スケバン刑事
テンプレート:Infobox animanga/Header テンプレート:Infobox animanga/Manga テンプレート:Infobox animanga/Manga テンプレート:Infobox animanga/OVA テンプレート:Infobox animanga/Footer テンプレート:Sidebar with collapsible lists 『スケバン刑事』(スケバンデカ)は、和田慎二の漫画作品。1985年に実写ドラマ化、TVシリーズが3作作られたほか、OVAとしてアニメ化もされた。
目次
概要
1975年12月〜1982年11月まで白泉社『花とゆめ』に連載。作者は編集者から「婦警さんの話を描いてみませんか?」と言われたのが発端だったと巻末でコメントしている。編集者は刑事モノ、作者は学園モノを描きたいと思っており、一度は悪の道に入ったヒロインが学校に巣喰う悪徳教師等を倒す何かをと思いつつ特にスケバンを意識した訳ではなかったが、刑事モノを描いて欲しい編集者がスケバンと決めつけ『スケバン刑事』というタイトルが決定した。
一旦、サキと麗巳との対決で幕を下ろすが、作者が「その次の連載『ピグマリオ』が不人気だった時、第2部という形で連載再開します」と編集部と約束、実際にピグマリオが受けずに1年足らずでこけた[1]ため、1979年から第2部連載再開の運びとなった。実は、『スケバン刑事』第1部終了の時点で"和田作品は完結しない"というジンクスが存在し、作者自身はそれを破り完結できたとホッと胸を撫で下ろしたのもつかの間、ジンクスが健在であることが『ピグマリオ』の頓挫で思い知った。
第6巻の巻末に美内すずえとのコラボレーションで『ガラスの仮面編』が収録されている。
現在も根強い人気があり、単行本は花とゆめCOMICSで全22巻、累計で2000万部を超えている。その後、愛蔵版、文庫版が発売され、現在はメディアファクトリーのMFコミックスから全12巻の完全版が発刊されている。
ストーリー
心に傷を持つ札付きのスケバンである麻宮サキ(あさみや さき)を警視庁の暗闇警視が、サキの実父を殺し死刑判決を受けた母の執行停止を条件に学生刑事にスカウトした。かくしてサキは学生刑事(通称「スケバン刑事(デカ)」)として私立探偵の神恭一郎(じん きょういちろう)達と共に学園・学校という警察の入り込みにくい組織に次々と起こる事件に挑む。
2部構成になっており、第1部の最初は学園の中で起きる犯罪事件を内部に入り込んで捜査するという学園探偵ものであったが、次第に話のスケールが大きくなり、母校・鷹の羽高校に戻って最初の事件で出会った最大の敵でありまた最大の『友』でもある海槌麗巳との戦いまでを描き、第2部では新しい学生刑事との対決と和解、脱出不能な要塞の如き少年院の脱出劇や番長連合の抗争・共闘を経て、学生による自治政治を目指す『青狼会』と、青狼会は元より日本の政治を影で操る『信楽老(しがらきろう)』との対決を描いている。
作中の時間経過はかなり曖昧である。「誕生編」で三億円事件の時効が成立したのは1975年(昭和50年)12月10日であり、その後、鷹ノ羽高校に戻ったサキが"一年前にこの高校で番を張っていたサキが…"と言われていることから、サキが最低でも2年生であることがわかる。更には、神の生年月日と「闇の虎」篇で12年前の17歳当時を回想したことで29歳という神の年齢が判明し、その後、グラン=ドスラム作戦が実行されたのはミンキーキャッツのコンサートと高校野球の決勝が同日開催された8月20日の真夏で、信楽老との最終決戦は1978年(昭和53年)の9月であるため、スカウトされてから2年9ヶ月が経過していたことがわかる。また沼から補習を受けたりと普通の学生をしている期間もあったため、留年等で本来の在学年数を超過ししていた。が、サキの母親に対するトラウマの原因となった事件とその後の経過、美幸が養子に出された時期など、細部の時系列が不明瞭な部分も多い。
