シェンロンガンダム

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シェンロンガンダム(Shenlong Gundam)は、テレビアニメ新機動戦記ガンダムW』に登場する架空の兵器

東洋の龍をモチーフとする格闘戦用ガンダムタイプMS(モビルスーツ)。主要人物の一人である張五飛(チャン・ウーフェイ)が搭乗する。機体名の「シェンロン」とは、「神龍」の中国語読み。敵組織であるOZ(オズ)からは「ガンダム05(ゼロファイブ)」のコードネームで呼ばれる。のちに改修されアルトロンガンダム(AItron Gundam)へと強化される。

メカニックデザイン大河原邦男が担当。のちに発表されたOVAおよび劇場用アニメ新機動戦記ガンダムW Endless Waltz』では、カトキハジメの手により新たにデザインが描き起された。ゆえに劇中では全くの同一機体扱いだが、デザインの異なる2タイプ(TV版)と(EW版)が存在する(詳細は後述)。

本項では、外伝作品『新機動戦記ガンダムW〜ティエルの衝動〜』に登場するティエンロンガンダムの解説も併記する。

機体解説

テンプレート:機動兵器

ウイングガンダムゼロの設計データとともにOZを出奔した5名の技術者の一人、老師Oが、オペレーション・メテオの中核として開発した特殊戦用MS。

中華系の移民が多く居住するL5コロニーで開発された本機は、古代中国の戦士を髣髴とさせる意匠が機体デザインに取り入られている。武装は右腕の「ドラゴンハング」や「ビームグレイブ」など間合いの長い近接格闘に特化した装備を持ち、ファイティングアビリティ値は同時期のガンダムタイプMS中最高数値を誇る。なお、両肩アーマー前面の円形状のレンズで形成されるファイティングサイトにより相手の情報をいち早く読み取ることが出来るなど、分析能力にも長けている。反面、射撃兵装は頭部のバルカンのみと、火力の低さが欠点でもある。しかし、機動性、運動性など単体のMSとしてはバランスの良い基本性能を持ち、汎用性ではウイングガンダムに次ぐ能力を持つ。

機体名の「シェンロン」はパイロットの張五飛自身が名付けたものだが、彼は普段は本機を「ナタク哪吒)」の愛称で呼んでいる。これは本機を守り亡くなった妻・竜妹蘭(自称ナタク)の影響からである。五飛は本機に彼女の魂が宿っているとしていた。ただし後発の小説にて語られるエピソードのため本編中ではナタクの名前の由来や五飛の妻については言及されていない。

アビリティレベル

リーオーをオールレベル100として換算)

  • ファイティングアビリティ:レベル160
  • ウエポンズアビリティ:レベル110
  • スピードアビリティ:レベル130
  • パワーアビリティ:レベル140
  • アーマードアビリティ:レベル120

Endless Waltz版

劇場作品『新機動戦記ガンダムW Endless Waltz 特別篇 』公開時に、OVAでカトキハジメによってリファインされたEW版アルトロンガンダムから逆算して、テレビ版シェンロンをリファインした機体。大河原デザインのテレビ版に対し、この機体はカトキ本人のイニシャルを取って「Ver.Ka.」、もしくは「アーリータイプ」とも呼ばれていたが、漫画『新機動戦記ガンダムW Endless Waltz 敗者たちの栄光』で当デザインの機体が登場することなどをきっかけとして、EW版と呼称されるようになった。全体的な形状はEW版アルトロンに準拠、配色はTV版同様のトリコロールだが、両肩アーマー前面のファイティングサイトは排除され、肩自体も小型化されている。Vアンテナの形状も変更。また、ドラゴンハングの展開ギミックや武装も一部変更されている。

武装

ドラゴンハング(火炎放射器)
龍の頭を模した右腕のガンダニュウム合金製クロー。肩アーマーに格納されたアームを伸長することでリーチを倍化させ、相手の予測を超えた間合いからの奇襲を可能とする。クロー両側には火炎放射器(ドラゴンハングファイヤー)が内蔵され、高熱の炎で敵機や基地施設を焼き払う。
EW版ではクローは大型化しているが、肩アーマー内の延長アームが無いため伸縮機能は無い。
ビームグレイブ / ビームトライデント
長尺の柄を持つ薙刀状の格闘ビーム兵器。通常のビームサーベルを上回るリーチを活かし、接近戦で高いアドバンテージを発揮する。不使用時は背部ラッチに背負うようにマウントする。
EW版では、アルトロンガンダムのツインビームトライデントの発振器を片側のみとしたシングルタイプのビームトライデントに変更されている。
シェンロンシールド
左腕に装備される円盤状シールド。接近戦での取り回しを考慮し、小型軽量に造られている。縁は鋭利な形状で、投げつけて攻撃することも可能。リーオー程度なら軽く破壊することができる。
バルカン
頭部に2基固定装備される小型機関砲。本機唯一の射撃装備だが、威力・射程共に携行タイプのマシンガンなどには遠くおよばない。したがって威嚇・牽制や対人戦などが主な用途である。
獠牙(発音はLIAOYA)
『敗者たちの栄光』で新設定された、EW版オリジナル武装。青龍刀柳葉刀)に似た形状の実体剣。巻き取り式のケーブルでシェンロンシールドと接続されており、投擲後の再回収が可能となっている。

