ピグマリオ

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テンプレート:Sidebar with collapsible listsピグマリオ』は1978年花とゆめ白泉社)7号から1990年同誌20号に連載された和田慎二ファンタジー漫画、およびそれを原作としたアニメ。ギリシャ神話ピュグマリオン伝説がモチーフになっている。

コミックス全27巻(その後メディアファクトリーMFコミックスから最終完全版全12巻)、全5部構成の長編作品。精霊とルーン国の王との間の子供であるクルトが、母親や村人達を石に変えたメデューサを倒す旅に出る物語。単行本にして27巻(当時)にのぼる大長編ファンタジーである。

連載の経緯

スケバン刑事』第1部が完結する際に編集者から「次にどんなのがやりたいですか」と聞かれ、「少年を主人公にしたファンタジーものがやりたい」という作者自身の発言がきっかけ。当時少年を主人公にした作品は少なく、またファンタジーというジャンルもあまり認知されておらず、少年が主人公のファンタジー物で新境地を開きたかったらしいが、当時の編集部は新境地に難色を示したため、もし失敗したらスケバン刑事の第2部を連載することを条件に連載にこぎつけたという。しかし、結果は1年を持たずに打ち切りになる(第1部)。

そのため、約束どおり『スケバン刑事』第2部を描くことになるが、連載終了の1981年末に「昔と状況は変わっているので『ピグマリオ』を再開しませんか」との編集部の言葉に奮起。第2部以降を描き約8年連載、コミックス27巻という長編になった。

ストーリー

有史以前、まだ神々がこの世界を導いていた時代。東方の小国ルーンの王子クルトは母親の顔を知らず育ったが、8歳の誕生日を目前にして真実を知る。クルトが生まれて間もなく、妖女メデューサがこの国を襲い、クルトの母ガラティアを石に変えてしまっていた。メデューサがはるか西に棲むと知ったクルトは、メデューサを倒して母を救うべく旅立つ。しかし、それは母を救うだけでなくクルトが王になるための試練の旅でもあった。

本編中には、既存の神話から引用された固有名詞が度々登場する。これは『指輪物語』などの創作神話に見受けられる「本作こそが全ての神話伝承の原型であり、現代に伝わる神話の方が実はエピゴーネンである」という設定による故意的な描写である。

