インディ・ジョーンズ/最後の聖戦
テンプレート:Infobox Film 『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』(インディ・ジョーンズ/さいごのせいせん、原題:Indiana Jones and the Last Crusade)は、1989年のアメリカ映画で、インディ・ジョーンズ シリーズの第3作目。インディの青年時代や名前の由来、父親ヘンリーとの冒険などが描かれる。
アカデミー賞では音響効果賞を受賞。他にも作曲賞、録音賞にノミネートされた。
ストーリー
舞台は1938年。冒険家として、また考古学教授として多忙な日々を過ごすインディ・ジョーンズに、大富豪ドノヴァンから相談が持ちかけられる。イエス・キリストの聖杯の所在を示す重大な遺物を手に入れたが、調査隊の隊長が行方不明になり、それを探して欲しいというのだ。
最初は渋っていたインディだったが、その行方不明になった隊長というのが自分の父、ヘンリー・ジョーンズであると聞き、仕方なく依頼を承諾。父が最後に消息を絶ったヴェネツィアに向かった。
登場人物
- インディアナ・ジョーンズ <ヘンリー・ジョーンズJr.> (ハリソン・フォード)
- 「インディ・ジョーンズ」シリーズの主人公。有名な考古学者にして、無類の冒険家。
- 聖杯探索中に行方不明になった父親を探すべく冒険に立ち上がる。
- ヘンリー・ジョーンズ教授(ショーン・コネリー)
- インディの父親。聖杯探索の第一人者。考古学者だがインディとは対照的で書斎派の学者である。聖杯研究に没頭して家庭に無関心であったため、妻が重病であることに気づかず死なせてしまった過去があり、その事でインディとは確執を持っていた。
- 大学では中世文学の教授であったが、堅物な性格ゆえ学生受けが悪く、誰も履修したがらなかった。
- これまでの聖杯研究はすべて自身の手帳に記録しており、その手帳を狙うナチスに捕らわれる。
- インディアナ・ジョーンズ(少年時代)(リバー・フェニックス)
- 12歳の頃のインディ。ボーイスカウトの活動の最中、コロナードの十字架の盗掘を目撃。十字架を博物館に収めるべく、盗掘団と争う。
- サラー(ジョン・リス=デイヴィス)
- インディの友人で、エジプトの発掘王。レイダース/失われたアーク《聖櫃》同様、インディに協力する。兄(フジテレビ版では義理の弟)から車を借りていたが、途中でナチスに破壊される。
- マーカス・ブロディ(デンホルム・エリオット)
- 大学の副学部長で、インディの上司。博物館の館長でもあるが、自分の博物館で迷うほどの方向音痴。ヘンリーとは学生時代からの旧友。
- エルザ・シュナイダー(アリソン・ドゥーディ)
- 今作のヒロイン。考古学者で、ヘンリーの助手を務めていた。スーツ姿の似合う知的美女。聖杯捜索の為、ナチスと手を結んでおり、ヒロインと同時に1作目のルネ・ベロック(ナチスと手を組んだ考古学者)のような役でもある。
- 宮殿から聖杯を持ち出そうとしたため作動した宮殿の崩落に巻き込まれ、床に開いた穴に落ちた聖杯をインディが制止する中で取ろうとしたものの、力尽きて落ちていった。
- ヴァルター・ドノヴァン(ジュリアン・グローヴァー)
- 実業家で、マーカスの博物館のスポンサーだが、その正体はナチス党員。キリストの聖杯で「永遠の生命」を手に入れようとしていたが、エルザに掴まされた偽の聖杯で試飲したところ、急速に体が老化して骸骨となりエルザに襲い掛かるがインディに倒され、死亡した。
- エルンスト・フォーゲル(マイケル・バーン)
- 親衛隊の大佐で、聖杯捜索隊の指揮官。エルザやドノヴァンと組んで、インディ親子を捕縛し虫けら同然に扱う。最期はインディに戦車上での一騎打ちの末、戦車ごと崖から転落死した。
- フェドーラ(ガース)(リチャード・ヤング)
- 盗掘団のリーダー。若きインディのガッツを褒め、帽子をプレゼントする。
- アドルフ・ヒトラー(マイケル・シェアード)
