リーオー

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リーオー (Leo) は、テレビアニメ新機動戦記ガンダムW』、OVA新機動戦記ガンダムW Endless Waltz』に登場する架空の兵器

A.C.(アフターコロニー)史上初の汎用量産型MS(モビルスーツ)。武装組織「OZ(オズ)」や地球圏統一連合など、多くの国家、勢力に広く普及している。機体名の「リーオー」とは、黄道十二星座の一つであるしし座(レオ)を英音訳したもの。

メカニックデザインカトキハジメが担当。当記事では、同じアニメ本篇、メディアミックスの『新機動戦記ガンダムW デュアルストーリー G-UNIT』『新機動戦記ガンダムW Endless Waltz 敗者たちの栄光』『新機動戦記ガンダムW Frozen Teardrop』などに登場する各派生機の解説も記述する。

機体解説

テンプレート:機動兵器 A.C.史上初の戦闘用MS「トールギス」を原型にセイス・クラーク博士が開発した、最初期の量産型MS。MS単体としての性能を追求するあまり実用性とコストに難を抱えていたトールギスの反省から、不要な機能を排し機体の小型化・簡素化を図った無難な汎用機として再設計された。

一方リーオーでは、ボール状になっている両肩部の中央前後や両脚部の太腿側面に2つずつ備えるラッチ(窪み)や、背部のアタッチメントなどに各種オプションを換装できるよう設計されており、宇宙用、地上(陸戦)用、高機動型などに大別される装備に変更することであらゆる戦場に対応できるようになっている。

地上用のカラーリングは連合・OZ・マリーメイア軍などがモスグリーン、宇宙用は連合・ホワイトファングなどが紫、宇宙でのOZや後のトレーズ派を総じてのOZ仕様・世界国家軍(東南アジア)などが紫がかった青(水)配色となっている。

武装・オプション装備

宇宙用オプション
背部のアタッチメントに装着されるラウンド・バーニアや、肩部に換装するアーマー一体型姿勢制御用バーニア[1]などの一式。腰部以外に固有の推進器を持たないリーオーの宇宙空間運用に必要不可欠となっており生命維持装置も内蔵している。
マリーメイア軍ではモスグリーン色の機体に装備させていた。
ビームライフル[1]
主に宇宙用やOZ仕様機が携帯しており、銃砲身の長いノーマル型と、レディ・アン機など指揮官用の短いショーティー型の2種類が存在し、銃身先端にあるレーダー[2]の形状は前者が円形、後者が三角形をしている。チタニュウム合金製装甲に対しては充分な威力を有するが、ガンダニュウム合金製の装甲に対しては何十発も撃ち続けてようやく損傷を負わせられる程度。
後述のマシンガンも含めて、ノーマル型は両手を使って引き金部分のグリップと銃身上部中央のキャリングハンドルをそれぞれ保持して、腰の部分に構えて撃つのが通例[2]
また、第1クールあらすじパートで居並んでいる全機や住民を拘束している1機の地上用などは、トラゴス用のビームライフルを持っていた。
シールド
地上用が左肩に換装している例が多い円盤形状の盾で、トールギスのシールドとほぼ同一。
ビームサーベル
シールド裏のラックに2基懸架されている接近戦用の斬撃武装。水中で使用できないなど性能は劣るが、ガンダムが装備する同系装備と斬り結ぶことは可能。
105mmマシンガン
地上用やEWACリーオーなどが携帯している実弾火器で、マガジンの装弾数は約100発超。ガンダニュウム合金製MSにはほぼ無力だった。
ドーバーガン
リーオーの全高に匹敵する砲身長を持つカートリッジ式の実弾[3]大型砲。運用の際は右肩に専用のジョイントパーツを換装し吊り下げるようにして携行するため、取り回しに不便さがあり生産コストも高いことから供給数は少ない。
原型機であるトールギス側の同名装備とは形状も若干異なっており、威力にも大きな差がある[2]が、第1話でのゼクス機ではガンダニュウム合金製であるウイングガンダムの推進器に損傷を負わせている。サリィ・ポォ機は二挺持ちで使用した。続編小説におけるリーオーIV型[グライフ]での解説ではトラゴスの肩部キャノン砲と同等扱いになっている[3]
ビデオゲームSDガンダム GGENERATIONシリーズではほぼ全作で「属性」が実弾射撃扱いかつ青(水)色のOZ仕様機の主武装となっている。
パラシュートパック
地上用の背部オプションの一つ。主に輸送機からの空挺降下作戦の際に使用される。着地直前はバーニア噴射による制動を行い、ユニットを切り離して着地する。
肩部ビーム砲
第1話に登場した地上用の隊長機などで見られたオプション火器。肩部に一体型のアーマーごと装着するためシールドなどとの併用はできない。
バズーカ
榴弾・徹甲弾などの各種砲弾を射出するバズーカ砲。ドーバーガンよりも装弾数は少ないが、全長が短く取り回しに優れる。
高機動オプション
レディ・アン機などが使用した、「飛行ユニット」とも読み書きされる背部アタッチメント用のターボ・ファンと太腿側面用の初期加速ブースターなどの一式。主翼と強力なジェットエンジンで大気圏内での単体飛行を可能とし、任意での排除も可能。
純粋な飛行型であるエアリーズと比べると速度・旋回性・航続距離で劣るため、パラシュートパックを利用した空挺降下作戦や、ヘリコプターからワイヤーで吊るして輸送するヘリボーン作戦での運用が基本となる[4]
ライフル
第1クールあらすじパート、第1話や25話[5]の劇中、それらを利用したバンクなどで持っていたトールギスにおける「幻のライフル」と同一の物。公式設定が皆無で長らく不詳のままだが、当機がアクションフィギュア『MIA』で限定商品化された際は、当銃を上述のリーオー用ノーマル型、トラゴス用の短いビームライフルを指揮官向けショーティー型と扱って(解釈して)付属されている。
またこのライフルは銃身上部中央がキャリングハンドルではなく四角いスコープになっているため、左手を銃床に添えているか片手で射撃している作画が多い。
その他
第1クールあらすじパートにおいてシャトルを狙撃した宇宙用が持っていた名称不明の両手使い火砲などがある。

