JR九州811系電車

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テンプレート:出典の明記 テンプレート:鉄道車両 811系電車(811けいでんしゃ)は、九州旅客鉄道(JR九州)の交流近郊形電車

車両解説

北九州・福岡大都市圏における快速列車の増発と、421系の置き換えを目的として、1989年平成元年)から1993年(平成5年)にかけて4両編成28本(112両)が製造された。全車が南福岡車両区に配属されている。

以下に構造上の特徴を示す。番台区分ごとに異なっている仕様については、「番台区分」の節で記述する。

車体

車体は軽量ステンレス構造で、片側3箇所に両開き扉を設置し、全扉または中間扉のみの選択開閉(ドアカット)が可能である。扉の間にバランサ(任意の位置で窓の開口が調整できる機能)付きの一段下降窓が3枚ある。車体の大部分は無塗装であるが、側面窓下部に青色と赤色の帯が互い違いに配されている。前頭部は普通鋼製で、白色に塗装されている。先頭車前面には貫通扉を設けているが、非常用のためも幌枠もなく、編成間の貫通には使用されない。

主要機器

架線からの交流20kVを主変圧器で降圧した上で、シリコン整流器で整流して直流電源とした。その直流電源で主電動機(MT61QA)を駆動した。

MM'ユニットを採用し、M車(モハ811形)には主制御器と抵抗器が、M'c車(クモハ810形)には主変圧器(TM401K)・主整流器・補助電源装置・集電装置が搭載される。

主回路制御方式はサイリスタ位相制御である。5ノッチ投入時に70%弱め界磁制御を行う[1]。主回路接続は、4基の電動機を全て直列に接続するしたものを1回路として、これを2回路並列させた (4S2P) [1]

主整流器 (RS401KA)は主シリコン制御整流装置とも呼称される。1基当たり素子(2,500V, 4,000A)を4基使用し、8基の主電動機が接続される[1]。冷却方式としてフロン沸騰冷却方式を採用するが、今後はフッ化炭素冷却方式を採用予定であるとしている[1]

空気圧縮機 (MH1084-C2000MQ) はレシプロ式を搭載する。補機用の電源として静止形変換装置(SC400K)を搭載するほか、主変圧器3次巻線も使用する。

集電装置 (PS101QB) は、菱形パンタグラフである。上り寄り(門司港寄り)先頭車のクモハ810形の連結面寄りに設置している。

台車空気ばね方式、ヨーダンパ付き軽量ボルスタレス台車のDT50QA(電動車)/TR235QA(制御車付随車)が採用されている。

車内設備

快速列車を中心に、臨時急行列車にも用いることを想定して、座席は転換クロスシートを採用した。モケットの色は青色(サニーブルー)と紫色(レイニーパープル)の2色で、各席とも左右で異なった色とされ、座席の枕の部分は独立している。その後座席モケットについては紫色と黒の市松模様に張り替えられた。優先席は枕の色が他の座席のパープルに対しグレーとされている。さらに視認性を高めるため813系も含めて2006年(平成18年)末より「優先席」表示がされた枕カバー(白色)が装着された。当初喫煙車であった門司港寄り先頭車のクモハ810形では座席横の肘掛に灰皿を内蔵していたが、1995年(平成7年)にJR九州管内の普通列車が全面禁煙となったため現在は塞がれている。座席の間隔と窓配置は合っていない。これは415系1500番台と窓ガラス寸法を共通にしたためで、813系も同様である。 また、各座席には指定席とするための席番号表示もあり指定席として使用することも可能となっている。 また乗務員室にオルゴールチャイム装置を備える。

冷房装置集中式のAU403K (42000kcal/h) を各車両の屋根上中央部に1基設置し、ラインフローファンによる配風方式としている。

トイレは下り寄り(八代宇佐寄り)先頭車のクハ810形に設置されているのが基本だが、例外もある(後述)。便器は和式である。また従来の近郊形電車には設置されていなかった大形くずもの入れが車端部(先頭車1箇所、中間車2箇所)に設置されている。

形式

  • クモハ810形(上り寄り先頭車。主制御整流装置・パンタグラフ設置)
  • モハ811形(中間電動車。電動空気圧縮機設置)
  • クハ810形(下り寄り先頭車。トイレ・SIV・電動空気圧縮機設置)
  • サハ811形