物語は、地獄城にいたサキが学生刑事にスカウトされた1975年(昭和50年)12月某日〜1978年(昭和53年)9月某日[2]のサキ(満20歳)&神(満29歳)の死、翌1979年(昭和54年)3月某日にサキが霊だと誰も気づかぬまま滞りなく終了した"サキのためだけの卒業式"を以て完結した。
第1部
- 誕生編(3話すべてに多色・2色カラーページが用意されている。野分三平登場)
- 3匹の蛇~3匹の蛇 逆襲編(最大のライバル海槌麗巳との初めての邂逅)
- 緑の消失点
- 無法の街
- 朝焼けの非常線(サキの妹・美幸登場)
- ふたたび地獄城
- 愛のかたち
- 悪魔のめざめる時(三平が麗巳によって殺害される)
- 毒蛇逆襲編(美幸の死、そして麗巳との最終決戦)
- エピローグ
第2部
- 炎の記憶編(ゴルド小松崎とジミー、後に沼夫人となるMissワタナベが登場)
- 紅椿奪回編(新たな4人の学生刑事の一人・美鈴登場)
- 明日への絆編(紆余曲折を経て美鈴が仲間に)
- 魔女狩り~シンデレラの逆襲
- 荊の檻~炎の爪あと(麗巳との最終決戦での記憶が元でサキがピンチに陥る)
- 間奏曲~梁山泊(ムウ=ミサ、ツグミこと小塚佐智子登場。サキの中央連合総番長就任の引金となる)
- 神恭一郎の帰還
- 新たなる戦い(信楽老、鳴海碧子登場)
- セーラ・クルー号襲撃(神の過去の因縁の一部が露見)
- 青き狼の群(青狼会の会長・埴輪一彦登場)
- 謎のグランド=スラム作戦(ツグミの愛と死、一彦とのお互いに相手の想いに気づかなかったことの悲劇)
- 黙示録(学生刑事機構が碧子によって露見)
- 闇の虎(神の高校時代からの地獄のような生い立ちが明かされる。以前に外伝として発表された「神恭一郎白書」での経歴とはかなり異なる部分がある)
- 黄金竜の眠る日(グランド=スラム作戦の全容とそれを阻止する為の戦い。ここで碧子が信楽老の掌の上で踊らされていた事を知る)
- 紅の血 紅の花(信楽老との最終決戦)
- 卒業
登場人物
主要人物
- 沼重三(ぬま じゅうぞう)[3]
- 声 – 大塚明夫(OVA)
- 鷹ノ羽高等学校の教師で生活指導担当。元保護司。いわゆる熱血教師タイプの人物で、非常な硬骨漢でもある。担当は社会地理だが、何故か幕末の歴史等を授業中に語る姿が見られる。戦災孤児で、現在の甘ったれた学生達に腹を立て、根性を叩き直そうとつい暴走してしまったのが過去の保護司時代の真相である。
- 物語当初はサキを目の敵にしてつらく当たったでは済まされないくらい、どちらが善か悪かが判別不能なほどに非道な言動が目立った。海槌3姉妹との死闘の序章である大量虐殺事件では、サキが犯人だからこそ彼女一人が生き残ったと難癖をつけ警察に引き渡した。しかし、巨悪と戦うサキの姿を目の当たりにして考えを改め、彼女に協力するようになる。物語終盤では作品当初より生き残った数少ない人物として、学園よりサキを温かく送り出している。顔の左半分の薬物による火傷と苛烈な言動で嫌われるだけに見えるが、第1部終盤で麗巳の差し金で暴漢の銃撃を受けるもごく普通の男子生徒らが飛びかかって助けられ、第2部冒頭でサキ生存の可能性がニューヨークの神から知らされた影で生徒達を汗だくでノートを取る破目に陥らせながらも大勢の生徒に見送られて機上の人になったり、青狼会の差し金で高ノ羽放逐の謀略に陥れられかけるも1000人強からなる全校生徒の5分の3以上による嘆願書が寄せられる等の強固な人望がある。追放に反対した生徒の中にはPTA会長の息子や理事長の縁者までいたため、青狼会の手先に煽られ沼を追放しようとした教師陣やPTAも為す術がなかった。
- 過去に保護司だった時代、『大逃亡』で江木真里亜を追い続けたが、地震で生じた道路の亀裂に呑み込まれかけた際、救われるのと引き換えに真里亜は爆発したドラム缶の破片で致命傷を負って数日後に絶命したと知りショックを受けた。それを機に少年少女を信じてみる気になるも再び不信に陥り、サキに接する内に再度信じる気持ちが甦る。学生達はお互いさえ実態を知らないことが増えているため、沼自身も担当するクラスさえ全員が何を考えているかわからないが、2〜3人かせめて5人くらいなら"良い教師"になれる自信があると「無法の街」でサキの回想の中で語ったことが明かされた。