劇中での活躍

揚子江でOZ艦隊を壊滅させつつ南下、インダス川補給基地、更にアフリカのヴィクトリア湖基地を襲撃する等ガンダムデスサイズに負けない神出鬼没振りを見せる。単機での突撃的行動が多く、宇宙に上がってからもそれは変わらなかった。最後は単独、しかも右腕ドラゴンハングを失った状態でOZの月面基地を襲撃し、集中攻撃を受け沈黙、回収される。しかしこれは、より強い力を得ようとした五飛の計算によるものだった。

アルトロンガンダム

テンプレート:機動兵器 OZ月面基地に拘束されていた5人のガンダム開発者たちが、同基地に鹵獲されたシェンロンを、同じく鹵獲されたデスサイズとともに密かに修復・強化した機体。

彼らが開発したガンダムは基本的に地上戦仕様の機体であったため、改修は宇宙戦に対応した強化が主となっている。本機の場合は、背部左右にスラスター内蔵の可動翼ランダムバインダー、両スネにサブスラスターを追加し空間機動力を強化。武装もアルトロン(二頭龍)[1]の名の由来となった両腕の改良型ドラゴンハング、ビームグレイブに代わり装備されたツインビームトライデント、背部の2連装ビームキャノンと、大幅に強化されている。

外見面では機体色をシェンロンのブルーからグリーンに変更。ファティングサイトは円形から六角形状になり、頭部やスネにたてがみや牙の意匠を取り入れるなど、より龍のイメージを強く打ち出している。

アビリティレベル

(リーオーをオールレベル100として換算)

  • ファイティングアビリティ:レベル170
  • ウエポンズアビリティ:レベル140
  • スピードアビリティ:レベル130
  • パワーアビリティ:レベル140
  • アーマードアビリティ:レベル120

Endless Waltz版

OVAおよび劇場版『新機動戦記ガンダムW Endless Waltz』用にカトキハジメがリファインした機体。最大の特徴はドラゴンハングの形状やギミックの変更。機体色はテレビ版アルトロンよりも彩度を落とした地味目のカラーに変更。ビームキャノンやランダムバインダー、シールド、脛部スラスターはすべて省略され、シンプルなデザインにまとめられている。これはプラモデル化(後述)を考え、デザインされたためである。飛行能力も備えており、ウイングゼロと空中戦を繰り広げた。テレビシリーズとデザインが異なるが、物語上はリデザインした全くの同一機である。OVA公開当時に発売されたプラモデル等の商標名や関連ゲームにおける名称は、TV版と区別できる様に「アルトロンガンダムカスタム」もしくは「ガンダムナタク」と呼称されていたが、リデザインされた同一機ではなく改良機と誤解を招くことから、徐々に「アルトロンガンダム(EW版)」という名称表記へと移行していった。

この機体のプラモデルでは「ガンダムナタク」というネーミングをされているが、設定資料によってはほかのガンダムと同様「アルトロンガンダムカスタム」とも呼ばれる。劇中ではそれまでと同様、ナタクと呼称されている。また1/100スケールにてプラモデル化の際シェンロンガンダムより流用されたパーツが多く、EW1/100シリーズでは唯一完全新規ではないため設定および同シリーズ他ラインナップと比較し太めのプロポーションとなっている。

なお、ゲーム『SDガンダム GGENERATION』シリーズでは、他の機体がエンドレスワルツ版の表記に改められた現在もなお、「ガンダムナタク」[2]の名称でほぼ統一されている。一方『スーパーロボット大戦』シリーズでは、『第2次スーパーロボット大戦α』までは「アルトロンガンダムカスタム/アルトロンカスタム」か「ガンダムナタク」でまちまちだったが、『第3次スーパーロボット大戦α』以降は「アルトロンガンダム」でほぼ統一されている[3]

