しまんと (列車)
「しまんと」は、四国旅客鉄道(JR四国)および土佐くろしお鉄道が、高松駅 - 高知駅・中村駅間を予讃線・土讃線・土佐くろしお鉄道中村線経由で運行している特急列車である。
概要
香川県高松市と高知県を結ぶ列車で、本四備讃線を経由せず、本州に乗り入れていない。
1988年4月10日に瀬戸大橋線が開通したことにより、高松駅 - 高知駅・中村駅間を結んでいた特急「南風」のうち、高松駅発着のまま残された列車が「しまんと」として運転開始した。1989年以降、急行列車の「土佐」「あしずり」を統合している。
列車名は高知県南西部を流れる四万十川が由来となっている。
運行概況
2014年3月15日現在、高松駅 - 高知駅間に下り4本・上り5本、高松駅 - 中村駅間に下り1本の計5往復が運転されている。所要時間は高松駅 - 高知駅間が最短2時間4分(上り)・高松駅 - 中村駅間が4時間(下り)である。
JR四国は、土讃線の特急列車を岡山駅発着の「南風」にシフトさせているため、宇多津駅・多度津駅 - 高知駅間で「南風」と併結する列車が3往復設定されている。併結時の原則として、編成の岡山・高松側に「しまんと」、高知側に「南風」が連結される。このため、高知方面行きでは「南風」が先に宇多津駅に入り、「しまんと」が駅手前で信号待ちを行う。また、併結相手の「南風」が中村発着でも、「しまんと」は高知発着になっている。なお、ゴールデンウィーク、盆、年末年始には全編成を「南風」とし、宇多津駅か多度津駅で高松発着の臨時「しまんと」に接続する形態の場合もある。
停車駅
高松駅 - 坂出駅 - (宇多津駅) - 丸亀駅 - 多度津駅 - 善通寺駅 - 琴平駅 - 阿波池田駅 - 大歩危駅 - (大杉駅) - 土佐山田駅 - 後免駅 - 高知駅 - 旭駅 - 朝倉駅 - 伊野駅 - 佐川駅 - 須崎駅 - 土佐久礼駅 - 窪川駅 - 土佐佐賀駅 - 土佐上川口駅 - 土佐入野駅 - 中村駅
- ( )は一部列車のみ停車。
- 宇多津駅は下り1・5号、上り2・10号が通過。
- 大杉駅は7号が通過。
- 高知駅→中村駅間は1号のみ運転。
使用車両・編成
しまんと | ||||||||||
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高松運転所・高知運転所に所属する2000系気動車が使用されている。基本的には量産車での運転となるが、1・10号以外はN2000系が混結される場合がある。
基本編成は2両のモノクラスで、グリーン車が連結されるのは単独運転を行う1往復(1・10号)のみである。ただし、多客期には高知発着の列車にもグリーン車が連結されることがある。
1998年の多客期に「南風」と「しまんと」の併結列車が、全編成「南風」で岡山駅へ直通した時に、多度津駅 - 高松駅間に代走列車として平行ダイヤを組む「しまんと」が運行されたが、この代走列車の一部には8000系電車(S編成)が使用された。
1993年3月まではキハ181系気動車・キハ185系気動車も使用されていた。
- N2000 2458.jpg
N2000系(先行試作車)
- JR shikoku kiha181 shimanto 1992.jpg
キハ181系(1992年)
- JR shikoku kiha185 blue shimanto 1989.jpg
キハ185系(1989年)
競合交通機関
高速バス路線「黒潮エクスプレス」の開業後は、高松駅 - 高知駅間では、市の中心地を直結し所要時間の点でも優位(高松の「県庁通り」から高知の「はりまや橋」まで、時刻表ベースで1時間55分)なバスの攻勢を受けている。このため、高松発は9時台から19時台までの間に16時台の1本、高知発は8時台から17時台までの間に15時台の1本のみと日中の設定が極端に少ない。この間、日中の1往復以外に鉄道で高松駅 - 高知駅間を移動するためには、高松駅 - 丸亀駅(または宇多津駅)で快速サンポート(時間帯によっては普通列車)を利用し岡山発着の「南風」と乗り継ぐことが必要となる。2008年3月15日より、これらの連絡列車については「(サンポート)南風リレー号」の愛称がつけられている。なお、「南風リレー」の愛称は「サンポート」登場以前にも使用されたことがある。