- ナチス・ドイツ総統。キリストの聖杯で不死の軍団を手に入れ、世界征服を目論む。
キャスト
役名 | 俳優 | 日本語吹き替え | ||||
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日本テレビ版 | VHS・DVD・BD版 | フジテレビ版 | テレビ朝日版 | WOWOW・BD版 | ||
インディ | ハリソン・フォード | 村井国夫 | 玄田哲章 | 磯部勉 | 内田直哉 | |
ヘンリー | ショーン・コネリー | 若山弦蔵 | 宮川洋一 | 若山弦蔵 | 坂口芳貞 | 銀河万丈 |
インディ(青年時代) | リバー・フェニックス | 鳥海勝美 | 山口健 | 草尾毅 | 岩永哲哉 | 加藤木賢志 |
エルザ | アリソン・ドゥーディ | 塩田朋子 | 幸田直子 | 小山茉美 | 田村聖子 | |
ドノバン | ジュリアン・グローヴァー | 小林勝彦 | 大木民夫 | 前田昌明 | 小林修 | 佐々木梅治 |
ブロディ | デンホルム・エリオット | 内田稔 | 村越伊知郎 | 富山敬 | 石森達幸 | 有本欽隆 |
サラー | ジョン・リス=デイヴィス | 飯塚昭三 | 笹岡繁蔵 | 緒方賢一 | 島香裕 | 遠藤純一 |
フォーゲル大佐 | マイケル・バーン | 青野武 | 寺島幹夫 | 阪脩 | 仁内建之 | 金尾哲夫 |
カジム | ケヴォルク・マリキャン | 千田光男 | 小島敏彦 | 麦人 | 仲野裕 | |
フェドラ | リチャード・ヤング | 大塚明夫 | 津田英三 | 中村秀利 | 田原アルノ | |
老騎士 | ロバート・エディスン | 納谷悟朗 | 北村弘一 | 大木民夫 | 佐々木敏 | |
パナマ・ハット | ポール・マクスウェル | 小山武宏 | 加藤正之 | 塚田正昭 | 水野龍司 | |
ハーマン | J・J・ハーディ | 桜井敏治 | 露崎照久 | 桜井敏治 | ||
ロスコー | ブラッドリー・グレッグ | 石野竜三 | 荒川太郎 | 堀内賢雄 | ||
ハーフ・ブリード | ジェフ・オハコ | 星野充昭 | 笹岡繁蔵 | 梁田清之 | ||
サルタン | アレクセイ・セイル | 青森伸 | 加藤正之 | 石森達幸 | ||
保安官 | マーク・マイルズ | 秋元羊介 | 小島敏彦 | 麦人 | 稲葉実 | |
アイリーン | ジュリー・エクルズ | 堀越真己 | 亀井芳子 | |||
執事 | バーノン・ドブチェフ | 中庸助 | 北村弘一 | 塚田正昭 | ||
ドノバン夫人 | イズラ・ブレア | 磯辺万沙子 | 滝沢久美子 | |||
女子学生 | ? | 横田みはる | ||||
役不明又はその他 | 石田彰 増山可穂 本多郁子 山川敦子 好村俊子 田口昂 速見圭 |
宝亀克寿 滝沢ロコ 古田信幸 星野充昭 大川透 |
中村浩太郎 佐々木睦 松井範雄 滝知史 田内裕一 木下尚紀 酒巻光宏 鈴木賢 木下紗華 小幡あけみ 藤堂真衣 安西英美 | |||
翻訳 | 木原たけし | 島伸三 | 木原たけし | 岩本令 | 島伸三 | |
演出 | 佐藤敏夫 | 中野寛次 | 山田悦司 | 伊達康将 | 福永莞爾 | |
調整 | 熊倉亨 | 小野敦志 | 熊倉亨 | 高久孝雄 | 東北新社スタジオ | |
録音 | 東北新社スタジオ | |||||
リライト | 山門珠美 | |||||
制作進行 | 岩渕昇 | 梅原潤一 植田剛司 | ||||
プロデューサー | 垂水保貴 門屋大輔 |
圓井一夫 | ||||
制作 | 東北新社 | |||||
初回放送 | 1994年4月1日 『金曜ロードショー』 (21:03-23:34) |
1993年4月3日 『ゴールデン洋画劇場』 (21:03-23:35) |
1998年1月4日 『日曜洋画劇場』 (21:02-23:09) |
2009年7月20日 WOWOW191ch (12:30-14:37) |