- 『超少女明日香 学校編』で、妻の由梨(旧姓「渡辺」)とムウ=ミサも共演した。嘗て、村が沈められ荒んでいた頃の明日香を拾い、中学生の教養と家事を伝授した。
- 野分三平(のわき さんぺい)
- 声 - 竹村拓(OVA)
- 鷹ノ羽学園の男子生徒で家は会社経営。学園に復帰したサキにある事件がきっかけで惚れ込み、つき合ってくれるよう懇願するが「長髪の男は嫌いだ」と一蹴され、決意して丸坊主になる。このことでサキも三平のことを親しく思うようになり、以後、助手として行動を共にするようになる。釣竿をツールとして使うが目的はスカートめくりであり「釣りキチ三平」と揶揄されるなど、一見軟派で軽いように見受けられるが芯は非常に強い。サキの過去や言動を傍で見るうちに彼女を真剣に愛するようになるが、拒まれ一時は自暴自棄になる。
- 美幸に心から愛されたことを知るだけではサキの妹としか認識できず、サキを愛することで見向きもされない我が身を嘆いた美幸が祖父に頼んで強引に婚約を決めて貰ったのは、自身もまたサキに対する想いを知って貰うだけの存在に貶めたのだと悔い改める。サキに拒まれ傷心しつつ美幸に待って欲しいと懇願し、彼女を愛せるかもしれないと全身に力が湧き上がるのを実感した。
- 小座倉老と野分の新社長として戦う日々に美幸の存在が心の中で重みを増し、彼女を一人の女性として愛しく想うようになる。その決着がついた時、真に愛し合う自分達の心を認識し、正式に婚約した。幸福な家庭を築く決意を固めるが、結婚式の夜に、変装した麗巳がウェディングドレスの試着ですり替わり美幸になりすましている事に気づかず、射殺されてしまう。
- 暗闇警視(くらやみけいし)[4]
- 声 – 玄田哲章(イメージアルバム)、内海賢二(OVA)
- 警視庁の実力者で「裏の警視総監」とも称される。その筋の人間からはこの名で恐れられ、常に掛けている黒いサングラスからサキには単純に「黒メガネ」と呼ばれていた。この「暗闇」がまことしやかに名字だと誤解されていたが、それすら渾名でしかなく「倉見」という本姓が後に明らかになるも名前は不明(原作者の和田が2011年に没したためフルネーム設定は永遠に不明となった)。
- 警察権力が及びにくい学生社会での警察活動のため学生刑事制度を創設、その責任者となった。当初は学生刑事になることを拒むサキに、反発を予期して拒否できない条件「母ナツの死刑を減刑する」という脅迫じみた司法取引を持ちかけ、強引に学生刑事に仕立て上げるなど冷酷で策謀的な人物であったが、物語が進むにつれ、学生刑事たちの良き理解者、保護者である面も見せている。なお、警察組織における正確な階級は不明(“暗闇警視”自体が渾名に過ぎない)だが、地方の警察署長が逮捕されたサキのヨーヨーに飾られている桜の代紋を見ただけでサキを無条件に釈放、事情を尋ねる部下に「極秘事項」とし、恐れながら「あのお方」と言わしめている事から、最低でも警視長クラスと見られる。
- 第1部のサキが死んだと思われた際、後任の話をして神に反対されたが、学生刑事の必要性と生きていてもサキとて学生でいられる時間は限られており、いずれにせよ彼女の後任は確保せねばならないと説いた。また学校内という閉鎖社会であろうとも事件の早期解決と平安を願う、正義と弱者を労わる心を滲ませていた。
- 麻宮ナツ(あさみや なつ)
- サキと美幸の実母で、美幸だけを可愛がり何故かサキには辛く当る。養子に出した美幸のことで夫と喧嘩となり、サキの眼前で夫殺害の凶行に及んで逮捕される。東京から急行列車で6時間足らずのT市の刑務所に服役していた。その彼女の命を救うためサキは学生刑事となったが、刑事になった後でも美幸だけを可愛がる愚劣さは変わらなかった。麗巳の策謀により自身が美幸を殺す結果になるが、それでもサキの方が死ねば良かったと舌をかんで自殺を図った。第2部で命を取り留めた後でもサキを苦しませて殺そうと信楽老の手下になり、碧子にヨーヨーの技を伝授する。