主なキャラクター

主要人物

クルト
主人公。ルーン国の王子。物語開始当初は8歳。金髪碧眼。精霊(=善神アガナードの娘)の血を引いた少年で、人間離れした怪力を持つ。メデューサが母の仇であることを知り、これを討つべく西へと旅立つ。初めは母を恋しがる幼い子供であったが、旅を通じて次第に成長していく。正義感が強く、王族であるにも関わらず誰に対しても分け隔て無い思いやりを示せる心優しい性格で、アスナスに「こいつは真の王だ」と感嘆させるなど、妖魔や神々の中にも一目置く者がいる。少々意固地で無鉄砲なところもある。持ち主の求めに応じて大きさを変える強力な武器「大地の剣」と、母ガラティアの守護像の入った袋を腰から下げている。
水晶の姫オリエ
本作品のヒロイン。水晶を用いた予言の才能を持つ人間の少女。その能力は多くの国々を危機から救い、各国からは国賓扱いで招かれ、妖魔達から危険視されるほど。盗賊団の女首領だった養母にかわいがられ箱入り娘として育ったが、クルトが自分の運命に深く関わる人物と知り、やがて共に旅をする。旅の過程で、クルトの為に自らを犠牲にすることも厭わなくなるほど強い恋愛感情を抱くことになる。妖毒で命を落とすも、精霊オリエの導きによりクルトとの再会と再生を待つ事になる。
精霊オリエ
精霊達の末娘。すぐ上の姉であるガラティアによく似た面差しで、ガラティアを慕っていた。クルトに力を貸すために度々彼の前に現れるが、その感情は母性的なものから、やがて恋愛感情へ変わっていく。水晶の姫オリエとは同じ名であり、同じくクルトを想う事で互いに共感するようになっていく。クルトを守りたい一心で、後述するエルゾの領域でも精霊の力を失わない「亡者の剣(白い力)」を手に入れる。
レオン
トカゲの谷でクルトが出会ったトカゲ族の子供。緑色の肌に黒い斑点があり、鼻に一本角がある。自分が実は拾われた子だと気付きつつも、養父母の愛を一身に受け育てられた。しかし、呪いが解けて人間の姿に戻った谷の者達の言動に失望し、クルトと旅を共にする。後に自分が正統な血筋のドラゴンであることを知り、飛行能力や炎の息でクルトを助ける。基本的に思慮深く周りをよく見る性格の持ち主であり、暴走しがちなクルトを上手く操縦する出来た相棒だが、実は本人も結構誇り高く喧嘩っ早いところがある。
ギルガドール
トカゲの谷に棲みついていた、異常なほど酒好きな一つ目の怪物。クルトに倒され、後にサロメによって巨大な眼球のみの姿で再生する。サロメによって復活した時は多数存在したが、後に一匹を残して全滅、その一匹がクルト達の旅に同行する。当初は酒に対してしか関心を示さなかったが、旅を通じてクルト達との友情が芽生える。普段は小さくなって守護像の袋の中で眠っているが、酒を与えることによって(後にクルトの呼びかけだけでも)クルト達を乗せて飛べるまでに巨大化する。
メデューサ
悪神エルゾの愛娘にして最強の妖魔。眼光で全てのものを石にする力を持つ。西の果てにある自らの居城から多数の使徒を放ち、悪神の領域を広げている。その体に流れる黒い血には、飲んだ者に強い魔力を与え、死者すら蘇らせる力がある。ガラティアとは同じ日同じ時に髪の毛一筋の違いもなく誕生したことで強い絆を持ち、それ故にガラティアを妬み石にしてしまう。人間達にとって畏怖するべき存在ではあるが、話の本筋以外ではマリウスを気にかけるなど、母として女として人間くさい一面も描かれる。その出生にはクルトやメデューサ自身にとっても厳しい秘密があり、それ故に何度も機会がありながらクルトを殺すことが出来ずにエルゾに叱責される。
ガラティア
クルトの母親。天界に住む精霊だったが、人間であるルーン国王ステファンとの恋の果てに人間となり、クルトを産んだ。8年前にメデューサの襲撃を受けて石にされ、そのままルーン城内の一室に安置されている。石像はアガナード神の強い守護を受けており、並の妖魔では近づくだけで命を落とし、使徒ですらうかつに手出しできない。愛する者と結ばれ子を成す奇跡を成就したとして、全ての精霊の憧れとなっている。
アスナス
妖魔に属し、強大な力を持ちながらもエルゾに従うことなく放浪する謎の男。クルトの旅を追っていたが、偶然にガラティアの石像を見たことでその美しさに惹かれていく。実はメデューサの兄で、自らの力で王となるためにエルゾ神の後継者の座を蹴り、切り札とするべく「エルゾの鏡」を集めていた。一度エルゾに力を奪われ人間に堕とされるが、この時の体験は彼に大きな変化を与えることになる。長髪の人間男性の姿と、動物の骨のような兜と肩当をつけたマント姿を使い分ける。妖術はもちろんのこと、人間の姿では旅の闘士を名乗り剣術にも長ける。