- ビデオリリース時に吹き替え版が製作されたのはシリーズ中初めてで、日本テレビ製作でない吹き替え版でハリソン・フォードを村井国夫が吹き替える初めての例でもある。後年『レイダース』と『魔宮の伝説』も初出時に無く日本テレビ版以外作られていなかった吹き替え版が、やはりハリソン=村井の配役を踏まえ新規製作されている。
- テレビ版吹き替えは唯一日本テレビ版は初回はノーカット放送だったが、フジテレビ版、テレビ朝日版は共に一部カット収録である。
- 日本テレビ版放送は、2008年6月15日:テレビ朝日『日曜洋画劇場』、2012年8月17日(金)11:00 - 13:30他:洋画専門チャンネル『ザ・シネマ』で行われている。ザ・シネマではノーカット版を捜索したが発見できず、やむを得ずカット版を放送した。
- 吹き替えを内田直哉で統一するために、BDにはWOWOW版吹き替えが収録された。
作品解説
キリストにまつわる秘宝をナチス・ドイツから奪うというプロットであるが、父親との確執と融和をストーリーの中心に据え、大人の観客を意識したアクション大作となっている。
ナチス親衛隊将校のフォーゲル大佐がドイツ国防軍兵士の指揮を執る(レイダースのディートリッヒ大佐の場合は親衛隊所属ではなくドイツ国防軍所属だった)、ハタイ共和国にスルタンが存在する[1]など、歴史考証よりもエンターテイメント性が優先されている。
最後に出てくる聖杯が安置されている遺跡は、ヨルダンに実在するペトラ遺跡のエル・カズネである。
配役
インディ役のハリソン・フォードは、実際にあごに傷があるがこの特徴を活かして、リバー・フェニックスが演じる少年時代のインディがムチを使いあごを自傷するシーンを使って、のちのインディ(ハリソン)と同じようにしている。DVDに収録しているインタビューによると、この傷は、実際に20代の頃に自動車事故で負ったものとのこと。また同じように特徴を活かし終盤で、インディが本物の聖杯を探し当て「イエスは大工だった!」とも言っている。実はハリソンも、下積みの頃に大工をしている。
『インディ・ジョーンズ』シリーズはもともと、スピルバーグが007シリーズを作りたいとルーカスに提案したのが始まり。シリーズの(いったんの)最終章として、インディの父親ヘンリー・ジョーンズ役は007の初代俳優であるショーン・コネリーに依頼した。ちなみに第二候補となっていたのはグレゴリー・ペック[2]。また、コネリーは引退後、ヘンリー・ジョーンズ役が生涯で一番好きな役だと語っている。[3]父子を演じたフォードとコネリーだが、2人の実際の年齢は12歳しか違わない。
青年時代のインディ役には、当時大人気だったリヴァー・フェニックスを起用したが、本作公開からわずか4年後に若くして他界してしまった。この青年時のシークエンスで、インディがなぜあの服装(特に帽子)になったのか、蛇が嫌いなのかなどが明かされた。
シリーズ常連とも言うべきイギリスの俳優パット・ローチがゲシュタポ役で姿を見せている。シリーズ第一作冒頭のペルーの荷役夫役のテッド・グロスマンが保安官役で登場、同作終盤で無残な死に方をしたトート少佐役のロナルド・レイシーがハインリヒ・ヒムラー役でクレジット無しで出演しておりパレードのシーンで確認できる。またドノヴァンの妻役イスラ・ブレアはジュリアン・グローヴァーの実の妻である。さらにジェームズ・ボンドを演じたコネリー、『ユア・アイズ・オンリー』のグローバー、『美しき獲物たち』のアリソン・ドゥーディ、『リビング・デイライツ』のジョン・リス=デイヴィスと、007シリーズを意識した顔ぶれも楽しめる。『ナバロンの嵐』でハリソン・フォードと共演済みのフォーゲル大佐役のマイケル・バーンも本作から8年後に『トゥモロー・ネバー・ダイ』に出演した。また、撮影を担当したダグラス・スローカムは、『サンダーボール作戦』のリメイク作品『ネバーセイ・ネバーアゲイン』の撮影も担当している。
特撮