劇中での活躍

TVシリーズ・OVA(映画)・外伝・メディアミックスなどを含めたほぼ全てに登場し、主要登場人物の大半が搭乗した機種でもある。トロワ・バートンは名無しの傭兵時代に、ゼクス・マーキストレーズ・クシュリナーダヴァルダー・ファーキルも当初はリーオーに乗っており、ゼクスは大気圏突入直後のウイングガンダムと交戦、空中で機体をからみつかせ拘束しゼクスは脱出、これを海に沈める。オデル・バーネットはMO-V護衛時に使用した。

「容赦のない兵器」と揶揄されたMD(モビルドール)の誕生以降は覆し難い性能差と共に無人機全盛の時勢の中で苦戦を強いられるが、有人機の必要性を説いたトレーズの意志を体現するに相応しい機体として信奉され、最終決戦では世界国家軍の主力機としてホワイトファング軍のビルゴIIのカウンターパートを務めた。それ以外でも作業用などさまざまな場面に登場している。

マリーメイア事変ではヒイロ・ユイデュオ・マックスウェルがX18999コロニー侵入の際にコロニー内部で奪取し敵リーオー部隊に大打撃を与えるものの、迎撃に現れた張五飛アルトロンガンダムとトロワ・バートンのサーペントには性能差の前に敗北する。

バリエーション

リーオー・アーリータイプ

ブント軍などが使用。現行のリーオーの1世代前に当たる機体で、各部がよりトールギスに近い形状となっている。武装は105mmマシンガンとシールドのみ。パイロットはナナキ少佐(テレビ第12話)、名無し時代のトロワ・バートン(Endless Waltz OVAおよび特別編)など。

モビルドールシステム機

MD(モビルドール)の試験用で登場。

EWACリーオー

漫画『新機動戦記ガンダムW デュアルストーリー G-UNIT』に登場するOZプライズの偵察用MS(早期警戒管制機)。カラーは紫で、肩アーマーが無く、頭部全体が巨大なレドーム状になっており四角いカメラアイが頭頂部から縦並びで3つに増やされている。武装は105mmマシンガン。

レオス、レオール、レオン

LEO-S、LEO-R、LEO-N

『G-UNIT』に登場。(型式番号:OZ-06MS-SS1OZ-06MS-SR2OZ-06MS-SN3)OZプライズに所属するパイロットのロッシェ・ナトゥーノ、クラーツ・シェルビィ、ブルム・ブロックスら“星屑の三騎士”がそれぞれ搭乗するカスタムリーオー。

レオスはマントを纏い、特異な形状のビームライフルとビームサーベルを装備する最もバランスのとれた機体で、ヴァルダーの配下となったクラーツのレオールに攻撃されて損傷させられるも、ガンダムL.O.ブースターに助けられてMO-Vに運ばれた。ロッシェがガンダムL.O.ブースターを操縦するようになってからは登場せず、破棄・もしくは次項のDユニットに改修されたと思われる。

レオールは機動性が強化されており、ロングビームランスを装備している。その外観はリーオーとしてのものをあまり留めておらず、後頭部の髪状の放熱フィンや脚部など女性的な形状をしているのが特徴。ロッシェが操縦するガンダムL.O.ブースターに上半身と下半身を真っ二つに切断される。