- しかし、サキへの愛情が全くなかった訳ではなかったらしく、グランドスラム作戦の時はサキにヨーヨーを渡して助けた。梁山泊での最終決戦では、自身の愛情を欲して盲目的に従順だった子供のままの精神状態と"PTSD(心的外傷後ストレス障害:Posttraumatic stress disorder)"の所為で相対すれば赤児のように何も出来なかったサキが、心臓にショックを与えて麻痺させることで攻撃をとどめたとはいえ立ち向かってきたこととそれでも自身を母として愛し謝意をのべたことにショックを受ける。信楽老に殺されかけたサキを庇い、咄嗟に体が動いたとはいえ思いもよらない自身の行動に驚愕する。石ころのように見下してきたことを悔い改め、最後の最後に否定し続けたサキに対する愛情の存在を自覚して"サキ、あたしの娘"と微笑み息絶えた。
- 自身が死刑囚から無期懲役になり大人しくしていれば出所することも夢ではなかったが、見下し蔑んでいたサキが学生刑事として命を賭けて戦い続けたお陰だと知らずに逝った。麗巳に騙されたといえサキを躊躇なく殺そうとしたことに激昂した神が暴露しようとしたが、それでも母を慕うサキにやめてと懇願され言わずに彼女を病院に運んだため、梁山泊でそんなサキを庇って絶命し遂に裏の事情を知ることはなかった。
- 海槌麗巳(みづち れみ)
- 声 - 高島雅羅(イメージアルバム)、勝生真沙子(OVA)
- 麻宮サキの最大のライバルであり『友』。鷹ノ羽学園を牛耳る海槌3姉妹の長女であり、普段は温厚で下級生(主に女生徒)から慕われる優等生然とした物腰を見せているが、しかし、その本性は冷酷極まりなく悪を絶対のものとして信奉している。当初は父、剛三の指示によって鷹ノ羽学園の支配を促進するように動き、学園内での反対勢力粛清のため「G(ジェノサイド)計画」を企図、実行した。しかしその後は自ら一連の事件の黒幕となって行動。妹達や剛三さえも手駒として利用したあげく、用済みとなった時点で容赦なく抹殺した。
- 一旦、サキに逮捕され地獄城に送られるが、そこでも隠然たる権力を行使して君臨、地獄城脱走後はサキの妹、美幸の顔に整形し三平を殺害するなどしてサキを追い込むが、貨物船エノラゲイ号の船上決戦にて死闘にのめり込み、足取りを消すために船倉に積まれた爆薬にサキが決着をつけるべくぶつけたモーターボートの爆散で引火した爆発で吹き飛ばされて死亡し、その五体はバラバラになって海に四散するという非業の死を遂げた。サキが生きていたことで沼の脳裏に黒い不安を呼び、麗巳も生きているかもしれない可能性が浮上したものの"恨みのこもった形相の麗巳の生首が彼方の海に飛ばされた"[5]とのサキの証言で確かに麗巳は死んだことが語られた。サキを苦しめ血反吐を吐かせた挙げ句に殺すつもりだったが、自身の張り巡らせた罠を切り抜けて欲しいと願っていた自身の素直な心にショックを受け、凄まじい葛藤に苦しみ抜いた。
- なお同性愛者であったようで、取り巻きの中心が女生徒、サキを罠にはめるため美幸に変装し一時同居した際にサキに対して愛着を覚える、親友である鳴海碧子から同性愛的な愛着を受ける、といったエピソードがある。妹・亜悠巳から「レズ」と言われた事も。
- 藤野(ふじの)
- 藤野病院の院長。全編を通して何かとサキが世話になっており、本作終了後は『怪盗アマリリス』に登場した。
- ムウ=ミサ
- トレードマークは額の三日月傷。その正体は、内閣調査室の特務員。3年をかけて信楽老の悪事を暴くべく潜入しているが、サキに出会って"運命"だと夢想した挙げ句、神を抹殺し彼女を手に入れようとした。しかし、2人の絆を断ちサキを我が物にしようとするも彼らの絆の前に敗北した。愛を捨て復讐に走るかのような神の行動によりサキが傷ついていたこともあり、彼女を支えて頼もしいパートナーになるその一方で、ライバルの抹殺により愛する女が手に入ると錯覚した身勝手さも顕著だった。TV局に乗り込むサキと別れる間際、自身の過ちと最初から薄々は見えていた敗北を漸く受け入れることが出来た。信楽老の私兵捕縛と自身の救出にやって来た攻撃隊と共に、脱出するも絶命したサキを弔った。サキと神の死後、内閣調査室を辞し神の探偵事務所を引き継いだ。