カタコンベが炎に包まれるシーンはネズミの大群が炎から逃げるため必死で泳ぐ姿が念頭に置かれており、模型飛行機のようなゴム動力のスクリューを付けたネズミの模型が沢山作られた。しかし実際のシーンは炎が大きい上に模型のネズミも泳ぐ勢いに欠け、意図されたような効果が上がっていない。ちなみにネズミの鳴き声はニワトリの鳴き声にピッチを上げるなどの加工を施して作られたものである。
続編
この作品を最後にハリソン・フォード主演のインディ・ジョーンズシリーズは休止していたが、19年後の2008年に続編として『インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国』が製作された(ルーカスフィルムとパラマウントはシリーズ開始時に全5作の映画化契約を交わしている)。
メモ
- 映画の冒頭はシリーズ共通のイメージである、パラマウントのロゴマークと実景とのオーバーラップで始まる。
- ドイツ軍とのオートバイチェイスで使用されたサイドカーは、ドイツ軍で使用されたBMWシリーズではなく、ロシア製のBMWオートバイ・サイドカーのコピーであるKMZ-DNEPRやIMZ・ウラル、一部BMWの外装部品などを使用、それらをドイツ軍風に装飾改造した混成改造サイドカーである。
- 劇中クライマックスに登場する戦車はドイツ軍の所属ではなくトルコのものである。同様に聖杯捜索隊の主な兵士や車両、ラクダなどもトルコから借り受けてナチス捜索隊に組み込んだものであり、劇中にテンプレート:仮リンク(Republic of Hatay)のサルタンにロールス・ロイス・ファントムIIや財宝などの報酬を引き渡すシーンがある。
- サルタンが車両や兵士の貸与を告げる台詞の最後に「and tanks(戦車も)」という言葉があるが、これは「thanks(感謝する)」と掛けてある。ドノヴァンも「you're welcome(どういたしまして)」と答えている。
- 上記の戦車は実在のものではなく、第1次世界大戦中のイギリスのマークⅧ戦車をモチーフに、ショベルカーを多砲塔戦車風に改造したものである。なお、インディが副砲に入れた石はゴム製である。
- カタコンベに足を踏み入れたインディは「Oh, Rats!」とつぶやくが、これはスピルバーグの口癖から採られたアイディアらしく、アクターズ・スタジオ・インタビューに出演したスピルバーグが「よく使う悪態は?」と訊かれ「Rats!」と応えている。
- インディとヘンリーが城で再会した際、インディが手帳を持ってきてしまったことを非難してヘンリーが「I should have mailed to Marx Brothers!(だったらマルクス兄弟に手帳を送ってやるんだった!)」と言うシーンがあるが、マルクス兄弟とは1930年代(本作の時代設定)に活躍した間の抜けた芸で有名なコメディアンである。つまり手帳を持ってきてしまうぐらいならコメディアンに渡した方がマシなぐらいインディが抜けているという意味である。
- ヘンリーがドイツの戦闘機を撃墜した後、カール大帝の言葉を引用するシーンがあるが、ソフト版の日本語吹き替えにおいては、これは「シャルメン王」と訳されてる(カール大帝のフランス語読み「シャルルマーニュ」を英語読みした「シャーレメイン」が変化したものと思われる)。
- この映画の公開に先立って、ILMに外部のテレビカメラが初めて入る特別番組「スピルバーグとルーカス」がNHKで放映された。ナレーターは「太陽の帝国」に出演経験のあるガッツ石松。
脚注
外部リンク
テンプレート:インディ・ジョーンズシリーズ テンプレート:スティーヴン・スピルバーグ監督作品 テンプレート:ジョージ・ルーカス テンプレート:Asboxテンプレート:Link GA テンプレート:Link GA
ml:ഇന്ത്യാനാ ജോണ്സ് ആന്ഡ് ദി ലാസ്റ്റ് ക്രൂസൈഡ്- ↑ 実際に存在したのは大統領と首相である。
- ↑ キネマ旬報2008年6月号 「インディ・ジョーンズ」特集
- ↑ http://jp.ibtimes.com/article/biznews/100826/59637.html