あいつがトラブル
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テンプレート:基礎情報 テレビ番組 テンプレート:Sidebar with collapsible lists 『あいつがトラブル』は、キティ・フィルムが製作した日本の刑事ドラマ。
1989年12月2日から1990年3月24日まで、フジテレビ系で土曜日夜8時から1時間枠で放映。全15回。
概要
前番組『オレたちひょうきん族』が終了した後、1ヶ月の特番編成を経て、バラエティとは違う『若者ウケするおしゃれなもの』という線から、フジテレビがながらく手がけていなかった「フィルム」によるアクションドラマが企画された。この枠でのドラマは1981年の『小さな追跡者』以来8年ぶりとなる。
『スケバン刑事』を知らないショーケンと『太陽にほえろ!』を知らないナンノのコンビ(スタート前の特番での二人のコメントより)の妙や「失踪人課」などの斬新な設定の本作のウリであった。
登場人物
- 港街署失踪人課長・沖田 淳一 - 萩原健一
- 元警視庁新宿署捜査一課のはみだし刑事(警視庁時代の階級不明)。新宿署での相棒を殺した犯人を追って単身港街署管内に来る。美咲らを巻き込んで事件は解決したが新宿署に見放されたために依願退職に。ところが退職挨拶のため訪れた港街署で待っていたのは警部としての神奈川県警への採用と新設された失踪人課の課長の辞令という水原の粋な計らいだった。
- 管理体質の下で動くのが苦手で、その性格から自身は課長と呼ばれる事を拒み、美咲らには「代表」と呼ばせている。
- 心臓が悪いらしいが、その雰囲気は微塵もないほど派手で無茶苦茶な行動が目立つ。
- 性格は一言で言えば大人げなく、捜査方法も強引でデタラメだが無理矢理帳尻を合わせてしまう。そのため失踪人課の担当業務が行方不明者の捜索であるにも関わらず、時には関係ない事件まで私情で動くこともあり、それが刑事課や他の所轄の上前をはねてしまうことも多数。
- 拳銃はコルト・ガバメントと4インチリボルバー(メーカー・型式不明。時々ガバメントをもう1丁使用)を両手に持つが、射撃の腕は最悪で相手に向けてとにかくデタラメに乱射するので、部下からも恐れられている。
- 沖田のキャラクターイメージは萩原が『太陽にほえろ!』で演じた早見淳がもし死なずに年齢を重ねていたら、というもの。 そのためか、がむしゃらに走るといったシーンも多かった。新宿署時代から乗っていたセドリックワゴンを引き続き捜査に使用。
- 失踪人課員・美咲 令子 - 南野陽子
- 階級不明・元少年課。射撃ではオリンピック選考の機会もあったほどの腕前だったが、生かせずにくすぶっていたところを沖田の追っていた事件に出くわし、それがきっかけで失踪人課へ。運転は危なっかしかったり、走るのは苦手だったりと、射撃以外の事はまるで駄目で沖田が来るまでは港街署のトラブルメーカーとして恐れられた。手錠のロックをヘアピンで開けてしまう特技を持つ。紅一点という事で女性であることを武器にする面もある。沖田の暴走に手を焼きながらも結局はついていくバイタリティさを持つ。使用拳銃はS&W M39デベルカスタムのシルバーモデル。左利きの為、右脇に吊ったショルダーホルスターに拳銃を収める(南野が左利きである事を知らなかった小道具担当が、慌てて皮革職人に特注したという逸話がある)。
- 失踪人課員・城野 剛 - 織田裕二
- 階級不明・元刑事課。初めはブルーバードに乗っていたが、後に36年ローンを組んで買った日産・フェアレディZ(Z32)に乗る(Zになってからはカーアクションが激減した)。かなりの熱血漢にして世話焼き体質で、毎回美咲が起したトラブルの後始末をする事に。他は平凡で目立った所は無いが、ドライビングテクニックはかなりの腕である。使用拳銃はコルト・ローマンMK3クラシックの2インチモデル。
- 失踪人課員・虎田 猛 - 宍戸開