- 後に『深海魚は眠らない』で犯人の相沢江梨子と愛し合うも彼女が復讐劇の犯人であることと心臓を蝕む別名"クロイドの壺"と呼ばれる「進行性心膜不全症」による死で悲恋に終わった。また『怪盗アマリリス』の「番外編・アルカディア作戦」にも登場した際、或る事件で知り合った12歳の少女と同居しており、難病を患う彼女の手術費用を得るべくアルカディア作戦に快く参加した。
神私立探偵事務所
- 海堂美尾(かいどう みお)
- 神恭一郎私立探偵事務所の秘書。恭一郎の友人である西園寺京吾が謀殺した海洋学者の娘で、復讐のために秘書として潜入し水面下で火花を散らし合うが、次第に愛し合うようになり、致命的な証拠を警察に提供して会社の息の根を止めた矢先、潜水艇の事故で京吾を失う。その後、彼の遺言で受け継いだ財産目当ての男達に囲まれ不快な日々を過ごしていたが、最後に食事をした際に"その後"のことを頼まれた神にスカウトされる。『バラの追跡』で京吾との愛と戦いを経て潜入捜査や武器の訓練なども理解しており、事務手続きから非合法に近い捜査まで仕事上の良きパートナーとして恭一郎を厚く助けた。
- 第2部で、学生刑事機構のリークに関わった鳴海碧子の調査のために鳴海家のお手伝いさんとして潜入していたが、報告のための電話を盗聴されていることに気づかず、碧子の手にかかり死亡する。
- スガちゃん
- 本名・谷村スガ。14歳。同じく神恭一郎私立探偵事務所の秘書。ある事件で神に惚れ込み住み着く。神の長髪のブラッシングは彼女が担当。神とサキの死後、事務所を離れ『怪盗アマリリス』で椎崎家のお手伝い兼サポーターとして活躍し、映画撮影の件で数年ぶりに岩田慎二と再会した。
新学生刑事
- 吉村美鈴(よしむら みすず)
- 黒メガネ(暗闇警視)が新たに選抜・任命した4名の学生刑事のNo.2。紅椿奪回編で衝突するが、事件を解決するのは勿論関係者を守り救うことしか頭にないサキに惹かれて最初に友人となる。信楽老との最終決戦で、サキと共に梁山泊に乗り込んだ。
- ツグミ
- 本名は「小塚左智子(こづか さちこ)」。新学生刑事のNo.3。変装の名人で素顔は可憐な美少女だが、普段は三白眼と出っ歯の不細工を装っており、仲間と認めた者のの前だけしか素顔を見せない。梁山泊(第七高等少年院)での多聞寺忍救出でサキを認め、No.4の聖子と共にサキと友好を結ぶ。実は、伊賀上野の出身で青狼会の会長である埴輪一彦とはお互いに片想いだと思い込んでいたが、相手の想いに気づかないだけの相思相愛だった。
- 風舞聖子(かざまい せいこ)
- 新学生刑事のNo.3。T大教育学部の2年で、特に事件で衝突することなく美鈴やツグミの影響もあり彼女達に誘われる形でサキと友人になる。
- No.1
- 新学生刑事の中で唯一の男性。4人の中で一番サキに対する敵愾心と憎悪が強く、遂に和解することはなかった。潜入先の信楽老の下が居心地良かったため、警察も正義も捨て悪に魂を売ってしまう。信楽老を糾弾すべくTV局に乗り込んで来たサキに盾にされるが、信楽老の命令で射殺された。
- シルエットだけだった他の学生刑事との会話のシーンでは、姫カットのロン毛で詰襟の学ランを纏っており、サキと最初で最後の邂逅ではショートヘアだった。
第1部
- アグラ
- 本名は「綾倉五子(あやくら いつこ)」。南九州番長連合の総長。サキとは地獄城(第二高等少年院)からの友人で、第1部の「緑の消失点」で再会し、麗巳との最終決戦にも登場した。第2部では第七高等少年院『梁山泊』で再会。その後南九州番町連合の総長として中央連合と同盟を結ぶ。グランド=スラム作戦阻止の直前で1度は学生刑事という正体に激昂して事情を知ろうともせず仲間と共にサキをリンチに遭わせるが、時間が経つにつれサキが何者であれ命を賭けて自分達を救ってくれたことに違いはないと気づき、作戦阻止に協力する。