歴史
- 1988年(昭和63年)4月10日:瀬戸大橋線開通により、従来高松駅 - 高知駅・中村駅間を結んでいた特急「南風」が岡山発着となり、高松発着列車をエル特急「しまんと」と改称。当初は3往復。
- 1989年(平成元年)
- 1990年(平成2年)11月21日:「土佐」1往復の格上げを含めて計2往復を増発され、6往復になる。
- 1991年(平成3年)11月21日:1往復増発して、7往復になる。
- 1993年(平成5年)3月18日:使用車両が2000系に統一。
- 1997年(平成9年)
- 10月1日:土佐くろしお鉄道宿毛線開業により一部列車が宿毛駅発着になる。
- 11月29日:2往復増発され、9往復になる。
- 1998年(平成10年)3月14日:多度津駅 - 高知駅間で「南風」と併結する列車が2往復設定される。
- 1999年(平成11年)3月13日:多度津駅 - 高知駅間で「南風」と併結していた2往復が「南風」単独になり、1往復減便されて6往復になる。
- 2001年(平成13年)3月3日:多度津駅 - 高知駅間で「南風」と併結となる列車が下り3本、上り2本設定される。上り1本減便となり、下り6本と上り5本になる。
- 2002年(平成14年)3月23日:「南風」との増解結駅を宇多津駅に変更する。
- 2003年(平成15年)10月1日:宇多津駅 - 高知駅間で「南風」と併結となる列車が上り2本増え、下り3本と上り4本になる。下り1本減便となり、5往復になる。
- 2005年(平成17年)
- 3月2日:土佐くろしお鉄道宿毛駅衝突事故により宿毛駅 - 中村駅間が運休になる。
- 6月13日:東宿毛駅 - 中村駅間で運行を再開(東宿毛駅は臨時停車扱い)。
- 11月1日:宿毛駅 - 東宿毛駅間で運行を再開(東宿毛駅の臨時停車扱いを終了)。
- 2007年(平成19年)3月18日:下り1本が中村駅までの運行となる。
- 2008年(平成20年)3月15日:喫煙ルームをのぞき全席禁煙になる。
- 2011年(平成23年)3月12日:ダイヤ改正により次のように変更[1]。
- エル特急の呼称を廃止。
- 喫煙ルームが廃止される。
- 上り列車1本の運行時間帯を変更し、「南風」と併結する列車が3往復になる。
- 2012年(平成24年)3月17日:ダイヤ改正により次のように変更[2]。
- 上り列車1本の運行時間帯を変更。
- 中村駅・宿毛駅発着列車をそれぞれ「あしずり」と系統分離。これによって「しまんと」は全列車が高知駅発着に統一される。
- 2013年(平成25年)3月16日:「南風25号」と「しまんと9号」の併結作業を宇多津駅から多度津駅に変更[3]。
- 2014年(平成26年)3月15日:「しまんと1号」と「あしずり3号」が統合され、「しまんと」の中村駅乗り入れが復活する[4]。
参考文献
- 寺本光照『国鉄・JR列車名大事典』中央書院 2001年 ISBN 4-88732-093-0
脚注
外部リンク
- 車両情報<2000系特急気動車> - JR四国 - 四国旅客鉄道
- 土佐くろしお鉄道|特急車両2000系 - 土佐くろしお鉄道
- ↑ 平成23年3月ダイヤ改正について - 四国旅客鉄道プレスリリース 2010年12月17日
- ↑ 平成24年3月ダイヤ改正について - 四国旅客鉄道プレスリリース 2011年12月16日
- ↑ 平成25年3月ダイヤ改正について - 四国旅客鉄道プレスリリース 2012年12月21日
- ↑ 平成26年3月ダイヤ改正について - 四国旅客鉄道プレスリリース 2013年12月20日