アルフレッド・ノーベル記念経済学スウェーデン国立銀行賞

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テンプレート:出典の明記 アルフレッド・ノーベル記念経済学スウェーデン国立銀行賞(スウェーデン語;Sveriges riksbanks pris i ekonomisk vetenskap till Alfred Nobels minne英語;The Sveriges Riksbank Prize in Economic Sciences in Memory of Alfred Nobel)は、1968年スウェーデン国立銀行が設立300周年祝賀の一環として、ノーベル財団に働きかけ、設立された賞である。一般的にノーベル経済学賞と呼ばれている。スウェーデン王立科学アカデミーにより選考され、ノーベル財団によって認定される。授賞式・その他一般は他のノーベル賞と同じように行われている。日本人の受賞者はいない。

概要

経済学における最も権威ある賞の一つである。

アルフレッド・ノーベル記念経済学スウェーデン国立銀行賞はアルフレッド・ノーベル自身が設置、遺贈したものではないので、正式なノーベル賞とは言えないとされ、ノーベル賞のホームページでもそのように強調されている[1]。そのため、賞金はスウェーデン国立銀行から拠出されている。しかし、選考や授賞式などの諸行事は他の部門のノーベル賞と合同で実施されている。

受賞は1969年より開始された。なお他の部門と同じく、1回に受賞可能な人数は3人が上限であり、また共同受賞の場合は同じ受賞理由が適用される。選考は化学賞及び物理学賞と同じくスウェーデン王立科学アカデミーが行っている。ちなみに、日本では経済学賞のみ賞金が課税対象となっている。これは、所得税法9条13号ホに基づきノーベル基金からの賞金は非課税となるが、経済学賞の賞金はノーベル基金ではなくスウェーデン国立銀行からのものであり、非課税対象から外れるためである(ただし、日本人が受賞したことは過去にないので、課税されたことはない)[2][3]

選考基準

経済学者のなかでは選考基準に一貫性がなく曖昧なことでも有名である。真に優秀な経済学者および経済学に大きな影響を与えた研究者に授与されていることも確かであるが、テンプレート:要出典範囲

1974年のフリードリヒ・ハイエクへの受賞、1976年のミルトン・フリードマンの受賞は、それぞれオーストリア学派およびマネタリズムへの関心を一気に高める結果となった。また新古典派価格理論と市場主義的自由主義をその特色とするシカゴ学派に関係した人々の受賞が多いが、これはシカゴ大学が経済学研究において世界トップレベルの大学の一つであることも意味しているとの評価もある。

経済学ではない隣接分野の研究者が授賞する場合があったが、1995年の2月には正式に経済学賞を社会科学と再定義することが決定された。これによってより政治学心理学社会学などの経済学と接する分野の学者にも賞が与えられる可能性が大きくなった。同時に以前は全員経済学者であった5人の審査員のうち2人は非経済学者とすることが規定された。非経済学者の受賞者としては、計算機科学者ハーバート・サイモン(1978年)、数学者ジョン・ナッシュ(1994年)、心理学者ダニエル・カーネマン(2002年)、統計学者クライブ・グレンジャー(2003年)、政治学者エリノア・オストロム(2009年)などがおり、またチャリング・クープマンス(1975年)やロバート・オーマン(2005年)など他分野出身の経済学者の中にも受賞者は多数存在する。このように色々な分野の人間が受賞するので受賞候補者は社会科学自然科学問わず存在し、完全な理系分野である生物学のジョン・メイナード=スミスでさえ有力な候補とされていた。またノーベル賞に数学賞は存在しない(これについては有名な噂ないし勘ぐりがある)が、経済学は数学者が受賞出来る可能性の高い分野の一つであり、実際に数学者のジョン・ナッシュ(1994年)やレオニート・カントロヴィチ(1975年)などが受賞し、日本人数学者では伊藤清が有力な候補とされた。よってテンプレート:要出典範囲が、ノーベル経済学賞は心理学政治学数学物理学生物学計算機科学経営学統計学哲学社会学など幅広い分野の人間に与えられる可能性を持つ賞となっている。