- チイ
- 本名は「美汐千江(みしお ちえ)」。女子房全員で希望を求めてサキの脱走に協力した後、出所して「緑の消失点」でアグラと共にサキと再会した。蝶を仲間と共に追いかけ回す日々で新種の蝶を発見し、学名に自身の名が付けられたことで自信を深めてゆく。
- 伊藤鈴華(いとう すずか)
- 私立姫ヶ窪の高等部3年。通称「リボンの君」。
- サキが母の死刑取り消しのために請け負った1億円強奪事件の犯人グループの一員。クラス全員で恩師を自殺に追い込んだ悪徳理事長への復讐に駆られて行ったが、自立の準備期間である学生生活を"脛に傷持つ者同士"がお互いに監視し合うのを"友情"にすり替え無駄にしてしまった。社会に出るか進学するかの二社択一でも自分達を庇ってくれる相手を探すつもりの日々に、犯罪に手を染めた報いを受けることになる。
- 唯名純子(ゆいな じゅんこ)
- サキが妹のように可愛がった後輩。画家志望の特待生だったが海槌3姉妹の(特に詠巳の嫉妬による)暗躍によって断念せざるを得なくなる。その海槌3姉妹の陰謀を偶然聞いてしまい、口封じのために亜悠巳の毒蛇によって殺された。
- 海槌亜悠巳(みづち あゆみ)
- 声 - 高乃麗(OVA)
- 海槌三姉妹の次女。男勝りで男子生徒を取り巻きとしている。金銭に執着が強く、自らが企画した賭けバイクレースに参加。不利になると胸元から蛇を放ち、事故を誘発させるなど、掛け金獲得のためには手段を選ばない。稼いだ金は彼女だけが知る秘密部屋の金庫に隠してある。姉妹内では同士として協力しているが、麗巳に対しては底知れなさを感じており信頼はしていない。サキとの決戦で麗巳から受け取ったショットガンでサキを撃とうとするが、このショットガンは麗巳によって爆発するよう細工がほどこされており、その暴発によって死亡した。
- 海槌詠巳(みづち えみ)
- 声 - 島津冴子(OVA)
- 海槌3姉妹の三女。画家志向で名誉欲が強い。一年生を取り巻きとしている。画家としての技術はあるがオリジナリティはなく、亜悠巳からは「あんたにあるのは模倣の才能だけ」と貶し付けられ激昂している。同じ美術部に所属していた唯名純子の才能を妬み、その絵を奪って模倣することで美術展で大賞を取る。しかし一緒に出展した絵が、実は純子の父の作品だったことに気づかず、描かれていた風景の時代考証の矛盾をサキに衝かれて悪事が露見。失意のうちに逮捕連行されようとするところを、剛三もろとも麗巳に用済みとして射殺された。
- 海槌剛三(みづち ごうぞう)
- 声 - 西村知道(OVA)
- 海槌3姉妹の父親で政治家。名門大学と太いパイプがある鷹ノ羽学園を支配することで良家の子女を集め、そこから口利きの謝礼として得られる裏金を得るべく画策する。目的のためには手段を選ばない野心家で、地元の警察署長や新聞の編集長をも買収、手懐けた上で「G計画」を実行した。詠巳の美術展の大賞授賞式で、詠巳と同様にその悪事の数々を秘密裏に捜査していた暗闇警視に逮捕されるが、麗巳に用済みになったとして詠巳ともども射殺された。
- 小座倉美幸(おざくら みゆき)
- サキの実妹。幼い頃に資産家である小座倉家に引き取られるが、成長し、三平の見合い相手として登場する。何不自由なく暮らし養父母や小座倉老に可愛がられ幸福ではあるが、母や姉サキとの貧しくともやはり幸福な日々を宝としているため、2人から引き離されたことを嘆いてもいた。しかも自身の恋焦がれる三平がサキに恋慕し、それゆえに自身の想いを気づいてさえ貰えないことに傷ついており、三平の心を掴んで離さないサキに嫉妬した。しかし、お互いに相手を羨む等の基準が異なることに気づいて和解した。
- 三平と結婚する直前に麗巳の陰謀によって拉致され、更には麗巳の顔に整形され喉も潰されてしまう。しかも、麗巳を美幸の敵として狙った小座倉老を殺したナツの手にかかって絶命するが、今わの際に整形手術によって変装させられたにもかかわらず、サキだけが自分の正体を見破ってくれたことへの感謝の言葉を残した。