武装

ドラゴンハング(火炎放射器)
両腕をドラゴンハング化したことで、弱点であった左腕側の死角を解消。ほかの武装を組み合わせた多彩な攻撃パターンの展開が可能となった。クローの形状もより龍に近いデザインに変更されている。両腕の火炎放射器から放たれる「ダブルドラゴンハングファイヤー」は、片方のみと比較して約10倍もの破壊力を持つ。
EW版では、クローの開閉が縦方向から横方向に変更され、クロー自体もかなり大型化している。EW版ではアルトロンになってはじめて延長アームが搭載され、その位置は肩ではなく、クローと前腕の間(演出上ではあるが、伸長距離もテレビアニメ版よりかなり長い)。赤色の蛇腹形状アームはTV版シェンロンやTV版アルトロンのものよりドラゴンガンダムに近い伸縮法。火炎放射器は省略されている。
ツインビームトライデント
ビームグレイブに代わり装備された格闘ビーム兵器。その名のとおり柄の両端から三又槍(トライデント)状のビーム刃を形成する。更にメリクリウスのクラッシュシールドの粒子加速技術を応用することで、ビーム刃自体の出力も大幅に向上している。テレビ版では、不使用時に柄を縮めた状態でランダムバインダーにマウントされる。
2連装ビームキャノン
シェンロンの弱点であった射撃能力の低さを補うべく、背部に装備された連装ビーム砲。ヴァイエイトのビームキャノンの技術が用いられており、出力・射程ともに優秀な性能を発揮する。また、銃身部はドラゴンハングと同様の多関節アームで接続されており、背面等多方向への発砲が可能。
EW版では省略された。
アルトロンシールド
カラーリングが青から赤に変更されているが、基本的にシェンロンシールドと同一の装備。左腕のドラゴンハング化に伴い、設置位置が左肩に変更されている。
EW版では、ドラゴンハング自体がシールドの役割を果たすため省略された。

また、EW版では、バックパックにパラシュートを装備している。

劇中での活躍

テレビ版
OZ技師長ツバロフレディ・アンの対立による月面基地の混乱に乗じ、牢を脱出した五飛が搭乗。この時点での機体の完成度は70~80パーセント程度だが、同じく脱出したデュオ・マックスウェル駆るガンダムデスサイズヘルとともに、迎撃に投入された新型MD(モビルドールビルゴを圧倒する活躍を見せる。基地脱出後は故郷のL5コロニーに帰還、現地にて最終調整が行われる。しかし、その後五飛の単独行動はなおも続き、度重なるOZ軍との戦闘によって一度中破する。リーブラ攻防戦においては、トレーズ・クシュリナーダ駆るトールギスIIと対決しこれを撃破。最後は地球へ落下するリーブラの破片を破壊するべく、ガンダムエピオンとの戦闘で紛失したツインバスターライフルをヒイロ・ユイのウイングゼロの元に送り届ける役割を果たす。
EW版
X18999コロニーでヒイロの乗るリーオーと交戦。宇宙でヒイロのウイングゼロと激闘を繰り広げながら大気圏に突入し地球に降り立つ。その後、ドロシー・カタロニアによって挑発され抗議行動に踏み切った民衆と共にブリュッセルに姿を見せ、民衆と共にマリーメイア軍を武力行使することなく追いつめる。紛争終結後、五飛が揚子江付近(小説版によると竜一族の故郷)で自爆させ、亡き妻の安らかな眠りを願う。

ティエンロンガンダム

新機動戦記ガンダムW〜ティエルの衝動〜』に登場する機体。名称のティエンロンは、「天龍」を意味する。シェンロンの量産化を目的とし開発された機体。量産機であると同時に太陽光が直撃する戦場でも戦える様開発された試験機でもあり、全身が光熱反射材で構成されている。ゼロシステムが搭載されており、これによってMDの遠隔操作が可能となっているが、その分扱いが非常に難しくなっている。

ロームフェラ財団によって保管されていたところを、マリーメイア軍所属の少女工作員クルング・ポンラマーイによって奪取された。追撃してきたガンダムデスサイズギルティガンダムサンドレオンの2機を撃退し、戦士の墓へと突き落とした。その後、ゼロシステムとMDシステムの併用によって、探査用MSであるキャプリコーンを遠隔操作する。

しかし、のちにパイロットのクルングが本性を現し、ティエルの操縦するウイングガンダムセラフィムに攻撃を仕掛けた際、ゼロシステムを暴走させたウイングガンダムセラフィムによってキャプリコーンともども返り討ちにされ、パイロットのクルングも死亡する。

関連項目

脚注

  1. ただし、使用されている「altron」というアルファベット表記は正しくない。また「二頭龍」を中国語で読んだ場合の発音は「èr tóu lóng(エ゛ァートウロンに近い)」である。
  2. 『CROSS DRIVE』のみ「アルトロンガンダム(EW)」
  3. ただし、「アルトロンガンダム」に名称が統一されてから、TV版とOVA版が同時に参戦を果たした作品は発売されていない。

テンプレート:アフターコロニー テンプレート:Gundam-stubfr:Liste des armures mobiles de Gundam Wing#Shenlong Gundam et Altron Gundam