経済学賞の受賞者のほとんどを欧米出身者が占め、その中でも特にアメリカとイギリスの出身者が多い。2010年までの受賞者数67名のうち、非欧米出身者はわずかに3名しかいない。その内2名はイスラエルとアメリカの二重国籍となっており、欧米諸国の国籍を持たない受賞者は、1998年のアマルティア・センインド)が最初であり、唯一の受賞者となっている。

選考方法

ノーベル経済学賞の選考は、物理学賞化学賞と同様にスウェーデン王立科学アカデミーによって行われる(生理学・医学賞カロリンスカ研究所平和賞ノルウェー国会文学賞スウェーデン・アカデミーによって行われる)。選考にはおよそ1年の期間が費やされ、その過程は秘密とされている。ノーベル財団によって認定されている。

選考に際しては、毎年9月に王立科学アカデミー内に設置された経済学賞の委員会が翌年の候補者の推薦依頼状を推薦権所持者に送付し、候補者を集める。推薦権を所持するのは、王立科学アカデミーの会員と委員会の構成員、過去の受賞者、北欧諸国の大学の経済学の教授、世界から選ばれた大学の経済学部門の長、特別に選ばれた個人などであり、締切りは1月の末である。

委員会の選考は外部の専門家の助言とともに進められ、最大3人の受賞者を内定する。決定は王立科学アカデミーが行い、事前に告知した日に発表を行う。自然科学の3賞(物理、化学、生理学・医学)は受賞分野を決めてから受賞者を絞り込むとされており、経済学賞も同様と見られる。

授賞式は毎年ノーベルの命日にあたる12月10日にストックホルム(平和賞はオスロ)で開催され、スウェーデン国王からノーベルの肖像が入ったメダルなどが手渡される。

批判

1997年にはノーベル文学賞の選考機関であるスウェーデン・アカデミーが経済学賞の廃止を要請した。

受賞者

1960-70年代

名前 国籍(出身国) 受賞理由
1969年 ラグナル・フリッシュ テンプレート:Flagicon ノルウェー 経済過程分析に対する動学的モデルの発展と応用を称えて
ヤン・ティンバーゲン テンプレート:NED
1970年 ポール・サミュエルソン テンプレート:Flagicon アメリカ合衆国 静学的および動学的経済理論の発展に対する業績と、
経済学における分析水準の向上に対する積極的貢献を称えて
1971年 サイモン・クズネッツ テンプレート:Flagicon アメリカ合衆国 経済および社会の成長に関する構造および過程を深く洞察するための経済成長に関する理論を
実証的手法を用いて構築した功績を称えて
1972年 ジョン・ヒックス テンプレート:Flagicon イギリス 一般的経済均衡理論および厚生理論に対する先駆的貢献を称えて
ケネス・アロー テンプレート:Flagicon アメリカ合衆国
1973年 ワシリー・レオンチェフ テンプレート:Flagicon ソビエト連邦 投入産出分析の発展と、重要な経済問題に対する投入産出分析の応用を称えて
1974年 グンナー・ミュルダール テンプレート:Flagicon スウェーデン 貨幣理論および経済変動理論に関する先駆的業績と、
経済現象・社会現象・組織現象の相互依存関係に関する鋭い分析を称えて
フリードリヒ・ハイエク テンプレート:Flagicon オーストリア
1975年 レオニート・カントロヴィチ テンプレート:Flagicon ソビエト連邦 資源の最適配分に関する理論への貢献を称えて
チャリング・クープマンス テンプレート:NED
1976年 ミルトン・フリードマン テンプレート:Flagicon アメリカ合衆国 消費分析金融史金融理論の分野における業績と、
安定化政策の複雑性の実証を称えて
1977年 ベルティル・オリーン テンプレート:Flagicon スウェーデン 国際貿易に関する理論および資本移動に関する理論を開拓した業績を称えて
ジェイムズ・ミード テンプレート:Flagicon イギリス
1978年 ハーバート・サイモン テンプレート:Flagicon アメリカ合衆国 経済組織内部での意思決定プロセスにおける先駆的な研究を称えて
1979年 セオドア・シュルツ テンプレート:Flagicon アメリカ合衆国 発展途上国問題の考察を通じた経済発展に関する先駆的研究を称えて
アーサー・ルイス テンプレート:Flagicon イギリス
テンプレート:Nowrap

