ヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤー
ヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤー(European Car of the Year )とは、ヨーロッパの7か国・7誌の自動車雑誌が主催し、過去1年に発売された乗用車の中から最も優秀なものを選定する賞である。
概要
1964年に始まり、以来毎年行われている。ヨーロッパ7か国、イタリア、イギリス、スペイン、オランダ、フランス、ドイツ、スウェーデンの自動車雑誌社各1社により構成され、自動車ジャーナリストが審査員となる。2006年には22か国からの58人が審査に加わった。
審査方法
過去12か月の間にヨーロッパの5か国以上で発売され、年間5000台以上の販売が見込める自動車が対象である。
まず単純投票により最終候補として7車種を選定、そのなかから5車種以上に最高10点まで配点する。この投票方法では受賞決定に要する支持の多寡に大きな差が出ることが問題として指摘されている。例えば2005年にはトヨタ・プリウスが37人からの最高得点を得て計406点で1位を受賞したのに対し、2006年にはルノー・クリオが235点の得票で1位となったが、同車に10点満点を投票したジャーナリストは僅か一人であった。
小型車重視
伝統的にルノー(過去6回受賞)やフィアット(過去9回受賞)等、小型車の受賞が多く、高級車や大型車の受賞はごく少ない。また、高級スポーツカーなどの特殊なモデルは、販売台数の基準を満たさないために審査対象外である場合が多い。
過去には「選考に愛国心が働く」と言われ、ある国の審査員が自国の候補車に高配点する傾向があった。参加国の増加もあり、1990年代以降にはその傾向は少ない。
日本車の受賞
日産・マイクラ(日本名マーチ、1993年)が日本メーカーの車としては初めての受賞をした。以後トヨタ・ヤリス(日本名ヴィッツ、2000年)、トヨタ・プリウス(2005年)、日産・リーフ(2011年)の4車が受賞している。
2位・3位の記録としては、ホンダ・シビック(3位、1974年)、ホンダ・プレリュード(3位、1988年)、日産・プリメーラ(2位、1991年)、トヨタ・プリウス(3位、2001年=初代モデル)、マツダ・6(日本名アテンザ、2位、2003年=初代モデル)、マツダ・3(日本名アクセラ、2位、2004年)、マツダ・2(日本名デミオ、2位、2008年)、トヨタ・iQ (2位、2010年)、トヨタ・GT86(日本名86、2位、2013年)、スバル・BRZ(2位、2013年)がある。
過去の受賞車
- 1964年 - ローバー・2000
- 1965年 - オースティン・1800
- 1966年 - ルノー・16
- 1967年 - フィアット・124
- 1968年 - NSU・Ro80 - ロータリーエンジン車唯一の受賞
- 1969年 - プジョー・504
- 1970年 - フィアット・128
- 1971年 - シトロエン・GS
- 1972年 - フィアット・127
- 1973年 - アウディ・80
- 1974年 - メルセデス・ベンツ450(W116:初代Sクラス)
- 1975年 - シトロエン・CX
- 1976年 - シムカ・1307/1308
- 1977年 - ローバー・3500 - 現在までのイギリス車最後の受賞
- 1978年 - ポルシェ・928 - スポーツカー唯一の受賞
- 1979年 - シムカ・オリゾン
- 1980年 - ランチア・デルタ
- 1981年 - フォード・エスコート(マークIII)
- 1982年 - ルノー・9
- 1983年 - アウディ・100(3代目)
- 1984年 - フィアット・ウーノ
- 1985年 - オペル・カデット(戦後5代目)/ボクスホール・アストラ
- 1986年 - フォード・スコーピオ
- 1987年 - オペル・オメガ/ボクスホール・カールトン
- 1988年 - プジョー・405
- 1989年 - フィアット・ティーポ
- 1990年 - シトロエン・XM
- 1991年 - ルノー・クリオ(日本名ルーテシア)
- 1992年 - フォルクスワーゲン・ゴルフ(3代目) - フォルクスワーゲン(VW)車初の受賞
- 1993年 - 日産・マイクラ(日本名マーチ) - 日本車初の受賞
- 1994年 - フォード・モンデオ
- 1995年 - フィアット・プント
- 1996年 - フィアット・ブラーボ/ブラーバ(日本名ブラビッシモ)
- 1997年 - ルノー・メガーヌ/ルノー・セニック - セニックはミニバンとして初の受賞
- 1998年 - アルファロメオ 156 - アルファロメオ初の受賞
- 1999年 - フォード・フォーカス --史上初めて欧州/北米のカー・オブ・ザ・イヤーを同時受賞
- 2000年 - トヨタ・ヤリス(日本名ヴィッツ)
- 2001年 - アルファロメオ 147
- 2002年 - プジョー・307 - プジョー車3度目の受賞
- 2003年 - ルノー・メガーヌ(2代目)
- 2004年 - フィアット・ニューパンダ
- 2005年 - トヨタ・プリウス(2代目) -日本車初の欧州/北米カーオブザイヤー同時受賞
- 2006年 - ルノー・クリオ(3代目) - ルノーとして6度目、クリオとして2度目の受賞
- 2007年 - フォード・S-MAX - フォードとして8年ぶり、ミニバンとして2度目の受賞
- 2008年 - フィアット・Nuova 500 --フィアット車(傘下ブランドを除き)9回目の受賞
- 2009年 - オペル/ボクスホール・インシグニア - 欧州GM車22年ぶりの受賞
- 2010年 - フォルクスワーゲン・ポロ(5代目) - VW車18年ぶり、2度目の受賞
- 2011年 - 日産・リーフ - 電気自動車初の受賞
- 2012年 - シボレー・ボルト/オペル・アンペラ - 電気自動車としての2年連続の受賞
- 2013年 - フォルクスワーゲン・ゴルフVII - VWとして3度目、ゴルフとして2度目の受賞
- 2014年 - プジョー・308 - プジョー車4度目の受賞
受賞回数
これまでの受賞車をブランド別で、受賞回数別に列記する。
- 9回 - フィアット
- 6回 - ルノー
- 5回 - フォード
- 3回 - シトロエン、プジョー、ゼネラルモーターズ(GM:オペル/ボクスホール)、フォルクスワーゲン
- 2回 - アルファロメオ、アウディ、クライスラー、ローバー、日産、トヨタ
- 1回 - NSU、オースチン、シボレー、ポルシェ、メルセデス・ベンツ、ランチア
これを企業グループ別に列記し直すと、
- 12回 - フィアットグループ
- 8回 - ルノー・日産グループ
- 6回 - PSA・プジョーシトロエングループ
- 5回 - フォード、フォルクスワーゲングループ、GM
- 3回 - 旧BMC/ローバーグループ、
- 2回 - クライスラー、トヨタ
- 1回 - ダイムラー、ポルシェ
となる。
また、生産国別に見ると、フランス車が13回、イタリア車が12回、ドイツ車が10回、アメリカ系メーカー(ヨーロッパ・フォードとクライスラー)が合計7回(GMを含めれば計11回)、日本車が4回となる。