人間・他

ステファン
ルーン国の王でクルトの父。城を抜け出し村の子供と遊ぶクルトには寛大であるが、石にされた妻とその時の出来事を知られないために、秘密に近づこうとすると途端に厳しくなる。
エバ
オリエの養母で、100人近いキャラバンを率いる女首領。元は盗賊団のキャラバンであったが、東の国の川辺で水晶と共にオリエを拾って以来、我が子として育てる。のちに、オリエの占いの才が知れ、王宮から招かれるようになると星占いのキャラバンとして活動するようになる。オリエのことは将来はしかるべき王族に嫁がせようと箱入り娘として溺愛しており、オリエに近づこうとするクルトには容赦がなく、オリエがクルトと共に旅立つと言い出した際には強固に反対している。ただし、元盗賊ゆえかかなり強欲で報酬次第で占いを引き受けるか否かを決めているようであり、良い条件であればオリエに多少の無理を強いることもある。
マリウス
「銀騎士」の二つ名を持つ旅の騎士。銀竜のシルヴァーナを乗騎としている。幼い頃、メデューサにその才能を認められ、彼女によって死から蘇った妹のエルザ共々メデューサの養子となる。メデューサの血の入った瓶を与えられているが中身は口にしておらず、人間としての力を極めてから母に仕えることを望み、メデューサの側仕えとなったエルザと別れ武者修行の旅を続けている。離れて暮らしても母メデューサとは強い絆で結ばれている。当初は母の敵であるクルトを狙うも、クルトの旅の理由を知り、真実を見極めるために違う意味でクルトにこだわるようになる。
シルヴァーナ
マリウスを乗せて飛ぶ銀竜。人間の姿に変身することができ、その時は銀の長髪を持つ少女の姿になる。しかし変身はあまり得意ではないようで、竜のサイズのまま人型に変身してしまうことも多い。人間の姿で罠にかかっているところをマリウスに助けられて以来、押しかけ女房的に旅の供をしている。クルトにこだわるマリウスとは対照的に、マリウスと2人きりの旅の障害となるクルト達を快く思っていない。
エルザ
マリウスの妹でメデューサの養女。幼い頃に病で命を落とすが、メデューサの黒い血で蘇り、以来メデューサのそばに仕えている。美しく成長し、母が不在の時には代理で城内を取り仕切る。再び兄と共に暮らせる日を心待ちにしている。しかし、「黒い血で蘇った」という事実が、兄妹に悲劇をもたらす事となる。
グリフォス
小国グリーンノアの王。隣国との雲行きが怪しくなった頃、病気療養のため滞在していたマリウスを無理矢理雇おうとする。この時マリウスの母として人間に姿を変えたメデューサとも出会うが、この出会いが彼の人生を良くも悪くも大きく変える事になり、メデューサの心にも変化をもたらす。
バッコス
人間界では最高と称えられる天才肌の彫刻家。その腕前はもはや神がかり的で、虹の端を作って本物の虹を引き寄せたり、雲を加工した階段などを作り出せるほど。アスナスからガラティアの像のレプリカを作るよう依頼され、モデルとなる精霊を実際に見ようと天界に忍び込む。
リシェンヌ
ゼンヌの村に住んでいた人間の娘。人間の身に堕とされ放浪中のアスナスと出会い、弱っていた彼のために硫黄鉱山で働くも、今度は自分が鉱毒に侵され倒れてしまう。後に力を取り戻したアスナスに毒を取り除かれてからも側に居ることを望んで、彼の居城で妖魔達と暮らすことを選ぶ。
ジャジャ
仲間達との離別を乗り越え、単身メデューサ城に挑もうとするクルトが出会った魔法使いの少年。彼の故郷もメデューサに襲われており、その敵討ちのためにメデューサ城を目指している。故郷の近くに竜の谷があり、旅立つにあたってドラゴン達から一枚ずつ鱗をもらい、それで作ったドラゴンメイルを装備しているため、炎の攻撃に対して強い耐性を持つ。しかし、クルトが竜の谷で別れたはずのレオンのことはなぜか知らないと言っている。