1980年代

名前 国籍(出身国) 受賞理由
1980年 ローレンス・クライン テンプレート:Flagicon アメリカ合衆国 景気変動経済政策を分析する上での経済的なモデル・手法の開発に対して
1981年 ジェームズ・トービン テンプレート:Flagicon アメリカ合衆国 金融市場とその支出決定・雇用生産物価格との関連性の分析を称えて
1982年 ジョージ・スティグラー テンプレート:Flagicon アメリカ合衆国 産業構造市場の役割・規制の原因と影響についての独創的な研究を称えて
1983年 ジェラール・ドブルー テンプレート:Flagicon フランス 一般均衡理論の徹底的な改良と経済理論に新たな分析手法を組み込んだことを称えて
1984年 リチャード・ストーン テンプレート:Flagicon イギリス 国民勘定システムの発展に対する基本的な貢献と実証的な経済分析の基礎の多大な改良を称えて
1985年 フランコ・モディリアーニ テンプレート:Flagicon アメリカ合衆国
テンプレート:Flagicon イタリア
貯蓄と金融市場の先駆的な分析に対して
1986年 ジェームズ・M・ブキャナン テンプレート:Flagicon アメリカ合衆国 公共選択の理論に於ける契約憲法面での基礎を築いたことを称えて
1987年 ロバート・ソロー テンプレート:Flagicon アメリカ合衆国 経済成長理論への貢献を称えて
1988年 モーリス・アレ テンプレート:Flagicon フランス 市場資源の効率的な利用に関する理論の先駆的な貢献を称えて
1989年 トリグヴェ・ホーヴェルモ テンプレート:Flagicon ノルウェー 計量経済学の確率基礎理論の解明と同時発生的経済構造の分析を称えて

1990年代

名前 国籍(出身国) 受賞理由
1990年 ハリー・マーコウィッツ テンプレート:Flagicon アメリカ合衆国 資産形成の安全性を高めるための一般理論形成を称えて
マートン・ミラー テンプレート:Flagicon アメリカ合衆国
ウィリアム・フォーサイス・シャープ テンプレート:Flagicon アメリカ合衆国
1991年 ロナルド・コース テンプレート:Flagicon アメリカ合衆国 制度上の構造と経済機能に於ける取引コスト財産権の発見と明確化を称えて
1992年 ゲーリー・ベッカー テンプレート:Flagicon アメリカ合衆国 市場に於ける行動を含めた
広範にわたる人間の行動と相互作用へのミクロ経済学分析の応用を称えて
1993年 ロバート・フォーゲル テンプレート:Flagicon アメリカ合衆国 経済理論と計量的手法によって経済史の研究を一新したことを称えて
ダグラス・ノース テンプレート:Flagicon アメリカ合衆国
1994年 ラインハルト・ゼルテン テンプレート:GER 非協力ゲームの均衡の分析に関する理論の開拓を称えて
ジョン・ナッシュ テンプレート:Flagicon アメリカ合衆国
ジョン・ハーサニ テンプレート:Flagicon ハンガリー
1995年 ロバート・ルーカス テンプレート:Flagicon アメリカ合衆国 合理的期待仮説の理論を発展、応用し、
1970年代以降の財政金融政策などマクロ経済理論に大きな影響を与えた事を称えて
1996年 ジェームズ・マーリーズ テンプレート:Flagicon イギリス 情報非対称性のもとでの経済的誘因の理論」に対する貢献を称えて
ウィリアム・ヴィックリー テンプレート:Flagicon アメリカ合衆国
テンプレート:Flagicon カナダ
1997年 ロバート・マートン テンプレート:Flagicon アメリカ合衆国 金融派生商品デリバティブ)価格決定の新手法
a new method to determine the value of derivatives)」
に対して。オプション評価モデルであるブラック-ショールズ方程式の開発と理論的証明
マイロン・ショールズ テンプレート:Flagicon カナダ
1998年 アマルティア・セン テンプレート:Flagicon インド 所得分配不平等にかかわる理論や、
貧困飢餓に関する研究についての貢献を称えて
1999年 ロバート・マンデル テンプレート:Flagicon カナダ さまざまな通貨体制における金融・財政政策(「マンデル・フレミング・モデル」)と、
「最適通貨圏」についての分析を称えて