編成は八代寄りからクハ810形 - サハ811形 - モハ811形 - クモハ810形の4両固定編成である。サハ811形を抜いて3両編成を組むことも可能であるほか、機器類を若干変更してクモハ810形 - クハ810形の2両編成を組むことも可能な設計とされたが、2両・3両編成は実現していない。

車両番号は基本的には編成ごとに同じ番号で揃えられている。また編成自体にも「Pxxx」の番号が与えられている。「P」は本系列を示し、「xxx」は車両番号に対応している。車両に表示される編成番号は「Pxxx」だが、正式な編成番号は「PMxxx」である。「M」は南福岡車両区所属であることを表す。また、先頭車前面に編成番号が表示されるが、他系列と異なりアルファベットと数字の間にはスペースが挿入される。

編成番号 テンプレート:TrainDirection
クハ810形
(Tc')
サハ811形
(T)
モハ811形
(M)
クモハ810形
(Mc')
P1・P3 - P17 0番台 0番台 0番台 0番台
P101 - P104・P107 - P111 100番台 100番台 100番台 100番台
P105・P106 100番台 200番台 100番台 100番台
  • 全車両が南福岡車両区に所属する。

テンプレート:-

番台区分

広告車両については別に記述する。

0番台

基本番台。車両両端部以外の座席がすべて転換クロスシートとなっている。1992年(平成4年)までにP1 - P17の4両編成17本が製造されたが、P2編成は2002年(平成14年)に列車衝突事故により電動車2両が大破し、復旧されることなく制御車付随車も含めてすべて廃車された。九州鉄道記念館にある本系列の運転シミュレーターはこの事故の廃車体を流用している。

P17編成の座席仕様は次節の100番台と同一である。

100番台

1992年7月15日ダイヤ改正を前に製造されたマイナーチェンジ車である。扉寄りにある座席が固定式となったことで扉周辺の空間が拡がり立席定員が増加したが、座席数は変更されていない。またつり革も増設され、0番台より座席の厚みが薄くなった。

同改正までにP101 - P109の4両編成9本が製造され、1993年(平成5年)3月18日ダイヤ改正前にP110, P111の4両編成2本が増備された。

P105, P106編成はサハ811形200番台を組み込んでいるが、これについては次節で述べる。

サハ811形200番台

ファイル:JRKyushu saha811-201.jpg
サハ811-201。写真手前の車端部にトイレがある

サハ811形のみの番台区分で、201, 202の2両が存在する。団体臨時列車や臨時急行列車などの長距離運用に使用することを考慮してトイレを設置した関係で座席定員は52名に減っているが、その他の構造は他車と同一である。201はP105編成、202はP106編成に組み込まれ、この2本はクハ810形と合わせて編成中に2箇所のトイレを有する。そのため、サハ811-105, 106は存在せず、P107以降はサハ811-107のように編成番号と車両番号は一致している。

広告車両

スペースワールド号 (P 11)

テンプレート:Double image aside P 11編成は北九州市八幡東区にあるテーマパークスペースワールド」のPR車両として落成した。当初、車体には青色の帯が全体にわたって配され、側面中央には「スペースワールド」のロゴが描かれた。スペースワールドのテーマに沿って宇宙空間をイメージした車内としており、座席はパイロットシートに似せた背もたれの高いダークブルーの転換クロスシートとし、荷物棚の色が青色であること、壁に小型の壁灯を設置しているのが特徴である。また、車内広告は基本的にすべてスペースワールドのものとされているが、スペースワールドとは関係ないJR関連の広告が掲出されることもある。なお、天井の吊り広告枠は設置されているが使用されない時期が長かった。そのため、つり革増設時にも干渉する吊り広告枠の移設は行われていない。その後は干渉しない広告枠のみ使用されており、2008年夏時点では、JR九州の自社広告が掲示されていた。

1996年(平成8年)秋にリニューアルされ、側面はロゴの代わりに「スペースワールド」のマスコットキャラクターなどのステッカーが貼付され、前頭部は白色から赤色に変更され、座席モケットも張り替えられた。