妖魔

ドノマーガ
メデューサがルーン国を襲撃した直後に、メデューサの使者として現われた使徒。まだ赤子だったクルトの引き渡しを要求した際、自分に刃向かい倒れた兵士の数にちなみ8年の猶予を与えて去る。
8年後、真相を知ったクルトと戦い首をはねられるも蘇り、再び襲い掛かろうとした所をアガナードの放った雷に打ち貫かれる。正体は、翼も手足もない竜(ワーム)。
サロメ
メデューサの使徒の1人。セレネの都の王女に成りすましクルトを捕らえ、じわじわと力を削っていったが、最後の詰めを誤りクルトを復活させてしまう。最期は自身が成りすました王女の妹に討たれる。
タロス
メデューサの使徒の1人。全身を硬い鎧で覆った男。妖魔一血の気の多い男と言われていたが、クルトを狙って彼を追う内、クルトに目をかけるようになっていく。よくイリューズと共に行動している。その正体は、イリューズの正体である青い魚をずっと見守っていた甲蟹である。
イリューズ
メデューサの使徒の1人。ローブをまとい仮面をつけた女。魚の化身であり、呼吸を助ける仮面をつけていないと陸上では息ができない(水中では人魚の姿をとることもある)。遠くにあるものを映し出す水鏡など水を使った妖術を得意とする。その正体は神々に作られた青い魚であったが、海神兄弟の争いに巻き込まれて仲間を失い、自身も死にかけた所をメデューサが黒い血を与えて妖魔とした。タロス同様クルトに目を掛けており、夢の実を取ってきてクルトを助けることもあった。
ドルバローム
メデューサの使徒の1人。ゲオルク三兄弟を利用してクルトを討とうとするも、ゲオルグ達に命を分け与え過ぎ、不完全ながら発動した守護像の力から抜けられず死亡する。黒いローブで全身を隠している。その正体は複数の目を持つ悪竜。
ビューン
メデューサの使徒の1人。蜘蛛の化身で、糸つむぐおばばを探すクルトを騙し討ち取ろうとするも、糸つむぐおばばの力により天高くまで伸びた井戸を延々と上るハメになる。本性は黒い大蜘蛛。
糸つむぐおばば
本名オーラ。かつてメデューサの乳母を務めていた。一見優しい老婆であるが並の妖魔では太刀打ちできないほど強い力を持つ。過去のトラウマから子供(特にその優しさ)には非常に甘い。アガナードとエルゾに関する究極の秘密を隠していたが、それをクルトに明かそうとしたためアスナスに殺される。
キメラ
メデューサの城を守るキメラ三姉弟の長子。城や城壁ではなく自らがメデューサを守る砦と称するほど勇猛を好む女戦士だが、弟のギャルガには優しい視線を向ける。本性は獅子の体に大きな翼を持つ巨大なスフィンクスのような怪物。従える数多くの女戦士達も、戦いの際には金色の獅子へと姿を変える。
ネイアス
キメラ三姉弟の次子。力はあるものの策略を好み、アスナスからも、その陰湿さ故にクルトは苦戦を強いられると予見されていた男。しかし臆病な面もあり、自らの城には自分の退路だけ確保して城ごと敵をつぶす仕掛けを施し、その城が謎の黒い霧によって石化した際には部下を見捨て逃げ出している。本性は大蠍の怪物で、その尾に持つ毒はいかに強い生命力を持つ者でもじわじわと確実に黄泉へと導く。
ギャルガ
キメラ三姉弟の末子。最愛の姉の期待に応えて手柄を立てることを望み、真っ先にクルトと相対する。本性は巨大な甲虫の化け物(現実の甲虫と異なり8本足)だが、自らの体を空中城砦と成し普段は影の姿で活動している。たとえ影の姿で討ち取られても本体を見抜いて討たない限り新たな影で次々に復活するため、「不死身のギャルガ」の異名を持つ。無骨ながらも妖魔にしては珍しく実直な性格で、部下からの信頼も非常に厚い。

神々

善神アガナード
天界を統べる神にしてすべての精霊の父。クルトの祖父に当たる。厳格な性格で、クルトの慢心を強く戒めるが、密かにクルトを見守り続けている。
悪神エルゾ
黄泉を統べる神にしてすべての妖魔の父。メデューサを介して悪の勢力を強めようと企む。
大地の女神ユリアナ
大地、すなわちこの星の意思を司る女神。強大な力を持つが、中立の視点から善悪の戦いを見守る立場にあり、自らを大地に繋ぎ力を抑えている。ガラティアとは親友であったため、彼女の息子であるクルトに手を貸し、「大地の剣」を授ける。
火の神ペレ
地の底で溶岩を操り鍛冶仕事をする、牛の頭を持った神。大地の剣を鍛えた神でもある。非常におだてに乗りやすい。クルトに会う度に質問をするが、それらの一部はクルトの成長を試すものでもあった。
海神ポセイドン/ネプチューン
海を統べる双子の海神。仲が悪く、顔を合わせる度に喧嘩をし、それに伴って海は大いに荒れることになる。後にこれが方々に甚大な被害をもたらしていたことを知って反省し、クルトの提案でそれぞれ暖流と寒流に乗りこれを治めることで顔を合わせる機会を減らすこととしたが、たまにしか合えないことが功を奏して、再会の度に喧嘩ではなく宴を開くようになり、2つの海流が出会う海域は良好な漁場となった。