レオンは出力や装甲などが強化されており、外観的にはビルゴに近い。ハイドラガンダムに撃ち落とされて消滅した。

Dユニット

『G-UNIT』に登場する資源衛星MO-Vで開発された無人型MS。MDのデータを基にリーオーを改修した機体で、両腕部はビームキャノンに換装されている。コストの割には高い戦果を上げる。

ヴァルダー・ファーキル専用カスタムリーオー

『G-UNIT』に登場。ヴァルダー・ファーキルがOZプライズに合流する以前に搭乗していたカスタムリーオーだが、劇中では一コマのみ描かれ、設定画など詳細なものは一切ない。ヴァルダーはこの漆黒の機体に搭乗しての戦果から「暗黒の破壊将軍」と呼ばれるようになった。当時コミックボンボンで行われたリーオーの改造案を募集する企画に送られた作品が元になっている。

Gリーオー01

『G-UNIT』に登場した模擬戦仕様のリーオー。資源衛星MO-Vに最後に残された二機のリーオーのうちのアディン機。外見は宇宙用のリーオーだが、アディン仕様に改造が施されており右肩と胸部に01の文字、頭部にV字アンテナ、口にあたる部分にはガンダムを模したへの字のダクトが追加されている。武装は105mmマシンガン(ペイント弾10発)、縦長のシールドを持つ。

Gリーオー02

『G-UNIT』に登場した模擬戦仕様のリーオー。。資源衛星MO-Vに最後に残された二機のリーオーのうちのオデル機。外見は宇宙用のリーオーで右肩に02の文字が描かれている。武装は105mmマシンガン(ペイント弾10発)、円形のシールドを持つ。

エンドレスワルツ版

漫画『新機動戦記ガンダムW Endless Waltz 敗者たちの栄光』などに登場。デフォルト(無装備)状態の立ち姿イラストはアニメ版における3種類のカラーリングではなく白で描かれており[3]、さらに以下のバリエーションが存在する。

リーオーII型[キマイラ]
リーオーIII型[キマイラ(新型)]
リーオーIV型[グライフ]
生産性を度外視し、量産型の域を超えたOZスペシャルズ専用の特別機。カラーは白で、トールギスとほぼ同じ武装と、背中や腰などの各種バーニアで構成されており、リーオーの重装備とエアリーズの高機動性を兼ね備えている。また、トレーズ機のみ頭部に青い鶏冠が付けられており外見がさらにトールギス寄りになっている。
トールギスを量産向けに改装してリーオーを開発したセイス・クラークは、己の苦労を無にするこの機体を認めず憤慨しているが、若き日のトレーズやゼクス、ノイン等の機体としてマリウス・プラント攻防戦で活躍している。『敗者たちの栄光』ではアニメ第1話にあたるウイングガンダムとの初戦でゼクスの搭乗機となっている。バートン財団と通じていた宇宙革命軍のアルテミス・セディッチ、カーンズらによって奪取された機体もあり、それらは漆黒に彩られた「シュヴァルツ・グライフ」としてバルジ要塞を攻め立てた。

出典・注釈

テンプレート:Reflist

外部リンク

関連項目


テンプレート:アフターコロニー

テンプレート:Gundam-stuben:Leo (mobile suit)
  1. 1.0 1.1 『新機動戦記ガンダムW MSエンサイクロペディア』 一迅社。/a……22頁の線画に詳しく記されているが、他の立ち姿(地上/宇宙/アジアの3種用資料)などの設定画大半に限らず、アニメ劇中のカットでも省略されている(アップのシーンでも描かれていない)場合の方が多い。b……21頁にて宇宙用ビームライフルと表記している通り運用環境を限定しているらしき資料(設定)はあるが、同時に 「地上戦でも使用されている」 とも解説している。
  2. 2.0 2.1 2.2 『サンライズARTBOOKシリーズ (3) 新機動戦記ガンダムW 設定記録集 PART-I』 ムービック。/a……105頁。b……104頁、c……102頁。
  3. 3.0 3.1 3.2 ガンダムエース』 2011年1月号、210-211頁、「カトキハジメ完全監修 新機動戦記ガンダムW “エンドレス ワルツ” リプレイ 短期集中連載 第3回」。
  4. 劇中世界には大気圏内飛行用のサブフライトシステムが存在しないため。
  5. レディ・アンの 「モビルドール生産工場の占拠、頼むぞ!」 台詞直前の発砲カットで、その前後では正しい設定でのビームライフル2種&腰構え姿にて描き分けられている混合(ミス)シーンになっている。