- 山崎
- 学生刑事であるサキ専用のヨーヨーを製造した開発部の製作担当者。麗巳の一味に拉致され、銃を突きつけられながら無理矢理に同じヨーヨーを作らされてしまう。その後の消息は不明。
第2部
- ゴルド=小松崎( - こまつざき)
- 本名は「小松崎五郎(こまつざき ごろう)」。妻と娘のナツキを油田事故で失ったため、東京湾での死闘で一命を取り留めながらも記憶を失ったサキに娘の人格を植え付け"ナツキ"として傍に置き慈しんだ。記憶が蘇り日本で再び学生刑事としての戦いの日々に戻ったサキを案じ続け、衛星通信でアグラ達に連絡を取り彼らを纏め上げてサキを援護した。その事実を知ったサキから"ありがとう、父さん"と謝意を告げられたことに嬉し涙を流した。
- 鉄道・貿易会社・プロ野球チーム等々を持ち、様々な会社のオーナーでもある。またベガスでカジノを経営し、紳士録と三面記事の双方に顔を出すモンスターとして有名でサキの生存を信じて彼女を捜しに来た神と沼を驚愕させた。
- Missワタナベ
- 本名は「渡辺由梨(わたなべ ゆり)」。精神科医としてゴルドに仕えていたが、サキの炎の記憶に関連しての危険を悟り、来日してサキの件が解決してからも日本に留まる。鷹ノ羽校に出来の悪い弟の大吾がおり、いつしか愛し合うようになった沼との仲を反対されてしまう。お互いに別離を決意し、弟と共にアメリカに戻るも紆余曲折の末に沼と結婚、最終話で夫婦として登場した[6]。
- 渡辺大吾(わたなべ だいご)
- Missワタナベの弟。自身の出来の悪さを棚の上に放り投げ、姉と沼との仲を引き裂こうと悪態をつく。反対に従い沼と別れて一緒にアメリカに戻るという姉に最初の内は安堵するが、次第に自身の間違いを本能的に悟り後ろめたさが募ってゆく。大吾に対して「日本では良さが発揮できない、大陸的な性格」と評し渡米を勧めた事や、大吾に刃を向けた不良に教師として立ち向かい説得した沼の姿に感銘を受け、最終的には姉と沼との結婚を何とか承知したらしい。
- おケイ
- 第2部の「新たなる戦い」で登場したサキのクラスメイト。やはりツッパリでサキを姉さんと呼ぶ。作中で、何人か登場しているパイロット版『校舎は燃えているか!?』の連続爆破事件の首謀者である「お町」に似たキャラの一人である。
- 信楽老(しがらきろう)
- 死と復活の軌跡を記す妖怪。一応は人間だと思われるが、幕末から老人の姿のまま200年以上を生き続け、写真が見つかっただけでもこれだけの人間離れした年数を生きており、記録に留めない時間を足すとどうなるかは想像できない。数多の作品に黒幕として登場しており、『怪盗アマリリス』の特別編「アルカディア作戦」にも奈々やミサらの敵として対峙した。
用語
- 地獄城
- 正式名称は「第二高等少年院」で、サキが黒メガネ(暗闇警視)と出会った場所。刑期を終了しても難癖つけて引き延ばされ出所できずにいる院生達の悲哀と怨念が渦巻いており、好悪の差を乗り越えてサキの脱走に希望が託される程だった。
- 学生刑事機構
- サキら学生を学生刑事に任命し、閉鎖社会である学校内部の事件を捜査するシステム。
- 梁山泊
- サキが「中央連合」のトップである多聞寺忍を救出すべく潜入した牢獄で、正式名称は「第七高等少年院」。公式に知られている施設と現実にサキが戦った場所とが食い違っており、一年中、雲に覆われた場所ということでジミーの友人が画像をジミーに送りつけたり、また美鈴の田舎の不気味な場所として謎に包まれている。
実写化作品
漫画連載終了後の1985年に斉藤由貴を主演に東映の制作で第1作がテレビドラマ化された。後に南野陽子や浅香唯主演の二作の続編が制作され、映画化もされるなど人気を呼び斉藤、南野、浅香の3人のそれぞれの出世作となっている。亜流作品として『セーラー服反逆同盟』、後継作品として『少女コマンドーIZUMI』、『花のあすか組!』がある。美術として成田亨(ウルトラマン等をデザインした事で知られる)が参加している。