アイテム

大地の剣
大地の女神ユリアナからクルトに授けられた。小山ほどもある巨大な剣であるが、普段は携帯しやすいように短剣となっている。戦いの際には善神アガナードと大地の女神ユリアナの名において命ずることで元の姿、又は戦いの剣(長剣)にすることができる。また、使いこなせるようになれば剣を巨大化させることなく力のみを開放することができるようになる。
守護像
精霊達が1体ずつ持ち、持ち主の危機に際し、天・地・人、3つの「力」が一つずつ現れる。
クルトには、ガラティアが人間に帰化した際に天界に残していったものが、アガナードによって贈られる。
黒い血
飲んだ者に強大な力を与え、死者をも蘇らせることができる。しかし、飲んだ者は身も心もメデューサの僕となってしまう。
悪神を崇める者の中には、これを得る為の貢物として人々の苦しみや憎しみを集めるべく悪行を繰り返す者もいる。
この血で妖魔になった者は、アガナードとエルゾとの間で結ばれた均衡を守る約束の制約を受けないため、妖魔の勢力を拡大するために用いられた。
エルゾの鏡
エルゾの凍てついた魂そのもので、メデューサを倒す為の切り札。108の欠片に砕かれ有力な妖魔に1つずつ(より有力なものには複数)与えられている。
水晶
水晶の姫オリエに星の巡りを教える水晶。オリエがキャラバンを離れてクルト達と旅立つことを決めた際、語り部に化けたアガナードによって、持ち運びしやすい髪飾りの石にその力が移された。
夢の実
人間の子供を一時的に大人にすることができる不思議な木の実。精霊や妖魔の力でも『見かけだけ』は大人にすることが可能だが、夢の実は本当に大人の体に成長させる。竜に対しては成長を早くする効果があるらしい。

用語

ピグマリオ
神々がその役目を終えた後の時代を導く創世王のこと。本来は「母なる人」から生まれるはずだった。
アガナードの領域・エルゾの領域
かつてアガナードとエルゾが長い争いの末に定めた、複雑な境界線によって分けられたそれぞれの領域。両者はこの境界線を守ることで均衡を保っている。エルゾの領域では精霊が、アガナードの領域では妖魔がそれぞれ力を失い、最悪死に至る(ただし黒い血で後天的に力を得ている者には影響がない様子)。また、アガナードとエルゾはそれぞれの領域で善神として崇められ、もう一方を悪神とされているが、単に神の名が入れ替わっているだけで善悪の概念まで入れ替わっている訳ではない。ただし、それぞれの領域に住まう人間は互いに善悪の概念が入れ替わっていると考えている描写がある。
精霊の谷・妖魔の谷
それぞれ精霊と妖魔の生まれる場所。常に虹が見える。ガラティアの魂の導きで虹の谷を探していたクルトたちがたどり着く。精霊は蓮の花から、妖魔は溶岩の中から誕生するが、生まれたての頃は純真無垢であり、それぞれの世界に導かれることで初めて善悪に染まる。実は、アガナードとエルゾによって定められた均衡を保つため、精霊と妖魔の数を等しくするための仕組みで、同じ島にある表裏一体の存在である。そのため、谷で生まれた者の現実を知り、怒りと悲しみからクルトが妖魔の谷を破壊したことに伴って、精霊の谷も崩壊することになる。
白い力
精霊オリエがクルトを助けるためにユリアナの試練を乗り越えて手に入れた、エルゾの領域でも失われることのない善でも悪でもない中立の力。
竜(ドラゴン)
本作品における竜は、全ての動物の骨を持つ最強の生き物として描かれている。全ての動物の骨を持つため、全ての動物の性質を持ち合わせ、成竜になれば様々な生き物に姿を変えることが可能になる。
竜の谷で生まれ育った竜は、成竜になると各地でそれぞれの動物の王となるため旅立つことになる。
ゆがめられた西
メデューサ城への行く手を阻むため、キメラ三姉弟によってかけられた呪い。方位を歪める事により、真っ直ぐ西に進んでいるつもりの者達をあらぬ方向へ導き、行くことも戻ることもできず永久にその場所にとどめてしまう。
オリエの水晶の力でも正しい西を見つけることができないほど強力な呪いではあるが、ユリアナの支配する地下までは効果が及ばない。
天使(エンデュ(原作)・アンジェ(アニメ))
人間を愛するという禁忌を犯し、アガナードによって醜い姿に変えられ黄泉に堕とされた精霊。ステファンを愛したガラティアも一度は天使とされたが、ステファンにより救い出され結ばれることができた。もしも愛する者が救いの手を差し伸べなければ、永遠に天使の姿で黄泉をさまようことになるが、背中の翼を折り取られれば、命は失うが元の姿に戻ることができる。

