テレビドラマ
- 電車男(2005年、フジテレビ系、オープニングアニメ)
- 金曜プレステージ(2006年 - 、フジテレビ系、オープニングCG)
- セクシーボイスアンドロボ(2007年、日本テレビ系、劇中アニメ)
- ヤスコとケンジ(2008年、日本テレビ系、CG)
特撮
- ウルトラマンパワード(1993年、スペシャルサンクス)
その他
PV
- Linkin Park - Breaking the habit(2004年)
- Perfume
- エレクトロ・ワールド(2006年)
- Twinkle Snow Powdery Snow(2006年)
- ポリリズム(2007年)
- BLOOD STAIN CHILD - FREEDOM(2007年)
テレビCM
- 瞬足・LMX(CM第1 - 2弾、アキレスの製品)
PRアニメーション
- GLOBARANGE(パナソニックの製品)
- デュエルポッド(バンダイの製品)
- おさわり探偵 なめこ栽培キット「なめこのPV」(ビーワークス)
大株主
※2012年3月31日現在
順位 | 大株主 | 所有株式数(株) | 全株式を占める割合(%) |
---|---|---|---|
第1位 | いわかぜ1号投資事業有限責任組合(いわかぜキャピタル) | 188,458 | 80.62 |
第2位 | 石川真一郎 | 4,014 | 1.71 |
第3位 | 株式会社サン・クロレラ | 1,600 | 0.68 |
第3位 | サン・クロレラ販売株式会社 | 1,600 | 0.68 |
第5位 | 梅本隼三 | 1,298 | 0.55 |
第6位 | 栗原真一 | 1,000 | 0.42 |
第7位 | 山本健三 | 869 | 0.37 |
第8位 | 鈴木成典 | 502 | 0.21 |
第9位 | 菱川克是 | 500 | 0.21 |
第9位 | 株式会社ホリプロ | 500 | 0.21 |
関連人物
所属する人物
所属していた人物
- 池田東陽(元:エンカレッジフィルムズ代表取締役社長。2013年2月物故)
- エリック・カルデロン(現:WILD BOAR MEDIA代表取締役社長)
- 沖浦泰斗(現:デイヴィッドプロダクション代表取締役社長)
- 梶田浩司(現:ディヴィッドプロダクション代表取締役副社長)
- 永井理(現:フッズエンタテインメント代表取締役社長)
- 樋口真嗣(現:Motor/lieZ所属、旧ゴンゾ創設者)
- 松浦裕暁(現:サンジゲン代表取締役社長)
- 村濱章司(現:LAMBDA FILM代表取締役社長、旧ゴンゾ創設者)
- 山口宏(元ゴンゾ所属、旧ゴンゾ創設者)
- 石橋淳(現:スタジオグラム代表取締役社長)
- ムラオミノル(現:漫画家)
- 柴田知典(Studio五組代表取締役社長)
- 岡野正広
その他
- 飯田馬之介
- 市村徹夫
- うのまこと(アニメーター)
- 追崎史敏
- ソエジマヤスフミ
- 中村深雪(アニメーター)
- 前田真宏(旧ゴンゾ創設者)
- もりたけし
- 佐々木政勝(アニメーター・元ゴンゾ外部要員(第5スタジオ担当)、現Studio五組外部要員)
脚注
関連項目
- TOKYO COLORS - 5作品を本動画内で紹介[1]
- GDH (企業)
- 創通音楽出版(旧・フューチャービジョンミュージック)
- GK Entertainment
- アニメ制作会社
- デイヴィッドプロダクション
- フッズエンタテインメント
- Studio五組 - GONZO第5スタジオのスタッフが独立して作った会社
外部リンク
- GONZO公式サイト
- テンプレート:YouTube channel
- ニゴンゾ動画 ニコニコ動画公式チャンネル
- GONZO STYLE 公式通販サイト