ドラマ版全話収録のDVDも2004年から2005年5月まで発売され、累計13万セットを売上げた。
- シリーズ作品
- テレビシリーズ
- スケバン刑事(1985年)
- スケバン刑事II 少女鉄仮面伝説(1985-1986年)
- スケバン刑事III 少女忍法帖伝奇(1986-1987年)
- 映画
- スケバン刑事 (1987年、テレビシリーズ『II』の後日談的作品)
- スケバン刑事 風間三姉妹の逆襲 (1988年、テレビシリーズ『III』の劇場版)
- スケバン刑事 コードネーム=麻宮サキ(2006年)
OVA
コミックス第1巻から第3巻を原作としてOVA化され、1991年に『誕生篇』『逆襲編』の全2巻で発売された。メイキング『復習編』も発売された。後に発売されたDVDには全て1枚に収録されている。『シティーハンター』のファンだった作者の希望で、伊倉一恵と神谷明が声を担当した。
1994年には日本テレビ系列で「最強アニメ3連戦」と銘打ち、5月3日より3日連続でアニメ作品を放送した際に『シティーハンター』の劇場版アニメ『愛と宿命のマグナム』、『ルパン三世』とともに16:00よりテレビ放送もされた。
- スタッフ
- 主題歌
- 「絆 KIZYNA」
- 作詞 - ひろたたけし / 作曲・編曲 - 高生隆嗣 / 歌 - 謝花義哲
- VHS
- スケバン刑事 -誕生編- (1991年4月21日発売 ポニーキャニオン) PCVX-30073
- スケバン刑事 -逆襲篇- (1991年7月21日発売 ポニーキャニオン) PCVX-30091
- スケバン刑事 -復習篇- (1991年9月25日非売品発行 ポニーキャニオン)
- DVD
- スケバン刑事 (2000年2月18日発売 ポニーキャニオン) JVDD-1003
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2004年6月、「原作第1部のサキと麗巳との出会いが違った形になっていたら」という前提でのパラレルワールドを描いた下記作品を収録し、出版された。
- スケバン刑事 2nd -prelude-
- 白泉社の『メロディ』1998年10月号と1999年5月号に掲載された。麻宮サキが「天宮佑希」、海槌麗巳が「氷室麗華」という名前で登場する。
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- メディアファクトリーの『コミックフラッパー』2003年3月号と同年4月号に掲載された。原作に登場した鳴海碧子と吉村美鈴が、其々麗華の友人と部下として登場する。またサキの担任として沼重三が実名で、そして蘭丸という麗華(麗巳)の側近として新キャラが登場した。
その他
2011年11月7日、京楽産業.からAKB48・SKE48とコラボレーションしたパチンコ機『CRびっくりぱちんこスケバン刑事』が登場した。TV第2シリーズをベースに独自演出を加えた形になっている。
脚注
- ↑ 完全版で作者がそう語った。
- ↑ 最終回の「卒業」で沼が"あれから半年…"と言っている。
- ↑ 『こんなマンガがあったのか! 』で、〈超少女明日香〉シリーズの主人公である砂姫明日香の恩師であることが明かされた。
- ↑ メディアファクトリー刊『こんなマンガがあったのか! 』に載っている「和田慎二キャラクター相関図」での初公開情報で本姓が明かされ、『怪盗アマリリス』の倉見雛子が彼の娘であることが判明した。最終的な階級は総監で『アマリリス』では既に退職していた。『恐怖の復活』にも登場した警部の転兵介は後輩である。『左の眼の悪霊』に彼そっくりの人物が神の叔父として登場したが、連続猟奇殺人事件で両眼を抉られて失明したことから、しっかり目が見える暗闇警視とは別人であることは明白である。
- ↑ コミックス第9巻の、生還した日本の車中での会話でサキが記憶に残る麗巳の最期を語った。
- ↑ 結婚に踏み切る過程と挙式は描かれていない。