2000年代

名前 国籍(出身国) 受賞理由
2000年 ジェームズ・ヘックマン テンプレート:Flagicon アメリカ合衆国 ミクロ計量経済学において、
個人と家計の消費行動を統計的に分析する理論と手法の構築を称えて
ダニエル・マクファデン テンプレート:Flagicon アメリカ合衆国
2001年 ジョージ・アカロフ テンプレート:Flagicon アメリカ合衆国 情報の非対称性を伴った市場分析を称えて
マイケル・スペンス テンプレート:Flagicon アメリカ合衆国
ジョセフ・E・スティグリッツ テンプレート:Flagicon アメリカ合衆国
2002年 ダニエル・カーネマン テンプレート:Flagicon アメリカ合衆国
テンプレート:Flagicon イスラエル
行動経済学実験経済学という新研究分野の開拓への貢献を称えて
バーノン・スミス テンプレート:Flagicon アメリカ合衆国
2003年 ロバート・エングル テンプレート:Flagicon アメリカ合衆国 時系列分析手法の確立を称えて
クライヴ・グレンジャー テンプレート:Flagicon イギリス
2004年 フィン・キドランド テンプレート:Flagicon ノルウェー 動学的マクロ経済学への貢献
:経済政策における動学的不整合性の指摘と、リアルビジネスサイクル理論の開拓を称えて
エドワード・プレスコット テンプレート:Flagicon アメリカ合衆国
2005年 ロバート・オーマン テンプレート:Flagicon アメリカ合衆国
テンプレート:Flagicon イスラエル
ゲーム理論の分析を通じて対立と協力の理解を深めた功績を称えて
トーマス・シェリング テンプレート:Flagicon アメリカ合衆国
2006年 エドムンド・フェルプス テンプレート:Flagicon アメリカ合衆国 マクロ経済政策における異時点間のトレードオフに関する分析を称えて
2007年 レオニード・ハーヴィッツ テンプレート:Flagicon アメリカ合衆国
テンプレート:Flagicon ロシア
メカニズムデザインの理論の基礎を確立した功績を称えて
エリック・マスキン テンプレート:Flagicon アメリカ合衆国
ロジャー・マイヤーソン テンプレート:Flagicon アメリカ合衆国
2008年 ポール・クルーグマン テンプレート:Flagicon アメリカ合衆国 貿易のパターンと経済活動の立地に関する分析の功績を称えて
2009年 エリノア・オストロム テンプレート:Flagicon アメリカ合衆国 経済的なガヴァナンスに関する分析を称えて
オリヴァー・ウィリアムソン テンプレート:Flagicon アメリカ合衆国

2010年代

名前 国籍(出身国) 受賞理由
2010年 ピーター・ダイアモンド テンプレート:Flagicon アメリカ合衆国 労働経済におけるサーチ理論に関する功績を称えて
デール・モーテンセン テンプレート:Flagicon アメリカ合衆国
クリストファー・ピサリデス テンプレート:Flagicon イギリス
テンプレート:Flagicon キプロス
2011年 トーマス・サージェント テンプレート:Flagicon アメリカ合衆国 マクロ経済の原因と結果をめぐる実証的な研究に関する功績を称えて
クリストファー・シムズ テンプレート:Flagicon アメリカ合衆国
2012年 アルヴィン・ロス テンプレート:Flagicon アメリカ合衆国 安定配分理論と市場設計の実践に関する功績を称えて
ロイド・シャープレー テンプレート:Flagicon アメリカ合衆国
2013年 ユージン・ファーマ テンプレート:Flagicon アメリカ合衆国 資産価格の実証分析に関する功績を称えて
ラース・ハンセン テンプレート:Flagicon アメリカ合衆国
ロバート・シラー テンプレート:Flagicon アメリカ合衆国

出典

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参考文献

関連項目

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外部リンク

テンプレート:NobelPrizes
  1. テンプレート:Cite
  2. テンプレート:Cite web
  3. 所得税法第九条十三のホ