- 巡査・元警邏課の制服警官。性格は自己保身型。美咲同様にかなりのトラブルメーカーで、後半は美咲にいいように使われてしまう。城野とコンビを組む機会が多い。どんな状況でもすぐ小便に行きたがる癖がある。恵まれた体躯を生かした格闘戦は一応得意分野だが、それ以外は…。 使用拳銃はコルト・ニューローマンの2インチモデル(パックマイヤーのオーバーサイズラバーグリップを装着)猿渡が入るまではイジられキャラでもあった。メンバーからは、「トラ」「虎ちゃん」などで呼ばれる。
- 失踪人課員・猿渡 哲 - うじきつよし
- 元交通機動隊白バイ乗員。vol.9からの出演。沖田はじめ全員が言わば左遷的な位置づけで集められていた失踪人課に、沖田への憧れから自ら望んで異動してきた唯一のメンバー。メンバーの中では沖田に次ぐ頭脳派(といっても悪知恵専門)。「最高だぜ。」が口癖。配属当初は、はみ出し者の集まりである失踪人課の面々ですらつま弾きにするような処遇であったが、後に打ち解けていった。 使用拳銃はコルト・ローマンの4インチモデル。愛称(?)は「サル」。
- 港街署刑事課長・金子 徹男 - 伊武雅刀
- ノンキャリアの神奈川県警部ではなく警察庁採用のキャリアであり(後述。警部または警視とみられるが作中で階級は明示されていない)、かつて新宿署勤務の経験があり、沖田とはその頃からの腐れ縁で犬猿の仲。沖田からは「タコ!」と罵倒される。休日にはゴルフコンペに行くなどサラリーマン的な一面がある。独善的な言動から多くの署員に疎まれ、署長の水原も敬遠ぎみである。また、金子は当時の刑事ドラマとしては画期的な「キャリア」警察官であり(水原署長の台詞より)、この官僚組織に着目した発想が後の『踊る大捜査線』に引き継がれるものと思われる。
- 港街署長・水原 万吉 - 橋爪功
- 警視正。彼もまた新宿署勤務時代があり沖田とは旧知の間柄。課長になれば少しは変わるだろうと沖田の神奈川県警採用とその受け皿、及び美咲たち問題署員の隔離先としての失踪人課設置を取り計らった(地方採用のノンキャリア警察官が都道府県を越えて移れる事はあり得ないのであちこちに奔走したと思われる、ちなみに失踪人課の部屋は刑事課の資料部屋を拝借したもの)。
- 唐木 隆三 - 寺田農
- vol.3からの出演。元竜神会のヤクザで沖田の悪友。情報屋的な立場でもある。横浜でバーを経営している。
- 港街署刑事課刑事・新田 邦彦 - 藤タカシ
- 城野のライバル。
- その他港街署刑事課刑事 (北山 - 野口貴史、西村 - 小池雄介、東条 - 松村冬風、南武 - 町田真一)
スタッフ
- 企画:伊地智啓、酒井彰、前田和也
- プロデューサー:山本勉、大賀文子、小牧次郎
- 音楽:矢萩渉、森英治
- 音楽監督:鈴木清司
- 選曲:金成謙二
- 音響効果:原尚(原田サウンド)、大野義彦(大泉音映)、宮田塙(宮田音響)
- TATE:國井正廣
- カースタント:カースタントTAKA
- ガンアドバイザー:BIGSHOT
- 現像・テレシネ:東映化学(ファイン・ネガ・ビデオシステム)
- 制作協力:東映東京撮影所
- 製作:フジテレビ、キティ・フィルム
主題歌
放映リスト
エピソード
- 南野がデビュー以来の長髪をこのドラマの役のためにバッサリ切り、耳を出すほどのマニッシュなショートカットにした。しかし、本人は歌番組や自身のラジオ番組で後悔の念を吐露していた。結局、本作品の途中に伸ばしはじめてパーマでウェーブを掛けたショートボブに変更した。
- 織田は年明けからTBSで放映されたドラマ「卒業」と掛け持ち出演。そのため、終盤は出演場面が少なくなってしまった。
- 萩原は眼鏡をかけた管理職としての刑事という、それまで刑事ドラマではあまり見られなかった役柄を演じた。この番組の路線が後の「踊る大捜査線」(企画段階では「サラリーマン刑事」という名だったらしい)につながっていると、織田が語っている。ただし、眼鏡は中盤以降ほとんど着用せず、萩原特有の鋭い眼光を放つ場面が増えた。
- 宍戸錠の子・開にとっては本格的テレビドラマデビュー作となった。
- ゲスト(犯人)キャラとして、まだ有名になる前の内藤剛志、今井雅之、宇梶剛士、豊川悦司、萩原聖人、渡部篤郎、椎名桔平などが出演。また、最終話のラストカットのみ倍賞美津子が特別出演している。