テレビアニメ版

テレビ東京系列で1990年11月5日から1991年9月16日にかけて放送。完結せずに第4部途中で中途半端に終わっている。原作者の意向で再放送およびDVD化は絶望的な状況である。東映ビデオ製の「日本アニメ主題歌大全集」(ビデオソフト、DVD)にもOP&EDは未収録である。2000年にAT-Xで再放送したのを最後に再放送されていない。なお、#14からは原作イラストに近づけたキャラクターデザインに修正され放映された。

主要登場キャラクター・声の出演

放送リスト

話数 放送日 サブタイトル 脚本 絵コンテ 演出 作画監督
1 1990年
11月5日
皇子クルト運命の誕生日
2 11月12日 母の守護像
3 11月19日 大亀ザクマ
4 11月26日 大地の剣
5 12月3日 初めての仲間レオン
6 12月10日 いつわりの黄金郷・ジエスタ姫の悲劇
7 12月17日 妖魔サロメと黄金像の秘密 小山真弓 奥田誠治 山崎茂 石之博和
徳田夢之介
8 12月24日 悪神メデューサ・黒い血の妖力 白土武 川端蓮司 嶋津郁雄
9 1991年
1月7日
水晶の姫オリエ 清水あきら 岡迫亘弘
10 1月14日 クリスタルの中に光る星の人 石田昌久 清水あきら 及川博史
11 1月21日 黒い騎士団と伝説の妖術師オズ 星野寛満 工藤よしあき
12 1月28日 火を噴く竜レオン 金澤勝眞 山崎茂 吉田徹
13 2月4日 天に輝く巨大な精霊の守護像 牧野滋人 石之博和
14 2月11日 死の山の王ゼオと雪姫たち 白土武 伊東政雄 嶋津郁雄
15 2月18日 メデューサの使い黒クモビューン
16 2月25日 糸紡ぐおばば 小山真弓 黒田昌郎 岡迫亘弘
17 3月4日 見てはならない! 幻の谷底
18 3月11日 黄泉に落ちたミュラ 小山真弓 奥田誠治 錦織博 吉田徹
19 3月18日 火の国の少年ユタ 山崎茂 及川博史
20 3月25日 精霊オリエの命が危ない! 白土武 伊東政雄 嶋津郁雄
21 4月15日 銀騎士マリウスの謎
22 4月22日 星占い師オリエの予言
23 4月29日 不幸を呼ぶ!? 赤い星のかけら
24 5月6日 虹を彫る彫刻師バッコス 小山真弓 康村諒 吉田徹
25 5月13日 星の語り部
26 5月20日 風の精霊の神殿
27 5月27日 聖像から母の声が聞こえる!
28 6月3日 幻のメデューサ伝説
29 6月10日 不思議な果実・夢の実
30 6月17日 海の王・ポセイドンとネプチューン 小山真弓 白土武 伊東政雄 嶋津郁雄
31 6月24日 虹の谷の秘密 清水あきら 徳田夢之介
32 7月1日 ゆがめられた西 栗山美秀 山崎茂 及川博史
33 7月29日 天空の城
34 8月5日 もう一度夢の実を
35 8月19日 エルゾの鏡のかけら 小山真弓 安芸のりお 清水あきら 及川博史
36 8月26日 石の花の秘密 栗山美秀 寺田浩之
37 9月2日 さようなら! レオン 白土武 川端蓮司
金子豊久
嶋津郁雄
38 9月9日 水晶の姫オリエを救え! 康村諒 山崎茂 徳田夢之介
39 9月16日 地の果てメデューサ城 桜井美知代 栗山美秀 石之博和

スタッフ

  • 監督:はしもとなおと、黒田昌郎
  • プロデューサー:小竿俊一、倉林伸介(テレビ東京)
  • シリーズ構成:黒田昌郎
  • 撮影監督:森田俊昭
  • 美術監督:徳重賢
  • 音楽・淡海悟郎
  • キャラクターデザイン:白梅進、櫻井美知代
  • 製作:テレビ東京日本アニメーション

主題歌

歌:山野さと子

  • オープニング「ドリーム・チェイサー」
  • エンディング「Tenderness 抱きしめて」

全て作詞:佐藤ありす/作曲:大塚修司/編曲:長谷川智樹

テンプレート:前後番組

テンプレート:Asbox