当初は快速「スペースワールド号」に優先的に使用されていたが、2007年ごろに快速「スペースワールド号」の呼称が消滅したことにより、他の編成と共通運用となった。

2009年1月に標準の帯色に変更されて小倉工場を出場し、これによりスペースワールド色は消滅した[2]。 但し、内装の変更はされていない。

三井グリーンランド号(P 8・P 9)

ファイル:JRKyushu EMU811-P9.jpg
三井グリーンランド色(PM9)

1995年7月熊本県荒尾市にある遊園地三井グリーンランド」のPRを目的に外装が変更された。対象編成はP 8・P 9編成で、車体全体に緑色の帯が配され、「三井グリーンランド」のPRステッカーが貼付された。内装は変更されていない。

排障器の色は外装変更の時点から両編成とも緑色だったが、P 9は排障器を強化型に交換した際に灰色となっている(2007年3月現在。右の写真とは逆)。現在はP 8も強化型の排障器に交換されているが、こちらは緑色とされた。車外スピーカー取付工事については後述する。

当初は快速「三井グリーンランド号」に優先的に使用されていたが、2007年ごろに快速「三井グリーンランド号」の呼称が消滅したことにより、他の編成と共通運用となった。

2007年7月に「三井グリーンランド」が「グリーンランド」に名称変更された際、2編成とも車体側面の緑色の帯を廃し従来のオリジナルの塗装に戻され、広告・イラストステッカーも撤去された。ただし側面戸袋部の「NEW RAPID TRAIN 811」ロゴは存置された。P 9編成のみ先頭車前面下部の緑色の帯がそのまま残っていたが、2009年に抹消され完全に原色に復元された。


日本テレコム広告車両 (P 101)

2006年、P 101編成にソフトバンクグループとなった日本テレコム(現在のソフトバンクテレコム)のラッピング広告を施したもの。同一グループのプロ野球球団福岡ソフトバンクホークスの選手のラッピングが施されていた。ラッピングはクハ811-101が鳥越裕介、サハ811-101が斉藤和巳、モハ811-101が松中信彦、クモハ810-101が杉内俊哉であった。

運用は他の編成と共通だった。2007年にラッピングが撤去され、旧に復している。

門司港レトロ号 (P 8)

ファイル:Kyushu Railway - Series 811-0 - 01.JPG
門司港レトロラッピング(PM8)(前4両)

九州鉄道記念館の開館5周年を記念し、P 8編成にラッピングを施したもので、2008年3月29日から運行が開始されている[3]。主に九州鉄道記念館をはじめとする門司港レトロ地区の建物のイラストが描かれている。

運用は他の編成と共通である。


その他の広告車両

上記の他にも、NHKどーもくん」、劇団四季ミュージカルCATS』、映画『ドラえもん のび太の恐竜2006』など期間限定で広告ペインティング・ラッピングが施される事例がある。

現況

運用

2012年現在、以下の路線で運用されている。

鹿児島本線門司港駅 - 荒尾駅間の快速列車・普通列車としての運用が大半を占めているが、日豊本線や長崎本線での運用も存在し、日豊本線の中津駅以北では朝夕に運行される快速列車にも使用されている。現在は宇佐までだが、佐伯までの運用も存在していた。[4]

かつては佐世保線でも定期運用が存在していた[5]。一方、長崎駅へは定期運用では入線したことが無いが、臨時列車「旅博ながさき号」として入線したことがある。

改造工事など

2008年現在では、全編成の排障器が813系と同様の乗務員室昇降ステップ組込み大型に交換されている。一部の編成では客室側窓の一部固定化改造も施工されているが、落成当初から扉間の中央と車端部以外の側窓が固定式とされている813系と異なるのは、車端部から一箇所おきに固定式とされている点である。

2005年(平成17年)春以降、車外スピーカーの設置が進められている。

また、落成当初はドア周辺のみであったつり革がドア間の座席部分にも増設されている。これに伴い干渉する一部の吊り広告枠が移設された。

脚注

テンプレート:脚注ヘルプ テンプレート:Reflist

関連項目

テンプレート:Sister

テンプレート:JR九州の車両リスト
  1. 1.0 1.1 1.2 1.3 テンプレート:Cite journal
  2. テンプレート:Cite web
  3. テンプレート:Cite web
  4. テンプレート:Cite web
  5. 臨時快速「有田陶器市号」運転の際には入線する。